「こちらが高橋部長、会社の創業者の一人」「高橋部長、よろしくお願いします!」社員たちは一斉に頭を下げ、熱烈な挨拶を送った。その盛大な歓迎ぶりに、榊は一瞬その場で立ち尽くし、戸惑っていた。静奈は彼を案内して、あるオフィスの前で足を止め、そっとドアを押し開けた。「榊さん、ここがあなたのオフィスよ。これからはここで執務をしてね」中に入ると、大きな掃き出し窓からたっぷりと陽光が降り注ぎ、重厚なマホガニーのデスクを黄金色に染めていた。壁には、丁寧に表装された書画が掛けられており、品格と落ち着きを感じさせる空間だった。榊は震える手を伸ばし、滑らかなデスクの天板を愛おしそうに撫でた。その目元は微かに赤くなっていた。「お嬢様……私のような老いぼれに、このような過分な……何と言っていいでしょう……」「あなたにはその価値があるわ」静奈は彼のごつごつとした節くれだった手を両手で包み込み、優しく、しかし確信に満ちた口調で言った。「あなたは、この会社にとってかけがえのない大功労者なんだから」彼女は向き直り、二人の長老に向かって真剣な眼差しで告げた。「近いうちに、私は首都へ行ってある研究プロジェクトに参加することになる。私が不在の間、会社のことはお二人に託すわ」榊と健一郎は、決意を込めて誓った。「お嬢様、ご安心ください。我々は命に代えても、あなたの期待を裏切るようなことはいたしません!」その時、オフィスのドアがノックされた。社員が顔を出し、報告した。「社長、お客様が見えてます」静奈がオフィスを出ると、受付の前に立っている湊の姿が目に飛び込んできた。彼は体に完璧にフィットしたダークグレーのスーツを身に纏い、その長身で端正な立ち姿はいっそう際立っていた。腕には、丁寧にラッピングされた大きなシャンパンローズの花束を抱えており、新しいオフィス空間の中で、その存在感は圧倒的に華やかで目を引いた。「神崎さん?」静奈は足を止め、少し意外そうな顔をした。「どうしてここが分かったの?」「探そうと思えば、見つかるものさ」湊は花束を彼女の前に差し出した。口元には、あるかないかの微かな笑みが浮かんでいる。「新会社の開業だろ?どうして知らせてくれなかったんだ?」静奈は目の前の美しい花束に少しの間視線を落と
더 보기