Lahat ng Kabanata ng 叶わぬ恋だと分かっていても: Kabanata 21 - Kabanata 30

78 Kabanata

7.消えない印①

「菜乃香、週末は一緒に買い物へ行かないか?」 引越し先は近場だからと、大きなものだけ父に軽トラで先に運んでもらっておいて、細々としたものはマイカーに少しずつ積んでは段階的に引っ越しを済ませた。 その段ボールが粗方片付いて、やっと一息つけるかなと思えるようになった頃。 なおちゃんがそう言って私の髪をすいた。 私が一人暮らしを始めてからは、なおちゃんの借りている市役所傍の駐車場まで私が車で出向いて、なおちゃんを乗せてアパートへ帰って。 そこで2人で2時間ぐらい過ごしてから、また同じように駐車場まで彼を送って行ってさよならをする。 そんなサイクルを繰り返すようになっていた。 情事は専ら私の部屋。 場所はベッドだったり、リビングの床の上だったり台所だったりお風呂場だったり。 今日はベッドで睦み合ったのだけれど、エアコンが効き始めるのを待てずに始めてしまったからか、私にしては珍しく身体がしっとりと汗ばんでしまって。 蝶を模したバレッタでハーフアップにしていた髪の毛は、なおちゃんがキスをしながらいつの間にか外していた。 どの道、髪を束ねたままでは仰向けになった時、頭が痛くて外す羽目にはなったのだろうけれど、それを見越したように先回りするなおちゃんが、やはり手慣れた感じがして憎らしく思えたの。 なおちゃんは、私の首筋や額に汗で張りつくようにほつれた髪の毛を、手櫛で優しく梳きほぐしながら、耳にやんわりと掛けてくれる。 そうして剥き出しになった耳朶を唇で食まれて、クチュリと水音を響かせるように舌先で愛撫された私は、くすぐったさの中に混ざり込む快感に思わず首をすくめた。 「や、んっ」 小さく抗議の声を上げたら、「菜乃香のお母さんはピアスしてるの?」と指の腹先で耳をつままれる。 何てことのない仕草なはずなのに、どうしてなおちゃんがやると何もかもが私の身体をゾクゾクさせるんだろう。 「……し、てる、よ?」 それがどうしたというのだろう。 私自身、耳を飾ることに興味がないわけではない。 ちょっと前まではイヤリングはピアスより少し野暮ったいデザインのものが多かった気がするのだけれど、最近はイヤリングにも繊細なデザインのものが増えてきて、ピアス穴のない私に
last updateHuling Na-update : 2025-11-01
Magbasa pa

7.消えない印②

「さすがに今はね、ほとんど膿まなくなったよ」 ニコッと笑顔を向けられたけれど、私は「ほとんど」と言う言葉が気になって。 「お母さん、ピアス開けたのいつ?」 聞いたら「二十歳になってすぐだからもう20年以上前ね」って答えてくれて。 「そんなに前に開けたのに膿むことあるの?」 ソワソワしながら身を乗り出したら、「ずっと同じピアスを付けっぱなしにしてたりするとね、汚れが溜まったりしちゃうんだと思うの」とか。 汗をかく夏は特に気を付けないといけないってことだった。 「膿むのを防ぐいい方法、教えてあげようか?」 悪戯っぽく笑うお母さんに、「なにっ?」って聞いたら、「毎日付け替えたいって思えるようなお気に入りのピアスをたくさん持つことよ」だって。 「菜乃香はピアス、興味ないの?」 キュッと爪先で耳朶を挟まれて、私は「なおちゃん、痛い」って彼の手に触れる。 「興味……なくはないけど……少し怖いの」 穴を開けるのも、開けた後も。 言ったら、「俺、菜乃香の耳にピアスの穴、開けたい」ってなおちゃんがつぶやいて。 「え?」 思わずその声に彼の方を見つめたら、耳たぶに触れられながらキスをされた。 「んっ」 口の中を掻き回すように舐められて、意識がそちらへいきかけるたび、耳をギュッと挟まれて。 「や、っ」 鈍い痛みに小さく吐息が漏れる。 「キスマークはさ……」 唇から首筋に降りてきたなおちゃんの口付けが、髪の毛で隠れるであろうギリギリのラインにチュッと吸い付いて赤い鬱血の跡を刻んだ。 そうしながらも、耳をいじる手は離してくれなくて。 何度もなおちゃんに力強く挟まれた耳たぶはジンジンとした疼痛と熱っぽさを訴えている。 「どんなに頑張って付けても……数日経ったら消えちゃうだろ?」 それでもなおちゃんから付けられたアザは、消え切る前に次のものを散らされるから、私の肌はずっとどこかしらに赤い花びらが舞い飛んでいるの。 「ん。だからなおちゃん、毎日新しいのつける、の?」 左の鎖骨のあたりにチクッとした痛みを感じて、そこにも新たなアザが刻まれたことを知る。 「そう。これは菜乃香は俺のものって印だからね」 消えないようにしないといけないのだ、と
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8.*斜め上からの独占欲①

「俺の言いつけを守って、毎日ちゃんと消毒して偉いね」 頭をふわりと撫でられて、私はご主人様に褒められた忠犬の気分でなおちゃんを見上げる。 「まだちょっと痛いかもしれないけど、毎日ポストを動かして消毒しなきゃダメだよ?」 あけてくれたピアスの穴の具合を確かめているからだろう。耳元で話すなおちゃんの吐息が耳を掠めて、私は思わず小さく吐息を漏らした。 「んっ」 「菜乃香は本当感じやすいよね」 途端くすくす笑われて、耳元の髪の毛を指先でくるくるともてあそばれる。 それがまたくすぐったくて……そこはかとなく気持ちいいの。 「菜乃香、可愛い。大好き。――ダメだって分かってても誰にも渡したくないって思う」 なおちゃんが熱に浮かされたような目をして私の身体を引き寄せると、あごを捕らえて貪るような口付けをくれる。 「んっ、ぁ、――なお、ちゃ……」 キスの合間を縫うように切なくなるぐらい愛しくてたまらない彼の名を呼べば、その言葉さえ逃したくないみたいに舌先で絡め取られた。 私たち、毎日のように会えば身体を重ねているけれど、全然足りなくて……もっともっとと思ってしまう。 それはきっと、なおちゃんが妻帯者で、どんなに肌を合わせても全部私のものにすることは敵わないという気持ちも手伝っての感情だと思う。 なおちゃんの方も、何だかんだ言っても家族を手放す覚悟までは出来ていないから。 刹那の逢瀬が心を焚き付けるんだろうな。 なおちゃんと一緒にいると、自分が動物になってしまったような気がして怖い時がある。 お互いに相手の身体を求めることしか見えなくなって、深く深くその行為に沈み込んで溺れてしまうような、そんな恐怖。 熱い抱擁と情事の後、なおちゃんがアパートを後にしてひとり部屋に取り残されてしまえば、途端喪失感で虚しくなるのは分かっているくせに。 一緒にいる時は麻薬のように、彼のにおいが、彼の息遣いが、彼の声が、彼の温もりが、彼と触れ合う肌の感触が……私の脳を麻痺させるの。 「菜乃香、もう少ししたら穴、安定すると思うし、そうしたら一緒にピアス、見に行こうね」 肌蹴られた胸にチュッと吸いつかれて、「んっ」と漏らした吐息が、なおちゃんの言葉への返答にも
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8.*斜め上からの独占欲②

「今日も菜乃香のココは、熱くてトロトロだね」 意地悪くわざと音を立てるように亀裂に沿って指を何度も何度も動かすと、なおちゃんの手が私の愛液でヌルヌルに濡れていくのが分かる。 それを証明するみたいに、下腹部で動かされる指の移動が一往復ごとにどんどんスムーズになって。 「なおちゃん……お願い、もう……」 私はギュッとなおちゃんにすがり付いて、焦らすように秘部をこすり続けている指を中に埋めて欲しいと懇願した。 「菜乃香。欲しいのは俺の指? それとも――」 言いながらなおちゃんが、硬くなったものを押し当ててきて、私はキュン、と切なくなる。 「前、触ってもらいながら……がいい」 今みたいに、指先で敏感なところを擦られながら、後ろから彼のに貫かれたらどんなに気持ちいいだろう。 そう思ってしまって。 熱に浮かされたようにそうつぶやいたら、なおちゃんが嬉しそうにクスッと笑った。 「了解。ね、菜乃香、俺がキミの中に入れるよう、準備してもらえるかな?」 耳朶をやんわり食まれて、耳に直接そう吹き込まれた私はトロンとした頭のままなおちゃんから避妊具を受け取る。 そっと包みを破り捨てて、中から薄いラテックスの皮膜を取り出すと、なおちゃんの下着から固くなったモノを取り出した。 やんわりとゴムの先端の突起を押しつぶして空気を抜くようにしながらなおちゃんの昂りに当てると、所々に血管の浮いた屹立に沿ってゆっくりと丸められたゴムを下げおろしていく。 「菜乃香、ゴムつけるの上手になったね」 最初の頃はどう扱っていいのか分からなくて、なおちゃんに教えてもらいながらたどたどしく被せたのを思い出す。 「たくさん……した、から」 言って、自分が口にした言葉の意味ににわかに恥ずかしくなって視線を逸らしたら、「回数を重ねてもところどころにそういう恥じらいが残ってるの、たまらなくそそられる」ってなおちゃんがつぶやいて。 「菜乃香、今日は後ろからでいい?」 ――そのほうが前をいじりながら挿入しやすいから。 甘く掠れた声音で耳元に付け加えられて、私は真っ赤になりながら小さくうなずいた。 薄い皮膜越し、なおちゃんのが何度
last updateHuling Na-update : 2025-11-02
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8.*斜め上からの独占欲③

その裏でなおちゃんのご家族がどんな気持ちで待っていらっしゃるかとか……本当は考えないといけないことが山積みのはずなのに、そういうのからわざと目をそらして。 まるで世界にはなおちゃんと私、ふたりきりみたいな気持ちで過ごすの。 罪深い女だと分かっていても、一度走り出した恋心は今となってはもう止めることなんて出来なくて。 いつか訪れるであろう別れの日を考えないで済むように、私はなおちゃんの大きな手をギュッと握りしめる。 「どれがいい?」 ひとまわり以上歳の離れた私たちが、周りからどう見えているのかも気にならないぐらい、私はなおちゃんが大好きで。 地元でくっつけないぶん、遠方に出ると一般的な恋人たちが普通に出来ることをこれ幸いと彼に求めた。 腕を組んだり手を繋いで歩いたり。 なおちゃんと人目を憚ることなくイチャイチャ出来るのが嬉しくてたまらなかったの。 「小さくて……ちょっとだけユラユラ揺れる感じのデザインがつけてみたいな?」 ショーケースの中をふたりで覗き込みながら、繋いだ手から伝わってくるなおちゃんの温もりに、言いようのない幸福感が込み上げる。 「だったらこれとかどう? 菜乃香の誕生石だよ」 小さな雫型に加工されたサファイアが、耳元で揺れるデザインのピアスを指差されて、私は「綺麗」ってつぶやいた。 店員さんがすぐにそれを取り出してくださって、透明なピアス試着棒の先に取り付けて鏡の前で耳に当ててくださる。 「あまり大きくないし、菜乃香にとても似合ってると思うな?」 なおちゃんがそう言ってくれたから、私は小さくうなずいた。 「これと、18金のボールピアスがあると便利だと思うよ」 なおちゃんがそう言って、小さな金の玉が軸の先についたシンプルなピアスを勧めてくれて。 「仕事とかするのにあまり目立つのはって時なんかこっちにするといい。それから――」 「ふ、ふたつで十分だよっ」 今選んでくれたのだけで既に万札が1枚飛んでいく金額なの、値札を見たから知ってる。 「俺からのプレゼントだから、菜乃香は値段なんて気にしなくていいんだよ?」 なおちゃんはそう言って私の髪をかき上げる様にして、ピアッサーに付属していた太い軸のピアス?にそ
last updateHuling Na-update : 2025-11-02
Magbasa pa

9.*直太朗①

「なおちゃん、このアパートね、ペット可なの。知ってた?」 お風呂の中。 チャプンッとお湯を跳ねさせて背後のなおちゃんを振り返ったら、髪から水を滴らせた色っぽい彼と目が合った。 途端、ドキッと心臓が跳ねて、顔がカッと熱くなったのが自分でも分かって。 それを察したみたいに、なおちゃんの大きくて節くれだった手が、私のあごをすくい上げて顔を上向かせるの。 「なお、ちゃ……っ?」 彼の名を呼ぼうとした口を、悪戯っ子をあやすみたいにふさがれて、まるで口を開けて?と言っているみたいに唇の間をなおちゃんの舌が左右に行き来する。 ついでのように前に伸ばされた手で胸のふくらみをやんわり揉まれて、先端をキュッとつままれて。 「は、ぁっ……。ん……っ」 その、くすぐったいようなざわざわとした刺激に思わず吐息を漏らしたら、即座に滑り込んできたなおちゃんの舌が我が物顔で口中を蠢いて、私の中の理性を根こそぎ掻っ攫って桃色に侵食していくの。 お風呂にはゴムを持ってきていなかったから、そのまま最後までは至らなかったけれど、湯船の中に立ち上がらされて、背後から太ももの隙間を割るようになおちゃんの硬いものが押し当てられた。 浴槽の縁をギュッと握らされて身体を固定された私の背中に、なおちゃんの熱い身体が密着する。 「ふ、……ぁっ」 なおちゃんが背後から私の気持ちいいところをこするみたいに両足の付け根の境目を割って屹立を前後にゆっくり動かすと、徐々にお湯だけじゃない湿り気がふたりを繋いでいやらしい音が浴室内に反響し始めた。 「んっ、それ、……ダメっ」 気持ち良すぎておかしくなりそう。 別に腰を抱えられて彼の方へ引き寄せられているわけでもないのに、自然お尻を突き出すみたいに腰が揺れる私に、なおちゃんの荒い吐息が追い討ちをかける。 なおちゃんが私の胸全体を手のひらで覆うように押しつぶしながら、時折敏感な頂のところをキュッとこねるみたいに押しつぶしてくる力加減とタイミングが、すごく絶妙で。 もっとって思うとスッと刺激がやむのが、焦らされているみたいでたまらないの。 「菜乃香、気持ち、い……?」 すぐ耳元で問いかけてくるなおちゃんの声も、艶めいていて色っぽい。 「ぅんっ」 小さくうなずきなが
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9.*直太朗②

最初は里親さんが見つかるまでのお預かりの予定が、気が付いたらうちの子でいっか、って家族の意見が一致していた感じ。 なおちゃんが白茶の仔犬を市役所に連れ帰ってくれたのを、私、ワクワクしながら見せてもらったんだっけ。 「あの時さ、菜乃香、膝丈しかないスカートなのに不用意にしゃがみ込んだだろ? 太ももがチラッと見えて、すごくドキッとさせられたのを覚えてる」 それがきっかけで、私のことを女性として意識するようになったのだとなおちゃんが話してくれたのは、付き合い始めて結構経ってからのことだった。 市内で花火大会がある日に拾った子だから、「ハナビ」という名前を付けて可愛がっている雑種の中型犬の女の子。 実家に、元々飼っていた猫の他に若い白茶のワンコが1匹加わったのは、そういう経緯から。 「ハナビを連れてくるの?」 聞かれて、私はゆるゆると首を横に振った。 なおちゃんと私を繋いでくれた子だから、思い入れは強いけれど、あの子はかれこれ1年半、両親にもすごく可愛がられている。 今更慣れた家から連れ出すのも可哀想って思った。 「じゃあ、チィコ?」 20歳を越えたオッドアイの白猫の名前をあげられて、「まさかっ」とそれにも首を横に振った。 「チィコ、下手に環境変えたら弱っちゃうよ」 猫の20歳越えはかなりのおばあちゃんだもの。 言ったら、「じゃあ、誰を?」って聞かれて、私は脱衣所に置いていたスマートフォンを手に取った。 「この子を……お迎えしたいなって思ってて……」 狸みたいなお顔をしたフェレットの写真を見せたら、なおちゃんが瞳を見開いた。 「何、これ?」 なおちゃんが不思議に思うのも無理はない。 フェレットは、犬猫に比べたら知名度の低いペットだもんね。 「フェレット。イタチ科の生き物だよ」 言ったら、なおちゃんが「イタチ……」って小さくつぶやいた。 *** お迎えするにあたって、私はフェレットを診られる動物病院をあちこち探して。 予防接種なら出来ますよ、と言ってくれた市内の小さな動物病院を、とりあえずの主治医に定めることにした。 それとは別に、副腎腫瘍の罹患率が高いことを知っていたから、もしもに備えて手術をしてもらえる病院を県外に見つけて。 「な
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10.*福岡まで来いよ①

「週末に研修で3泊4日、九州に行くことになった」 土日も挟んでの研修なのだ、となおちゃんが言って。 下手したら4日間、なおちゃんに会えないのかって思ったらちょっぴり切なくなった。 「何考えてる?」 そっと頬に手を添えて口付けられながら、私はそんなことされたら答えられないよ、って思った。 「な、おちゃ……」 季節は夏が終わって、窓を開けて寝ていたりすると、明け方に寒くて目が覚めたりするような……そんな頃合い。 七分袖のセーターの裾から手を差し入れて、胸を下着越しにやんわりと揉まれた私は、小さく吐息を漏らす。 「寂しいな、って思っ、……あんっ」 ブラ越し、固く尖った先端を不意に爪でカリッと擦られて、思わず声が漏れてしまった。 最後まで言わせてくれないの、本当、意地悪! 「俺もね、菜乃香の身体に4日も触れられないとか……考えられないんだけど」 プチッと背中のホックが外されて、胸の締め付けが一気に緩む。 それと同時に当然のようになおちゃんの大きな手が乳房全体を包み込むみたいにギュッと膨らみを押しつぶしてきて。 「んっ、なおちゃん、痛い……」 いつもより強く揉まれた柔肉が、小さく悲鳴を上げる。 なおちゃんがこんな風にいつもより強めに触れてくる時は、その後の行為も普段より荒々しいことが多い。 寂しいからかな?って思って……「ついて行けたらいいのに」って何気なくこぼしたら、なおちゃんの手が止まって。 「そっか。そうすればいいんだよな」 って私のセーターを脱がせながらつぶやくの。 「なお、ちゃん?」 セーターと一緒にブラも取り払われて、半裸にされてしまった私は、胸を隠すようにしながらなおちゃんを見つめる。 「菜乃香、金曜の仕事が終わったら、新幹線で福岡まで来いよ」 「来られる?」とか「おいで」とか「来て?」じゃなくて「来いよ」と言われたことで、これはなおちゃんの中では決定事項なんだって悟った。 私に、なおちゃん以外との予定なんて入っていないと知った上での強気な発言。 いつか結婚出来そうな相応しい相手を見つけたら、その人と付き合ってもいいと言ったのと同じ口で、新しい出会いを与える暇なんて与えないよ?って言われている気がして。
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10.*福岡まで来いよ②

その時は本当に潔く身を引いてくれるの? それとも「そんなの許さないよ」って私を引き止めてくれる……? どう考えても悪い男に弄ばれていることは明白で、こんな関係の彼氏?がいるだなんて両親には絶対に言えないのに。 それなのに私、なおちゃんが私を離さないと駄々をこねてくれることを期待していたりもして。 「黙り込んじゃって。もしかして旅費の心配でもしてるの?」 胸を覆っていた手をそっとのけると、なおちゃんが人差し指と中指の間に挟むようにして頂をギュッとおしつぶしてきた。 「やんっ」 嫌ではないけれど、ゾクッ走った快感に思考を奪われてしまいそうなのが怖くて、思わず抗議の声を上げたら、 「菜乃香の身体は頭の天辺から爪先の先まで全部俺のものだよね? 髪の毛一筋だって自由にさせる気はないよ?」 なおちゃんが拒否するのは認めない、って言外に含ませてくる。 「分かっ、てる」 そんなこと、言われなても嫌というほど身体に刻み込まれてる。 「ピアス、外しておこうか」 耳朶を甘噛みしてから、なおちゃんがピアスに触れてきて。 「俺が外してやろう」 言って、チェーン式の揺れるカラーストーン付きのピアスをススッと耳から取り去ってしまう。 ピアスの穴がチェーンにこすられる感触がして、自分で着脱するときには感じたことのない軽い快感に、ゾクッと身体が震えた。 「これ、気に入ってるみたいだね」 外したピアスを、テーブルにいつも置いてあるガラスの小皿に入れると、なおちゃんがそう言って。 それは、初めてなおちゃんにピアスをプレゼントしてもらった日に、サファイヤのピアスと、18金のボールピアスとともになおちゃんが買ってくれたものだった。 他のスタッドピアスと違って、ひとつだけデザイン違いのチェーン式を選んだのは、付けている状態で穴越しにチェーンの長さを調節することで、ピアス穴が塞がるのを防いでくれそうなイメージがあったから。 それに――。 「なおちゃんの誕生石だから」 ローズクォーツで出来た、薄桃色の石が薔薇の花を模した形にカットされた可愛らしいデザインのピアスは、あの日なおちゃんが買ってくれたピアスの中で私の1番のお気に入りになった。 キャッチがないから、髪を|梳
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10.*福岡まで来いよ③

私にとっては、どのピアスもなおちゃんがプレゼントしてくれた大切なものだから。 なおちゃんは形があるものはいつか失くなったり壊れたりするものだよって言ってくれるけど、なおちゃんとの関係が有限だと知っている私は、ひとつだって彼との思い出を失いたくないと思っていて。 つけないことは選択肢にないけれど、失くすことも考えたくない。 壊れた時はできるだけ直して使いたい。 そう思ってるんだよって言ったら、なおちゃんは「バカだな」って言いながらもすごく嬉しそうだった。 以来、なおちゃんもピアスのことを気にしてくれるようになって。 「ピアス外そうか」は、ある意味「今からエッチしようか」と同義。 「菜乃香、さっきの話だけどね、旅費はもちろん俺持ちだから。菜乃香は泊まりに必要なものだけ持って身ひとつで来てくれればいいんだよ?」 言って、ふと思い出したように「あ、でも……直太朗の預け先確保しないとまずいか」って部屋の隅っこに置かれた縦長のケージに視線を移した。 *** 『彼氏と旅行?』 お母さんに電話したら、開口一番そう問いかけられて。 『なのちゃんももう子供じゃないからお母さん、アレコレいう気はないけど……その……自分が困るようなことだけはしないのよ?』 溜め息まじりに言われて、私はドキッとする。 お母さんはハッキリとは言わなかったけれど、きっと困ること、というのは望まない妊娠のことを指しているんだって思った。 もちろんなおちゃんはエッチの時、必ず避妊はしてくれるけれど、そういう行為をしている以上100%赤ちゃんが出来ないという保証はない。 「ん、気を付ける」 『――で、今度ちゃんとその人、お母さんたちにも紹介するのよ?』 言われて今度こそ私は言葉に詰まってしまった。 『……なのちゃん?』 急に黙り込んでしまった私に、お母さんの不審そうな声が掛かる。私はそれに押されるように、慌てて 「まっ、まだ付き合い始めたばかりだから……もう少し落ち着いたらっ」 本当は付き合い始めて2年以上になろうかというのに、そんなこと言えっこない。 『わかった。で、直太朗だっけ? なのちゃんが飼ってるフェレットを預かればいいのね?』 うちの家族はみんな生粋の動物好きだ。 私がフ
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