1月も中旬が過ぎると、あちこちのお店のディスプレィがバレンタイン仕様に変わる。勿論、働いているコンビニも同じく、レジ前の棚にお客さまの目を惹くように、バレンタイン用のチョコを配置していった。「どうか売れ残りませんようにっと。時期が過ぎて残った物が、安値で叩き売りされてる姿は、あまり見たくないからね」 置いてきぼりにされた、俺のようになってほしくはないから――。 結局クリスマスもバレンタインも、一緒にいられなかった俺たち……。その前に、別れてしまった。 俺の心をまるごと包み込むような優しいウソをついて、泣きながら去って行った大きな背中が、今でも目に浮かんでしまう。 キレイにラッピングされた箱をひとつひとつ丁寧に並べながら、別れるちょっと前に一緒に食べた美味しいチョコのことを、つい思い出してしまった。 コーヒーが飲めない俺のために、わざわざ甘いカフェオレを作ってくれたよね。たったそれだけのことなのに、すっごく嬉しかった。 ――俺だけの特別って。 他にもホストの仕事が忙しくて逢えなかった分、傍にいたいっていうワガママを口に出せずに、ぐっと飲み込んでガマンした俺を見つめた穂高さんの眼差しにぐっときたんだ。『……そんな顔しないで。すぐに傍に行くよ千秋』 俺の顔色ひとつで見事に心情を読み取り、包み込むような笑顔をくれたっけ。 そんな過去の出来事を思い出しながら棚にすべての商品を詰め終えて、不備がないか最終チェックをしっかりした後にレジに戻った。 あの日食べたホワイトチョコの味、まだしっかりと覚えてますよ穂高さん。 胸の奥深くで静かに燃えている残り火を感じながら、貴方を想う。いつか叶うことができるのなら、一緒に過ごしたい。だから俺は頑張ります。 ――穂高さんを追いかけるために――
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