Semua Bab 婚約者は私にプロポーズをしたその口で、初恋の幼馴染に愛してると宣う: Bab 281 - Bab 290

303 Bab

281話

体が熱くて熱くて堪らない──。 「りょう、まさん……助けて……っ」 じわじわと目の前が涙で滲み、涼真さんの顔すら歪んでしまい、良く見えなくなってしまう。 「──心」 涼真さんの声が、どこか辛そうに聞こえる。 そして、涼真さんの手のひらが私の頬をするり、と撫でてくれる。 いつもだったら、涼真さんの手に頬を撫でられると安心して嬉しいのに、今の私は浅ましく快感を拾ってしまって。 「──ひぅっ」 びくり、と体が大袈裟に跳ねて。 私の様子を見た涼真さんが口を開いた。 「くそっ、薬か……」 「も、やだっ、体が変なんですっ、怖いっ」 ぼろぼろ、と私の瞳から涙が零れ落ちていく。 まるで幼子のように泣いてしまう私に、涼真さんはそっと顔を寄せると私の頬を流れ落ちる涙を唇で拭ってくれる。 「大丈夫、大丈夫だ心。俺が傍に居る」 「怖いっ、助けてりょうまさんっ」 「分かった……。絶対に俺が心を助けるから……っ」 涼真さんは私の両頬を手のひらで優しく包み込むと、しっかりと私と目を合わせて言葉を続ける。 「大丈夫、大丈夫だ心。……愛してるよ」 「涼真さ……っ、私もっ、私も涼真さんを愛してますっ」 涼真さんが私の涙を拭ってくれて。 滲んでいた視界がクリアになる。 涼真さんは私を優しく、愛おし気に見つめ、嬉しそうに笑ってくれた。 そして、涼真さんは自分のワイシャツのボタンに手をかけ、性急にワイシャツを脱ぎ去った。 放り投げられた涼真さんのワイシャツが、ソファの下に落ちる。 次に涼真さんは私のドレスの裾に手をやり、ゆっくりと裾から手を侵入させた。 涼真さんの顔が近付き、私は自然と目を閉じる。 目を閉じた奥で、ソファが軋む音が聞こえた。 ◇ どれだけの時間が経ったのだろうか。 熱くて熱くて頭の中が真っ白になっている私には、今が何時か、どれくらいの時間が経ったのか、全く分からなかった。 私のぼんやりとしていた意識がハッキリとして来た頃には、違う意味で私の体は熱くなっていて。 気持ちよさに私の思考は霞みがかっていた。 快感に耐えるような涼真さんの艶かしい表情と、2人きりの部屋に響く2人分の声。 ──そして、肌を打つ音。 ぶるり、と涼真さんが体を震わせ、声を漏らす。 その瞬間、私の瞼の裏でもぱちぱち、と星が明滅して。 どさり、と私の
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282話

◇ 次第に、ぼんやりとしていた思考がはっきりしてきた私は、自分の痴態を思い出してしまい、シーツにくるまっていた。 「心、心……大丈夫だから……顔を見せてくれ」 「嫌……恥ずかしい……私、はしたなく涼真さんに……っ!」 思考がはっきりした今だから分かる。 私の体は、おかしかった。 まるで無理やり性的な興奮を呼び起こすような、はしたなく男性を求めてしまうような。 そんな変な感覚に陥っていたのだ。 黒瀬社長にこの部屋に連れられて来て、清水 瞬が目の前に来た時は、もうお終いだと思った。 いくら体が快楽を求めていても、清水 瞬にだけは抱かれたくない。 だけど、男性2人に囲まれてしまっていては、逃げる事も出来ない──。 もう無理だ、と覚悟をした時。 涼真さんが助けに来てくれたのだ。 涼真さんの声と、姿を見た瞬間。 熱を昂らせていた私の体はもう限界だった。 そして、私は心配して助けに来てくれた涼真さんにはしたなく縋ったのだ。 体の熱をどうにかして欲しい、と縋った。 そして、涼真さんは私の異変にすぐに気が付いてくれて──。 (ううう……っ、恥ずかしい……っ、記憶を消してしまいたい……!) 頭までシーツにくるまっている私に、困ったように笑う涼真さんの声が聞こえる。 「心、これだけ確認させてくれ。……体は?もう大丈夫なのか?」 心配そうな涼真さんの声に、私はもそもそとシーツから顔を出して涼真さんを見上げる。 ベッドの淵に腰掛けている涼真さんは、上半身裸のまま。 スラックスは履いているけど、涼真さんの引き締まった体が、少し汗ばんでいる胸元が晒されていて。 私はそんな涼真さんを直視しないよう、目を逸らしつつ頷いた。 「は、はい……。大丈夫、です。さっきまでの変な熱も……今はもうないです……」 「そうか……性的欲求を解消したから、か……?」 涼真さんのあけすけな物言いに、私は顔を真っ赤に染めてしまう。 「せ、性的欲求……」 「ああ。さっきまでの心は明らかに様子がおかしかった。瞳もぼんやりとしていたし、体も熱を持ったかのように熱かった。こうなった理由に心当たりはあるか?」 優しく聞いてくれる涼真さんに、私は少し考える。 そう言えば──。 「涼真さんと離れて、ソファに座ってる時……」 「うん?」 「あの時に、ホテルのスタッフ
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283話

私が言葉に詰まり、真っ青になっていると涼真さんは悟ったのだろう。 「……もしかして、誰かに連れ出されたのか?」 涼真さんの言葉に、私はこくりと頷く。 「はい。……何故か、私の前に黒瀬社長が現れました……。そして、抵抗と言う抵抗が出来ないうちに、パーティー会場から連れ出されて……この部屋に……」 「……そうか」 「中には、何故か清水 瞬と、麗奈が居て……」 話して行く内に、私の唇が震え、真っ青になって行くのが涼真さんに見えたのだろう。 涼真さんは痛ましげに顔を顰め、私に向かって「それ以上言わなくていい」と言ってくれたけど。 私は首を横に振って続ける。 何だか、麗奈も。 黒瀬社長も。 重要な事を言っていたような気がする。 「麗奈が、確か……その薬の効き目はどう?って……。確か、そう……海外に居る時に自分がお世話になった薬だって……!」 「──海外!?……なるほど、禁止薬物を違法な手段で輸入したんだな。柳 麗奈はその件で上手く処理出来そうだ……」 ぼそり、と呟いた涼真さん。 低い声には温度なんて全く感じなくて。 激怒──そんな雰囲気を感じる。 だけど、私にはまだ涼真さんに伝えなくちゃいけない事がある。 私は、涼真さんの手を握って告げた。 「涼真さん、黒瀬社長は、私と清水 瞬の事を録画していました。良い値で売れる……会員達も満足するって言ってました」 「黒瀬 公紀……とんだクズ野郎だ。……待てよ?会員?心、黒瀬は会員って言ってたのか?」 黒瀬社長を罵った涼真さんがハッとしたように目を見開き、私に顔を向ける。 私に確認する涼真さんに、しっかりと頷いた。 「はい、確かに黒瀬社長は会員って……」 私の返答を聞いた涼真さんは、少し考える素振りを見せた。 だけどすぐにぱっと顔を上げ、ベッドから立ち上がる。 どこに行ってしまうのか、と私が心細くなっていると、涼真さんは近くに脱ぎ捨てていた自分のスーツを拾い上げ、中からスマホを取り出す。 そして、すぐに私の元に戻ってくると、ベッドに乗り上げて私の横に来てくれる。 私が不安を覚えた事に涼真さんは気づいてくれたのだろう。 私を安心させるようにそっと抱き寄せてくれたまま、どこかに電話をかけた。 「──もしもし、俺だ。ああ。心はもう大丈夫そうだ」 誰か──、間宮さん、だろうか。
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284話

電話を終えた涼真さんは、私に優しい顔で話しかける。 「すまない、心。不安にさせるような事を話したな。心は心配しないで大丈夫だ。俺が全部解決する」 「涼真さん……でも、私も色々協力出来る事があると思うんです。……その、警察に通報を、してくれたんですよね?」 私の言葉に、涼真さんはぐっと眉を寄せる。 そして、シーツにくるまっている私の体を抱き寄せ、ぎゅうっと抱きしめてくれた。 「警察に通報は、した……。だが、俺はこれ以上心に辛い思いはして欲しくない。……警察への協力を申し出たら……色々と聞かれたくない事だって聞かれるかもしれない」 「でも、私が話せば、その分解決が早くなりますよね?」 今回の件は、到底看過出来るものじゃない。 こんなの、犯罪だ。 清水 瞬にも、黒瀬社長にも。そして、麗奈にも。 私を恨んでこんな凶行に及んだのなら、麗奈にもしっかり罰を受けてもらわないと。 流石に度を越している。 私はシーツからそっと腕を出すと、涼真さんの背中に手を回して抱き返す。 「警察に協力します。私は、私を襲った人達に……私を貶めようとした麗奈に、ちゃんと罰を与えたい。罪を償って欲しいです」 「──そうだな……。心がそう思うのも、当然だ。……分かった。警察に心が話してくれると言うなら、解決も早まる。……だが、必ず俺が一緒に居る。それでも良いか?」 「もちろんです……!私も、涼真さんが傍に居てくれる方が心強いし、安心します。一緒に居てください」 「ああ、分かった。それじゃあ、そろそろ支度をしよう。動けるか、心?」 涼真さんはそう言いながらそっと私から離れる。 シーツにくるまったまま、私は頷くと床に散らばった自分の下着や服をちらりと見下ろす。 それを視界に入れた瞬間、自分の顔に熱が集まるけど、今は早く支度をしなくちゃ。 私に気を使ってくれているんだろう。 涼真さんは先にベッドを降りて、脱ぎ捨てた自分のワイシャツを手に取り、羽織っていた。 私はそんな涼真さんを横目に、そろり、と足を動かしてベッドから足を下ろす。 そのまま立ち上がろうとしたけど──。 かくん、と膝から力が抜けて、私の体はぺたり、とベッド下の床にへたり込んでしまった。 「──へ?」 「心!?大丈夫か!?」 し、信じられない──! 足腰に全く力が入らない。 必死にその場
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285話

◇ 「加納さん……!」 「心……!」 ホテルの別室。 そこに私と涼真さんが姿を現すと、室内にいた持田さんと──。 「お母さんに、お父さん……!?」 どうして両親がここに、と私が困惑しつつ涼真さんを見上げると、涼真さんはあっさりと答えてくれた。 「心の姿が会場から消えた事に気付いた俺は、ご両親にすぐに伝えたんだ。心のご両親も、探すのを手伝ってくれた」 「そう、だったんですね……」 「ああ。加納社長も一緒になって探してくれたから、心を早く見つけ出す事ができたんだよ」 そう説明してくれながら、涼真さんは抱えていた私を優しくソファに下ろしてくれた。 そして、私の元に駆け寄って来てくれた母と持田さんが、安心したように表情を綻ばせ、私の手を握ってくれた。 「お母さん、持田さん、心配をかけてごめんなさい」 「いいのよ……。あなたが無事で良かった」 「加納さんがご無事で良かったです」 私達が話している間、涼真さんと父が真剣な表情で何かを話しているのが見える。 だけど、私が居るソファからは、2人の声は小さくて何を話しているのかは分からない。 だけど、きっと。今後の事を話し合っているのだろう。 涼真さんとの話を終えたのだろう。 父がこちらに顔を向け、歩いて来た。 涼真さんも一緒にこちらに戻ってくると、私が座っているソファに腰を下ろし、私の肩をそっと抱き寄せてくれる。 「心、涼真くんから聞いたが……本当に警察へ捜査協力を?」 父が、険しい表情で私に問う。 私はしっかりと頷いた。 「はい、もちろんです。……今、彼らは警察に捕まっているのですよね?……私が証言すれば、現行犯で逮捕出来るのではないでしょうか?」 「それは……そうだが。……そうすると、聴取でお前も警察署に行く事になるぞ。……疲れているから休みたいだろう」 父は、不器用ながら私の事を心配してくれている。 それが父の表情や声からしっかりと感じ取れて。 私の事を心配してくれている、そう実感するだけで、何だか力が湧いてくるように感じた。 それに、隣には私の事を力強く抱き寄せてくれている頼もしい涼真さんも居てくれている。 あの時の事を警察から聞かれたら、確かに嫌な事を思い出すし、恐怖心も同時に蘇る。 だけど、私が協力すれば迅速に解決できるのだ。 それなら、協力を惜しまない
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286話

◇ それからは、早かった。 お父さんが友人の警察関係者に連絡をしてから、その友人が対応し、手を回してくれたのだろう。 たった数十分で多くの刑事がホテルに到着した。 私は、麗奈や清水 瞬、それに黒瀬社長と一切面会する事なく、私が捜査に協力する時も、直接話す相手は全員が女性刑事の方で。 私が涼真さんや、家族、間宮さん以外の男性と関わる事がないように気遣ってくれた。 警察への協力に関しても、驚くほどスムーズに進み、私への聴取も負担をかけないように配慮してくれたからか、拘束時間も少なく、調書の作成は後日改めて警察署に出向けば大丈夫だと説明してくれた。 被害に遭った時の事を私が説明する時も女性刑事の方はとても配慮してくださって。 私が警察に対してできる事は、さほど時間をかけずに終わった。 ◇ 「では、調書はまた後日作成いたしますので、ご体調が整いましたらご連絡ください」 「分かりました、色々とありがとうございます。……よろしくお願いします」 「はい、お任せください」 ではこれで、と柔らかな笑みを浮かべ、女性刑事が私と涼真さんが居る部屋を出て行った。 静かな部屋に、扉がぱたんと閉まる音が響く。 緊張していた体から、一気に力が抜けてしまって、私は隣に座っていた涼真さんにくったりと寄りかかった。 「大丈夫か、心?疲れただろう。もう数日くらい、ホテルで休んでいくか?」 私の体調を気遣ってくれた涼真さんが、そんな提案をしてくれる。 だけど、私は──。 「いいえ、帰りましょう……。私と涼真さんのお家に、帰りたいです……」 涼真さんのスーツの裾をきゅっと握り、私はそう言葉を零す。 しっかり休むなら、涼真さんのお家に帰りたい。 あの家は、涼真さんが私を助けてくれてからずっと過ごした場所だ。 私を暖かく迎え入れてくれたあの家で、ゆっくりと休みたい。 涼真さんは私の言葉に「分かった」と頷いてくれる。 もう、このホテルには両親も、間宮さんも持田さんも居ない。 警察も、あの3人を既に連行している。 これ以上このホテルに滞在する必要がもうないのだ。 それなら、私は涼真さんと安心できる家に帰りたい。 「車を回させるから、少し待っててくれ心」 「分かりました、涼真さん」 涼真さんは、私に軽く口付けると静かに立ち上がり、電話をかけにいった。
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287話

◇ 「ただいま」 「お帰りなさいませ!」 ぱたぱた、とリビングから駆けて来るお手伝いさんの姿を見て、私は涼真さんのお家に帰ってこれたんだ、と安心した。 「滝川さんに、加納さん。お食事は摂れそうですか?」 「──どうする、心?食べられそうか?」 「そう、ですね……」 お手伝いさんの言葉に、涼真さんが私の顔を覗き込みつつ聞いてくれる。 色々あって疲れたけど、長時間お腹に何も入れていない。 ほっとしたからだろうか、お腹が空いているような気がした私は、玄関から廊下に上がりつつお手伝いさんに「食べます」と答えようとした。 だけど──。 「──えっ、あれ……」 「心!」 かくん、と私の足からは力が抜けてしまって。 私の横にいた涼真さんが、咄嗟に私の体を支えてくれた。 「加納さん!?大丈夫ですか?」 「あ、あれ……おかしいな……足が……」 がくがくと震えていて、上手く力が入らない──。 どうして?さっきまでは普通に歩けていたのに──。 私が混乱していると、涼真さんが痛ましげな顔をして、そのまま私を抱き上げてくれた。 「──きゃあっ!」 「すまない、ご飯は俺の部屋に運んでもらってもいいか?心、俺の部屋で休もう」 「分かりました、すぐにお持ちしますね」 涼真さんはお手伝いさんにそう告げると、私を抱えたままリビングを通り過ぎ、階段を上がって行く。 リビングを通り過ぎた時に陸ちゃんと凛ちゃんが寂しそうに鳴いていたけど、心の中で「ごめんね」と謝る。 後で必ず一緒に遊んであげるから──。 そんな事を考えているうちに、涼真さんの部屋に着いた。 部屋に入った涼真さんは、そのまま真っ直ぐベッドに向かい、私をベッドに座らせてくれた。 「どうする、心。横になるか?」 「えっと……疲れてはいるんですけど……、でも眠くはなくて……」 「そうか……」 色々とあって、体は疲れているはずなのに全然眠くはない。 変に脳が覚醒してしまっているのかも……。 私がしゅん、と俯いていると涼真さんは私の隣に座り、そっと肩を抱き寄せてくれた。 「無理に休もうとはしなくていい。だが、少しは横になった方がいいと思うんだ。……眠らなくていいが、俺と一緒にベッドに横にならないか?」 「涼真さんと、一緒に……?」 「ああ。心の傍を離れないよ」 「ふふ……、凄
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288話

◇ 相当心労が溜まっていたのだろう。 心は、俺がコートを脱がす間も、ぼうっと俺の手を見つめているだけでなすがまま。 下着姿になっても恥じらうような素振りを見せず、ただただぼんやりとしていて。 心を着替えさせ、俺も着替えを済ますと心を抱きしめてそのままベッドに横になった。 すると、たいして時間も経たない内に心は俺の腕の中で寝息を立て始めた。 「──寝れた、のか?」 そっと腕の力を緩め、俺は心の顔を覗き込む。 すやすやと安心しきった表情で眠る心に、俺は自分の心臓がぎゅうっと締め付けられるような感覚を覚えた。 ──本当に、無事で良かった。 心がパーティー会場から姿を消した時。 生きた心地がしなかった。 どうして俺は心の傍を離れてしまったのか。 どうしてここは安全だと、慢心してしまったのか。 心との婚約パーティーを無事に迎える事が出来て、浮かれてしまっていたのかもしれない。 今でも瞼の裏に焼き付いている。 心に覆い被さる清水の姿。 あの場で、清水を亡き者にしてやろうと言う凶暴な感情が胸中に荒れ狂った。 黒瀬も、柳も。 心を苦しめる存在をこの世から消してしまえば。 一瞬だけそんな凶悪な思考に支配されたが、そんな事をしたら心を悲しませてしまう。 この世から消せないなら、社会的に抹殺してやる──。 幸い、心から教えてもらった情報で、その可能性は、十分にある。 絶対に許さない。 二度と心の前に現れる事が出来ないくらい、完膚なきまでに叩き潰してやる──。 そんな、仄暗い思考に陥り掛けた時。 ──コンコン と、部屋の扉がノックされた。 「──っ!」 俺ははっとして、扉に顔を向ける。 そうだ、さっきお手伝いさんに食事を持ってきてくれるように頼んだんだった。 俺は、心を起こしてしまわないよう細心の注意を払いつつ、そっとベッドから降りる。 「滝川さん」 「ああ、食事を運んでくれたんだな。ありがとう」 「いいえ、とんでもない。──加納さんは……」 食事を持ってきてくれたお手伝いさんが、食事の乗ったトレーを私ながら心の事を心配そうに聞いてくれる。 俺は微笑みつつ、お手伝いさんに答えた。 「ああ、今は眠っているよ」 「良かった……。滝川さんの傍で、安心してお休みになられたんですね、本当に良かったです」 「ありがとう…
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289話

温かな食事を全て平らげた頃。 俺のスマホが着信を知らせた。 かかってきた番号を確認した俺は、急いで電話に出た。 「──もしもし、お義父さん!」 電話の相手は、心のお父さんだった。 こんな時間に電話がかかってくるなんて、何かがあったのだろうか。 そんな不安が俺の胸にもやり、と込み上がる。 だが、知らされた内容に俺は目を見開いた──。 「──は……?清水が全て自供したんですか……?」 ◇ 「ん、んん……?」 ぼんやりとした思考が、次第にはっきりとしてくる。 私を温かく包んでくれているのは──。 涼真さん、だろうか。 私は無意識に目の前の温もりに擦り寄った。 びくり、と目の前の何かが跳ねたような気がしたけど、私は眠気の方が勝っていて。 すりすりと顔を擦り寄せていると、強い力で体が抱きしめられた。 「──勘弁してくれ、可愛い過ぎる……」 ぼそり、と頭上から涼真さんのとろり、と蜂蜜のような甘い声が聞こえた。 私の体を抱き込むようにして、更にきつく抱きしめられる。 すっぽりと私の体を覆うのは、涼真さんの体だったのだ、と分かるなり私は安心して再び微睡みの中に意識を落とした。 ◇ 「ふぁ……」 ふ、と意識が浮上して私は小さく欠伸をした。 私の体はぽかぽかとしていて、ぎゅうっと抱きしめられている安心感に私は目を開いた。 目を開いた先には──。 「──っ!」 涼真さんが規則正しい寝息を立てていて。 私はあまりにも近い距離にある涼真さんの顔に、ついつい声が出そうになってしまう。 すんでのところで声が出てしまうのを抑えると、そっと涼真さんの顔を窺う。 目の下には薄っすらと隈があるのが確認出来た。 (パーティー会場で、私を必死に探し回ってくれて……涼真さんだって疲れているはずなのに……、薬を盛られた私を……) そこまで考えていた私は、かあっと顔に熱が上がるのを感じる。 (あっ、あんな……はしたない……!) 涼真さんの顔を見た瞬間、それまで耐えていた体の熱が耐え難くなり、薬のせいだとは言え、はしたなく涼真さんを求めてしまった。 何度求めても、何度涼真さんの手や舌で高みに導かれても、その熱が収まる事はなくて。 結局、私は涼真さん自身を求めて──。 何度も何度も、涼真さんに抱かれた。 最初は涼真さんも我慢していたのだと
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290話

「──ん……?こころ……?起きたのか?」 とろん、と眠そうな涼真さんの声。 寝起きだからか、私の名前を呼ぶ声は甘くて低く掠れていて、とても色っぽい。 とろり、と甘やかに細められていた涼真さんが私の姿を探すように揺れて、私を見つけた瞬間に嬉しそうに細められた。 「おはよう、良く眠れたか?」 「は、はい。涼真さんも……?」 「ん、俺も……。こんなに寝るつもりはなかったんだけど」 いつも、私より早く起きてしゃきっとしている涼真さんを見る事の方が多かった。 だから、こんな風に眠気でとろりとしている涼真さんを見るのは珍しくて。 ふにゃり、とした涼真さんがとても可愛く見えてしまった。 ああ、とても幸せだ──。 私がふふ、と笑っていると、身動ぎした涼真さんが私に向かって手を伸ばした。 「心が笑っている……、幸せだ」 「──えっあっ」 まさか、涼真さんも同じ事を思ってくれていたなんて。 私がそう思った瞬間、後頭部を掴んだ涼真さんがぐっと私を引き寄せ、唇を塞がれた。 甘く、蕩けるようなキスをたっぷりと堪能した涼真さんは、酸欠で息が上がっている私をようやく離してくれた。 「すまない、心。大丈夫か?」 「──はっ、激しい、です……!」 「すまない、可愛すぎて」 涼真さんは楽しげに笑いながら私の顔のいたる所にキスを落としていく。 額や、瞼。 鼻先や頬。 そして、最後にもう1度唇にキスをしてくれた涼真さん。 何度も軽く触れ合うようなキスをして、そっと私から離れた涼真さんが、ベッドに起き上がった。 「さて、そろそろ起きるか」 そう言いながら涼真さんは私に手を差し出してくれて、私は涼真さんの手に自分の手を重ねた。 ◇ リビングに移動した私と涼真さん。 家の中はとても静かで。 陸ちゃんと凛ちゃんも今は眠っているようで、私たちが下に降りて来ても寝床から出てこない。 「涼真さん、持田さんと間宮さんは──」 「ああ、あの2人なら新居に行っているよ。家具の搬入をして、今日はそのままあっちに泊まるそうだ」 「えっ」 と言う事は、今日はこの家に涼真さんと2人っきり? 私がそんな事を思い、頬を染めていると涼真さんが冷蔵庫からお手伝いさんが作り置きしてくれていた夕食を取り出して、手際よく温めてくれる。 そんな涼真さんを手伝おうと、私もテー
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