All Chapters of 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。第二章: Chapter 71 - Chapter 80

92 Chapters

69話 ギルド内の抜剣と五本の白銀の剣

「おい! 聞いてるのか……コラッ!」 男は、護衛を突き飛ばそうと大きな手で肩を押した。ドスンという鈍い音が響いた。だが、護衛はびくともせずに、逆に男が力負けをしてよろめいた。その事実に男の表情は屈辱的な怒りに満ちてきた。護衛対象を護衛する者が騒ぎを起こすわけにはいかないので、絡まれても無視が基本だった。護衛の冷静さとプロ意識が、その動きから感じ取れた。(あ、ヤバイ。これ、早く手続きを終わらせないと騒ぎになるじゃん……) ユウヤは、内心で焦った。後ろのゴツイ冒険者の殺気立った視線が、背中に突き刺さるのを感じた。(えっと、階級章って、このネックレスのタグだっけか……どれだよ!?) ユウヤは、いたる王国で国王やギルドから色々渡されていた。首から下げたいくつもの装飾品の中から、どれが階級章なのか判別がつかなかった。「階級章って、このタグだっけ?」 ユウヤが、首から下げているタグを指差して尋ねると、受付嬢は信じられないものを見たかのように目を丸くした。その瞳は、タグに刻まれた印を捉えて離さない。「は? ……え? ……は、はい……た、確かに確認を致しました……SSS級でしたら……問題ありません。依頼の受付を完了致しました……お気を付けて……」 受付嬢の声は震えていた。彼女は、最高位の冒険者を目の前にして、完全に恐縮していた。「あ、ありがと」 ユウヤは、ホッとしたように受付嬢に礼を言った。護衛が絡まれていたので、さっさと連れてギルドを出ようとして護衛に声を掛けた。「依頼を受けれたから出ようか」 その時、後ろから怒声が飛んできた。「お前がコイツらのリーダーか? おい! 随分と無礼な手下をたくさん連れてるじゃね~かよ……お前も無視かコラッ!」
last updateLast Updated : 2025-12-04
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70話 警備兵の介入と皇帝の紋章

「クソっ! こいつら……マジで斬りつけやがったな! これは、重罪だぞ!! くそガキっ! お前の手下なんだろが! お前のせいで斬られたんだぞ! これは、どう責任を取ってくれるんだ? これで俺は、依頼を受けられなくなったぞ! 俺様が動けるまでの生活の保証を、お前にしてもらうからな!」 男は、斬りつけられた足を押さえながら、血の気を失った顔でユウヤに怒鳴りつけた。地面に広がる鮮血と、彼の顔に浮かぶ痛みと怒りが、ギルド内の異様な雰囲気をさらに助長していた。男の歪んだ表情には、怪我の苦痛と金銭を要求する強欲さが混ざり合っていた。(うわ……。これじゃ、クレーマーというか当たり屋じゃん……! 俺のせいで斬られたって、ただお前が絡んできた結果じゃん? 突き飛ばそうとするし、蹴ろうとしたからだろ……自業自得だろ) ユウヤは、その理不尽さに心底呆れた。地面に倒れ、血を流しながらもなお責任転嫁と金銭要求をする男の浅ましさに、ユウヤの表情は冷めたものになった。「お前達、何をしている! 町の中での抜剣は禁止されているぞ! コイツらを捕らえろ!」 警備兵の隊長らしき男が、鉄の鎧を軋ませながら、厳しい声で命じた。その目には、秩序を乱した者への明確な怒りが宿っていた。「それは許可できない!」 護衛の一人が、冷静な声で隊長の命令を拒否した。彼は懐から、黄金に輝く皇帝の紋章入りの札を素早く見せつけた。その紋章は、この王国の権力をも凌駕する帝国の威厳を静かに示していた。 隊長は、それを疑いの眼差しで見てきた。彼の顔には、困惑と警戒が入り混じっている。「皇帝陛下の一族が来る事は何も聞いてはいないぞ? もし本当なら、屋敷の周辺の警護等の命令が出ているはずだぞ!」 隊長は、情報統制の不備を指摘し、この事態の異常性を訴えた。ギルド内にいる全員が、事態の大きさに息を呑んだ。「不敬だぞ! こちらはユテーリア王国のユウヤ王子だぞ」 護衛が、隊長を咎めるように言った。その声には、護衛対象を侮辱されたことへの怒りと、
last updateLast Updated : 2025-12-05
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71話 国王の依頼と兵士の青褪めた恐怖

「ユリシス王女殿下も、ご帰還されたのですか?」 隊長は、更なる驚きに目を丸くし、信じられないという顔で尋ねた。彼の頭の中の情報が完全に更新されていくのが見て取れた。「うん。城に戻ってるよ」 ユウヤは、簡潔に答えた。その一言が、隊長の確信へと繋がった。「国王の依頼のモンスターを早く討伐に行きたいんだけど……なんなら兵士の人も一緒に来る?」 ユウヤが、にこやかに尋ねると、隊長は困惑した。目の前の巨大な権威と、突発的な事件の処理、そして危険な任務への参加という選択肢に、頭が追いつかない様子だった。「国王陛下の直々のご依頼の、モンスターの討伐ですか?」 隊長は、半信半疑の表情で聞き返した。「あぁ、なんか大きな犬のモンスターの討伐らしいよ。このモンスターの討伐依頼を受けたんだけどさ」 ユウヤが、受付嬢から受け取った依頼書を隊長に見せると、隊長の後ろに控えていた一人の兵士が青褪めた。その兵士は、討伐に参加した経験があるらしく、その時の恐怖を思い出して体が小刻みに震えていた。その兵士の極度の動揺が、依頼の尋常ではない危険性を雄弁に物語っていた。「え……犬ですか? 犬呼ばわりするような……モンスターでは……。いや……遠慮しておきます……どうぞ……討伐に行かれて下さい……冒険者証の確認が出来ているので身元も分かっていますので……」 隊長は、青褪めた兵士の震えを見て、即座に危険を察知した。彼は、先ほどまでユウヤを捕縛しようとしていた態度を一変させ、丁重に辞退した。ユウヤの持つSSSランクの証と、国王の紋章、そして皇女直属の護衛という事実は、彼にとって逆らえない決定的な証拠となった。彼の言葉の端々には、一刻も早くこの場を収めたいという切実な思いが滲んでいた。 ユウヤは、販売用の治癒薬を一つ取り出し、倒れているゴツイ男に渡した。薬液の入った小さなガ
last updateLast Updated : 2025-12-06
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72話 ストレス発散と護衛たちの恐怖

「あぁ。もう良いよ。許す、許す。それで、冒険者をしているんだよね?」 ユウヤは、肩の力を抜いたようにそう尋ねた。「は、はい……冒険者をさせて頂いております……」 男は、許されたことに安堵しつつも、未だ緊張が解けない様子で答えた。 ユウヤは、男に依頼書を見せて聞いた。「このモンスターの潜んでいそうな場所を知ってる?」 冒険者の男の表情が変わり、驚いた顔で聞き返してきた。その顔には、恐怖と困惑が浮かんでいた。「え? こ、このモンスターを討伐に行かれるのですか?」 男は、ユウヤの無謀な挑戦を信じられないといった様子で、思わず声が上ずった。「そうだけど……詳しい出現する場所を知らなくてさ。だいたいの場所とか……」 ユウヤが尋ねると、さっきまで絡んで来ていた男は、一転して心配そうな顔をして止めてきた。その顔は、ユウヤの身を案じているように見えた。「止めておいた方が宜しいかと……冒険者を大量にパーティの編成をして討伐へ向かい、逆に編成をしたパーティを軽々と壊滅させたモンスターでして……6人編成のパーティですと即時に壊滅すると思います……。1体に、6人編成のパーティを3から5組は、必要かと……それでも、ムリかと思います」 男の言葉には、討伐隊壊滅という恐ろしい記憶からくる真剣な恐怖が滲んでいた。「え? 6人? ……あ、この5人は……俺の見張りだよ。冒険者じゃないし、戦いには参加はしないよ?」 ユウヤは、誤解を解こうと、自分の後ろに控える護衛たちを指差して説明した。「はい? では、お一人で単独で討伐に?」 男は、耳を疑うような表情で聞き返した。彼の顔には、信じがたい事実への戸惑いが明確に浮かんでいた。「そうなんだけど…&
last updateLast Updated : 2025-12-07
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73話 ストレス発散のための剣の木刀化

「は、はい……ご武運を……」 護衛たちは、震える声で返事をした。彼らの顔は、不安と恐怖に満ちていたが、ユウヤの命令には従うしかなかった。それにムリをして加勢をすれば助けになるどころか、逆に足手まといになってしまい迷惑を掛けてしまうと、護衛たちは悔しそうに手を強く握りしめていた。「ありがと」 ユウヤは、一人で森の奥へと一歩踏み出した。周囲の木々が影を落とし、急に冷たい空気が肌を撫でる。彼は、腰に帯びた剣の柄に手をかけ、討伐の準備を完了した。(さて……どうせなら2、30頭くらい出てこないかな……まぁ、そんなにいたら、町が壊滅してるか……) ユウヤは、森の奥へ進みながら、内心で期待と現実を秤にかけていた。彼の闘争心は、単調な日常から解放され、高鳴っていた。(気配からすると、8頭くらいかな?) ユウヤは、卓越した五感で正確な数を推測した。腐肉と獣の強い体臭が混ざり合った臭いが、鼻腔を刺激してきた。その刺激的な臭いは、獲物がすぐ近くにいることを明確に伝えてきた。ユウヤは、剣の柄を握る手に力を込め、音を立てないように慎重に、気配のする方へと進んでいった。(おぉ……知能が良いのか? これって……囲まれてるっぽいね。これじゃ冒険者や、王国軍が壊滅させられたっていうのが理解できるね~) ユウヤは、生い茂る木々の間から差し込むわずかな光の中で、自分の置かれた状況を冷静に分析した。四方八方から集中する殺気が、彼の肌を粟立たせる。 背後から強烈な殺気を感じ、反射的に抜剣をして振り向き、剣を振るうと、鋭い銀の軌跡が描かれた。剣が犬のモンスターの顔面を豆腐を切るように軽々とスパッと音もなく斬り裂き、その巨大な体は崩れるように動かなくなった。鮮やかな赤が、森の薄暗い地面に広がった。(あ、一振りで終わらせちゃったよ……硬い外皮があるわけじゃないから簡単に斬れちゃうのか……
last updateLast Updated : 2025-12-08
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74話 討伐完了の報告とギルドの困惑

 そこそこストレスの発散が出来たかな~。 ユウヤは、一瞬で終わってしまった戦闘に、満足とは言えない程度の達成感を覚えた。森の中の獣の血の匂いと、わずかな喧騒を後に、さて、帰るか。 森を抜けて護衛たちと合流すると、彼らは青褪めた顔でユウヤに駆け寄り、口々に心配の言葉を投げかけた。彼らは、森から聞こえてきた異様な音に、極度の不安を感じていたのだ。「何処か負傷をされたのですか……? 早く治癒薬で治癒をなさって下さい!」 護衛たちは、ユウヤの服についた赤黒い返り血を見て、顔色をさらに悪くした。その血が、モンスターのものであるとは、想像もしていなかった。「ん? あ……大丈夫だって、俺の血じゃないからさ。討伐も終わったよ」 ユウヤは、平然と自分の服についた血を払いながら答えた。その余裕綽々とした態度が、護衛たちの不安を煽った。「え? ……えっと……あ、群れに遭遇されなかったのですか? 低級のモンスターの群れを討伐された時の返り血ですか?」 護衛は、ユウヤの言葉の意味が理解できず、困惑した顔で尋ねた。彼らの知るあのモンスターは、一頭でも壊滅的な脅威なのだ。「討伐対象の8頭は討伐出来たんだけど……もっといるのかな?」 ユウヤは、わずかな物足りなさを感じて、そう尋ねた。「8頭ですか? それ以上の群れはいないと思います……それ以上、いましたら町が壊滅されています」 護衛は、冷や汗を拭いながら、確信を持って答えた。その言葉には、彼らの長年の経験と、モンスターへの恐れが込められていた。「そうかな……雑魚だったけどな……。じゃあ~ギルドに寄って帰ろっか~」 ユウヤは、軽く肩をすくめてそう言った。彼の心の中では、強大なはずのモンスターが、あまりにもあっさり片付いたことへの釈然としない気持ちが残っていた。「は、はい…&h
last updateLast Updated : 2025-12-09
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75話 ギルド入口に積まれたモンスターの山

 依頼書には、見えない仕組みで討伐データが記録されていたのだ。彼は、A級からSS級という危険極まりない群れを単独で討伐したユウヤを前に、敬意の念を抱いていた。「近い内に挨拶に行くからって、伝えておいてくれると嬉しいかな」 ユウヤは、次の行動をギルドマスターに託すように告げた。「はい?」 ギルドマスターが、突然の申し出に驚いた表情で聞き返してきた。「あ……この方は……ユテーリア王国のユウヤ王子様です」 護衛が、ギルドマスターに周囲に聞こえないように小声で耳打ちした。ギルドマスターの顔には、「なぜ今になって言うのか」という戸惑いが浮かんでいた。「え? あ……失礼致しました……お伝え致します」 ギルドマスターは、驚愕のあまり、反射的に慌てて頭を下げた。彼の顔には、王族に対する不手際への焦りと、最高ランクの冒険者が王子であったという事実に、衝撃を受けた様子が浮かんでいた。「外に討伐証明が必要だと思って、モンスターを持ってきたんだけど……必要無いなら悪いけど処分頼めるかな……?」 討伐の証明に必要だと思って外に出しておいたんだけど……嫌がらせになってるよね、たぶん……。 ユウヤの視線の先には、回収してきた八頭のモンスターの残骸が、ギルドの入口付近に無造作に置かれていた。「いえ、Aランク以上のモンスターは解体すると稀に魔石が取れる事がありますので、ご一緒にご確認を……」 ギルドマスターが、青ざめた顔でそう言った。彼の声は、外の喧騒に打ち消されそうだった。さっきほどから外で甲高い悲鳴やざわめきが聞こえていたが、ユウヤは気にしなかった。(だって、ここは冒険者ギルドだろ? 来るのは冒険者だし……モンスターを見たくらいで騒ぐなよ……まったく…&
last updateLast Updated : 2025-12-10
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76話 A級からSS級の魔石の価値

 さっそく大仕事だとギルドマスターが的確に職員に指示を出し、モンスターの解体が始まった。職員たちは、恐怖を押し殺し、手際よく巨大なモンスターの体に刃を入れていく。 順調に魔石の回収をしてくれると、Aランクのモンスターからも野球ボール大の魔石が出てきて、Sランクのモンスターからはバレーボール大の大きさの魔石が出てきて、SSランクのモンスターからは、Sランクより少し大き目で、色と形状が変わっていて、美しいキラキラと光りを放つ感じの魔石が出てきた。その光は、森の奥から持ち込まれた、計り知れない価値を静かに示していた。 取り出された魔石を、ユウヤは興味深げに見つめていた。その時、受付嬢がおそるおそるといった様子で話しかけてきた。「買い取りで宜しいでしょうか……?」「あ、はい……お願いします」 ユウヤは、頷いて了承した。「これだけの大きさですと……Aクラスの魔石で金貨3枚でいかがでしょう?」 彼女は、少し緊張した面持ちでユウヤに尋ねた。これほどの巨大な魔石の買い取りは、彼女にとっても経験のないことなのだろう。「あ、うん。問題ないよ」「では、金貨12枚ですね」 彼女は、Aクラスの魔石の数と単価を素早く計算した。 ん? 12枚? 魔石1個で金貨3枚? おおぉ! 本当に高値で取引をされてるんだな……。 ユウヤは、魔石の持つ経済的価値に改めて驚いた。たった一つの石ころが、これほどの金貨に換わるのかと、感心したような表情を浮かべた。「Sランクの魔石は金貨8枚でいかがでしょう?」 受付嬢は、Aランクの魔石よりもさらに高額な提示を行った。「うん」 ユウヤは、迷うことなく頷いた。「では、金貨16枚ですね」 受付嬢は、Sランクの魔石2個分の金額を算出した。「最後にSSランクの魔石は金貨20枚でいかがでしょう?」 受付嬢は、息をのむような美しさを持つSSランクの魔石
last updateLast Updated : 2025-12-11
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77話 犬のモンスター討伐とミリアの怒り

「ふうん……可愛いのに……」 ユウヤは、素直な感想を漏らした。「そんなお世辞を言っても、報酬は増えませんよ……たぶん♪」 受付嬢は、からかわれたことへの照れで、少し顔を赤らめてそう言った。その声には、かすかな喜びが滲んでいた。「あ、そんなつもりじゃないよ」 ユウヤは、誤解を解こうと慌てて否定した。「まぁ……次回も来て頂けるなら……少しなら……えへへ……♪」 彼女は、ユウヤの優しさを受け止め、頬に手を当てて嬉しそうに微笑んだ。その笑顔には、リボンをもらった喜びと、次回の再会への期待が満ちていた。「うん。また依頼を受けに来るよ」「お待ちしていますね♪」 受付嬢は、満面の笑みでユウヤを見送った。 ユウヤは、受付嬢と仲良くなってご機嫌でギルドを出ると、出口で控えていた護衛達に鋭く睨まれた。その視線には、静かな怒りが込められていた。「ユウヤ様! 他の女性と仲良くしないで下さい! ミリア様へ報告いたしますよ?」 護衛の一人が、低い声で警告した。その言葉は、ユウヤの背後にいるミリアの存在を強く意識させるものだった。「そんなつもりじゃないし……心配してくれたお礼をあげただけで……」 ユウヤは、護衛たちの鋭い眼差しにたじろぎながら、弁解した。「ミリア様が同じ事をしていたら?」 護衛は、論理的に、ユウヤの感情に訴えかける質問を投げかけた。「あぁ~イラッとするかも……気を付けるよ……」 ユウヤは、ミリアの機嫌を損ねる可能性を想像し、渋々ながらも納得した。「今回の事は秘密に致しますが、次回は無いですよ」 護衛は、釘を刺すように、冷たい声で言い放った。
last updateLast Updated : 2025-12-12
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78話 可愛いオーラとミリアの呆れ顔

 ミリアは、シャルロッテに呆れたような顔を向けた。「わたしが注意しても効果はありませんわっ……可愛いオーラしかありませんしっ」 シャルロッテが、『ふんっ』と、可愛らしくそっぽを向いた。まるで、自分の可愛らしさが武器になっていることを理解しているかのように。ミリアが深くため息をつき、シャルロッテに尋ねた。「まだ怒っているのですか?」「またケンカしてるの?」 ユウヤは、二人の間で視線をさまよわせながら、やれやれといった表情で言った。「ケンカは、していませんわ」 ミリアは、頬を微かに膨らませて否定し、ふんと鼻を鳴らした。彼女の表情は、ユウヤの腕に抱き着くシャルロッテへの複雑な感情を隠しきれていなかった。「ケンカじゃなくて、お姉様にいじめられているのですぅ」 シャルロッテは、涙ぐむような悲しそうな顔でユウヤに訴えた。ユウヤの腕にしがみつく力が、わずかに強くなる。「いい加減な事をユウヤ様に言わないで下さい!怒りますわよ」 ミリアの表情が一変し、目が据わると、その威圧的な空気に、シャルロッテはびくりと体を震わせた。そして慌てて謝った。「あ、すみません……お姉様怖いです……」 シャルロッテは、ミリアの怒りの本気度を感じ取り、心底怯えた様子を見せた。「ユウヤ様にヒドイことを言うからですわ」 ミリアは、怒りが収まらない様子で、シャルロッテの肩を軽く叩いた。その仕草には、躾と小さな仕返しが込められていた。「仲良くしてよ~」 ユウヤは、これ以上の喧嘩を避けるため、二人の間に割って入った。その声には、穏やかな制止の意が込められていた。「はぁい」 二人は、まるで示し合わせたかのように、笑顔で返事をした。その瞬間、張り詰めていた空気がふっと緩んだ。「で、明日は何か予定はあるの?」 ユウヤは、二人の小競り合いが収まったことを確認し、穏やかな口調で尋ねた。「えっと
last updateLast Updated : 2025-12-13
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