明里は以前、潤と一緒にこうした公式の場に参加したことはほとんどなかった。数少ない参加の中で、優香と知り合ったのが唯一の収穫だったかもしれない。明里にとって、プロの手でメイクをし、髪をセットし、ドレスアップして出席するのは、これが初めてと言ってもいい経験だった。家以外では、潤は常に完璧なスーツ姿だ。だが今日の装いは、いつもの仕事用の堅苦しいスーツとは少し趣が違っていた。洗練されたデザインで、フォーマルでありながらファッショナブルな気品が漂っている。今日のチャリティーオークションは業界の重鎮が発起人であり、潤の出席は主にその顔を立てるためだったが、本音は明里を連れて歩きたかっただけだ。明里が付き合ってくれなければ、おそらく欠席していただろう。「宥希への誕生日プレゼントを選ぶ」というのは口実で、本当は明里に何か贈り物をしたいのだ。あの時のジュエリーの一件が、未だに心の棘として刺さったままだからだ。二人が会場に入った直後、潤のスマホが鳴った。無視するつもりだったが、画面に表示された名前を見て表情を変えた。彼は明里に言った。「ここで少し待っててくれ。電話に出てくる」明里は頷いた。潤は彼女に安心させるような笑みを向け、足早に静かな場所へと移動した。通話ボタンを押す。「河野さん」電話の主は、朱美だった。彼女はいきなり本題に入った。「アキと一緒にいるの?」「はい」その時、会場に残された明里は、一人佇んでいるだけで周囲の視線を独り占めしていた。彼女が身に纏ったドレスは、一見シンプルだが、極上の生地と仕立てが良く、控えめながらも隠しきれない高級感が漂っている。体に吸い付くようなシルエットは、彼女の完璧なプロポーションを際立たせ、時折のぞく素肌は白磁のように輝いている。ただそこに立っているだけで、スポットライトを浴びているかのような存在感を放ち、男性たちの熱い視線だけでなく、女性たちの羨望と嫉妬の眼差しをも集めていた。「どうしてあの女がここにいるわけ?」陽菜が隣にいる怜衣の腕を掴み、不快そうに眉をひそめた。怜衣も明里に目を留めた。元々、彼女は明里のことなど取るに足らない脇役、終わった女だと思っていた。多少顔が良くても、それがどうしたというのだ。美しい女など掃いて捨てるほどいる。
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