Semua Bab 叶わぬ恋だと分かっていても: Bab 41 - Bab 50

78 Bab

16.なおちゃんの弱さ①

結局なおちゃんに電話を掛けた夜はそのまま泣きながら眠ってしまって、携帯の電源は切ったままで過ごしてしまった。 泣きじゃくったままケアもせず放置したまぶたは重く腫れ上がっていて。 私は仕事に行くのが――と言うより外出するの自体が――嫌だなと思って鏡の前でひとり溜め息を落とす。 冷たい水で洗顔して、ケーキについていた保冷剤をハンカチに包んで目元を冷やしてみたけれど、なかなか腫れは引いてくれない。 まるでジュクジュクと疼く自分の心を反映しているような、ボロボロなコンディションの目元と、陰鬱な表情。 「どうやって誤魔化そう……」 (いっそこのまま、今日はお仕事お休みしてしまおうかな) そんな甘ったれた考えが脳内を支配してしまう。 有給休暇はまだまだ沢山残っている。 病欠という形を取れば、突然の欠勤も受け入れてもらえるだろうか。 私は泣き過ぎてガンガンする頭を抱えながら、そんなことを考えてばかりいた。 なおちゃんは今日も私の気持ちなんてお構いなしに、いつも通り平然と出勤するのかな。 そう思ったら、また視界がじんわり滲んできて、私は慌てて鼻をすすって涙をこらえた。 別れるって決めたのは自分。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-15
Baca selengkapnya

16.なおちゃんの弱さ②

周りはもちろんのこと、当人たちにだって不幸な結末しか用意されていない。 そう分かっていても、目先の欲に溺れて、考えなきゃいけないリスクから視線をそらして流してしまえるに違いない。 そう。今の私みたいに――。 だって、私がもしもその真逆のタイプの人間だったなら。 きっとこんな泥沼には最初っから足、突っ込みっこなかったと思うもの。 何も決められないならいっそ何も決められないまま。 私、ぬるま湯に浸かり続けていたら良かったのかな。 お母さんからの諭すようなあの言葉も、投げかけられた時はあんなに胸を突き刺すみたいに心を切り裂いたはずなのに……。 私、気が付いたら利己的にもなおちゃんと〝続けていく〟ことばかり考えてしまってる。 お母さんが心底私のことを心配してくれたこと、全部全部飛んじゃってる。 周りの人間がどう思おうと、きっと私は曖昧に誤魔化しながら、なおちゃんとの関係を維持していきたいんだ。 なおちゃんが、私に問い掛けてきた「菜乃香はそれでいいのか?」と言う質問の答えが明確に出せてしまって、私は小さく吐息を落とした。 なおちゃんに乞われて付き合い始めたはずなのに、いつの間にか私がなおちゃんを彼以上に愛し、求めてしまっている。 そんな気がして仕方がない。 *** 結局目元の腫れが引かなくて、化粧をしてみても誤魔化せなかったから、今日は仕事をサボってしまった。 泣きすぎたせいで枯れてしまった声のお陰。 会社にお休みしたい旨を電話したら、電話口に出た先輩――渡辺真帆さんに物凄く心配されてしまった。 (ごめんなさい。私、風邪とかではないんです) 痴情のもつれで会社をお休みするだなんて、なんて不純なんだろう。 そう思ったけれど、実際お休みすると決めて連絡を入れたら、罪悪感よりも安堵感の方が優ってしまった。 一度はしてみたメイクを落として、バタリとベッドに倒れ込む。 寝不足もあって、すぐにトロトロと睡魔が降りてくる。 でも眠りに落ちかけるたび、嫌な夢を見てビクッと身体が跳ねて目が覚めてしまうのだ。 (眠れない……) 身体は物凄く疲れているのに、心が眠ることを拒んでいるようで。 小さく吐息を落とすと、私は電源を落としたままのスマートフォンを手に取
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-16
Baca selengkapnya

16.なおちゃんの弱さ③

ドアスコープを覗くまでもなく、声の主がなおちゃんなのは分かっている。 ドア越し、鍵を開けるべきか否かを迷ってドアノブを握りしめていたら、外の声が続く。 「菜乃香。とりあえず、中に入れてくれないか? お前とちゃんと話し合いたいんだ……」 ――菜乃香がスマホの電源を切ってしまっているから、話したくても話せない。 そう続けられても仕方ないと思うのに、なおちゃんはそこに関しては責めてこなかった。 私は、恐る恐る鍵を開けた。 がチャッと開錠音がするなり、向こうからやや強引にドアを引かれて、あっという間になおちゃんが中に入ってくる。 「菜乃香っ!」 顔を見たら恨み節のひとつでも言われるかと思っていたし、私自身そうしたかったのに、なおちゃんは何も言わずに私をギュッと抱きしめてきて――。 玄関扉も閉まり切っていないこの状況で、余りにも性急にそんなことをされた私はどうしていいか分からなくて固まってしまう。 「何であんな中途半端なまま電話の電源切るんだよ。心配しただろ!」 言われて、私はなおちゃんが私のことを心配してここまで来てくれたんだと思い知った。 「だって……あれ以上話しても仕方ないって思った、から」 言ったら「馬鹿……。んなわけあるか」ってつぶやかれて、腕にギュッと力を込められてしまう。 「なおちゃん、お仕事は……」 作業服姿のなおちゃんに気がついて恐る恐るそう問いかけたら「こんな状態で行けるわけないだろ。――お前だって休んでるじゃないか」と苦々しげにつぶやかれた。 私を抱きしめるなおちゃんの身体が小さく震えているのを感じて、私はハッとさせられる。 緒川直行という男性が、強そうに見えてとても弱いところのある人だと思い出したからだ。 なおちゃんは図太いようでいて、とても繊細なところがある。 四月に人事異動がある直前の三月末。彼が仕事を休みがちになることに、私は付き合い始めて割とすぐ、気付かされた。 あれは確かなおちゃんとこういう間柄になって二年目の春。 なおちゃんの〝それ〟がすごく酷くて――それまでは仕事後には毎日のように会えていたのに、「今は誰とも会いたくないんだ。ごめん」と言われて一ヶ月ほど会えなくなってしまった時期がある。 実
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-17
Baca selengkapnya

16.なおちゃんの弱さ④

電話も、「菜乃香からは掛けないで欲しい。俺から連絡するのを待っていて欲しい」と言われて。 そんなことを言いながらも、なおちゃんは「菜乃香の存在だけが俺の救いだから」と言って、まるでそれを証明するように夜になると毎日のように電話を掛けてきてくれた。 それがなかったら、私の方も心配で潰れていたと思う。 あのときのなおちゃんは、声はいつも通り穏やかだったけれど、二言三言交わすと「もう切るね」と否応なく通話をシャットアウトする感じで。 彼が殻に閉じこもってしまっていたあの日々は、私にとってもすごくすごく辛かったのを覚えている。 ちょうどその前の年、なおちゃんは本庁から、市内の別の施設――ゴミ処理場に異動になったばかりだった。 少ない会話のなか、その環境になかなか馴染めないんだ、と吐息混じりに話してくれたのを鮮明に覚えている。 別にいじめられているとかそう言うのではないのだとも話してくれて――。 逆に期待されすぎてそのプレッシャーで押しつぶされそうなのだと淡く笑った彼は、異動になって割とすぐ、ゴミ処理工場の副工場長という立場を負わされていた。 私も転職をした身。 急に電話を音信不通にしたりしたから。 もしかしたらその時の自分と重ねて見てしまったのかな、と何となく思って。 「私、大丈夫だよ?」 なおちゃんの腕にきつく抱きしめられたまま。 今も尚、なおちゃんの胸元にグッと顔を押し当てられていてくぐもった声しか出せなかったけど、私はハッキリとそう言った。「電話、通じなくしちゃってごめん。……なおちゃんが全部私に任せるって言ったから……突き放された気持ちになって悲しかっただけなの」「――けど、実際俺には菜乃香を縛る権利はないから」 ここへきても尚そんな言い方しかしてくれないなおちゃんは、本当に酷い人だ。 音信不通にされたからって……わざわざ仕事をサボってまで家に会いに来ておいて、別れるかどうかを決めるのは私だなんて。 なおちゃんは私に決定権を持たせようとするくせに、こんな風に自分がして欲しい方向へ私を誘導しようとするところがある。 とてもズルイって思うのに、私はいつも彼の手のひらの上で踊らされてしまうのだ。 それに――。 私はこの一晩で自分の本心に気付かされてしま
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-18
Baca selengkapnya

17.*毒を食らわば皿まで①

結局なおちゃんとは別れられないまま。 今まで通りの関係に戻ってしまった。 ただ、ひとつだけ変わったのは、私がアパートを引き払って実家に戻ることになったことだ。 私の不貞行為を心配したお母さんから、「なのちゃん、家に帰ってきなさい」と言われてしまったから。 お母さんにはきっと。 母親の勘で私がそう簡単に泥沼から抜け出せない人間だと分かっていたんだと思う。 なおちゃんとの関係を精算できないままの、後ろめたさ満載の私は、お母さんの言葉に従って実家に戻ったのだけれど――。 じゃあ反省してなおちゃんと会う頻度が下がったのか?というとそういう事は全然なかった。 以前のように、仕事後に大型ショッピングモールの駐車場で待ち合わせをして、なおちゃんのスモークバリバリ・車内が外からは一切見えないワンボックスカーの後部シートで、他愛のない話をしながらイチャイチャする日々。 平日は毎日のように車の中でエッチすると言うのも変わらないまま。 週末はホテルに行ったり、高速を飛ばして少し遠くまでお出かけしたり。 でも何をしていても、私たちの逢瀬には必ずセックスがセットだったの。 私はそんなに毎日のようにエッチはしなくていいと思っていたのだけれど、なおちゃんが、自分の弱さを武器にするみたいに私に言うから。 ――どんなに不安でも、菜乃香の膣内に受け入れてもらえるとホッとする
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-19
Baca selengkapnya

17.*毒を食らわば皿まで②

普通の恋愛みたいに、大好きな彼との幸せな未来を夢見る気持ちは人一倍ある。 だけど――。 もしもそういう全てを叶えられないとしても、それでも私は……いいえ、私自身が、なおちゃんといることを選んだのだから仕方ないとも思っているの。 「有難う、菜乃香」 ギュッとなおちゃんに抱きしめられた途端、私の中に受け入れたままの彼がピクッと跳ねて質量を増した。 彼に、異性として求められているというその感覚に、私は無意識に「んっ」と小さく声を漏らして。 「ね、なおちゃん。お願い。今日は……」 ――ちゃんと最後までして欲しい。 ただ、こうして私の中にいるだけじゃなく、男女の行為をしているんだと実感させて? ギュッと意識して中を締め付けるように彼の分身を包み込みながら、なおちゃんを見詰める。 自分からおねだりするように、向かい合わせの座位のまま、彼に口付けを落として、追い詰めるみたいに腰をゆるゆると動かした。 「なの、かっ。それ……」 「気持ち……いい?」 すぐ間近から。 なおちゃんを見下ろすようにして熱に浮かされた目で問い掛けたら、腰をグッと掴まれて、下から思い切り突き上げられた。 「ひゃあ、んっ!」 クチュッというイヤらしい水音が下腹部から響いて、それが私の女に火を付ける。 「なおちゃっ、もっともっと……私で、気持ちよ、くなって? お願い……っ!」 私がなおちゃんを独り占め出来ていると実感できる唯一の時間は、こうして彼と身体を繋げて欲望のままに交わっている時だけだから――。 なおちゃんみたいに〝受け入れてもらえるだけ〟で幸せだなんて、私には思えない。 私を女として雄々しく求めて、訳がわからなくなるほどぐちゃぐちゃにして欲しい。 でないと罪の意識に押し潰されてしまうから。 「なおちゃ、わ、たしっ、なおちゃんが私で達くとこ、見る、のっ、すご、く……好きっ」 夢中でなおちゃんにキスをねだりながら、口の中も膣の中も、全部全部彼にめちゃくちゃに掻き回されたいと願ってしまう。 私たちの情交に、理性なんてなくていい。 だって妻子ある人と、欲望のままにこんな不埒なことをしている時点で私たちは冷静じゃないんだもの。 だったらいっそ。 獣
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-20
Baca selengkapnya

18.お母さんの病気と、初めての行為①

なおちゃんと付き合い始めて五年以上が経過した。 出会った頃は二十四歳だった私も、三十歳がすぐ目の前というところまで来てしまっていた。 「なおちゃん、私、やっぱり三十歳までには結婚したいな?」 そんなことを彼に言っても詮無いことだと知りながら、長いこと一緒にいると言う惰性が私の感覚をドロドロにダメにする。 なおちゃんは私がそういうことを言ったとき、何も言わずにただただ頭を撫でたり抱き締めたりしてくれる。 否定もしなければ肯定もしない。 昔は「妻がいるから菜乃香とは結婚できない」ってハッキリ拒絶していたくせに、そう言うことは言わなくなった。 けど、だからと言って結婚してくれるとも絶対に言わないし、奥さんと別れるというような甘い嘘も吐いてはくれない。 ある意味よく聞く不倫男のように体のいい嘘で浮気相手に夢を見させて繋ぎ止めるような卑怯なことはしない人だった。 でも――。 どのみち私たちの間に未来はないのだと突きつけられているようで、毎日が苦しくてたまらなかった。 何年経ってもなおちゃんは相変わらず優しくてずるい人で、それが分かっていても彼から離れられない私は結局のところバカで愚かな女なんだろう。 そんな折だった。 お母さんに、末期の癌が見つかったのは。 余命こそ宣告されてはいなかったけれど、インターネットを調べてみると致死率が極めて高い種類の癌だと分かって。 「なのちゃんの花嫁姿を見るのがお母さんの夢なのよ」 だからその夢が叶うまで死ねないの、と微笑むお母さんに、私の心は千々に乱れた。 なおちゃんと一緒に居続ければ、私は絶対にお母さんに花嫁姿なんて見せてあげることは出来ない。 でも、それを見るまで死ねないと思ってくれているお母さんに、その姿を見せずに親不孝な娘を続けていれば、あるいはお母さんは心残りで病気に勝てるんじゃないかとも思って。 なおちゃんと別れて、共に未来を見据えられる相手を見つけて結婚をして。 一日も早くお母さんを安心させてあげたいと希う自分と、大好きななおちゃんと離れたくないと思う自分。 相反する思いに右へ左へふらふらと揺れる私は、それでも必然と言うべきか。 お母さんの看病のため、なおちゃんと会う頻度
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-21
Baca selengkapnya

18.*お母さんの病気と、初めての行為②

以前、お母さんになおちゃんとのことがバレた時、彼女を悲しませたくないからとなおちゃんと別れようと頑張ったことがある。 だけど結局、私はその後何年も何年もお母さんを裏切り続けてなおちゃんと一緒にいる未来を選んでしまった。 その親不孝の罰が当たっている気がして、今度こそなおちゃんよりもお母さんを優先せねば、と思っていた。 なおちゃんも、事情が事情だからとワガママは一切言わずに私のペースに合わせてくれて。 優柔不断な私は、母に対する罪悪感に加えて、なおちゃんに対する申し訳なさまで育ててしまった。 そんな後ろめたさもあったんだと思う。 奥さんとはセックスレスだと話してくれていたたなおちゃんの、性欲処理をしてあげなくてはという変な義務感に駆られて。 会える頻度が毎日から週一程度に下がったというのに、私は彼との会話を楽しむよりも、なおちゃんの性衝動を受け止めることに全力を注いだ。 顔を見れば、彼に求められるまま身体を開く――。 それは生理中だってお構いなしで。 ラブホテルのお風呂場で、経血に塗れて初めてなおちゃんを受け入れたのは、まさにこの頃だった。 前までは生理中の行為はリスクが高いからって抱いてくれなかったくせに。 なおちゃんもきっと、会えなさ過ぎておかしくなっていたんだと思う。 行為のあとお風呂場で洗い流せば大丈夫だと、まるでそれを
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-21
Baca selengkapnya
Sebelumnya
1
...
345678
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status