その完璧なバランスのシルエットだけで、すぐにわかった。翔吾だった。「北川社長」弘明は翔吾の姿を視界に捉えるなり、腰を折って深々と頭を下げた。「……北川社長?」夢はその社長という仰々しい呼び方を聞いた瞬間、北川理の顔がフラッシュバックし、ぞわりと総毛立った。なんなのよ、なんでこの界隈は北川って姓の人間がこんなにうじゃうじゃいるの。「工藤さん、だね?」翔吾は立ち尽くす彩葉から目を外し、呆けたような顔をしている夢へとさりげなく視線を落とした。「は、はい……」夢は思わず息を呑んだ。やばい、この男の人もめちゃくちゃ格好いい。あの蒼真と同じ次元でバチバチに戦えるくらいの圧倒的な美貌だ。ただ夢は個人的に、あまりにも色白で浮世離れした男性は好みではなかった。この目の前の社長は、透き通るほど肌が白い。だから顔の造作としては、やはり少し日焼けした硬派な弘明の方が断然好みだった。翔吾は目尻を柔らかく下げて微笑んだ。「体の具合は、いかが?」夢はコクンとぼんやり頷いた。「それはよかった」翔吾は夢に向けた柔和な面持ちを一瞬で氷結させ、冷たい目を弘明へと突き刺した。「お前、取り掛かるべき仕事があるんじゃないか?」弘明は唇を引き結んだが、すぐに向き直り、夢の真正面に立って深く頭を下げた。「あの夜のことに関しては、私の配慮が足りませんでした。正式に、心よりお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」突然の真摯な謝罪を見せた弘明に、夢はどう反応していいかまったくわからず、ただオロオロと目を白黒させた。「夢」彩葉は弾かれたように素早く夢のそばへ駆け寄り、翔吾の射抜くような視線を避けながら、無表情を装って夢の小さな手を引いた。「ほら、治療の時間だから。行きましょう」夢は翔吾と彩葉の間に流れる空気が、火花が散るほどに張り詰めたのを感じ取ったが、それをどう言葉にしていいかわからなかった。大人しく、素直に彩葉の手に引かれて歩き出す。彩葉が翔吾の横を通り過ぎようとした、まさにその瞬間だった。視界の端にいたはずの翔吾の腕が滑るように伸び、ふいに彩葉の華奢で白い手首をガシッと掴んだ。長く力強い指が、逃がさないとばかりにぎゅっと食い込むように締まる。「少しだけ、話しましょう」冗談じゃない。今の精神状態では、
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