正樹は二の句が継げなかった。突きつけられたのが、紛れもない事実だったからだ。承一は手元の書類をテーブルにぽんと置き、皮肉めいた笑みを口元に浮かべた。「それなら、秦野代表に少し認識を改めていただく必要がありますね。筋を通さなかったのは長谷川代表の側です。紬も、彼がどう動こうと気にしていない。ですから秦野代表も、ご自分の判断で勝手に同情心を向けるのはやめていただきたい。謝罪するなら、余計な言い訳は一切抜きにして、仕事の話だけをする。それが本当の意味での誠意というものでしょう」正樹は反論できなかった。承一がいかに紬を庇護しようとしているか、痛いほど伝わってきたからだ。ひとつ深呼吸をして、口を開く。「わかりました。本日はもう一つ、お伝えしたいことがありまして。スホンが政府と新素材分野での共同プロジェクトを進めることになりました。技術チームのサポートを必要としているそうで、父からフライテックにもぜひ手を挙げてほしいと、伝えるよう頼まれたんです」承一には正樹の意図が読めた。彼なりの、歩み寄りの印か。「お知らせいただきありがとうございます。社内で検討します」承一は淡々と応じ、それ以上は何も言わなかった。立ち去り際、正樹はもう一度だけ紬のオフィスの方へ視線を向けた。なんとも言いようのない、複雑な感情が胸に淀む。紬の冷たい視線の奥にある氷が解け、自分に笑顔を向けてくれる日が来るとは、到底思えなかった。……正樹が帰るなり、承一はさっそく紬に技術支援の話を伝えた。紬はその場で頷いた。政府との技術協力は、フライテックにとってデメリットなど何ひとつない絶好の機会だ。しかも他でもない、またとない機会だ。場所が決まり次第、紬は週末にすぐ現地へ飛ぶことにした。政府の動向を早めに掴んでおけば、後半期に向けた第六世代機の研究も、より円滑に進むはずだ。ここ数日、紬は比較的、穏やかな日々を過ごせていた。紗代の方からはぱったりと音沙汰がなくなり、おそらく慎が裏でうまく処理してくれたのだろう。もっとも、慎がどう動こうと、紬は紗代に気を遣うつもりなど毛頭なかった。ただ、自分の歩く道に余計な邪魔が入るのが、煩わしいだけのこと。国防施設には、一般にも開放されているエリアがあった。厳密な機密区域の外に位置する場
อ่านเพิ่มเติม