「あのね、なおちゃん。私……もうなおちゃんとの関係……お、……終、わりに、し……たい」 実家でお母さんの話を聞いて、そう伝えようと心に決めていた。 だけど実際なおちゃんに「さよなら」を告げようとしたら、何度も何度も言葉につっかえて、思ったようにスムーズに言えなかった。 なおちゃんは、私がたどたどしくも、懸命に彼との関係にピリオドを打とうとするセリフを、黙って聞いている――。 私、心の中でシミュレーションしていたの。 ――嫌だ、菜乃香。別れたくない。 ――そうだね、菜乃香。随分長いこと引っ張ってしまったけど、潮時だね。 なおちゃんは一体どちらの言葉を私にくれるんだろう? 前者だったら嬉しい。 だけどその時は私、心を鬼にして「それでも別れなきゃダメなの」って言わないといけない。 そうして後者だったら。 一体私の今までの数年間は何だったんだろうって思いながら、なおちゃんに「今まで有難う。元気でね」って伝えるの。 長い長い沈黙の後、なおちゃんが口を開いた。 『菜乃香、キミは本当にそれでいいのか?』
Terakhir Diperbarui : 2025-11-14 Baca selengkapnya