彩葉の全身が震えた。背筋を這い上がる熱が全身を巡り、理性を甘く狂わせていく。「北川さん、あなた……酔ってるのよ」言い終わらないうちに、翔吾が真っ赤に染まった耳朶を甘く食んだ。細い腰を抱き締める腕には青筋が浮き、きつく締めつける腕から、独占欲が痛いほど伝わってくる。「離して……翔吾!」彩葉の頬が燃えるように紅潮し、首筋まで朱に染まっていく。焦りのあまり呼び捨てにしてしまったが、耳に残る感触が甘くくすぐったくて、胸の奥がざわざわと騒いだ。結婚はしていても、恋愛などしたことのない彼女だ。こんなにも刺激的で大胆な戯れなど、経験したことすらなかった。明らかに理不尽な目に遭っているはずなのに、まるで自分が悪いことをしているような、背徳的な錯覚に陥る。彩葉の瞳が潤み、目尻が赤く染まった。だめ……どんな理由があっても……これ以上は!彩葉がドアノブを探り当て、押し下げようとした瞬間──男の大きな手が顎を掴み、ぐいと持ち上げた。そして、唇を塞いだ。「んっ……」仰け反った彩葉の喉から、か細い声が漏れる。細い首筋には、うっすらと汗が滲んでいた。もう立っているのがやっとだった。壁に寄りかかっていなければ、その場に崩れ落ちてしまいそうだ。「彩葉……もう一度」翔吾の熱い吐息が唇に触れ、掠れた声が懇願する。「もう一度だけ、俺の名前を呼んでくれ」「酔ってるのよ、やめて……離して」行き場を失った手が、ドアをひっかいた。まるで助けを求めて彷徨うように。彼は酔っている。でも自分は──はっきりと意識がある。意識を保ったまま堕ちていくことが、何より恐ろしかった。このままでは、取り返しのつかないことになる!「わかった、もう呼ばせない……」翔吾の熱に浮かされた瞳の奥で、暗い情欲の炎が見えた。彼は優しく、幼子をあやすような声で囁いた。唇を離すと、彼女の肩に顔を深く埋める。広い肩が小刻みに震えていた。「抱かせてくれ……少しだけでいいから」零れ落ちる言葉は、どれも掠れて壊れそうだった。彩葉は深く息を吸い込み、全身を硬直させる。今、この瞬間の彼は、まるで少年のようだった。万里が甘えて抱きついてくる時と、同じ……切なくて、愛しくて、胸が締め付けられる。骨の髄まで染み込んだ、深い慕情。まるで、この日を永遠に待ち続けてい
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