「おい! 聞いてるのか……コラッ!」 男は、護衛を突き飛ばそうと大きな手で肩を押した。ドスンという鈍い音が響いた。だが、護衛はびくともせずに、逆に男が力負けをしてよろめいた。その事実に男の表情は屈辱的な怒りに満ちてきた。護衛対象を護衛する者が騒ぎを起こすわけにはいかないので、絡まれても無視が基本だった。護衛の冷静さとプロ意識が、その動きから感じ取れた。(あ、ヤバイ。これ、早く手続きを終わらせないと騒ぎになるじゃん……) ユウヤは、内心で焦った。後ろのゴツイ冒険者の殺気立った視線が、背中に突き刺さるのを感じた。(えっと、階級章って、このネックレスのタグだっけか……どれだよ!?) ユウヤは、いたる王国で国王やギルドから色々渡されていた。首から下げたいくつもの装飾品の中から、どれが階級章なのか判別がつかなかった。「階級章って、このタグだっけ?」 ユウヤが、首から下げているタグを指差して尋ねると、受付嬢は信じられないものを見たかのように目を丸くした。その瞳は、タグに刻まれた印を捉えて離さない。「は? ……え? ……は、はい……た、確かに確認を致しました……SSS級でしたら……問題ありません。依頼の受付を完了致しました……お気を付けて……」 受付嬢の声は震えていた。彼女は、最高位の冒険者を目の前にして、完全に恐縮していた。「あ、ありがと」 ユウヤは、ホッとしたように受付嬢に礼を言った。護衛が絡まれていたので、さっさと連れてギルドを出ようとして護衛に声を掛けた。「依頼を受けれたから出ようか」 その時、後ろから怒声が飛んできた。「お前がコイツらのリーダーか? おい! 随分と無礼な手下をたくさん連れてるじゃね~かよ……お前も無視かコラッ!」
Last Updated : 2025-12-04 Read more