Semua Bab 叶わぬ恋だと分かっていても: Bab 11 - Bab 20

78 Bab

2.*嫌がることはしないから⑥

「嫌だって言ったら……最後までしないでいてもらえますか?」 緒川さんを振り返ってそう言ったら、小さく微笑まれた。 「どう思う? 菜乃香は俺がそんな甘い男だって思ってないよね?」 クチュッと入り口に沈められた指がその言葉と同時に奥を目指すように深くなって、さらにそのまま内壁の1箇所をこするようにゆっくりと中を撫でられ、押し上げられる。 「んっ、……やぁ、っ!」 途端、ゾクリとした快感が内側から迫り上がってくるのを感じて、私は思わず息を呑んで身体に力を入れた。 そうしないと、中から何かが溢れ出してしまいそうで怖くて――。 「ここ、こすられると気持ちいいでしょう?」 緒川さんの手指にはその部分の感触が、他とは違って感じられているの? まるで一部にだけ神経が集中しているかのような感覚をもたらす私の中の〝そこ〟が、俺には分かっているんだよ?って言われているみたいな触れ方をされて、私は目端に浮かんでくる涙を抑えることが出来なかった。 「もっと、奥にも同じくらい気持ちいいトコロがあるんだけど……ごめんね。指じゃあ届きそうにない」 それは暗に〝指以外〟でなら届くのだと仄めかされているようで。 入り口付近の気持ちいい場所と、外で固く勃ち上がっている小さな突起、それから胸の頂をふしくれだった手指で同時に責め立てられた私は、頭の奥がじんと痺れて麻痺していくみたいにボウッとしてきてしまう。 お酒の効果も手伝ってか、身体の中がじんわりと熱を帯びてきたのが分かった。 ――もっともっと気持ち良くなりたい。もっともっと何も分からなくなるくらいこの人に乱されてみたい。 そんな動物的な感情に突き動かされるみたいに、ギュッと緒川さんの腕に縋り付く手に力を込めると、 「――もっと、感じたい?」 と、まるで全てを見透かされたみたいに耳元で低く甘く囁かれて。 「……欲し、ぃです……っ」 いけないことだと分かっているのに、私、その時にはもう、そう強請らずにはいられなかった。 途端、緒川さんが「了解」とつぶやいて、私を仰向けにすると、膝裏をギュッと抱え上げるようにして自らの肩に載せて両足を押し開いてきた。 人差し指と中指でクチュクチュと膣の中
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-01
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3.*転がり落ちるふたり

緒川さんと初めて肌を合わせたあの日以来、私と彼はまるでタガが外れたみたいに毎日毎日ほんの少しでも時間があれば身体を重ねるようになっていた。 2人が逢瀬を重ねるには、後部シートがほぼ外からは見えないスモークガラス仕様の彼のワンボックスカーはとても有用で、私たちは昼休みを共にそこで過ごし、ほんの数十分足らずのその時間でさえも惜しむように身体を求め合った。 夕方も仕事終わりには彼の車で2時間ばかり、他愛のないお喋りをしながら、肌を合わせる。 それを仕事のある日にはほぼ毎日。 恐らく緒川さんは私が今まで付き合ってきたどの男性よりも性欲が強くて、そうしてどの男性よりも上手に私を抱いてくれた。 恋愛経験値の低い私が、彼の手練手管に溺れてしまうのなんて容易いことで――。 その腕に抱きしめられただけで、彼に飼い慣らされた淫らな身体は、緒川さんを求めて濡れてきてしまう。 毎日昼に夕に抱かれることが当たり前になっていて、生理が始まると抱いてもらえないことに悶々としてしまうぐらい、私は彼との情事に溺れていた。 緒川さんはよく、自分はイケなくても、菜乃香のなかに受け入れてもらえるだけで幸せな気持ちになれる、と言ってくれて。 私は彼が安らぐことが何よりも嬉しくて、求められれば嫌と言うことなんて有り得ないと思うようにさえなっていた。 休日にも土日のどちらかには必ず会いにきてくれて、夜も毎日2時間ぐらい電話で話す。 およそ今まで付き合ってきた、彼氏にですらされたことのないような手厚さで,私は緒川さんに愛されていた。 妻帯者であるはずの彼が、家にいてさえもそんなことができるのは何故なんだろう?と考えたことがないわけではない。 でも……妻は俺に興味がないからね、と言われればそうなのかな?と思ってしまう。 緒川さんがあまりにも私中心で動いてくれることにすっかり慣れてしまって、段々私たちは「不倫」をしているんだ、という感覚が薄れていくようで。 さすがに市内を2人で歩くときに腕を組んだり手を繋いだりはしなかったけれど、ほんの少し市外に出てしまえば、普通の恋人同士のように仲睦まじく腕を組んだり手を繋いだりしてデートを楽しんだ。 休日に2人で県外にお出かけするときな
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4.*俺だけの特権①

「あのね、なおちゃん、私、市役所の臨時雇いの更新、次はしないでおこうと思うの」 ブラウスの前を肌蹴られて、スカートの中は何も身につけていない状態で彼と繋がっている。 向かい合うような格好で、後部シートに座る緒川さんの上に跨った状態で交わしていた口付けを解くと、私は静かにそう告げた。 「正社員の仕事を……探そうと思ってて――、んっ……」 今、彼から離れたばかりの唇を割り開くように節くれだった男らしい無骨な指が侵入してくる。 その指先に口中を好き勝手に侵蝕されながら、ぼんやりと考える。 今まで私は1年半近く、正規雇用職員ではない、雇用期限のある雇われ方のもと、数ヶ月単位でほんの少しのお休みを挟んでは市役所内の課を渡り歩くような仕事の仕方をしてきた。 最初はなおちゃんと同じ課。 半年経った頃に、別の課――下水道課――へ配属になって。 それを機になおちゃんから告白されたのが数ヶ月前のこと……。 下水道課での雑務も、そろそろ半年。任期が切れる頃合いだ。 少しお休みをしてまた別の課へ行くか。もう辞めてしまうかを選択しないといけない。 今までは何とも思っていなかった、そんな根無草のようなふわふわとした働き方が、何だか急に虚しくなって。 下水道課での任期を満了したら、もうこの仕事は続けまいって心に決めた。 誰にも紹介できない宙ぶらりんの恋人に、中途半端な責務しか負わない非正規雇用の仕事。 私、何ひとつ地に足が着いていないじゃないって心の片隅で思うようになって。 現状、彼と別れることは考えられないって分かっているから……。 だからせめて仕事くらいは正社員で雇ってくれるところに行こうって思ったの。 「それでね、仕事が落ち着いたら……実家を出ようと思ってるの」 私の言葉に、なおちゃんが「ひとり暮らしでもはじめるつもりか?」って聞いてきて。 不意に腰を抱えられて、下から深く突き上げられた私は、彼の肩についた手指にギュッと力を込める。 「んっ、ぁ、……そ、の……つもり……ッ」 私がひとり暮らしを始めたら、こんな風に車の中でしなくてよくなる。 外から中を覗いたことがあるから、こんなことをしていても誰にも見えっこないというのは知っている。
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4.*俺だけの特権②

「俺の目の届かないところに行って、浮気でもするつもりなの?」 自分には奥さんはおろかお子さんだっているくせに、そんなことを言ってくるなんて……ずるい。 なおちゃんは歳の離れた私が、いつ彼に飽きて同年代の男性と関係を持ってしまうかと気が気じゃないらしい。 「菜乃香は押しに弱いから」 そう言われて眉根を寄せられると、「そんなことない」と即座に否定できないのが自分でも情けなかった。 現になおちゃんとの関係だって、最初は彼からの猛プッシュに負けたわけだし尚更。 「俺はね、菜乃香。本気は許すけど浮気は許さないから」 私が、その人との結婚を考えるような相手にならば、抱かれても目をつぶるけれど、そうじゃないならお仕置きをする、と言われる。 「――私がその人に本気でも……相手がそうじゃない場合はどうなるの? ……貴方と私の関係みたいに」 言ってはいけないと思ったのに、思わず要らないことを付け加えてしまって、喉の奥にトゲが刺さったみたいにチクチクと痛んだ。 それを誤魔化すみたいにギュッとなおちゃんにしがみついたら、 「菜乃香、それ、ナカ……締まる」 って切なく吐息を落とされた。 私、何もしてないのに、……本当? ズルイなおちゃんは、私が心の底から聞きたいって思った質問には、いつも何だかんだとはぐらかしてちゃんと答えてくれない。 「嘘つき……」 締まってなんかいないはずだし、私の質問への答えを誤魔化そうとしてるだけでしょう? 私のことは縛ろうとするくせに、自分のことは微塵も掴ませてくれないなおちゃんが憎らしくてたまらなくて。 なおちゃんの耳元で「嘘つき」ってつぶやいたら、小さく吐息を落とされた。 「菜乃香。俺はね、最初に話したように妻や子供に対して責任があるんだ。だからね、菜乃香の言いたいことは分かるけど、その望みは叶えてあげられないよ」 ごめん、と言う言葉とともに、すっかり萎えてしまった彼が私の中から引き抜かれる。 「――っ」 その感触にですらゾクリと身体が震えて、私は自分が情けなくてたまらなくなった。 なおちゃんがいなくなったことを惜しむみたいに、鼠蹊部を、トロリと温かな体液が伝って、それが更に自分への自己嫌悪を募らせる。 「
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5.*転職を機に①

「就職、おめでとう」 なおちゃんにそう言われて、私は淡く微笑んだ。 職場が離れてしまった私たちは、当然だけど今までみたいに昼休みに会うことは出来なくなってしまった。 そのことを寂しく思っているのは、私だけかな。 なおちゃんは案外気にしていなさそうに見えて、自分から環境を変えたくせに何だかモヤモヤしてしまう。 私の仕事が終わるのは17時。 なおちゃんの定時より15分ほど早い。 本社の方ではサービス残業が当たり前になっているみたいだけれど、幸い私が配属されたのは本社と徒歩5分ぐらいの距離にある工場事務所のほうで。 そちらは基本的に残業なしで帰れるみたいでホッとする。 職場が離れて、昼休みに会うことができなくなってしまった私たちは、仕事後か、休日に会うしか出来ないから。 残業が入ってしまうような職場だったら、毎日なおちゃんと会うことは不可能になってしまう。 そんなのは寂しすぎると思ってしまって――。 *** 夕方。 私の実家近くにある、隣県に本社のあるショッピングモールの平面駐車場の一角で、私はなおちゃんの車の横に自分の軽自動車を停めた。 20近い専門店と、スーパーからなるこのショッピングモールは、私が幼稚園児の頃に本館が出来、どんどん拡張して西館、南館などが新設された。 そのくせ立体駐車場などは有しておらず、とにかくだだっ広い平面駐車場――収容台数数百台――の一角に、ホームセンターやファーストフード店などが点在している、地元民御用達のモール。 駐車場内にアレコレ別の店舗が入っているおかげで、モールに用がなくて駐車していても目立たない。 その上駐車料金も終日無料。 駅近の立地も手伝って、ここの駐車場に車を停めて電車で県外に遊びに行く人も多い。 私が転職してからは、ここが私となおちゃんの定番の密会場所になっていた。 転職を機に買った、中古のピンク色の軽自動車は私をあちこちに連れて行ってくれる。 それこそ、望めば我が家から車で40分以上離れたなおちゃん家の近くにだって行くことが出来るのだ。 さすがにそんなことはしないけれど、自転車で移動していた頃より格段に行動範囲が広がったことだけは確かだから。 なおちゃんに請われれば、私、どこにだって出向いて行ける気がした
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5.*転職を機に②

そう。 私が配属された工場は、50人以上の男性作業職員に対して、女性は私ともう1人、先輩事務員の渡辺真帆さんだけ。 渡辺さんはとってもおおらかで気さくな女性で。私より3つ年上の、本当に面倒見がいい素敵な人だ。 「分かんない事があったら遠慮なく聞いてね」 その言葉の通り、自分が忙しい時でも、私が困ったことがあると、嫌な顔ひとつせず、すぐに救いの手を差し伸べてくれる。 広い事務所――机だけは工場長のものや、現場職の課長のものまであるのでたくさんある――に、基本私と渡辺さんのふたりきり。 ここには、1階階段下に小さな現場事務所があって、宮部工場長はずっとそちらに詰めているし、工場長補佐の長和さんもそんな感じ。 おふたりは工場内のどこかにいらっしゃるか、現場事務所で書類と格闘しているかのどちらかで、最上階――階数的には3階だけど、2階の工事スペースの天井がとても高いので実質5階ぐらいの高さに位置している――の、だだっ広い事務所にはほとんど顔をお出しにならない。 私たちがいる最上階のフロアには、一応壁で仕切られた会議室なども完備されているから、来客があった時なんかに、宮部工場長に伴われた客人数名が上がってくることがある程度。 でもそんなことは数ヶ月に1回あるかないかだから気楽なものよと渡辺さんが笑った。 「工場のおっちゃんたち、みんな優しい人ばかりだし、宮部工場長も長和さんも優しいから、本社より断然働きやすいからね。工場配属おめでとう!」 クスッと悪戯っぽく笑いかけてくれた渡辺さんの言葉通り、たまにお使いで行く事がある本社の重苦しい雰囲気に比べたら、工場は天国みたいに和気藹々として働きやすかった。 それでもバイトみたいな形で勤務していた市役所の会計年度任用職員の時と違って、正社員だから、責任のある仕事をバンバン任される。 私たちが主に手がけていたのは、仕上がった製品に添付して客先に提出する「製品検査成績書」の作成だった。 金属メッキ工場だったうちの工場には、スクリューやコンダクターロールなどが常に何種類も客先から預けられていて、それに0.何ミクロンの厚さでメッキを施して出荷する。 検査課の佐藤課長は年配の痩せぎすのおじさんで、口は悪いけれどとても人情味のある人だっ
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5.*転職を機に③

何となくだけど、なおちゃんは会える頻度が減ってしまったら、その穴を埋めるために新たな女性を作る気がして。 残業があるたびに、それが不安でたまらなくなった。 そう訴えるたび、「俺はそんなに器用じゃないよ」って彼は笑うけれど、現に奥さんがいるのに私と付き合っていることに、なおちゃんはそんなに罪悪感を覚えていないように見える。 きっと私に対しても、そういう不義理なところを遺憾なく発揮しちゃうんじゃないかな?と考えずにはいられなくて。 自分はそんな風に自由奔放なのに、なおちゃんは私が浮気をすることは許さないって言う。 本気ならいいけどって言われても、私にはその違いがよく分からない。 そもそもなおちゃんへのこの気持ちは浮気なの? 本気なの? 私が結婚したいって思える相手ならば本気と見做すとなおちゃんは言ったけれど……だったら私の貴方への気持ちは本気ってことになっちゃうよ? 貴方とは結婚なんて絶対無理だと――そんなのしてくれる気なんてさらさらない相手だと分かっているのに……。 それでも「もしかしたら」という気持ちを捨てきれない私は大馬鹿者だ。 なおちゃんはずるい人だと頭では分かっているのに、私は彼から離れることが出来ないの。 きっと、彼のような浮気性の男性にはありがちなことなんだろうけれど、なおちゃんは女性の扱いがとてもうまい。 それに、一緒にいるときは怖いぐらいに私だけを愛してくれていると錯覚させてくれるから。 冷静な部分では、なおちゃんのこと、さっさと見切りをつけてしまわないと、って焦っているし、この恋に未来はないと分かっている。 それでも尚、私はこの泥沼から抜け出すことができないのだ。 結局のところ、私もなおちゃんと同類の最低な人間なんだと思う。 このモヤモヤとした苦しみは、きっと奥さんを苦しめている自分へのささやかな罰。 なおちゃんは、奥さんには家族としての情のみで、男女としての恋愛感情はないって言うけれど、それはなおちゃんの一方的な言葉に過ぎないって私、分かっているの。 なおちゃんにそのつもりがないからと言って、奥さんも彼に対して恋愛感情がないとは限らない。 そう気付いていながら、そこからあえて目をそらすように妻帯者と一緒にいるんだもの。 私だって、十分に罪
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5.*転職を機に④

「やんっ、痛い、なおちゃんっ」 いつもより強めに吸い上げられた皮膚は、赤紫に鬱血して、しばらくは消えそうになくて。 転職したばかりで落ち着かないから、私はまだアパート探しすら始めていない。 もう少し落ち着くまでは、両親たちと実家住まいの身。 両親だって20歳を超えた娘がお風呂に入っているとき、わざわざ覗きにくるようなことはないけれど、それでも脱衣所にいる時などに、不意にお母さんに扉を開けられて話しかけられることはある。 だからキスマークをつけられるたび、私、ソワソワさせられるの。 「お願いっ。あまり痕、付けない、でっ」 それでそうお願いしたら、なおちゃんは聞こえないふりをしてもう一方の乳房にも同じように痣を刻みつけるの。 「菜乃香、悪いけど俺、そう簡単にお前を手放すつもりはないから」 グイッとブラを引き下げられて、まろび出た色付きの先端を噛み付くように強く吸い上げられる。 「あ、んっ、なおちゃっ、強いっ」 あまりにキツく吸われ過ぎて、敏感すぎるそこがジンジンと痺れるような痛みを訴える。 生理的な涙がじわりと浮き上がった視界のなか、もう一方の先端が、なおちゃんの指先でギュッと引っ張られるようにこねられたのが見えて。 「や、ぁっ!」 痛みに思わずなおちゃんの髪の毛をギュッと掴んだけれど、基本的に従順に躾けられた私は、それ以上の抵抗をすることが出来ないの。 「たまに、ね。この可愛らしい乳首を噛み千切ってしまったら、菜乃香はもう俺以外の前じゃ、服、脱げなくなるんじゃないかとか考えてしまうんだ」 怖いことを言って、まるでそれを実行するかのように固く立ち上がったそこを前歯で挟まれて。 私は必死でイヤイヤをする。 「なおちゃん、やめ、てっ。私、なおちゃん以外の前で脱いだりしない、からぁっ」 必死で訴えてみるけれど、なおちゃんにとっては真実なんてどうでもいいのかも知れない。 「きゃっ、ぁ……!」 一瞬だけグッと噛みつく力を強められた私は、ギュッと目を瞑ってその痛みに耐えた。 もちろん、噛み切られるほど酷くはされていないのだけれど、先に言われた言葉のせいで、私、すごくすごく怖くて。 「なおちゃん、信じて。私にはなおちゃんしか見えてないっ!
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6.新居探し①

新しい職場に移って3ヶ月。 お給料は日給月給制で、休んだりしない限りは一定額の月額報酬がもらえる。 今はまだないけれど、有給休暇がつくようになれば、休んでもお給料に響かなくなる。 月々のお金の入りが大体把握出来たと感じた私は、両親に実家を出て一人暮らしを始めたい旨を打診した。 元々無駄を嫌う堅実な姉と違って、損得度外視で、一度言い出したら聞かないところのある娘だったからか、両親は「人様に迷惑をかけないこと」「困ったことがあったら包み隠さず親に相談すること」を条件に家を出るのを許可してくれた。 賃貸契約の際には「わしが保証人になってやるから」という父からの言葉に、私は「お父さん有難う」とお礼を言いながら、「家を出たい理由が不純でごめんなさい」と心の中で謝罪した。 *** アパートを探すことを決めてからは、仕事後、今までのようになおちゃんと実家近くのスーパーに集合するのをやめた。 ここ1週間ほどは、昔私が市役所で働いていた頃にふたりで昼休みを共に過ごした、なおちゃんの借りている庁舎近くの月極駐車場で落ち合っている。 いつもなら、会うなりなおちゃんの車に移動してイチャイチャするところだけれど、ここ数日はなおちゃんが私の愛車に移動してきていて。 私は助手席に座り直して、なおちゃんの運転で市内の不動産屋さんを巡る毎日。 なおちゃんは市役所の職員さんだけあって、市内のこと――特に地区ごとの治安の良し悪し――に詳しかった。 若い女の子が1人で暮らすならこことここは避けたほうがいい、逆にこの辺りはお勧め……など、私が知らないことをあれこれ教えてくれて。 不動産屋さんが、彼の知識に舌を巻いていたくらい。 お金さえ気にしなければ、セキュリティ面でも安心できる物件を借りることが出来るのだろうけれど、現実問題私が稼げる給料の中で、賃料に充てられる金額は5万円以内が関の山だった。 だから、せめて立地でぐらいは少しでも不安要素を減らしておくべきだと考えたみたい。 そういうところ、やはりなおちゃんは年上の男性なんだなという感じがして、とても頼り甲斐があった。 田舎なので贅沢を言わなければ、4万円程度の家賃でも、2LDKの物件が結構あって。 けれど、私には車もあるので駐車料金が別途発生することを考えると、賃料の上
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-01
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6.新居探し②

私がどうしても譲れなかった、バス・トイレが別々になっていると言う条件も、お風呂は追い焚きができたら嬉しいなという希望も、ここはクリアしていたし、何より一番心配だった家賃が、駐車料金や共益費込みで4万5千円と、とても現実的に思えて。 これなら、私の少ないお給料でもちゃんとやりくり出来る。 「ここに決めようかな」 そうつぶやいたら、なおちゃんが「いいね」というようにギュッと手を握ってくれた。 私の住む町には更新料や契約料のようなものもない物件が殆どだ。 私が借りようと決意したアパートも、そう言うのはなかった。 けれど、敷金礼金は必要で――。 それが、貯金を減らして結構痛いな、とか思ってしまった。 よくよく考えてみたら、ひとりで生活を始めるには何かと揃えなければいけないものだって多い。 洗濯機や電子レンジ、それに冷蔵庫くらいは最低限必要な家電かなと思うし……窓にはカーテンなども必要だ。 食器なんかは当面のところ実家からいくらか拝借してきたのを使うとして、そのお皿などの収納はどうしよう。 とりあえず3段ラックに仕舞うんでいいかな。 ベッドは実家で使っているのを持ち込もう。 使い回せるものはそれで済ませるにしても、買わないといけないものがいくつかあるのは事実だった。 月々の家賃さえしっかり払えるならば一人暮らしをスタートするのに困ることはないと思ってしまった浅はかな自分を、今更のように呪いたくなる。 なおちゃんが私の心配なんて知らぬげに、不動産屋さんとどんどん話を進めてしまうから……私は内心そわそわと焦ってしまった。 あれこれ思い浮かべていたらさすがに少し不安になって、「ちょっと待って欲しい」と彼の作業服の裾を引っ張ったら、「初期費用や当面必要な物なんかは俺が何とかするから気にするな。菜乃香は月々の家賃のことだけ考えていればいいよ」と頭を撫でられる。 「でっ、でもっ」 それではなおちゃんに負担がかかりすぎてしまう。 そう思って眉根を寄せたら、「ちょっと失礼」となおちゃんが不動産屋さんに声を掛けて、私を店外に連れ出した。 *** 「なおちゃん……?」 何が何だか分からないうちに彼に手を引かれて付いてきた私は、不安になって恐る恐るなおちゃんを見上げる。 なおちゃんは私
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