Semua Bab 叶わぬ恋だと分かっていても: Bab 71 - Bab 78

78 Bab

23.*梅雨の長雨-恋慕-③

このところ自分はシャワーばかりで、いま浴槽にお湯が溜まっていないんだ、と申し訳なさそうに付け加えながら、「それでも熱いお湯を浴びると違うんじゃないかと思って」とタツ兄が言うから……。 何だかそれってとっても恥ずかしいお誘いに思えてしまった私だ。 だって、なおちゃんとはお風呂と性行為は必ずセットだったから。 (タツ兄にはそんな下心ないのかな?) なおちゃんとの数年間で、すっかりエッチが生活の一部みたいになってしまっていたはしたない私は、タツ兄相手にそんなことを思ってしまう。 「タツに……、たっくんは……入らない、の?」 身体が冷えている云々で言えば、彼もじゃないかな?って思った私だったけど、思い返してみれば、タツ兄は実際レインコートを脱ぐとそれほど服は濡れていなくて。 髪の毛だけが濡れそぼっていたのはレインコートのフードから滴り落ちた水滴がタツ兄の顔を濡らしていたからだろう。 むしろ、さっき私を抱きしめてくれた時に私の服から水気を吸ってしまったかも知れないくらい。 「僕は……平気だよ」 言われて、私は少し考えた。 靴下を脱いで小さくまとめて手に握りしめると、 「えっと……着替えとタオルを貸してもらえたら……すぐにでもそうさせてもらえたら……嬉しい、な?」 上り框にそっと湿った素足を下ろしながら、意を決してそう告げた。 *** シャワー後に身に着けていた下着をもう一度身に着けるのは少し抵抗があった。 でもこれしかないんだから仕方がない。 ブラジャーは残念ながら結構濡れていたから仕方なくタオルで包んでギューッと水気をふき取ってみた。 でも着けるのは難しそう。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-09
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23.*梅雨の長雨-恋慕-④

「えっと……だから……その……もしよかったら……なんだけど。ぼ、僕と……明け方まで一緒にいませんか?」 私がキョトンとしたからだろう。 タツ兄が恥ずかしそうに敬語でそんなおうかがいを立ててくるから。 私は何だか彼のことが可愛くて堪らないって思ってしまったの。 「……はい」 私はそう答えながらタツ兄の片手を取って、そっと両手で包み込んだ。 「今日ね、私、お母さんのことがあって……ずっとタツ……たっくんに会いたかったの」 そのままタツ兄を見上げたら、彼が瞳を見開いたのが分かった。 「だからね、たっくんが電話で会いに行っていい?って聞いてくれた時、すごくすごく嬉しかった……」 「なのちゃん……」 タツ兄がぎこちない仕草で、あいていた方の手で私を抱き寄せてくれて。 何でだろう。 たったそれだけのことで、心臓がトクトクと早鐘を打った。 目の前のタツ兄も緊張してくれているのかな? 耳に、頬に、タツ兄のせわしない鼓動が伝わってきて。 それが、ますます私を緊張させる。 何だか妙に気恥ずかしくなって視線を落としたら、不自然に上げられた足が目に入って、タツ兄はまだ怪我が完治していなかったんだって気が付いて。 立ったまま話しているのは辛いんじゃないかなって心配になった私は、恐る恐るタツ兄に問いかけた。 「あの……立ったままはつらくない?」 座って話そう?って続けようとしたら、タツ兄が「うち、ソファーとか置いてないから。その……骨折ってからずっと……、そ、そこのベッドに座ってテレビとか観てるんだけど」って申し訳なさそうにソワソワするの。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-10
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23.*梅雨の長雨-恋慕-⑤

「な、のか……、それ……本当?」 それに呼応するみたいにタツ兄が私の名を初めてちゃんと愛称ではなく〝菜乃香〟って呼んでくれて。 不安そうな問いかけにこくんとうなずいて見せたら、 「僕も……菜乃香に、触りたい」 たっくんが、熱のこもった〝男の目〟で私を見詰め返してくれた。 *** 「痛かったらすぐに言ってね? 私……そんなに上手くないかも知れないから」 お互いに、相手へ触れたいと意思表示をしてみたものの、タツ兄……たっくんは今、リハビリを要する不自由な身。 私は意を決して床へ降り立つと、たっくんの真正面に立って彼を見下ろした。 「な、のちゃん、……一体な、にを……」 するつもり?と続いたであろう彼の言葉を皆まで言わせずたっくんの前に跪くと、戸惑いの言葉とは裏腹。 ほんの少し兆し始めている彼の下腹部にズボン越し、そっと触れた。 「んっ……」 途端たっくんが眉根を寄せて可愛く喘ぐから。 私はそれだけで自分の下腹部がキュン、と疼くのを感じた。 「今日は私が精一杯頑張るから……元気になったらたっくんの方から……めてね?」 責めてね、を照れ隠し。ゴニョゴニョと誤魔化すように早口で言って、ゆっくりと布地越しにたっくんの雄を撫で上げると、彼がふるりと身震いして。 「なんて……言ったの?」とか掘り下げてくるから「……ナイショ」って布地越し、たっくんの大切なところにチュッと口付けた。 「なのちゃ、それっ、……ビジュアル的にすげぇヤバイ」 ふわりと頭を包み込むようにたっくんの大きな手が髪を撫でて。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-11
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23.*梅雨の長雨-恋慕-⑥

途端、たっくんが抑え切れないみたいに吐息を漏らして。 頭に載せられたままの彼の手に微かに力がこもった。 私はそれがたまらなく嬉しくて、もっともっとたっくんを悦ばせてあげたいって思って。 「痛かったら、……言ってね?」 告げて、そっと鈴口を割り開くように舌先を押し当てた。 尿道口に添って丹念に舌を這わせて、ちょっぴり塩辛い潤みを丁寧に舐め取ると、そのまま根元に向かって一直線に舌を下ろしていった。 根元までたどり着いたら同じ軌跡をたどって上まで戻って、くびれたところを舌全体で優しく愛撫する。 「……なの、かっ」 早く咥えて?とでも言いたいみたいにたっくんが吐息交じりに私の名を呼んで、頭に載せられた手にグッと力を込めてきて。 私はそんなたっくんのことを心底『カワイイ』と思って、もっと喘がせてみたくなる。 うまくおねだり出来ないたっくんが悪いんだよ?と言わんばかりに、わざとくびれの外周を何度も何度も舌を使って行き来しては時折鈴口に舌先を這わせて焦らす。 口の中一杯にカレを頬張るのはちゃんとして欲しいって伝えてもらってから。 こういう閨事の駆け引きは、あれもこれもみんな……なおちゃんが私に仕込んだことばかり。 それを他の男性にするのはどうなの?と頭の片隅で警鐘を鳴らしつつ、だけど私はこの愛し方しか知らないから。 余りに積極的に責めたら、引かれてしまうかも知れない。 たっくんは私のことをまだ幼いままの〝なのちゃん〟として見ている可能性だって十二分にあるのだから。 なのに愚かなことに一度点火された劣情の炎は、私の判断能力を鈍らせるの。 そうして、幸いなことにそれはたっ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-12
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23.*梅雨の長雨-恋慕-⑦

と、どこか申し訳なさそうな表情のたっくんに、「あ、あのさ……。このまま口で、は寂しいなって思って……」 もちろんそれも悪くはないと思うんだけど、とゴニョゴニョと歯切れの悪い物言いをしながらも、「それに……」とたっくんが付け加える。 「それに、その……ぼ、僕も……菜乃香を気持ちよくしてあげたいって思うんだけど……ダメ、かな? って言うか正直に暴露するね。――僕も……、めちゃくちゃ菜乃香に触れたくてたまらないんだ!」 初めて身体を重ねる時くらい、私に触れて、それからちゃんと繋がってから一緒に果てたい……と、たっくんが私をうかがうように見やって。 そうしてハッとしたように自分の脚に視線を落としてから、申し訳なさそうに付け加えた。 「って言っても僕は今、このザマだ。……思うように動けないかもしれないんだけど」 しゅん、と項垂れるたっくんに、私は慌てて口走らずにはいられなかった。 「あのっ! たっくんがうまく出来ないところは……わ、私がっ、頑張るんじゃ……ダメ、かな? エッチって一人でするものじゃないと思うし……その、ふ、ふたりで助け合って、き、気持ちよく……なりたいな……?って思うんだけど……」 こんなこと女の子から言うのはどうなんだろう。 とてもはしたないことを提案している気がしてしどろもどろになった私を、たっくんがグイッと引き上げて抱き締めてくれた。 片腕で引き寄せられたのに、いとも簡単に立ち上がらされてたっくんの腕の中。 脚を怪我していてもこれ。 今更のようにたっくんは力のある〝男の人なんだ〟って思い知らされて物凄く照れ臭くなる。 「菜乃香。さっきの提案、すごく嬉しい。僕ね、セックスって男が頑張るものだって勝手に思い込んでたから……女の子からそんな風に言ってもらえるなんて正直思ってなかったんだ。……ね、菜乃香。僕に足りない部分
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-13
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23.*梅雨の長雨-恋慕-⑧

乞われるまま、口に当てていた手を恐る恐る放してたっくんの両肩へ載せたら、服の裾から彼の手が入り込んできた。 直に胸へ触れられているんだと思ったら、恥ずかしいのに何だかすごく嬉しくて。 「お願い、たっくん、そこっ、……」 ――舐めて? 無意識にそうおねだりしそうになった私は、慌てて口をつぐんだ。 でもたっくんは、私が何を言いたかったのか分かったみたい。 「もしかして菜乃香は可愛いここを僕に舐めて欲しいのかな? だったらお願い。上、脱いで……僕の前に胸、突き出して?」 照れ屋さんで可愛かったり……物凄く意地悪だったり。どれが本当のたっくんなんだろう? 「あ、あの、でも」 「恥ずかしい?」 当たり前だよ。 そんなの分かってるくせに。 涙目で彼を見下ろしたら、たっくんがニヤリと笑った。 「菜乃香、知ってた? このTシャツ、薄手で白無地だからさ。……菜乃香の可愛いココ、透けて見えてるんだ」 言うなり布地ごしにたっくんが私の胸をパクリと咥えた。 「ひゃ、あ、んっ」 直に触れられるほど直接的ではないけれど、どんどん布が湿り気を帯びて、敏感な胸の先にたっくんの熱を伝えてくる。 Tシャツ越し。ツンと勃ち上がった乳首を舌先で転がされるのは気持ちいいけど、何だかすごくもどかしい。 気が付けば、私はたっくんの後頭部をギュッと抱えるように抱きしめていた。 「や、んっ、たっくん……、くすぐったい」 本当はくすぐったいのとはちょっぴり違う。 気持ちいいけどアクセル全開じゃないから、熱がどんどん内側にこもってくる感じ。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-14
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23.*梅雨の長雨-恋慕-⑨

自分からねだるようにたっくんに口付けて彼を見下ろしたら、 「……菜乃香、ごめん。自分から言っといて恥ずかしいんだけど……僕、いま正常位は無理だから。――菜乃香の方から僕の上に座ってもらっても……いい、かな?」 そう問いかけられた。 たっくんが出来ないことは私が補う。 それは最初に二人で取り決めたことだもん。 コクッとうなずいたら、たっくんがそれを確認してベッドサイドからゴムを取り出した。 たっくんが慣れた手つきで自身に避妊具を装着している間、私はそろそろと下着を脱ぎ捨てる――。 「建興くん……大好き……」 「僕もなのちゃんが大好きだよ」 気持ちを確かめ合うようにそんな言葉を交わして、たっくんと向かい合う形で彼の上にまたがった。 そうして――。 懸命に彼の切っ先が入り口を割るように狙いを定めて腰を落とすのだけれど、ぬるついた彼のモノは気持ちいいところを掠めるばかりでちっとも中に入ってきてくれないの。 うまく入れられない度、彼の先端に敏感なところを擦られるから、そのたびに身体がビクッと跳ねて余計にうまくいかない。 「菜乃香、ちょっと待って……」 何度かそれを繰り返していたら、見かねたようにたっくんの手が、自らの根元をグッと支えて動かないようにしてくれて。 「っ――!」 私が少しずつ腰を下ろすのに従って、定まったたっくんの先端が私の隘路を彼の形に押し開きながら侵入してくる。 「んんっ……」 ギュッとたっくんにしがみついて、ゆっくりゆっくり彼を飲み込んでいく私の腰に、たっくんの手が添えられて――。 「ごめん、菜乃香……、僕、もぉっ、待てないっ」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-15
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24.母との別れと、なおちゃんからのSOS①

お母さんが亡くなったのは梅雨の真っ只中――六月下旬のことだった。 朝からひっきりなしに降り続く大雨のなか。 前日夕方に「お母さん、今日はおしっこが出ないのよ」と話してくれたお母さんは、夜には意識を失って。 その状態のまま苦しそうにずっと喘ぎ続けた。 半日以上そんな状態が続いたあと、痛み止めのモルヒネを投与したら、まるで苦しみから解放されたように永遠の眠りについたのだ。 『お父ちゃんとお母ちゃんが来るのを待ってくれとったんじゃね』 祖父母がそうつぶやいたのは、その日自営業の締め日で、どうしても片付けなければならない仕事を片してからでないと、病院へ駆けつけることが出来なかったからだ。 先生からはモルヒネを使ったらきっと、お母さんは楽になるけれど、恐らくそのまま旅立つだろうと言われていた。 私もお父さんも、お母さんを大好きな両親に見送らせてあげたかったから……。 祖父母の仕事の目処が立つまでは、先生にお願いしてモルヒネの投与を待ってもらったのだ。 結果的にお母さんを長いこと苦しませることになってしまったけれど、両親に手を握られて母を送ることが出来たことを後悔はしていない。 祖父母が駆けつけてからモルヒネを投与して母が旅立つまでの数時間は、みんな声には出さなかったけれど母の死を待っている時間だったんだと思う。 大切な人との別れは辛い。 でも、十分過ぎるほど頑
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-16
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