All Chapters of 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。第二章: Chapter 51 - Chapter 60

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49話 女子会で忘れた恋人の時間

「ですわね……本当の妹の様な感じですわね」 その言葉を聞いて、シャルロッテは、一瞬で表情を曇らせた。そして、何かを思い出すように、静かに話し始めた。 シャルロッテは、少しだけ顔を曇らせて、続けた。「でも、お姉様が怒ると、とても恐いのです……」 その言葉には、過去にミリアの怒りに触れた時の、具体的な恐怖が蘇っているようだった。「誰でも怒れば、恐いのではないのですか?」 ユリシスは、ミリアを庇うようにそう言った。彼女から見れば、ミリアはただの優雅で美しい女性にしか見えないのだ。「お姉様は、特別だと思いますけれど……」 シャルロッテは、ユリシスの言葉にも首を縦に振らなかった。「わたしより、普段は怒らないシャルロッテが怒った方が恐いと思いますけれど……?」 ミリアは、少しだけ照れたように微笑みながら、そう返した。その言葉に、シャルロッテはさらに拗ねたような表情を見せる。「わたしが、怒っても誰も恐がらないですよ?」 ミリアはそんな二人のやり取りを、どこか微笑ましそうに眺めていた。ユリシスは、その様子を見て、皆が噂する「恐ろしいミリア皇女殿下」とは違い、ただの普通の可愛い女の子だと感じていた。彼女の真の姿に触れたような気がして、ユリシスは心が温かくなるのを感じた。「では、明日の朝は早くから動いて下さいね。遅いと置いてきますわよ」 ミリアは、突然、表情をきりっと引き締め、王女としての顔に戻った。その声には、一切の迷いがない。「はぁい」 シャルロッテは、まだ少し不満そうにしながらも、元気よく返事をした。「かしこまりましたわ」 ユリシスもまた、その凛とした雰囲気に倣い、背筋を伸ばして応えた。 ミリアは二人の返事を聞くと、ようやく、自分が話に夢中になっていたことに気づいた。ユウヤとゆっくりできるはずの時間を、完全に忘れてしまっていたのだ。ハッと息をのむと、心臓がドクンと大
last updateLast Updated : 2025-11-09
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50話 「ユウヤ様がいない人生」という覚悟

 そんな穏やかな時間の中、玄関の扉が勢いよく開く音が響き、廊下を駆ける軽快な足音が聞こえてきた。「ただいま戻りましたぁ~♪」 リビングの扉が勢いよく開くと、満面の笑みを浮かべたシャルロッテが、元気良く飛び込んできた。その顔は、まるで太陽のように明るい。「その表情だと許可を貰えたようですわね」 ミリアは、そんなシャルロッテの顔を見て、安心したように微笑みながら言った。 シャルロッテは、胸を張って、元気良く返事を返した。「はいっ。当然ですわっ」「では、最後に、ご自分でユウヤ様の許可をお取りになって下さい」 ミリアにそう促されると、シャルロッテは、くるりとユウヤの方を向いた。「はぁい♪ ユウヤ様~、同行をしても宜しいですか?」 シャルロッテは、少しだけ小首を傾げ、甘えるようにユウヤを見つめた。「国王様の許可を取ったんだよね? それにミリアも知ってるみたいだし、だったら良いんじゃないの?」 ユウヤは、事態を深く考えてはいなかったが、二人の了承があるなら問題ないだろうと判断し、快諾した。「わぁ~い♪ ありがとうございます」 シャルロッテは、子供のように両手を上げて喜び、リビングの空気を一気に明るくした。「では、準備が出来ましたら出発をしましょうか」 ミリアは、落ち着いた声で、皆にそう告げた。「はぁい♪」「はい」 シャルロッテとユリシスが、それぞれ元気な声と丁寧な声で返事をした。皆の準備が思ったより早く整ったため、一行は予定より早く、ユリシスの故郷へ向けて出発した。 三台の馬車が、数十騎の騎馬護衛と、それに続く数十騎の騎乗騎士に囲まれ、大規模な隊列を組んで進んでいく。その圧倒的な存在感とは裏腹に、俺が乗った馬車の内部は、二人きりの穏やかな空気に満ちていた。 仲直りしたばかりのミリアの膝枕で横になった俺の髪を、彼女の細く白い指が、ゆっくりと優しく梳いていた。馬車の規則的な揺れと、膝の温かさが、心地よかった。「ユウヤ様と久し振りに
last updateLast Updated : 2025-11-10
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51話 久しぶりの抱擁と安堵の香り

「……意思が、ありますから勇気を出してキスをして欲しいと言ったのですわよ……」 その声は、恥じらいと真剣さが入り混じり、か細く震えていた。ミリアは、潤んだ瞳で俺を見上げている。「あ、そうか……だよな。分かった」 俺は、ミリアの真摯な想いに触れ、ゆっくりと体を起こした。膝から頭を離すと、背中まで届く淡いサラサラの金髪が、滑り落ちるように肩を伝った。その髪から、彼女の甘い香りがふわりと漂ってくる。狭い馬車の中で、二人の顔がゆっくりと近づいていく。互いの吐息が、温かい空気となって頬にかかる。 向かい合ったミリアの瞳は、まるで宝石のように美しい青色で、期待と不安で大きく揺れながらも、じっと俺を見つめ返していた。その瞳の輝きに、俺は思わず見惚れてしまう。 ぷるんとしたミリアの唇に、俺の唇が優しく触れた。全身をビクッと震わせたミリアは、驚きと喜びが混じった、甘い吐息を漏らした。その唇から、微かな甘い香りがした。俺の唇に触れた彼女の唇は、柔らかく、温かかった。キスを終え、顔を離すと、ミリアは美しい青い瞳を大きく見開き、頬をさらに赤く染めていた。その可愛らしい反応に、俺の胸は高鳴るのだった。 キスを終え、顔を離すと、ミリアは潤んだ美しい青い瞳で俺を見つめながら、甘い吐息を漏らした。「んっ、ん……っ、はうぅ……♡ んんっ……♡ ぷはぁ~♡」 その吐息は、熱を帯びていた。ミリアは、恥ずかしさからか、震える手で顔を覆い隠した。「これで良いか?」「……は、はい……♡ じゅ、十分……満足ですわっ♡」 ミリアは、顔を覆った手の隙間から、上目遣いで俺を見つめてくる。その仕草の可愛らしさに、俺は胸の奥がキュンと鳴った。俺の心臓は、まだドクンドクンと激しい音を立てていた。 再びミリアに膝枕をしてもらい横になると、彼女は震える手で、俺の淡いサラサラの金髪を優し
last updateLast Updated : 2025-11-11
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52話 イケメン王子の正体と執事の誘導

(冒険者は何をしてるんだ? これじゃ商人が安全に商売ができなくて、他の王国からの物流が止まるんじゃないのか?) そんなことを考えていると、ライナー王国の領地に入った途端、モンスターの姿は一切見えなくなった。馬車の中で、ユウヤはホッと息をつく。移動中は色々とミリアと再確認できたし、頬を寄せ合ったりして癒やされた。その思い出が、彼の心を穏やかに満たしていた。 着いた場所はまた王城だった。馬車を降りて見上げると、その巨大な城壁にため息が出る。(まあそんな気はしてたけどね……。王城とミリアの屋敷以外に行く場所って、ほとんどないよな)「また王城なんだ?」「はい。大事な用がありまして……」 中から貴族風とはまた違った、煌びやかな服を身につけた、絵に描いたようなイケメンの男が優雅な足取りで現れた。歳の頃は、ユウヤより少し上くらいだろうか。「これはミリア様、お久しぶりです」 男はミリアに近づき、その端正な顔に甘い笑みを浮かべた。「そうですわね……」「相変わらずお美しいですね」 ミリアは、気まずそうにチラッチラッとユウヤの方を見てくる。ユウヤは、そんなミリアを気にするまいと努めていたが、内心ではイラッとしていた。ミリアにヤキモチを妬いたわけではない。ただ、目の前のイケメン王子がミリアに馴れ馴れしいのが気に食わなかった。なんだかチャラい感じだ。ウザい。ミリアも不快そうな顔をしている。「そんなお世辞は要りませんわよ」 ミリアが冷たくあしらうと、イケメン王子は全くめげることなく、柔らかい笑みを浮かべたまま言葉を続ける。「立ち話しでは失礼なので、お部屋にご案内を致します」(なんだコイツは……やけに親しげな感じだな……) ユウヤは、もし馬車での出来事がなければ、また暴走していたかもしれないと内心で苦笑する。いや、さすがにそれは無いか。 シャルとユリも到着すると、イケメンは顔を輝かせ、
last updateLast Updated : 2025-11-12
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53話 王子の悪びれない告白

「そう怒らずにお願いしますよ。可愛い顔が台無しですよ、ミリア様」 イケメン王子は、ミリアが皇女であるにもかかわらず、全く恐れる様子がない。自分に絶対の自信があるのか、それとも元来こういう性格なのか……。ユリシスとシャルロッテは、そのただならぬ空気に緊張して、二人のやり取りを見ていた。「不愉快ですわっ!」 ミリアが、怒りに満ちた目で睨みつけるが、イケメン王子は平然としていた。それどころか、その平然とした態度に、見ていたシャルロッテとユリシスの方が、ミリアの反応と表情を見て怯えていた。ユリシスは、昨夜と全く雰囲気の違うミリアに怯えていた。昨夜シャルロッテに怒っていた雰囲気とは、まるで別物だったのだ。 平然とした感じで、空気を読めないのか、レスニー王子が口説くような口調でミリアに語りかけた。「おもてなしが、気に入りませんでしたか?」 ムッとした表情で、ミリアはまっすぐにレスニー王子を見つめて答える。「ええ。食事をしに来たのではなく、注意をしに来たのですわ! 貴方が気に入ったからといって手段を選ばずに手に入れる行為は、王族として恥ずかしいですわよ!」 ミリアは、イケメン王子の情報を事前に掴んでいた。気に入った物や女性を、権力、武力、財力を使って好き勝手に手に入れていると報告を受けていたのだ。「私は恥ずかしい行為だとは思っていません。気に入った物を手に入れるために努力し、知力、己の財力、武力、権力等の力をフルに使い手に入れることのどこが恥ずかしいのでしょうか?」 レスニー王子は、まるで格好良いことを言っているかのように胸を張る。だが、その言葉はすべて、親の権力、財力、武力に頼っているだけだ。知力、努力というのは、しつこく求婚を続けているというだけで、一方的な思いだと気付いていない。相手が断っているのを無視して、全く聞いていない一方的な思いを押し付けているだけなのだ。「それが女性だとしてもですか?」 ミリアは、鋭い視線を向けた。その青い瞳は、氷のように冷たくレスニーを射抜く。「はい。問題ありますか?」 レスニー王子は、悪びれ
last updateLast Updated : 2025-11-13
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54話 宣戦布告と王国の終焉

 ミリアの雰囲気が、今までは少し怒っていて平然と冷静に対応をしていた感じだったが、今は、ユウヤが監禁されている不安と、早く助けなければと焦り、それに対する怒りが混ざった表情になっていた。「貴方……何をしたのか理解していますの?」 また怒ったミリアの表情を見ても、レスニーが平然とした態度で答えた。「どうせ、そちらの二人の王女の婚約者候補じゃないのかな? 余計な婚約者候補に居られると迷惑ですし楽しい食事と会話の邪魔ですし、見るのも不愉快ですので別室でおもてなしをさせて頂いてます。私がお二人の王女の正当な婚約者になるんで、そんな不要な婚約者候補は必要ないのでご退場いただきました」「違いますわ……わたしの婚約者ですわよ」 ミリアは、怒りに震える声で言い放つ。「はぁ? あんな男がですか? 皇女である貴方が、あのような男をお選びに?」 レスニーがバカにした様な笑みを浮かべて言うと、ミリアが怒った表情で護衛に指示を出す。ミリアの表情で察した護衛達がレスニー王子を捕らえ、もう一人の護衛がミリアから手紙を数枚受け取り、外へ走って部屋を出て行った。「この王国の第一王子の私に、この様な無礼な事をしてただで済むと思うなよ!」 レスニーは、捕らえられながらも叫んだ。「何を勘違いをしているのか知りませんが……貴方は、もう王子ではありませんわよ」 ミリアは、冷たい声で静かに言い放った。ミリアは、皇女の婚約者誘拐と、他国の王女の誘拐と監禁の罪でレスニーを罪人として捕らえた。国王もそれを加担している可能性があり、また阻止できなかった罪がある。場合によっては、国王の座を剥奪することも考えていた。「お前こそ何を勘違いをしているんだ? 私の父は国王だぞ!? 最強の国王なんだぞ!? しかも帝国の支配国の王国で一番の軍事力を持つんだぞ! 分かっているのか!?」「ですから何ですの?」 ミリアが平然とし冷たい目でレスニーを見つめて答えた。「だから帝国の支配国の王国で一番の軍事力を持っている
last updateLast Updated : 2025-11-14
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55話 国王の登場と次期皇帝宣言

 その時、ミリアの護衛が慌てて出ていった開いた扉から、国王が入ってきた。彼は呆然と、捕らえられている息子を黙って見つめていた。「貴様ら! 頭は大丈夫か? 私の恋人にしてやると言っているのだぞ? 次期国王で、そのうち皇帝になる男なんだぞ!?」 今度はレスニーが、自分が次期皇帝になると宣言をしてしまった。レスニーは継承権がないので……これは、彼自身が自ら皇女に向かい、堂々と皇帝への宣戦布告をしたことになる。「バカ者! 皇女殿下の前で、なんて事を言っているのだ! 私達を路頭に迷わせる気なのか!」 国王は、顔を青褪めさせて息子を怒鳴りつけた。その声には、息子に対する怒りというよりも、自分の王国がどうなるかという恐怖がにじんでいた。「父からも言ってやって下さい。父が怒れば帝国を乗っ取れると!」「……お前……何を言っているのだ? ミリア皇女殿下の前だぞ?」 国王は、さらに顔色を悪くした。そして、近くにいた護衛の兵士から剣を抜き、息子のレスニー王子の首に剣を振り下ろそうとした。その腕は小刻みに震えている。だが、レスニーを捕らえていたミリアの護衛が、国王の斬りつけた剣を軽々と防いだ。実の父親に斬りつけられショックで放心状態となったレスニー王子は、床に座り込んだ。その目は虚ろで、まるで魂が抜けたかのようだった。 だが、悲鳴や憐れむ声は、この部屋にはなかった。何より、口にしてはいけない言葉を散々口に出していた時点で、処刑は免れられなかった。その前に厳しい取り調べで拷問があるので、父として楽に死なせてあげただけに見えるし、息子であるレスニーが余計なことを言って自分たちが巻き込まれるので、口封じのためだとも見えた。だが、それも失敗に終わり、国王も顔色が青褪め、その場に座り込みミリアを見つめた。「謀反の罪の大罪人を処刑をしようと致しました……」 国王は、自分から言い訳を言ってきた。その声は上ずり、ミリアの顔を伺うように視線を泳がせていた。「息子を斬り殺して、それだけで済むと思っているのかしら? お父様へ
last updateLast Updated : 2025-11-15
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56話 王女たちの震える畏怖

 レスニーは、ミリアと取引をして、今城にいる兵を総動員して隣の王国のミレーナ王国へ逃げようとしていた。ユリシスは、ミリアがいるから怖くて本当のことを言えずにいて、本当は自分のことを好きでいると勘違いをしていた。逃げて助けを求めれば軍事力最強の王国の王子でもあるし、娘が惚れている王子である自分がお願いをすれば、国王のシュリンツ国王も理解して助けてくれると本気で思っていたが、その頼りにしようと思っていたミレーナ王国からも、ミレーナ王国の旗を掲げた兵の援軍が来ていた。 外を見てレスニーが座り込んだのが見え、外が騒がしいのでシャルロッテとユリシスが不思議に思い、二人で窓の外を覗くと、王城を大勢の武装した兵士が取り囲んでいるのが見えて、二人も驚いて顔が青褪めた。血の気が引いていくのが分かるほどだった。「お姉様……を怒らせると、やっぱり恐いですわね……」 シャルロッテが、か細い声で呟く。「えっと……怒らせるという、恐さの次元の違いを改めて実感いたしました……」 ユリシスは、引きつった笑みを浮かべた。「昨夜はミリア様のことを、皆様が大げさに恐いと言ってるだけかと思っていました……」 ユリシスは昨夜は、ミリアのことを普通の可愛らしい女の子だと思っていて、もしかしたら仲の良い友達になれるかもと思っていたが、やはり自分とは次元が違いすぎると実感した。隣の隣の王国で距離が離れていたが、シャルロッテの王国も援軍を出していて、国王がユウヤとミリアに忠誠を見せる機会だと直接命令を出し、速度の出る騎馬隊を五百も援軍に出し、すでに到着していた。隣のアルム王国からも騎馬隊、歩兵を五百以上の援軍を出してきていた。 この状況だと、帝国の支配国に逃げるのは不可能だった。支配国から逃げるとなると、周りには友好国はないし、交流をしている王国もなかったので、諦めるしかなかった。「それにお父様には、まだ伝えておりませんので……」 ミリアは、嘲笑うように静かに言葉を続けた。
last updateLast Updated : 2025-11-16
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57話 鍵の行方と一刀両断の鉄格子

(ん? なんだ!? 何事だ?) ユウヤは、牢屋の鉄格子に耳をつけ、外の音に耳を澄ませた。 大勢の闘気と気配がするけど……何かのイベントか? お祭り? それにしては女性や子供の声や気配がしないな。それに闘気を感じるから、軍事演習か? 格闘技のイベントか? ミリアの大事な用って、この雰囲気だと軍事演習のことだったのか。軍の現状や指揮とか、ミリアや皇帝も把握してないといけないだろうしな……。軍事力が高すぎれば調整をしないとだろうし……弱すぎても調整をしないと、そこから崩されるからな。で、部外者の俺を隔離したのか。なるほどな~。 それにしても……牢屋って暇だよな~。さっきのメイドさんがいてくれればなぁ~って……ミリアが迎えに来た時がヤバイな。贅沢は言わないから執事のオッサンでも良いから話し相手が欲しいな。見張りもいないんだよな……俺は罪人じゃないから見張りが付いていないのかな? ユウヤは、そんなことを考えながら過ごし、しばらくすると、バタバタ……と十人くらい走ってくる音が近付いてくるとドアが勢いよく開けられた。武装をした兵士と護衛が入ってきたので、顔を知っていたミリアの護衛に話しかけた。「おっ! やっと演習は終わったのか?」 俺は、牢屋の鉄格子を掴み、軽く身を乗り出して尋ねた。「え? 演習ですか?」 護衛はキョトンとした表情になり、俺の問いに答えずに鍵を探しに行ってしまった。その顔には、俺の言葉が全く理解できないといった困惑が浮かんでいる。その直後、ミリアも慌てて走ってきた。その顔には、安堵と焦りが入り混じっていた。青く透き通った瞳が、俺の姿を捉えて、ほっとしたように細められた。「なんだよ、慌てちゃって。そんなに俺に会いたかったのか?」 ユウヤが軽い調子で言うと、ミリアは頬を膨らませ、少し涙ぐんだ。「な、何を言っているのですか! もぉ! 心配を掛けないで下さい!」 ミリアは震える声で抗議
last updateLast Updated : 2025-11-17
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58話 皇女の頭を撫でる男

「軍事演習じゃ無かったら外の兵は何なんだ?」 俺は、牢屋の外から聞こえる騒音について尋ねた。「見ていないのに、兵士だとお分かりになられるのですか?」 不思議そうな表情をして首を傾げ、ミリアが聞いてきた。その青く透き通った瞳は、俺の持つ情報に疑問を抱いている。「そりゃ……軍人ぽい男の声と防具の音に馬の鳴き声がすれば大量の兵士だろ?軍事演習か戦争か大規模な反乱でも?」 俺は、聴覚で捉えた情報から、可能性のある状況を冷静に分析して伝えた。 王城の周りが騒がしいんだから、だいたい想像がつく。イベント事だったら楽しそうな雰囲気だし、今回は楽しそうな雰囲気はない。そうなると、兵士が集まってるか暴動で民衆が集まってるくらいだろう。暴動だったら城内がもっと騒がしくなるだろうし、外も騒がしく怒鳴り声が聞こえるだろうし……あとは兵士が集まっているんだろ?静かに大勢集まっていて馬もいるとなれば、兵士の集まりだ。「えっと……最後に言われた反乱に近いですわね……」 ミリアは、複雑な表情でそう認めた。「そっかぁ……役に立てなくて悪かったな」 俺は、何故か牢屋で寝ていただけの状況に、申し訳ない気持ちを抱いた。「大丈夫ですわ……武力の衝突はありませんでしたし」 ミリアが、ユウヤに抱きついてきた。その小さな体が、ユウヤの胸にすり寄る。青く透き通った瞳は、俺の無事を確かめるように見つめていた。彼女の安堵した吐息が、俺の服の上から伝わってきた。「ううぅ……本当に心配しましたわ……」 抱きついてきたミリアの頭を、ユウヤは優しく撫でた。柔らかな金色の髪の感触が指先に心地よい。ユウヤもまた、ミリアの小さな体をしっかりと抱きしめた。彼女の震えが少しずつ収まっていくのを感じる。ミリアの甘い香りが、ユウヤの鼻腔をくすぐる。「それで用事は済んだの?」
last updateLast Updated : 2025-11-18
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