LOGIN地元の市役所に、期間限定雇用の会計年度任用職員として勤める戸倉菜乃香(とくらなのか)。 元・配属先の都市開発課にいた男、緒川直行(おがわなおゆき)に、ある日突然告白されて。 緒川が妻帯者であることを知った菜乃香は…。 ―― 執筆期間:2021/03/01〜2023/07/01 ―― ※「*」印の付いた章は、色艶めいたシーンが入ります。 ○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。 (作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
View More【Prologue】
--------------------- 「やっ、ん。自分からねだるようにたっくんに口付けて彼を見下ろしたら、 「……菜乃香、ごめん。自分から言っといて恥ずかしいんだけど……僕、いま正常位は無理だから。――菜乃香の方から僕の上に座ってもらっても……いい、かな?」 そう問いかけられた。 たっくんが出来ないことは私が補う。 それは最初に二人で取り決めたことだもん。 コクッとうなずいたら、たっくんがそれを確認してベッドサイドからゴムを取り出した。 たっくんが慣れた手つきで自身に避妊具を装着している間、私はそろそろと下着を脱ぎ捨てる――。 「建興くん……大好き……」 「僕もなのちゃんが大好きだよ」 気持ちを確かめ合うようにそんな言葉を交わして、たっくんと向かい合う形で彼の上にまたがった。 そうして――。 懸命に彼の切っ先が入り口を割るように狙いを定めて腰を落とすのだけれど、ぬるついた彼のモノは気持ちいいところを掠めるばかりでちっとも中に入ってきてくれないの。 うまく入れられない度、彼の先端に敏感なところを擦られるから、そのたびに身体がビクッと跳ねて余計にうまくいかない。 「菜乃香、ちょっと待って……」 何度かそれを繰り返していたら、見かねたようにたっくんの手が、自らの根元をグッと支えて動かないようにしてくれて。 「っ――!」 私が少しずつ腰を下ろすのに従って、定まったたっくんの先端が私の隘路を彼の形に押し開きながら侵入してくる。 「んんっ……」 ギュッとたっくんにしがみついて、ゆっくりゆっくり彼を飲み込んでいく私の腰に、たっくんの手が添えられて――。 「ごめん、菜乃香……、僕、もぉっ、待てないっ」
乞われるまま、口に当てていた手を恐る恐る放してたっくんの両肩へ載せたら、服の裾から彼の手が入り込んできた。 直に胸へ触れられているんだと思ったら、恥ずかしいのに何だかすごく嬉しくて。 「お願い、たっくん、そこっ、……」 ――舐めて? 無意識にそうおねだりしそうになった私は、慌てて口をつぐんだ。 でもたっくんは、私が何を言いたかったのか分かったみたい。 「もしかして菜乃香は可愛いここを僕に舐めて欲しいのかな? だったらお願い。上、脱いで……僕の前に胸、突き出して?」 照れ屋さんで可愛かったり……物凄く意地悪だったり。どれが本当のたっくんなんだろう? 「あ、あの、でも」 「恥ずかしい?」 当たり前だよ。 そんなの分かってるくせに。 涙目で彼を見下ろしたら、たっくんがニヤリと笑った。 「菜乃香、知ってた? このTシャツ、薄手で白無地だからさ。……菜乃香の可愛いココ、透けて見えてるんだ」 言うなり布地ごしにたっくんが私の胸をパクリと咥えた。 「ひゃ、あ、んっ」 直に触れられるほど直接的ではないけれど、どんどん布が湿り気を帯びて、敏感な胸の先にたっくんの熱を伝えてくる。 Tシャツ越し。ツンと勃ち上がった乳首を舌先で転がされるのは気持ちいいけど、何だかすごくもどかしい。 気が付けば、私はたっくんの後頭部をギュッと抱えるように抱きしめていた。 「や、んっ、たっくん……、くすぐったい」 本当はくすぐったいのとはちょっぴり違う。 気持ちいいけどアクセル全開じゃないから、熱がどんどん内側にこもってくる感じ。
と、どこか申し訳なさそうな表情のたっくんに、「あ、あのさ……。このまま口で、は寂しいなって思って……」 もちろんそれも悪くはないと思うんだけど、とゴニョゴニョと歯切れの悪い物言いをしながらも、「それに……」とたっくんが付け加える。 「それに、その……ぼ、僕も……菜乃香を気持ちよくしてあげたいって思うんだけど……ダメ、かな? って言うか正直に暴露するね。――僕も……、めちゃくちゃ菜乃香に触れたくてたまらないんだ!」 初めて身体を重ねる時くらい、私に触れて、それからちゃんと繋がってから一緒に果てたい……と、たっくんが私をうかがうように見やって。 そうしてハッとしたように自分の脚に視線を落としてから、申し訳なさそうに付け加えた。 「って言っても僕は今、このザマだ。……思うように動けないかもしれないんだけど」 しゅん、と項垂れるたっくんに、私は慌てて口走らずにはいられなかった。 「あのっ! たっくんがうまく出来ないところは……わ、私がっ、頑張るんじゃ……ダメ、かな? エッチって一人でするものじゃないと思うし……その、ふ、ふたりで助け合って、き、気持ちよく……なりたいな……?って思うんだけど……」 こんなこと女の子から言うのはどうなんだろう。 とてもはしたないことを提案している気がしてしどろもどろになった私を、たっくんがグイッと引き上げて抱き締めてくれた。 片腕で引き寄せられたのに、いとも簡単に立ち上がらされてたっくんの腕の中。 脚を怪我していてもこれ。 今更のようにたっくんは力のある〝男の人なんだ〟って思い知らされて物凄く照れ臭くなる。 「菜乃香。さっきの提案、すごく嬉しい。僕ね、セックスって男が頑張るものだって勝手に思い込んでたから……女の子からそんな風に言ってもらえるなんて正直思ってなかったんだ。……ね、菜乃香。僕に足りない部分
途端、たっくんが抑え切れないみたいに吐息を漏らして。 頭に載せられたままの彼の手に微かに力がこもった。 私はそれがたまらなく嬉しくて、もっともっとたっくんを悦ばせてあげたいって思って。 「痛かったら、……言ってね?」 告げて、そっと鈴口を割り開くように舌先を押し当てた。 尿道口に添って丹念に舌を這わせて、ちょっぴり塩辛い潤みを丁寧に舐め取ると、そのまま根元に向かって一直線に舌を下ろしていった。 根元までたどり着いたら同じ軌跡をたどって上まで戻って、くびれたところを舌全体で優しく愛撫する。 「……なの、かっ」 早く咥えて?とでも言いたいみたいにたっくんが吐息交じりに私の名を呼んで、頭に載せられた手にグッと力を込めてきて。 私はそんなたっくんのことを心底『カワイイ』と思って、もっと喘がせてみたくなる。 うまくおねだり出来ないたっくんが悪いんだよ?と言わんばかりに、わざとくびれの外周を何度も何度も舌を使って行き来しては時折鈴口に舌先を這わせて焦らす。 口の中一杯にカレを頬張るのはちゃんとして欲しいって伝えてもらってから。 こういう閨事の駆け引きは、あれもこれもみんな……なおちゃんが私に仕込んだことばかり。 それを他の男性にするのはどうなの?と頭の片隅で警鐘を鳴らしつつ、だけど私はこの愛し方しか知らないから。 余りに積極的に責めたら、引かれてしまうかも知れない。 たっくんは私のことをまだ幼いままの〝なのちゃん〟として見ている可能性だって十二分にあるのだから。 なのに愚かなことに一度点火された劣情の炎は、私の判断能力を鈍らせるの。 そうして、幸いなことにそれはたっ