บททั้งหมดของ 残り火 After Stage ―未来への灯火―: บทที่ 201 - บทที่ 210

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蒼い炎3

*** 住んでるアパートに辿り着き、急いで鍵を開けて中に入る。いつもなら電気をつけて、「ただいま!」って誰もいない空間に挨拶しているけれど、口を開くことがやけに億劫で、真っ暗闇の部屋の中央に、ぽつんと佇む。(隣にアキさんがいればひとりきりでいる、こんな孤独を感じずに済むのにな) そう考えた瞬間に、困惑した表情を浮かべた彼を思い出してしまい、胸がキリキリと痛んでしまった。俺が気持ちを告げたせいで、いらない気を遣わせてしまうという、失態もおかしてしまった。悲しいかな、胸の痛みは二割増し状態だ。 夏休み中ずっと、アキさんは恋人の傍にいた――幸せに過ごしていたからこそ、見違えるほどに、綺麗になったんだよな。 恋人のお蔭で綺麗になったアキさんを、更に好きになってしまった俺って、ただのバカじゃないか。「ホントにバカだよな。カッコイイって言われたくらいで、嬉しくって有頂天になってさ。こ、恋人がいるならあんな風にっ……。優しくなんてしてほしく、なかっ……た」 止めどなく溢れる涙が、頬を濡らしていく。情けないくらいに、今の俺は格好悪いだろう。 片想いは初めてじゃないのに、何でこんなにダメージを受けているんだろう? 同性という普通なら、恋愛対象にしない相手だからなのかな? 狂おしいくらいの好きという気持ちが、行き場をなくし、ぐるぐると心の中に渦を巻いていく。「アキさん。アキさ――っ、千秋」 体の中にすっぽりと収まる彼を思い出し、その温もりを感じたくて、無意味に自分の体をぎゅっと抱きしめた。
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蒼い炎4

***(昨日まではアキさんと一緒に仕事ができることを、すっごく楽しみにしていたのにな――) 俺の想像では告白したらOKが貰えて、勢い余ってキスしちゃって――離れていた分、抱きしめ合ってイチャイチャして。勿論、卑猥な感じじゃなく、ただ普通に抱き合うだけにして、明日も一緒にバイト頑張ろうねっていう感じの言葉でバイバイする予定だったのに。「告白した途端に恋人のお兄さんが登場って、普通はあり得ないだろ。だけど恋人本人よりはまだマシか……」 なぁんて自分を慰めながら暗い気分を抱えた状態で、バイト先のコンビニに到着した。「あれ? おかしいな、アキさんがまだ来てない?」 従業員入口のところにあるタイムカード。何とはなしにアキさんのカードをチェックしてみたら、インした記録が残っていなかった。いつもなら俺よりも先に来て、準備をしているはずなのに。 首を傾げた瞬間、扉の開く音と共に聞き慣れた声が背後から聞こえてくる。「り、竜馬くん?」 慌ててアキさんのタイムカードを戻して、笑顔で振り返った。焦ったせいで笑顔が引きつませんようにと、心の中で無駄に祈る。「あ、アキさん、お疲れ様です」 バレたかな? 俺が勝手に、アキさんのカードをチェックしたこと――「……いつもより早いね」 そんなことはない。アキさんがいつもより遅いだけなのに。遅い理由は、俺と顔を合わせ難かったからかな?「それは、その。少しでも長く、アキさんの傍にいたいと思ったから」 これは今の俺の素直な気持ち。叶わない片想いだって分かってるけど、好きな人の傍にほんのちょっとでもいいから、長くいたいって思うのは自然なことだよね。「そう、なんだ。へぇ……」 昨日は暗がりの下でアキさんを見たけど、今はコンビニにある蛍光灯の下。ハッキリとその姿を見ることができて、嬉しさが胸の中に湧き上がってきた。 やっぱりすごく可愛くなってる。だけど―― じっと見つめる俺の視線を顔を背けてやり過ごし、手早くタイムカードを押して身を翻すようにロッカールームに行ってしまった。(もしかして昨日の告白とかいろんなことで、アキさんに嫌われてしまったとか?) 今まであんな風に避けられることなんてしなかった彼が、逃げるようにして行ってしまったことにショックを受けるしかない。俺、嫌われちゃったのかな――?「あの、アキさん」 勇気を
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蒼い炎5

***「あ、アキさん――」 アキさんを意識するようになってから、どこにいても彼を捜してしまうというのが癖になった。そのお蔭で彼の存在を、以前よりも早く見つけることが出来るのはラッキーだ。 あれから……アキさんがこっちに帰ってきて告白してから、俺たちの距離は相変わらずで、それ以上踏み込むことを拒まれている。アキさんには恋人がいるんだし、それは当然なんだけど――。 大学にあるカフェテラスの隅っこの席で目立たないようにするためなのか、細い体を小さくして、スマホを片手にコソコソ誰かと喋ってるアキさんを見つけてしまった。 眉根を寄せつつも口角が上がっていて、どこか楽しそうに見えるのは、電話の相手が恋人だからだろうな。 どうにも面白くなくて口を尖らせながらため息をつき、目の前にある椅子に音を立てて腰掛けた。 恋人を好きなアキさんをずっと好きでいると言ったけれど、それは自分にとってつらい選択だった。諦めるより、こっちの方がまだマシだと思ったから選んだ。そのことはアキさんにとって、すごく迷惑な話だろう。 彼を困らせてしまう好きという気持ちのやり場に困惑しながら、遠くにいる愛しい人を観察しつづけた。 電話が終わったのか、耳からスマホを外す。その姿に近づく絶好のチャンスだと、持っていたリュックを肩にかけて急いで席を立ち、足早に近づいていった。アキさんはすぐに俺の姿を捉え、苦々しげな表情をありありと滲ませる。「竜馬くん……」「アキさん、今いい?」「ごめっ、もうすぐ講義が始まるから」 顔を俯かせてゆっくり席を立ち上がるアキさんの腕を、素早く掴んでやった。「!!」「ゆっきーと3人で決めた、宅呑みのこと覚えてる? 今月は俺の家でやることになったから。来てくれるでしょ? 友達なんだし」 断れないようにあえて友達のところにアクセントを置いて、つらつらっと喋ってみる。アキさんを掴んでいる手に、思わず力が入った。自分を見てほしくて――避けてほしくないという気持ちがこもってしまったから。 手のひらに感じる体温が、すごく愛おしく感じるな。「あ、そうなんだ。分かったよ、行くから……」「よかった。今週中に日程が分かるから、楽しみにしてて」「うん。あのさ悪いけど手を放して。結構、痛いかも」 俺の顔を見ずに、掴んでいる手に視線を落としたアキさん。手の力を抜いて、ぱっと放
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*** 迷惑だとはっきり断言されてしまったというのに、諦めきれずアキさんを捜していた。その姿を見つけたのは翌々日、次の講義を受けようと大学の渡り廊下を歩いてるときだった。 彼とは学部が違うため、めったに授業を一緒に受けることはない。だからこそアキさんを発見できたのは、奇跡に近いものだと思われる。 壁と柱の隙間を使って細い背中を隠すようにしている姿に、首を傾げるしかない。よぉく見ると、耳にスマホを当てている。きっと恋人と話し込んでいるのかもな。 渡り廊下の真ん中辺りで足を止めて様子を窺っていると、小刻みに体を揺らしはじめたアキさん。肩を竦めて何かに堪えるように、更に体を小さくした。「アキさん、まさか泣いてる!?」 尋常じゃないその様子にいても立ってもいられず、走りだしてしまった。そんなに距離が離れていなかったから、直ぐに駆けつけることができた。「アキさんっ」 背後からそっと肩に手を置くと、ビックリした顔で振り返る。その瞬間、大きな瞳から零れ落ちる涙に、胸がぎゅぅっと痛くなった。「あ……」「何で泣いて……。とにかく、これ使って」 綺麗な頬に筋を作っていく涙を見ていられなくて、ポケットに入れてたハンカチを手渡した。だけどアキさんは耳にスマホを当てたまま首を横に振って、それをしっかりと拒否する。「ゴメンね、竜馬くん。込み入った話をしている最中だから、あっちに行っててくれないかな?」「そんなつらそうな顔したアキさんを放っておくなんて、俺にはできないって」「この話に関係ない君は、ただの友達なんだよ。それ以上の気持ちを押し付けられても迷惑なんだって、この間も言ったよね!」 眉根をぎゅっと寄せて不快感を露わにされても、そんなものには負けない――だって……。「だって好きなんだ。大好きなアキさんが泣いてるのを、無視なんてできっこない」 この場から動けないであろうアキさんを、迷うことなくぎゅっと抱きしめた。「ちょっ、やめてって!」「つらそうにしてる君を、ただ慰めたいだけなんだ」「もっ、イヤだって言ってるのにっ」 胸の中で必死にもがいたアキさんが、躊躇なく俺の左頬を引っ叩く。 ばちんっ!! 弾けるような大きな音が、辺りに響き渡った―― 思いきり叩かれた反動で、アキさんの体を抱きしめていた腕の力がすっと抜けてしまい、固まるしかなくて。そんな俺
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蒼い炎7

「夏休み前はそうですね、友達以上の感情は抱いていなかったと思います。アキさんを意識したのは、ずっと逢えない日が続いて寂しいなって考えたときに、あれってなって」 そう、ゆっきーにあのとき言われなかったら、分からないままだったのかもしれない。知らないままでいたら、どんなに楽だっただろうか。「一緒に働いてる友人に執着してるって突っ込まれて、自分にとってアキさんが特別な存在だって分かったんです。だから」『だから。何だい?』 間髪を容れずに質問をされるせいで、どんどん追い詰められるような感覚に陥ってきた。「えー……その、俺はっ! 俺は……アキさんが好きなんです」『だから寄こせと、俺に強請っているのだろうか?』「そんなんじゃないです。だってアキさんには……井上さんがいるんですから。強請るなんてしません」 ――違う……ただアキさんが好きなだけで、どうこうしようなんて、これぽっちも思っていないのに。『じゃあ、奪おうとしているんだね?』「うば……ぅ?」『だってそうだろう。君は告白してから千秋にずっと付きまとって、好きだの愛してるだの言い続けて、俺が傍にいないのをいいことに略奪しようとしているじゃないか』「略奪なんて、そんなこと――」 声が妙に掠れてしまって、最後まで発することができなかった。くちびるを震わせながら、目の前に佇んでいるアキさんの姿を見る。 心配そうな面持ちで俺を窺う視線に、眉根を寄せるしかない。困った顔をさせているのは俺のせい。直ぐ目の前にいるのに……手を伸ばせば触れられる距離にいるのに、こんな顔をされたら触れられない。『そんなんじゃないと言っているが君は一度、千秋に手を出そうとした事実があるじゃないか? あれについては、どう説明してくれるつもりだい?』「あれは……あのときはアキさんに、恋人がいないと思ったから」 きっと恋人であるアキさんに手を出した俺を責めるつもりで、説明を求めているんだろうな。口調が最初とは別人みたいだ。すっごく怖い……。『恋人がいなければ自分の気持ちを押し付けて、好き勝手に行動していいのだろうか?』 自分がされて嫌なことを他人にしては駄目だというのは、痛いくらいに分かってる。「確かにアキさんにとって俺の想いや行動は、迷惑にしかならないものです。それは認めます、本人にも言われちゃってるし。でも――」 責めら
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蒼い炎8

「ぁ、あのね竜馬くん……」 井上さんとの会話を強制的に終えて力なく耳からスマホを外したら、小さな声で話しかけたアキさん。「そろそろスマホ、返してくれないかな? もうすぐはじまる講義に、急いで行かなきゃならないし」 その声に彼の顔を見たら、相変わらず困惑の表情を浮かべていた。今までのやり取りを傍で聞いていて、複雑な心境だっただろうな。「ゴメンなさい。電話が終わったら、一気に力が抜けちゃって」 苦笑いしながら謝って足を1歩だけ踏み出すと、音もなく右手を差し出してきた。(その手にスマホを渡してくれって意味なんだろうけど、このまま大人しく渡すだけじゃ、つまらないよね――) 隙をつくように一気に距離をつめて、アキさんの体をぎゅぅっと抱きしめた。「わっ!?」 何が起こったか、分からなかったんだろう。一瞬だけ固まって、されるがままでいたけど。「イヤだっ!! 放してよ、竜馬くんっ!」 抵抗をはじめた体を拘束すべく、更に力を入れて抱きついてやる。そして耳元にくちびるを寄せて、ゆっくりと呟いてあげた。「アキさんの中にある心の隙間に絶対に入り込んで、井上さんから奪ってあげる」「やあぁっ、耳元で喋らないで……っ。いい加減に腕を外してって」 びくびくっと体を振るわせて頬を赤く染め上げる姿に、思わず下半身が疼いてしまった。「へえ、耳が弱いんだ。それにすっごく可愛い声を出すんだね。乱れたアキさんの姿を見てみたい」 わざと顔を覗き込みながら言うと、眉根を寄せてふいっと視線を逸らし、首を横に振りまくった。そんな渋い表情だったけど、アキさんは何をしていてもすごく愛らしいな。「お願いだから解放してよ。これ以上、何かしたら嫌いになるから」「分かった、嫌われたくないし。だけど覚えておいてほしいんだ」「…………」 相変わらず視線を逸らしたままでいたけど、構わずに口を開いた。「アキさんを想うたびに気持ちがどんどん加速していって、止まらなくなるんだってこと。君のことがすごく好きだよ」 逃したくないぬくもりから、ゆっくりと手を放す。「竜馬くん、押し付けられる想いは迷惑にしかならないよ。それに今みたいに抱きついたり嫌なことをするようなら、俺にも考えがあるから」 俺が手に持ってるスマホを引っ手繰るように奪って、脱兎のごとく駆け出していった。 俺たちの間に冷たい秋風が吹
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蒼い炎9

アキさんが逃げるように目の前を走って去っても、追いかける事が出来なかった。当然だ――下半身がこんな状態では、そこら辺すら歩けない。『押し付けられる想いは、迷惑にしかならないよ。それに今みたいに抱きついたり嫌なことをするようなら、俺にも考えがあるから』 押し付けたくて告げているわけじゃない。少しでもいいから、自分の気持ちを分かってほしいだけなのに。俺以外の誰かのことを想ってる切なげなアキさんの顔でも、こんなに愛おしく想っているのだから。(でもビックリだな、男相手に勃っちゃうなんて……。きっとアキさんも気がついているから、すごく慌てていたんだろう) はーっと深いため息をつきながら、窓から見える外の景色を見た。どんよりとした曇り空は、まるで自分の心の内のようだ。「あ~あ、講義はじまっちゃったな。どうしようか……」 呆れながら暫くその場に佇んでいたら、ある程度下半身が落ち着きを取り戻したので、カフェテリアに行こうと身を翻した。 気落ちしながら下を向いて歩くと、誰かの話し声が耳に聞こえてくる。辺りがしんと静まり返っているため、否が応でも聞き取れてしまった。 人の話なんて聞いてはいけないものだから、いつもならやり過ごすところなんだけど、ボソボソした声でも聞き覚えのあるそれに導かれるように、階段へ向かって歩を進める。『ありがと。来てくれる日を、指折り数えて頑張るね』 靴音を立てないように注意深く近づいたら、階段の下にある窪みのところから聞こえてきたアキさんの声。それはとても可愛らしく弾んだもので、俺の聞いたことのない声色だった――それだけでも妬けるというのに……。『愛してる、穂高さん』 少しだけ照れの混じった言葉が、ずしりと心に圧し掛かった。「くっ……」 どんなに想っても彼からは告げられることのないその言葉に絶望感を覚えて、眩暈で頭がクラクラする。 胸が張り裂けそうなくらい、アキさんが好きなのに――俺は君の笑顔を曇らせる、忌まわしい存在でしかないんだよな。 ふらつく足取りでその場を離れ、一気に階段を上がった。空き教室を探してあちこちを彷徨い、2階上の階段傍にある教室に足を踏み入れる。 音を立てて扉を開け、壁にズルズルと寄りかかりながら、きゅっと下唇を噛み締めたとき、胸の奥底で何かが光り輝いた。開けっ放しにしている扉をそのままに目をつぶり、それ
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蒼い炎10

*** 次の日の夜のバイトの時間。アキさんと逢える貴重な時間に、心がウキウキしていた。ゆっきーの顔を見るまでは――。「竜馬、お疲れー」 先に店舗に入っていた俺に、ダルそうな感じで挨拶してきた。「お疲れ、さま……。何でゆっきーがシフトに入ってんの? アキさん病欠?」 カウンターにあるレジの前でぴきんと固まる俺に、はーっと深いため息をついて、眉根を寄せながらじっと見つめるゆっきー。「何でって、思い当たるフシがあるでしょ。あまりにも可哀想だから、俺とシフトをチェンジしたんだよ」「そんな……」 アキさんに逢える貴重な時間が、これでなくなってしまったじゃないか!「いい加減に諦めなよ。ホントのところは、応援したいんだよ俺だって。千秋に好きな人がいなければの話だけどさ」 言いながら、どんっと体をぶつけて苛立ちを表す。「だけどライバルがあのカッコよすぎるイケメンじゃあ、絶対に無理だって。千秋もぞっこんって感じでしょ?」「うん、そうだけど」「竜馬だって、そこそこのイケメンなんだしさ。千秋を諦めて、もっと周りを見てごらんよ。いい人がきっといるって」 分かるような分からない説得をするゆっきーに、首を縦に振ることが出来なかった。「そんなの無理だよ。だってアキさんが好きなんだ、すっごく」「竜馬……」「どうやってこの気持ちを断ち切ればいいか、全然分からないんだよ。その方法を教えて、ゆっきー。辛くて堪らない……」 アキさんに逢える唯一の貴重な時間が絶たれて、このときはマイナス思考が心の中をぐるぐる支配していたけれど、あとから冷静に考えたときに思いついたんだ。アキさんのシフトの日を狙って、帰りを待ち伏せすることに――。
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蒼い炎11

*** 出口のない迷路を、当てもなく彷徨っているような感覚――アキさんを追いかけたところで困らせてしまうことが分かっているのに、追いかけずにはいられない。心の中で燻っている、蒼い色をした残り火がある限り……。 コンビニの影に身を潜め、壁に寄りかかりながらアキさんが出てくるのを待っていた。 ここに到着したときに見た店内で働く様子は、笑顔を絶やすことのない楽しげな感じで、自分と一緒にいるときとの違いに、正直ショックを受けてしまった。出待ちを躊躇うくらいショックだったのにそれを押し留めたのは、胸の中でちりちりと燃えている蒼い炎だった。「……井上さんに負けたくない。俺だって、アキさんが好きなんだから」 拳を握りしめて空を仰ぎ見た瞬間、従業員出入り口の扉の開く音が耳に届く。物陰からそっと窺ってみたら、外の寒さに身を縮込ませながらも、柔らかい笑みを口元に浮かべるアキさんがそこにいた。(君を振り向かせるために、俺はここに来たんだよ――)「お疲れ様、アキさん」 大きな声で言い放ちながらコンビニの影から突然出てみると、一瞬で表情が変わった。大きな瞳をさらに大きくして、俺をじっと見つめる。 アキさんに見られている――そう感じるだけで、胸がいっぱいになるな。「な、んで?」「何でって、それは俺が言いたいよ。いきなりシフトを変えちゃうんだもんな。大学だって逢うのは稀なのに、ここでも逢えないとなったら、アキさんの帰りを狙うしかないじゃないか」 井上さんから君を奪うには、少しでもいいから接触しなければならない。俺の存在をその身に感じて、たくさん意識してもらわねばならないからね。「ハハッ、すっごく驚いた顔してる。大丈夫、安心して。夜道で襲ったりしないから」 とりあえず、何もしないことをアピールしてみた。「と、当然だよ、そんなの……」 顔を引きつらせつつじりじりと俺との距離をとってから、逃げるような足取りで歩き出すアキさんの横に並ぶように、同じように早足で歩いてやる。「俺ね、アキさんが大学構内の階段下で電話してるの、こっそり聞いちゃったんだ」「!!」 微妙すぎる表情を浮かべていたからこそ、思いきって大学構内の話を投げかけてみた。「『愛してる、穂高さん』って言ってるのを聞いて、すっごく妬けた。井上さんが羨ましくなった。だけどね……」 俺の言葉に恐るおそるとい
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蒼い炎12

*** あの後――『押し付けられる想いは、迷惑にしかならないよ。それに今みたいに抱きついたり嫌なことをするようなら、俺にも考えがあるから』 というアキさんの考えを読み、バイトをしている店の外で待ち伏せをしてみたり、その帰りをただ背後をついて歩いたり、他にもアパート前で待ち伏せして、姿を現すだけにしてみた。 バイトを終えて疲れて帰ってくる彼のストレスを考慮したら、張り詰めるような緊張感が続くのは、せいぜい1週間から10日くらいだろうと予想を立てた。まあどんなに長くても、俺のこの想いは簡単に消えるものではないけれど。 そんな自分で予想したアキさんの精神力がどれくらい持つか、先が見えないものだからこそ楽しみもあって、怯える彼の背中を窺いつつ、必死になって隙を探した。 しかしながら当然というか思っている以上に彼のガードが固く、そういうところがアキさんらしいなと毎回微笑んでしまう俺は、相当逝かれてると思う。 だけどそれも、今夜で終わりにしてあげるね――。この手を使って、アキさんを俺のものにしてあげる。どんなに逃げても追いかけて、ぎゅっと抱きしめてあげるから、楽しみにしていてほしいな。「アキさん、大好きだよ……」 彼に恋人がいても気にしない。絶対に俺のものにしてしてみせる! たとえそれがアキさんに嫌われる行為になったとしても――。「俺の想いをアキさんに伝えるために、やらなきゃダメなんだ!」
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