All Chapters of 残り火 After Stage ―未来への灯火―: Chapter 211 - Chapter 212

212 Chapters

蒼い炎13

生暖かい風が吹く中、コンビニの外で350mlの缶ビールを開けた。ちょうど3本目を飲み終える頃にアキさんが外に出てきて、俺の姿を見た瞬間にぎょっとした表情を浮かべる。 ただ待っていただけじゃなく、飲んでいるという事実に面食らったであろう。「お疲れ様ぁ、アキさん。待ってるのが寒くって、こんなところで宴会しちゃった」 大きな声で話しかけたのにそれを無視して、脱兎のごとく駆け出した彼を追いかけるべく、転がしていた空き缶を手早く拾い集め、外にあるゴミ箱に捨てて、その背中を追いかけた。「うわー、飲んでるから追いかけるの、結構つら~……」 追いかけるアキさんの背中が、右に左によく揺れる。って俺が揺れてるから、そうなるのか。ちょっと飲みすぎちゃったな―― 若干の気持ち悪さを抱えながら、走ること数分。そうこうしている内に、もうすぐアパートに到着してしまう場所に差し掛かった。(――仕掛けるなら、今だろう……) 目をぎゅっと瞑り、思いきって転んでやった。ズシャッ! なぁんていう、大きな音までオマケでつくとかラッキー。「いったぁ……」 あまり痛くはなかったけど、転んだことを大げさにすべく大きな声で言い放つ。否が応でも、アキさんの耳に届いただろうな。 顔を歪ませて必死に笑いを堪えていると、アキさんが渋々といった感じでやって来て、俺に向かって手を差し出してきた。「大丈夫?」 まんまと騙されてくれたことに思わず笑い出しそうになり、慌てて顔を背ける。口元を押さえて、何とか微笑を隠した。「……あまりにも惨めな姿に、仕方なく手を貸してくれる気になったの?」 笑いを堪えているので、必然的に声色が震える。それが迫真の演技になって、彼に伝わったかもな。泣いていると思ったかもしれない。「そんなこと……ないよ。だって友達だし。俺たち……」 アキさんはどんな顔して、それを言ったんだろう。優しいくせに残酷な人だ――だけど俺は愛おしくて堪らない。「っ……なんで……なんで友達以上になれないんだよっ!!」 もしも願いが叶うなら井上さんよりも先に、アキさんに出逢いたかった。先に出逢っていたら、もしかしたら俺に恋していたかもしれないよな。「竜馬くん、お酒あんまり強くないのに、飲み過ぎたみたいだね」「何度となく告白してもスルーしたアキさんから、そんな風に優しい言葉をかけられるなんて
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蒼い炎14

つま先を使って抜き足差し足で忍び寄り、台所に立ってる細身の身体にぎゅっと抱きついてあげた。「なっ!?」「待っていられなくて、勝手に上がらせてもらっちゃった。お水、ありがとアキさん」 肩に顎を乗せてお礼を言うと、くちびるが見る間にぶるぶると震えだす。今直ぐにでも塞いで、その震えを止めてあげたいな。「はっ、放して、よ……。お願ぃ、だから」「そんな風に震えながら掠れた声をあげてくれるなんて、まるで感じてるみたいに聞こえるね」「ちがっ……。そんなんじゃ、な――っ!?」 ふふっと笑いながら、傍にあるふっくらした耳たぶを口に含んだ。柔らかくてしっとりしているそれに、どうにかなってしまいそうだ。 荒い呼吸を繰り返す身体を手早く反転させて向かい合う形にしたら、悲しげな色を宿した瞳が俺の顔を捉える。見つめられるだけで、体温が一気に上がってしまうよ。「もう誰にも邪魔されない。俺だけのモノにしてあげるアキさん」「それは……きっと無駄だよ。そんなことをしても、俺の心は手に入らない。むしろ君を、どんどん嫌いになるだけなのに」 静まり返る家の中にアキさんの声が響いた。自分のすぐ傍で告げられた言葉だったけど、ほぼ泣き声に近くて所々聞き取りにくかった。だからこそ、しっかりと耳を傾けたんだ。心と一緒に――。「嫌いなんていう、生ぬるい感情は嫌だな。むしろ憎んでくれて構わないよ」「えっ!?」「だってその方がアキさんの心の中に、深く深く残るでしょう? 真っ黒い影になって、井上さんという光を覆い隠す存在になるんだ」 漆黒の影になって心の中で光り輝いているであろう井上さんを飲み込み、忘れられない存在になってやる。「……可哀想な、ひと……」 切なげな表情をしながら、じぃっと俺を見つめたアキさんに、一瞬だけ息を飲んでしまった。(何で……なんだ――どうして!?)「こんなときまで、変な優しさをかけないでよ。自分が今、どんな状況なのか分かっているよね?」 動揺を悟られないように彼の腕を掴み、力任せに引っ張ってその場に押し倒してやる。どこか打ったのか、痛そうな顔を見て躊躇ってしまった。 ゴメンって、声をかけようかと思ったけれど――さっきのアキさんのように変な優しさをかけると隙を与えてしまう恐れがあると考えて、すかさずその身体に跨った。「その泣き顔を悦びに変えてあげる。いっぱ
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