俺には氷室華《ひむろはな》という同じ年の幼馴染がいる。「りょうた、きょうも家にあそびにきたわよ」 家が隣同士というだけで昔から彼女は俺の家に来ては、日が暮れるまで遊んでいき帰っていく。 「亮太、来たわよ」「おう、いらっしゃい」 それは高校生になってからも続いていて、休日である今日ですら遊びにやってきていた。(男女二人が、同じ屋根の下で二人きり。シチュエーションとしては最高なんだけどなぁ) よく読むラノベとかだったらこういうのにもドキドキさせられる展開ではあるのだが、何だかんだでそれが十年以上続いているとなればそれもすっかり慣れてくる。「またアニメ見てたの? よくもまあ、毎日飽きないわよね」 華は何の抵抗もなくリビングに上がってきては、俺が直前まで観ていたアニメが流れているテレビを見て呆れたように呟く。「別にいいだろう。俺が自分の休日をどう使おうか」「自由だけどこんなので貴重な一日を潰していたら勿体ないと思わないの?」「余計なお世話だし、勿体ないなんて思っていないからいいだろ?」 俺は冷蔵庫からお茶を取り出し、それをコップに入れると、華にそれを渡す。彼女は「ありがとう」と受け取った。「それで今日は何をするんだ?」 華が家に来る時の目的は大概テレビゲームなどの遊びで、今日もてっきりそれが目的だと思っていたのだが、今日の華はどこか神妙な面持ちだった。「亮太、今日はあなたに頼みがあってきたの」 そして彼女は麦茶を一口飲んだ後に、俺をまっすぐ見つめてそう口を開いた。「頼みごと?」 これまで一緒に過ごしてきた中で彼女が俺に頼みごとをしてきたことなんて数少ないので、俺もつい重めの口調で答えてしまう。「こんな事急に頼まれても困ると思うし、私としても少し恥ずかしいというかあまり人に頼めるようなことではないのだけど......」 華は何か言おうとしているが、躊躇っているらしくずっとゴニョゴニョしている。俺は敢えて何も言わずに彼女の言葉を待っていると、「私の......になってほしいの」「ん? 聞き取れなかったんだけど」「だから、その、私の、か、か、かっ」「か?」 華はさっきの真剣な面持ちとは裏腹に顔を真っ赤にしながら、家中に聞こえるように叫んだ。「私の彼氏になってほしいの!」 俺は一瞬彼女が何を言っているか理解できずに頭が真っ
Last Updated : 2025-10-11 Read more