彩葉が姿を現した瞬間、しかも理と並んで入ってきたとあって、林家の人々の顔から一気に血の気が引いた。とりわけ雫と多恵子の母娘にとっては、手痛い衝撃だった。今夜の浩一郎の誕生パーティーを自分たちの晴れ舞台にしようと、ふたりは万全の準備を重ねてきたのだ。それなのに、招かれざる客として現れた彩葉の存在によって、その目論見は無惨にも崩れ去った。大広間の中央に並び立つ美男美女へと、会場の視線が吸い寄せられていく。これまで蒼真と林家の人々に注がれていた眼差しが、まるで潮が引くように林家から離れ、吸い寄せられるように彩葉たちへ注がれた。「見て、あの方!まるで天女みたいじゃない。お肌が透き通るように白くて、女優さんよりずっと綺麗だわ!」「本当ね。華やかなドレスを着ているわけでもなく、ほとんどノーメイクなのに、林家のお嬢様をあっさりと霞ませてしまっている。どこのお嬢様かしら?」「北川社長と一緒に現れたということは……もしかして、正式なパートナーなんじゃない?」「まさか。北川社長の周りには女性が絶えないけれど、公の場にお連れになったことは今まで一度もないはずよ。それなのに今夜、林会長の誕生会という晴れの席で、この美しい方と肩を並べていらっしゃるなんて……ふたりの関係は、もう火を見るより明らかじゃない!」「それはつまり、あの方もただ者じゃないってことよね……」ひそひそと噂を交わしていた客のひとりが、ふと彩葉の顔に目を凝らし、次の瞬間、はっと息を呑んだ。「あっ、林会長の前妻の娘さんじゃないかしら?林家のもうひとりのお嬢様よ!すっかりお美しくなられて、見違えるようで、誰か分からなかったわ!」その一言が飛び出した途端、会場は大きなどよめきに包まれた。理に寄り添い、天女のごとき美貌と圧倒的な存在感を放つあの女性が、かつて一度も公の場に姿を現すことなく、一族からも見捨てられてきた、浩一郎の長女だとは。一体誰が想像できただろうか。「そういえば、ターナルテックの代表に就かれているんじゃなかった?次世代科学技術イノベーション大会で遠目にお見かけした気がするけれど、まさか林会長のご令嬢だったなんて!」「これほど優秀なお嬢さんがいながら、どうして林会長はずっと表に出さなかったのかしら。不思議でならないわ」「後妻を迎えて、その連れ子もいるでしょう。長女さん
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