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Lahat ng Kabanata ng 秘密の花: Kabanata 11 - Kabanata 20

25 Kabanata

はじめてのデート?

「駄目!絶対に駄目!」と言い張った舞は春陽の腕を組み「飲み物何する?」とタッチパネルの注文画面を眺める。「私はレモネードにする」「じゃあ私もレモネードにしよう」ポンポンと画面をタップして注文をいれていく。「斉藤さんは?何飲みますか?」春陽は後ろに立つ慶司にきいた。「俺はアイスコーヒーで」「サイズはMでいいですか?」「大丈夫」ダンッとそんな会話を切るように舞は画面を叩くようにタップする。「じゃあ、支払いよろしくお願いします」目がまったく笑っていない笑顔で舞は画面前を慶司に譲った。「今日こそは私が払いますよ!」慌ててバッグから財布をだそうとした春陽の手を舞が握る。「年上の男性が女子高校生に払わせるなんてそんな恥知らずな事を春陽は斉藤さんにさせたくないでしょ?春陽はありがたく奢ってもらえばいいの」舞の言葉に慶司は苦笑いを浮かべるがポケットから財布を取り出し支払いをすませる。その姿を舞だけはひややかに眺めていた。「……」あからさまに睨みつける舞と睨みつけられている事がわかっていて流す慶司、それに挟まれる春陽の図はもうすでに5回目となっていた。高校3年になり大学進学について相談した相手がバイト中一緒にいる慶司だった。慶司が学んでいる学部などについて色々教えてもらっていた時最新の映画を沢山観る事も勉強だよ、とGWに映画に誘われたのだ。慶司と映画を観に行くと知った舞は自分も一緒に行く!と断固として言った。春陽は舞も一緒なのは嬉しかったし安心できたので快諾した。初めての時は舞もとても(?)おとなしかった。しかし夏休みに行った2度目にはもうすでに今の態度になっていた。普段でも春陽に「あんな得体の知れない奴を信じたら駄目よ!」と強く言ってきていた。得体の知れない奴。舞にとって斉藤慶司はそういう存在だった。良い印象はまったく無いと断言できた。はじめて会った昨年末のシネコンから今日までそれが変わる事はなく更に酷くなっているかもしれない。元々舞は服などのファッション関係全体が好きだった。なので小学生の頃から母親が買ってくるファッション誌はよくみていた。春休みに春陽が映画関係の仕事に就きたいからと大学進学を目標にした時舞も一大決心をした。舞も高校を出て何かをしたいなどの理由もなく、ただ母親がこの高校を卒業して銀行に勤めていたから真似てこの学校を
last updateHuling Na-update : 2025-10-23
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突然の悲劇

『escroc〜FAINAL』プレミアム上映会は市外のシネコンだった為車でも1時間近くかかった。相変わらずほとんど会話を続けられない春陽は真新しい車窓の風景を眺めていた。「少し早いけど今のうちに何処かで食べちゃう?」「え?」間の抜けた返事になってしまう。「ちょうどこの先にファミレスがあるからお昼食べちゃうかなって思ったけど、お腹すいてる?」「お昼……そうですね、食べちゃいましょうか」いつもならば3人で、舞が率先して食べに行きたかった店やその場で食べたいものをリクエストしてきていた。舞がいないという事は食事も2人でするんだと今更ながら気づいた春陽は内心のドキドキを面に出さないよう気をつけて笑顔をつくる。「ファミレスでいい?」「大丈夫です、私ファミレス大好きです」春陽の反応に慶司はクスリと口元を緩める。「……」まるで子供のような反応をしてしまったと頬を赤らめる。「俺もファミレス好きなんだ、子供の頃は行った事なかったから初めて行った時はあのメニューの量に感動したんだ」--子供の頃に行った事ないんだ、珍しい。そう思ったが春陽自身も子供の頃ファミレスに行った回数はそんな多くなかった。行ったと記憶しているのは小学校時代の運動会の日位かもしれない。「今日は何食べようか?」クスッと春陽を見ながら笑顔で聞いてくる慶司に真っ赤になった春陽は何もこたえられなかった。そして車はファミレスの駐車場へ入った。店内はもうすでに半分程埋まっていたがすぐに窓際の席へ案内された。「さて、本当に何にしようかな」テーブルに置かれていたメニューを春陽に渡して自分のメニューは立てかけられたものを手にして嬉しそうにめくっていく。慶司がファミレス好きだと言ったのは意外に本心だったのかもしれない。「決まった?」「和風ハンバーグとライスにします」聞きながらタッチパネルで注文していく。「俺はチキンステーキでライスは大盛りにしよう」ポンポンと素早くタッチパネルを操作してからフゥっと一度水を喉に通す。店員に案内された客がテーブルの横を何組か通過していく。店内は短い時間で既にほぼ席が埋まっていた。子供連れの家族もいれば友達同士もいる、そしてカップルも多くいた。--私と斉藤さんはどう見えているのかな?仲良くメニューをみたり話をしているカップルとはあきらかに雰囲気が違う、
last updateHuling Na-update : 2025-10-25
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一夜

目の前が真っ暗になった春陽は膝から崩れるように倒れるがそれを慌てて慶司が受け止める。「急性心筋梗塞ですぐに手術はしてもらえたわ」耳にあてたスマホからゆり子の声が聞こえてくる。春陽を抱きとめている慶司にもその声は聞こえてしまった。春陽を抱きとめる腕が強くなる。「花塚総合病院に運ばれたから春陽も来なさい」「うん……」力なく頷く春陽を抱え春陽のバッグを持ち慶司は急いで駐車場に向かう。春陽を助手席に座らせシートベルトを締めると自分は運転席に乗り込みエンジンをかける。フゥっと一度大きく息を吐いてハンドルを握った。花塚総合病院に着いたのは17時を過ぎた頃だった。車に置いていた予備用のマスクを掛け春陽にも掛けさせる。春陽にコートを着させて病院内に向かった。入口に1番近いロビーの椅子にゆり子が座っていて病院に入ってきた2人にすぐに気づいた。「春陽」近づいてきたゆり子に春陽が駆け寄る。「おばあちゃん!」「手術は終わって病室にもさっき運ばれたわ」ゆり子の言葉に春陽は少し安堵したようだがその顔はまだ蒼白なままだった。そんな春陽が心配だったが今の時勢で他人の自分が病室に付き添って行くことは無理だと承知していた。慶司はゆり子に一礼して車へと戻った。ゆり子は慶司の背中を見送ると春陽の手をとって病室へと向かった。「医師からはおばあちゃんが話を聞いたわ、急性心筋梗塞でカテーテル手術はできたそうよ……病室には長い時間いられないから一度顔を見て家に帰りましょう」『手術はできた』との話に『だからもう大丈夫』だとは付け加えられていなかったのだが春陽はゆり子の話に少し落ち着きを取り戻す。ベッドの上で眠る香織の身体には点滴の他にも色々な機械がつけられていて痛々しかった。今朝はあんなに元気そうだったのに。昨夜はあんなに話をしたのに。「お母さん」香織を呼びかけるが返事はもちろんなかった。そういえば昨夜背中が痛いと言っていた。私が今日行くのを辞めていたらもしかしてもっと早く異変に気づいたかもしれない。だいたいスマホをあんなに早くマナーモードにしていなければもっと早く病院に来てあげられたかもしれない。……自分が。ポジティブな考えが春陽の中に広がっていく。「そろそろ今日は帰りましょう」ゆり子の言葉に春陽はこたえられずにいた。「おばあちゃんは先に帰って。雨も降り出して
last updateHuling Na-update : 2025-10-25
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後悔

初めての会話はお互い「おはようございます」「お疲れ様でした」だけだった。夕勤の他に早朝勤も入っている彼女とは顔を合わす事は多かったがその後も挨拶以外の会話を交わす事はなかった。最初は今時の女子高生のわりに化粧気もなくおとなしいという印象だけ。おとなしい子という印象はその後も変わる事はなかった、だが気になった。まるで自分を空気の様に扱って欲しいという彼女の態度。他の人間が話をしていると一歩どころか二歩も三歩も距離を置き口をつぐんでいる。困っていても余程の事がないと誰かに助けを求めない。店長と奥さん、それに最年長パートの伊藤さんとは会話をしている姿を見る事もあるがそれも稀な位だ。他人と関わろうとしない事が逆に興味をひいた。19時から6時までのシフトは休憩があっても暇な時間だと言ってもその後の大学やサークル活動が辛くなるので本心ではやりたくなかった。他の学生アルバイトと一緒ならば絶対に断っていただろう。「渡辺さん真面目で夕勤の仕事はみんなできるから斉藤くんは休みながらレジみてくれるだけでいいんだ」彼女と一緒に入ってみたくて了承した。事務所で休みながらなんてもったいない、早々売り場に出て彼女の横に並ぶ。「一緒のシフトはいるのははじめてだよね?」 客がいないので話しかけると丸い真っ黒な瞳が驚いた様に見上げてくる。身長差は30センチほどあるだろうか?見上げる姿はまるで小動物が怯えながら警戒している姿に見える。 「斉藤慶司です、よろしく」 ここで怯えさせてはいけないと笑顔で自己紹介すると。 「渡辺春陽です……」 小さな声だが応えてくれた。だが居心地が悪そうにまだその瞳には怯えと警戒の色が強い。ゆっくりでいいから警戒を解きたいな。 「渡辺さんは高校生だよね?」 更に話しかけ続ける。 「はい……」返事はしてくれる、よかった……。 「何年?」 質問を続ける。 「……1年です……」 「まだ1年?若いなぁ。俺は大学2年、この隣駅近くにある大学に通ってるんだ」 「はぁ……」 「渡辺さんはどこの高校?」 「新島商業です」商業高校だったのか。新島商業って確か大学から近かったな。 「商業高校なら検定とかあるし高校は部活もあるし、忙しいでしょ。バイトもけっこう入っているみたいだし、大変じゃない?」大学1
last updateHuling Na-update : 2025-10-28
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母の死

翌朝、慶司の腕の中で目覚めた春陽はその腕をそっとどけるとゆっくり身体を起こした。昨夜の記憶はあまりに鮮明で叫びだしたい気分だったが静かに、慶司にきづかれないよう静かに立ち上がりソファに置かれていた衣類を身にまとう。壁にかかったコートも取り慶司が持ってきてくれていたバッグを手にとると玄関へむかう。ガチャン。音を立ててしまったドアに一瞬様子を伺うが慶司が起きた気配は感じられなかった。幸い雨はもうやんでいた。アパートを出ると駅まで歩く。バスで一度家に帰ろうか?しかし何の連絡もしなかった春陽をゆり子が心配しているはずだ。きっと昨夜はどうしていたのかと質問してくるだろう。素直に答えるわけにはいかないし。病院に行くにも面会ができるのは13時から、たったの30分だけだ。現在の時刻はまだ7時を少し回っただけだった。舞のマンションに行く?でも病み上がりの舞に迷惑をかけるなんてできないし。バッグからスマホを取り出すと履歴から発信を押す。トゥルル トゥルル トゥルル、と数回鳴らすと。「春陽!?」出たのは舞だった。8時を過ぎた時間に舞のマンションへ着く。8時少し前に舞の両親が出社の為にマンションを後にするからだ。玄関で出迎えた舞は春陽を見るなり抱きしめた。「こんな早くにどうしたの?電話してくるから驚いたんだよ?」「うん」「何かあったんだよね?」「……うん」手を繋いでリビングにむかうが。「舞ちゃん、お願いがあるの……先にシャワー貸して」髪はボサボサゴアゴアのままで身体は昨夜あのままの状態で衣類を着てきただけなのだった。「昨日雨に濡れてからそのままなの……」「……」不審に思った舞は頭の先から爪先まで春陽を観察する。「奴と……何かあった……?」「舞ちゃん」今はそれ以上追求しなかった。「シャワー、使って。タオルと着替えは」「着替えは大丈夫。コンビニで買ったから……」舞のマンションに来る途中でコンビニに寄っていた。Fストアが強化しているだけあり下着もシャツもズボンも靴下も買えてとてもありがたかった。「じゃあタオルだけ」浴室で棚からバスタオルを取り出すと籠に置いた。「リビングにいるから」春陽を浴室に残して出ていく。シャワーからの温かなお湯にあたりながら春陽はやっと気を落ち着けた。舞のお気に入りのシャンプーとコンディショナーを借り
last updateHuling Na-update : 2025-11-01
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妊娠

開けて1月4日、市斎場。亡くなった30日から3日までの年末年始は斎場が休館となっていた為、亡くなった香織の遺体は葬儀会社に預けられていた。4日ぶり見た香織は綺麗に化粧されていてそのまま目を覚ましそうだ。見送る身内は喪主のゆり子と春陽だけ。正月というのにもかかわらず参列してくれたのは近所の組合の人達、母が働いていたスーパーとファミレスの店長と母と仲良くしていた同僚の人が数名、大塚店長、舞と舞の母。お坊さんの読経が続くなかお焼香をあげ退席していく。一人一人に出口で挨拶をして見送った。そして、最後お焼香をあげ退席してきたのは慶司だった。顔を合わせたのはあの日以来だった。ゆり子と共に頭をさげる。「渡辺さん、」話しをしようとする慶司を制する為に顔をあげ。「本日は忙しい中ありがとうございました」表情を崩す事なく淡々と挨拶をした。「……」慶司は口を噤む。気丈に立っているだけでも辛い。身も心もボロボロだった。あの日のように受け止めて欲しい、優しく抱きしめて何も考えなくていいようにして欲しい。でもそんな風に優しい慶司に逃げたら駄目なのだ。弱った姿を見せて頼っていって、慶司の優しさに迷惑をかけては駄目。「ご家族様、すぐに7日法要を行いますので席へおつき下さい」係の人から声がかかる。「春陽」席に戻ろうとするゆり子が動かない春陽を呼んだ。慶司の顔を一度見上げた。慶司は黙って一礼すると背をむけた。「……」春陽もゆり子の隣に移動した。7日法要の読経を読んでもらいお焼香をあげ終わると係の人がカラカラと棺を火葬室へ運んだ。「それではこれより火葬となります。お手をお合わせください」扉が開き奥からゴオォォっと炎の音が聞こえてくる。その中に香織が納められた棺が消えていく。--お母さん!バタン、ガチャっと扉が閉められると時間まで過ごして下さいと係の人が待合室に案内してくれた。自販機で暖かなお茶を買い待合室の椅子に座って時間が経つのをまった。春陽にも抱えられる大きさの薄桜色の骨壷に納まった香織と共に帰宅したのはもう日が暮れかかる位の時間だった。リビングの一角に小さなテーブルを置きそこに骨壷を置いた。「納骨が2月の17日になったけど春陽は試験とか大丈夫?」ゆり子は石屋に連絡をして日にちを決めてしまってから春陽の試験日があった事を思い出し確認した。「大
last updateHuling Na-update : 2025-11-02
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決断

花塚公園のボート池まで歩いてきてベンチに腰を下ろす。2月なかばの寒さに昼時とはいえ人はほとんどいなかった。たまに通り過ぎる年寄りが不審そうな顔で春陽を見て行った。ゆり子へは少し前に病院が混んでいるから時間かかりそう、とメッセージを送っておいた。だがあまり遅くなりすぎたらきっと心配するだろう。ボート池に浮かぶ鴨の泳ぎを目で追う。ただ寝不足でめまいが増えているだけ。ただ疲れて生理が不規則になっているだけ。風邪の引き始めで熱が少しでただけ。だから産婦人科に行ったとしても無駄になるだけ。きっとそう、妊娠なんてしていない。頭の中で何度も考えるが。考えても考えても動く事ができない。「斉藤さん……、どうしよう」不安で押し潰されそうだ。両手でお腹を触る。この中にもしも本当に赤ちゃんがいたらどうしたらいいのだろうか?共通テストを頑張って希望する大学に願書も出してこれからまた試験を受けて、大学に入っていっぱい勉強して映画会社に入社して色々な事を覚えて何年かかってもプロダクションマネージャーになってみたいと自分の夢を持ったのに。もしもこのお腹の中に赤ちゃんがいたら、それはどうなるのだろうか?自分は赤ちゃんをどうしようとするのだろうか?「怖いよ……」2月から留学すると店長から聞いた、慶司が今どこにいるのかわからない。避けたのは自分だったけれど、今は1番近くにいて欲しかった。スマホを手にして電話帳から斉藤慶司の名をタップしてそのまま発信を押そうとしたが、できなかった。泣いて縋って抱いてあやしてもらっただけで2人が付き合っていて今の状況になったわけでは無い。あの日我が儘を言って迷惑をかけたのは自分なのに慶司にまで問題を押し付けてはいけないのだ。「ごめんなさい……」--この中にいたとしても私は産んであげられない。誰にもバレないで堕ろす事ができるだろうか?費用はどの程度かかるのだろうか?そんな事ばかり考えはじめてしまう。でも、堕ろす決断をしても先ずは病院に行くしか方法はなかった。手にしていたスマホに花塚、産婦人科、女医と検索ワードを入れるとヒットはたったの一件だけだった。スマホの地図を頼りに病院へ着くと午前診療が終わるところのようだった。看護師が受付時間外のフダを窓口に掛けたが春陽は一応看護師に声をかけてみた。「もう時間ですか?」「午
last updateHuling Na-update : 2025-11-07
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引越し

家庭の事情で今年の進学は一度白紙にしますと担任に話して大学進学を今はきっぱり諦めた。一緒の大学を楽しみにしていた舞は突然の春陽の進学中断に怒ってしまい春陽とは中々話そうとしてくれなかった。事実をすぐに話してもよかったが春陽はあえて時間をおいた。ゆり子がこれから女2人きりで子育てをするのにある程度貯金を作らないとと、長年暮らした家を売りに出してしまった。静かな住宅街でそれなりに需要がある地域だったり古い家だからと少し安めに出した事が功を奏したのか問い合わせも多くきていた。引越し先を早めに決めないといけなくゆり子は不動産広告を春陽はネットで物件を物色していた。条件は今住んでいる地からそれほど離れていない事。安価な物件である事。買い物に困らない事。それほど欲張らなくても中々気にいる物件にはであえないでいた。毎週木曜日に新しい物件をのせる地元不動産のサイトを確認するとまた新たに複数物件がのっていた。3月に入ったばかりのこの時期は学生などの引越しが増え物件の動きも早い為気になった場所はすぐにチェックをいれていく。「ここ……」一つの物件に目をとめる。チェックを入れ思案する事もせずに不動産への物件紹介に予約を入れてしまう。「おばあちゃん、今日の午後に物件みに行きたい所があるけど時間大丈夫ある?」キッチンで片付けをしているゆり子に聞いた。「午後は春陽が病院だって言うから澄江さんとお茶する約束しちゃったけど。春陽が気にいる物件なら私は反対はしないからみに行ってきていいわよ」近所で昔から仲良くしいてお互いの家でよくお茶をしている澄江と約束しているのならば邪魔はしたくなかった。「じゃあ行ってみてくるね」「早く決めないといけないからいい物件だといいわね」少しさみしそうにゆり子は言った。早めにお昼を食べバスの時間に合わせて家を後にする。バス停で5分も待たずバスに乗れた。駅より一つ前のバス停で降車して商店街方面へ少し歩くとすぐに不動産屋があった。自動ドアから店内に入ると正面に向かうようにカウンター窓口が3つ。左手の窓口には母親と同じ高校3年生だろうか、男の子が座っていた。「こちらへどうぞ」右手の窓口に来た女性社員が春陽に声をかけたので右手の窓口に座る。「今日はどのようなご用件ですか?」まだ若い女性社員は丁寧に聞いた。「午前中に来店予約しておいた渡
last updateHuling Na-update : 2025-11-08
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新たな生活

背のあまり高くないゆり子と春陽には使い辛そうだったキッチン周りを一式、それと壁紙をリフォームしてもらい引越しをはじめたのは4月に入ってすぐからだった。引越し業者がほとんどの家具家電を配置して置いてくれたのでゆり子と春陽はダンボールの荷物を分ける程度なのだがそれも中々進まない。「とにかく今日寝れるようにはしないとでしょ?」「そうなんだけど、どのダンボールから開けていいのかもわからなくて」リビングに積まれたダンボールを見るだけで春陽は疲れてしまう。「寝具入れたダンボールは」ダンボールの端に書かれたメモを確認してくれているのは手伝いに来た舞だった。「これだ」端に置かれた大きなダンボールのテープを取り圧縮袋に入った布団を2つ出して「少しだけでも一度干そう」と圧縮袋から中の布団を取り出した。「ベランダにそのまま干して大丈夫?」「うん、ありがとう」ささっと動いてくれる舞には感謝しかない。妊娠がわかり、ゆり子の理解を得て出産を決めた春陽は大学の前期試験以降を全てキャンセルした。詳しく話さないで急にそんな事をした春陽に腹を立てた舞はしばらくの間まったく話をしてくれなかったのだ。3月1日。高校卒業の日。卒業証書授与式と最後のホームルームも終わり皆が別れ別れになる友達や部活の後輩と話をしている中、舞はまだ春陽と会話をしてくれなかった。「舞ちゃん、話があるの!」舞の前に立ちながら顔を真っ赤にした春陽の姿はまるで舞に告白でもする勢いに見えた。キョトンとなる舞の手を繋いで誰もいなそうな隅に連れていく。「それで今更話って何?」大人しくついて来てくれたのにも関わらずプンプンと怒った様子で聞く舞は普段と違いほっておかれた愛犬のようでかわいらしかった。「舞ちゃんは私にとって大事な人だからちゃんとしてから話したかったの」負担に少しでもなったら嫌だったから自分がゆり子から出産をきちんと許してもらい、高校をしっかり卒業する。そして舞の進学がきちんと決まるまで言わなかった。「私も一緒に大学通いたかったよ」「なら、なんで!?」ムッとした顔で舞が言ったが春陽は笑顔をつくった。「妊娠したの」「え?」その言葉の意味がわからないとばかりにポカンとしてしまう。「私、妊娠したの」再び舞に告げる。「何で!どうして!いつ?誰と!?」頭の中でその言葉の意味を理解
last updateHuling Na-update : 2025-11-09
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出産

出産予定日2週間前となり今日も大きくなったお腹を抱えて石井産婦人科へやってきていた。「とくに異常はなく順調ね」診察が終わり石井医師が言った。「予定日まで2週間をきるからいつ陣痛がきてもおかしくないわ、いつでも入院できるようにそろそろ用意しておく方がいいわよ」「はい」初めてだらけで不安がいっぱいの春陽は全幅の信頼を石井医師にしている。いい医師に会えてよかったと思う。「入院に最低必要なモノと家に買っておいた方がいいモノを書いたパンフレットを渡してあげるから。何もなければまた来週で予約を入れておくけど、心配な事やもし陣痛がきたらすぐに病院にきてね」「ありがとうございます」春陽は頭を下げて診察室を出た。窓口で会計を済ましパンフレットをもらうと病院を後にしようとする。グウウウ……。お腹が勢いよく鳴った。お昼になろうかという時間ではあるが朝ごはんもしっかり食べた春陽は自分のお腹の音が恥ずかしくなる。家に帰ればゆり子が昼ごはんの用意をしてくれているだろうが。--今、何か食べたいよね。妊娠後期になり食欲がかなり旺盛になっていた。花塚公園の周りには飲食店も点在している。どこか一度店に入ろうとスマホで検索をかけた。--かつ屋はがっつりすぎるし、寿司は生物は控えておきたいし、バーガーは塩分取りすぎになるよね。中々決められないな、と思いながら次に出てきた店に目をとめた。花塚公園の駐車場近くにあるイタリアンレストランウィルモットに入ると可愛らしい店員の女の子がすぐに席へ案内してくれて水とメニューを置いていった。さっそくメニューを開き書かれたパスタの種類にワクワクする。軽くサイドメニューでもと考えていたが。「すみません、大根おろしとツナの和風パスタとオレンジジュースをお願いします」普通にパスタを頼んでしまっていた。「少々お待ちください」メニューをメモした店員は裏に消えていった。料理がくるまでとバッグの中から病院でもらったパンフレットを取り出しパラリてめくる。お腹の中にいる赤ちゃんが女の子だという事は事前にわかっていたのでいくつかの服と下着は買っていた。新生児用のオムツに哺乳瓶、哺乳瓶の消毒薬に乳パッドに搾乳機……。--搾乳機?何か色々書いてあり頭がいっぱいになりそうでパンフレットを閉じた。--店に買いに行って一つ一つ確認しよう。早くも
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