「ただし、すべてはターナルテックを確実に黒字にすることが絶対の前提だ。それができなければ、理事どころか、グループの中枢業務に関わらせない盲目的な投資をした代償として、自らの未熟さを底辺でしっかり学べ」「わかりました。約束します」取引が成立すると、翔吾は父子にまだ二人だけの内緒話があることを察し、適当な口実を作って書斎を出た。だが、そのまま帰らなかった。廊下の薄暗い光の中にひっそりと立ち、胸の奥底で腹の底で渦巻く理不尽な恨みと憎しみを、どす黒い感情を、無理やり心の奥底へと押し込めた。それはまるで、血の混じった鋭いガラスの破片を飲み込むような苦痛だった。ただ黙って、腹の底へと収めていく。その凄まじい葛藤が、どれほどその身を削っていたか。それは、世界中で翔吾自身だけが知っている孤独な痛みだった。一方、扉の閉ざされた書斎の中では、理が怒りを抑えきれずに口を開いていた。「なんであいつのあんな要求をいとも簡単に飲んだんですか!あいつが何年も姿を消していて、突然戻ってきたのには何か良からぬ目的があるのは明白です。余裕ぶった顔をしていますが、本当は俺の権限を奪いに来て、いずれは親父の株まで狙っているに決まっています!」「たかが常務理事の肩書き一つだ。議決権もなければ取締役会の席もない。それだけのことで、そこまで怯えるのか?」礼司はどうしようもない息子を呆れたように見て、やれやれと首を振った。「こちらに根もコネもない以上、株さえ渡さなければ波風を立てる術はない。何を怖がることがある。それに公平に見て、翔は確かにビジネスマンとして能力があるさ。さっき少し試してみただけで一目瞭然だっただろう。あれほどの人間を外に置いておくより、手元に置いて一挙手一投足を監視下に置き、利用する方が得策だ。一石二鳥というものだ」理は鼻を鳴らした。「能力だと?あんな会社に投資するような判断のどこが能力ですか」「お前もさっきまでターナルテックに投資したいと泣きついていたんじゃないか」「俺は……」礼司は、下劣な欲に目の曇った息子を完全に見透かしていた。厳しく冷酷に釘を刺す。「理よ、外で適当に女遊びをするのはいい。モデルでも女優の卵でも、派手にやっていようが変な病気さえ持ち込まなければ目をつぶってやる。だがな、あの女は氷室蒼真の女だ。人妻で、子
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