*** 住んでるアパートに辿り着き、急いで鍵を開けて中に入る。いつもなら電気をつけて、「ただいま!」って誰もいない空間に挨拶しているけれど、口を開くことがやけに億劫で、真っ暗闇の部屋の中央に、ぽつんと佇む。(隣にアキさんがいればひとりきりでいる、こんな孤独を感じずに済むのにな) そう考えた瞬間に、困惑した表情を浮かべた彼を思い出してしまい、胸がキリキリと痛んでしまった。俺が気持ちを告げたせいで、いらない気を遣わせてしまうという、失態もおかしてしまった。悲しいかな、胸の痛みは二割増し状態だ。 夏休み中ずっと、アキさんは恋人の傍にいた――幸せに過ごしていたからこそ、見違えるほどに、綺麗になったんだよな。 恋人のお蔭で綺麗になったアキさんを、更に好きになってしまった俺って、ただのバカじゃないか。「ホントにバカだよな。カッコイイって言われたくらいで、嬉しくって有頂天になってさ。こ、恋人がいるならあんな風にっ……。優しくなんてしてほしく、なかっ……た」 止めどなく溢れる涙が、頬を濡らしていく。情けないくらいに、今の俺は格好悪いだろう。 片想いは初めてじゃないのに、何でこんなにダメージを受けているんだろう? 同性という普通なら、恋愛対象にしない相手だからなのかな? 狂おしいくらいの好きという気持ちが、行き場をなくし、ぐるぐると心の中に渦を巻いていく。「アキさん。アキさ――っ、千秋」 体の中にすっぽりと収まる彼を思い出し、その温もりを感じたくて、無意味に自分の体をぎゅっと抱きしめた。
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