All Chapters of 【麻雀女流名人伝】遅番女子のミズサキ: Chapter 51 - Chapter 52

52 Chapters

その6 第六話 マタイの戦略

51. 第六話 マタイの戦略  白ポッチ(永遠制)のルールが面白いとマタイさんが言うので、その時はマタイさんしかお客さんがいなかったのもあり、今夜は白ポッチ永遠制の三人麻雀であと一人来るまでの暇つぶしをすることにした。 「ルールはどうします?」「おれ、三人麻雀って全然知らなくて。三人麻雀の正式ルールを1から覚えるのは面倒だから普通の麻雀を三人でやる方式をとって欲しいな」「わかりました。それはありがたい申し出です。りょうちゃんも私も実を言うと三人麻雀には明るくないからその方がいいもんね」「そうね」  マンズの2〜8を抜くやら、最後まで取るやら、35000点スタートやらのルールは不採用とし、私たちは三人で四人麻雀をやった。 「ツモった時の点数はどうしよっか」「『損する』でいいんじゃない?」「分かりやすいからそれがいいか。じゃ、それで」  ────  私たちはいい勝負をした。実力で劣る涼子もこの日は勝負手がどんどん入る展開で強かった。 私とマタイさんは涼子の先制攻撃を受けつつの反撃をするパターンがほとんどだったが、私は反撃するのは得意な方だ。むしろ反撃する時こそ麻雀っていうか、戦ってるっていう実感が楽しいっていうか。そういうのわかる人もいるよね?  マタイさんは先制攻撃されるのは嫌らしく、本当に嫌そうにしてたけどそれでも要所要所でキチンと反撃を決めてた。  そしてたまに出る白ポッチツモ。これが楽しい。 もはやリーチをする大きな理由の一つとして(白ポッチがまだあるな)というのも含まれるような状態であった。それくらい、白ポッチでアガれるということはテンションが上がることなのだ。少なくとも私と涼子にとってはそうだった。  その私たちの心理状態をしっか
last updateLast Updated : 2025-11-09
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その6 第七話 押し引きとはリスペクトである

52. 第七話 押し引きとはリスペクトである  早遅切り替えの時間になりカー子とキュキュが出勤してきた。私は引き継ぎの時間の店内清掃をしていたので涼子が二人と話していた。と言ってもホウレンソウ(報連相)するような重要なことは起こっていないと思うけど。 「おはよ。今日どーだったー? 責任者としてなんか困ったことがあったとか、トラブルとか、連絡事項ありますカー?」「いやー、暇だったからトラブルとかはなかったよ」「そっカ……」「ただ、マコトとマタイさんの麻雀を見てて学んだことはあった。なんていうか、お互いに敬意を払った麻雀をしているな、という感想」「敬意?」「そう、敬意。つまりリスペクト。この相手だからこその選択というか、ここでのベストは数学的ベストとは違うというかね……言ってみれば『押し引きとはすなわち敬意』ということ。最適な敬意を込めた押し引きこそを最適解であるとし、数はその答えを出すためのひとつの情報に過ぎないということを二人の麻雀を見て気付かされたわ」  へぇ~。という顔をしたものの所詮は素人のカー子とキュキュにはその涼子の言う敬意を込めた押し引きとはなんなのかいまいちよく分かっていない様子だった。そう顔に書いてある。正直、私もへぇ~と思った。涼子、そんなこと思ってたんだ。 (二人ともわかりやすいな。顔に『わけわからん』って書いてあるよ)と思ったのか、涼子は二人にさらに説明をした。 「例えばこれは昨夜あったことなんだけど、マコトは赤伍使いのタンピン系大物手を張っていました。 ミズサキ手牌 ドラ7赤伍六七⑤⑥⑦4556688  こんな手。ちなみに親からリーチが入っており、マコトはテンパイ直前に親に4索を打たれてすり抜けられてます。  となるとこの手、
last updateLast Updated : 2025-11-10
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