บททั้งหมดของ 私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした: บทที่ 41 - บทที่ 50

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第五章 これはワルイコトですか? 9

『凛音じゃないか!こんなところで会えるなんて偶然だな』彼はその長い足で、私のいるテーブルまで一気に距離を詰めてきた。なんで彼がこんなところにいるんだろう?って、普通にお茶に来ていてもおかしくないか。『え、えーっと……。こんにちは、ベーデガー教授』炯さんの反応をうかがいつつ、曖昧な笑顔で彼――ベーデガー教授に挨拶をした。「凛音、この方は?」ちらりと、しかし確実に不機嫌に、炯さんの視線がベーデガー教授へと向かう。「職場でお世話になっている、ベーデガー教授です」たぶん、この紹介で間違っていないと……思う。『お世話になっているなんて、そんな。お世話になっているのは僕のほうだよ』私に通訳しろとベーデガー教授が目で言ってくる。けれど。『そうですか。妻がお世話になっているようで』炯さんはドイツ語で返し、優雅に会釈をした。『妻?婚約者だと聞きましたけどね』小馬鹿にするように笑い、いいと言っていないのにベーデガー教授が勝手に私の隣に座ってくる。『籍は入れていないだけで、もう妻も同然ですよ』にっこりと炯さんは笑ってみせたが、その笑顔は作りものめいていた。「凛音。そろそろ行こうか」行こうかと言われてもまだ、スイーツは残っている。しかし彼には有無を言わせぬ雰囲気があった。「あっ、はい!」炯さんの雰囲気に気圧され気味に、慌てて立ち上がる。『それでは、失礼いたします』『ベーデガー教授、失礼します』『ああ』私たちを見送るベーデガー教授は、鼻白んでいるように見えた。炯さんに手を引かれて歩く。掴まれている手が痛い。きっと炯さんは怒っている。「あの。炯……」「ああっ、くそっ!」人気のないところで立ち止まり、彼は唐突に悪態をついた。「余裕のない俺、かっこわりー」呟くように言ってため息をつき、彼が私を振り返る。「ごめんな、凛音。まだ全部食べてなかったのに」そっと私の腰を抱いてきた炯さんは、いつもの優しい彼に戻っていた。「いいですよ、別に気にしてないですし」「よくない。……そうだ。今日はこのまま、ここに泊まろうか。それで夜は、フレンチ」もうその気なのか、炯さんはフロントへ向かっていっている。「嬉しいですけど、フレンチのフルコースはお腹に厳しいです……」「ハーフコースにすればいいだろ」ちゅっと軽く私に
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第六章 ワルイコトはイケナイコトです 1

珍しく、炯さんはしばらくこちらにいるらしい。「俺がいるのが不満か?」朝食の席で、右の口端を持ち上げて彼がからかうように笑う。「不満とかないですよ」熱を持つ顔で怒ってみせ、そっぽを向いた。本当は嬉しい癖に、素直に言えない自分が嫌になる。「少しはゆっくりできるから、かまってやれると思う。結婚式の打ち合わせも進めないとな」「そうですね」披露宴は両親たちにほぼ丸投げしているが、結婚式はそうはいかない。いや、別に丸投げしたところで父などは喜びそうだが、式くらいは私たちの希望を通したかった。「そうなると忙しくなるから……やっぱりゆっくりはできないか」困ったように炯さんが笑う。「でも、お式が終わったらゆっくりできますよ、きっと」「そうだな」笑って炯さんはコーヒーのカップを口に運んだ。本当は式の準備なんて全部私がやって、炯さんはゆっくり休めたらいいのだけれど、そうはいかない。いや、少しでも私がやって、休んでもらうんだ。今朝は職場まで炯さんが送ってくれた。「いってきます」「ああ。頑張ってこい」運転席の窓を開けた彼と、キスを交わす。それだけで頑張ろうって気になるのはなんでだろう?仕事はいつもどおりといえばいつもどおりだった。「ハイ、凛音」今日は貸し出し業務に就いていたら、ベーデガー教授が返却にやってきた。『一昨日はびっくりしたよ。あんなところで凛音に会うんだもんな。これはもう、運命か?』彼が私に片目をつぶってみせるのを、なんともいえない気持ちで見ていた。『……ただの偶然です』それ以上でもそれ以下でもないはずだ。『そうか?偶然だとしてもやはり、運命だと思うけどな』おかしそうにくすくすと笑う彼を軽く睨んでしまったが、私に罪はないはずだ。『用が済んだのなら……』……早くどこかへ行ってほしい。なんて私の希望は、虚しく潰える。『用ならあるぞ。また、凛音に文献を探してほしくてな』『わかり……ました』それならば仕事なので、断れない。彼から出る要望をメモに書き留めていく。『文献探しは凛音に頼むのが一番いいんだよな』ベーデガー教授はそれが正解だとばかりに頷いているが。『私は別に。ただ、ドイツ語ができるから、他の方より教授の要望が汲み取りやすいだけです』それ以外に他の人よりも私が優れている点なんてない。他の
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第六章 ワルイコトはイケナイコトです 2

そうか、わかっちゃうかー。炯さんがしばらくこちらにいるということは、今日は家に帰ってくるってことだ。夕食も一緒だし、そのあとも一緒。それだけでこんなに嬉しくなっちゃうのはなんでだろう。家でそわそわと炯さんの帰りを待つ。「ただいま」「おかえりなさい」帰ってきた彼が私にキスしてくれる。それだけで、幸せな気持ちになった。「んー、今日も仕事を頑張ってきたか?」「はい、もちろんです」炯さんに伴われて家の中へと入っていく。私を膝の上に抱き上げ、リビングのソファーに座って炯さんもご機嫌だ。「疲れて帰ってきて、凛音を抱き締められるとか最高だなー」口付けの雨を炯さんが降らしていく。視界の隅でスミさんが、うふふと微笑ましそうに笑って消えていった。「もー、仕事の疲れも一発で吹き飛ぶ」はむ、っと彼が私の唇を食べてくる。その大きな口は本当に私を食べちゃいそうで、どきどきとした。「本当は出張のときも、凛音を連れていきたいけどな。そうすれば凛音切れの心配もなくなる」炯さんはどこまでも真剣で、そこまで?とは思う。でも、ちょっとわかるかも。私も炯さんが長くいないと、炯さん切れを起こしているんだとこのあいだ、自覚したし。しかし、一緒に出張に着いていくと、お仕事休まないといけなくなっちゃうしな……。「でも俺の出張はなかなかスリリングだからな。それで凛音の身に危険がおよぶといけないし」さも当たり前のように彼は言っているが、出張ってそんなに危険なものなの?確かに父も、場所によっては傭兵を雇うと言っていたけれど。「お仕事、大変なんですよね……」「そうだな、海賊と渡りあったりもするしな」炯さんの身になにかあったらと考えて、身体がぶるりと震えた。思わずぎゅっと彼に抱きつく。「凛音?」「ご無事に帰ってきてよかったです」炯さんの仕事はこんなに危険なものなのだ。いつ、何時、なにがあるのかわからない。今まで無事に帰ってきたのも、奇跡なのかもしれない。「……そんなに心配しなくても大丈夫だ」あやすように軽く、彼が私の背中をぽんぽんと叩く。「現地のコーディネーターがあいだに入ってくれるし、ボディーガードも雇ってる。それに俺、逃げ足だけは速いからな」「逃げ足が速い、ですか?」ふふっとおかしそうに笑い、炯さんは私の顔を見た。「そうだ。ラグビ
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第六章 ワルイコトはイケナイコトです 3

翌日は通常業務をこなしつつ、ベーデガー教授依頼の文献を探す。なんか最近、ベーデガー教授専任になっている気がするが、気のせいだろうか。ドイツ語ができるからといわれればそれまでだけれど。「ベーデガー教授のところへ持っていってきまーす!」「あ、城坂さん」部屋を出ようとしたところで声をかけられ、足を止めた。「そのままあがっていいよ。もう時間だし」「あっ、はい。ありがとうございます……」壁に掛かった時計はもうすぐ私の定時になろうとしている。図書館は大学構内でも奥まったところにあり、戻ってこなくていいのはいつもならば嬉しい。しかし教授のところに行ってあがりなのは、なんか嫌な予感がするのはなんでだろう?「よいしょ」鞄と一緒に本を抱える。ちなみに通勤用の服や鞄は街のファッションビルで買ってもらった。そうやってできるだけ、一般人に擬態している。ベーデガー教授の部屋の前に立ち、一度ため息をついてからノックした。『ベーデガー教授、頼まれていた本をお持ちしました』『入ってー』『しつれいしまーす』すぐに返事があり、中へ入る。教授は私のところへ来て、本を受け取ってくれた。『ありがとう。いつも早くて助かるよ』笑った彼の口もとから、爽やかに白い歯がこぼれる。しかしそれが私には、胡散臭く見えていた。『では、私はこれで』用は済んだとばかりにそそくさと帰ろうとしたけれど。『たまにはお茶に付き合ってよ』もうその気なのか、教授は電気ポットをセットしている。『あの、でも、仕事……』『終わったんだろ?』最後まで言い切らせず、ちょいちょいと教授が自分の肩を指す。そこになにがあるのか考えて、今日はもう帰り支度を済ませて鞄を持っているのだと思い出した。「その、あの」『いつもなにかと頼んでいるお礼だよ。これくらい、許されるだろ』「うっ」教授が片目をつぶってみせ、声が詰まる。そんなふうに言われたら、断れない。『じゃ、じゃあ……』仕方なく、勧められるがままにソファーへ腰を下ろした。『ちょうどいい豆が手に入ってね』すぐにコーヒーのいい匂いが漂い出す。教授がコーヒーを淹れているあいだに、ミドリさんへ少し遅くなると連絡を入れた。『どうぞ』『……ありがとう、ございます』差し出されたカップを受け取る。『よかったらこれも食べてねー』い
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第六章 ワルイコトはイケナイコトです 4

ケーキも食べ終わり、教授から解放される。「凛音様、お疲れですか?」車に乗った途端、ミドリさんが聞いてきた。「えっ、あっ、……そう見えます?」「はい」そっかー、やっぱり教授との話でげんなりしているのが顔に出ているのか。「帰ったらゆっくり休んでください」「ありがとうございます」疲れた顔をしていたら、炯さんが心配しちゃうもんね。帰ってくるまでに復活しなくちゃ。「おかえりなさいませ、凛音様」今日も帰ったら、スミさんが迎えてくれる。「さあさ、お茶の準備ができておりますので、ごゆっくりされてください」「あー……」急かすようにリビングへと誘われながら、長く発して止まった。「今日はケーキはなしでお願いできますか?」曖昧な笑顔を浮かべ、スミさんの顔を見る。「あらあら、どこかお加減が悪いんですか?」途端に彼女は眉を寄せ、私を心配し始めた。「その。今日は……職場で帰りにケーキをいただいて。これ以上食べると夕飯入らなくなっちゃうかなー、って」まったくの嘘ではないが、なんとなく後ろめたくて視線が泳ぐ。「そうでございますか。わかりました」ほっとした顔をし、スミさんは私にお茶を淹れてくれた。ダージリンのいい香りが鼻腔をくすぐる。それを胸いっぱいに吸い込み、荒んだ心が和らいだ気がした。炯さんからドレスの候補ブランドを挙げておいてくれと言われていたので、ソファーでだらだらしながら携帯でサイトを巡る。「あ……」たまたま見たそのサイトは、和装が専門のようだった。……炯さんは白無垢姿が見たいとか言っていたけれど、私は色打ち掛けが気になるんだよね。ドレスの候補と言われていたのに、つらつらと和装の画像を漁っていく。その中で、目についたものがあった。「黒引き振り袖か……」クラシカルな雰囲気は私の好みにマッチしていた。しかも、その意味が。「あなた以外の誰にも染まりません、か」白の、「あなたの色に染まります」より、こっちのほうが好きかも。私を染めていいのは炯さんだけだ。どっちにしても彼に相談だけれど。でも、白はドレスで着るし、和装は色でもいいかもしれない。私が和装ならば基本、炯さんは紋付き袴になるわけで。「炯さんの着物姿……」想像するだけで顔がにやけてきちゃいそう。背が高いし、体つきがいいから似合いそうだ。あ、でも、袴姿も
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第六章 ワルイコトはイケナイコトです 5

「お祭りっていつですか!?」「一ヶ月半後くらいでございますね」私が喰い気味でスミさんは笑っているが、気にならない。携帯を操作して炯さんのスケジュールを確認した。今のところは、出張は入っていない。しかしまだ先の話なので、変更になるかもしれないが。「うーん」少し悩んで、スミさんから聞いたお祭りの日に【お祭り、デート】と書き込んでおいた。さりげないお誘いだけれど、炯さん気づいてくれるかな?あとは浴衣を準備して炯さんを驚かせたい。実家から持ってきたのはあるが、できれば新調したいな。それよりも、炯さんの浴衣だ。「スミさん。炯さんは浴衣を持ってますか?」「坊ちゃんですか?お付き合いで作ったのがいくつかあったような……?」だったら炯さんの浴衣は解決かな?私の浴衣はどうしよう……。「そうですわ」なにかを思いついたかのように、スミさんがぽんと手を打つ。「お祭りに行かれるのでしたら、凛音様と坊ちゃんの浴衣を新調しましょう!」もう決まりだとばかりに、スミさんはそわそわとしている。しかしそれには、問題があるのだ。「ど、どれくらいかかるんでしょう……?」たぶん、なじみの呉服店に頼むんだと思う。そうなると、私の稼ぎで足りるのか心配だ。……そう。〝悪いこと〟をして遊ぶお金は、稼いだお給料でまかなうと決めている。それはスミさんも知っていた。「まあまあ。そんなの、気になさらないでいいんですよ」「でも……」これは私の悪い遊びなのだ。なのに、浴衣を買ってもらうとかできない。「どのみち、協賛のご挨拶に行かないといけませんからね、奥様としてのお努めのようなものです。だから、気になさらないでください」「奥様としての務め……」そうか、籍はまだ入れていないとはいえ、もう私はほぼ炯さんの奥さんなんだ。気づくと同時にみるみる顔が熱くなっていき、いたたまれなくなってクッションで顔を隠した。「わかり、ました」それだとゆっくり屋台を見て回ったりできなさそうな気もするが、奥様としての務めなら仕方ない。うん、仕方ないとも。明日、私が仕事から帰ってくる頃になじみの呉服店に来てもらうように、スミさんが手配してくれた。楽しみだな。「凛音、祭りデート、OKだ!」帰ってきた途端、炯さんに抱きつかれて熱烈にキスされた。「えっ、あの、ご無理はなさら
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第七章 許されないワルイコト 1

お祭りデートを決めた翌日、灰谷家なじみの呉服屋が来てくれた。「可愛らしいお顔立ちですし、こういうモノがお似合いかと思いますがいかがでしょう?」炯さんと同じ年くらいの女性スタッフが勧めてくれたのは、ピンクの花柄の浴衣反だった。「そう、ですね……」たぶん、同年代の女性のほうが感性が近いだろうと彼女を寄越してくれたのは助かる。ありがちな、職人の手によるごりごりの芸術品絞り浴衣など勧められても困るし。しかし、私としては可愛らしいものよりもシックな大人っぽいものが欲しい。炯さんはなにかと私を子供扱いしてくるから、大人の女性として見てもらいたいのだ。「もうちょっとこう、落ち着いたものがいいんですが……」「落ち着いたものですか?」彼女が、ごそごそと持ってきた反物を漁る。並んでいるのはピンクや水色など、明るい色が多い。炯さんの趣味なんだろうか。「このあたりはいかがでしょう?」今度出てきたのは、黒の幾何学模様に水色の花を散らしたものだった。他にもいくつか、一緒に並べられる。「ううっ、悩んじゃう……」どれも素敵で、目移りした。「まあまあ、いったんお茶にしてゆっくりお選びになったらいいですよ。それに帯や小物でまた、変わってきますからね」ゆるーく笑いながら、スミさんがお茶を淹れてくれる。「そうですね」そうだ、浴衣がピンクの花柄だったとしても、帯がシックなものだと落ち着いて見える。浴衣と帯、両方で判断しないといけないのだ。呉服屋スタッフとああでもないこうでもないといろいろ議論しながら、コーディネートを考える。するとますます沼にハマってきて、私を悩ませた。「かえったぞ!」そうこうしているうちに炯さんが帰ってきた。というか、いつもよりも早い。早すぎる。もしかして炯さんも、浴衣を選ぶのが楽しみだったんだろうか。「それで決まったのか?」さりげなく私の隣に座り、彼は並んでいる反物と帯をのぞき込んだ。「その。決められなくて……」こっちの黒よりあっちの赤がいいかな、と思っても、帯を変えるだけで断然黒がよくなったりする。本当に難しい。「炯さんはどれがいいと思いますか?」ちらりと彼をうかがう。どうせなら、炯さんの好みのものを選ぶのもいいかも。「そうだな。俺は明るい色味の可愛らしいのが凛音には似合うと思っていたんだが……」一度
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第七章 許されないワルイコト 2

恨みがましく彼を軽く睨みつける。女性スタッフが頬を赤らめ、気まずそうに目を逸らしていた。「いつもしてるだろ?」しかし炯さんはしれっと言って、さらに唇を重ねてくる。確かにスミさんやミドリさんのいる前でいつも、キスしてますけど!でも、彼女らはもうそれが日常になっているし、私も半ば壁だと割り切っているのでまあいいが、外部の人間は違うのだ。「お外の人間がいるときはダメです」「そうか。残念」とか言いつつ、さらに彼は唇を重ねてきて、まったく理解していない。気を取り直して浴衣を選ぶ。「凛音に似合うのだろ……」炯さんは真剣に浴衣を見ている。「これはどうだ?」彼が手に取ったのは白地に黒の格子がバランスよく配置され、それに赤の椿が散らしてあるものだった。「これに黒の帯を締める」反物の上に炯さんが黒の帯を置く。それはシックだけれど、どこか可愛らしく、私の好みにぴったりだった。早速、スタッフに簡単に着付けてもらう。「うん、凛音の顔ともあってる」私の肩を軽く叩き、鏡越しに炯さんがにっこりと微笑む。「気に入りました、これにします……!」炯さんが私のために選んでくれた浴衣。それにまだ浴衣っぽく仮置きしただけだが、こんなに似合っている。これを選ばないなんてないだろう。「そうか、よかった」満足げに炯さんが頷く。それで私も嬉しくなっちゃうのはなんでだろう?そのあとはかんざしや帯締めなどの小物を選ぶ。いつも下駄のときは鼻緒が擦れて皮が剥け、困っていたのだが、足袋を穿けばいいと教えてくれた。普通の足袋が暑苦しいと思うのなら、レースにすればいいって。そうか、その手があったのか。私の浴衣も選び終わり、炯さんの浴衣選びに入ったものの。「これでいい」いくつかの反物から、適当に炯さんが選ぶ。「あの。もっと真剣に……」いくら紳士物は女性に比べて選べる幅が少ないからといって、雑すぎない?「別に適当じゃないぞ?この色なら並んだときに、凛音の浴衣が映えるだろ?」得意げに、にやりと右頬を歪めて炯さんが笑う。一応、考えてくれてはいるんだ。「帯はどっちがいいと思う?」炯さんが差し出してきたのは、黒と白の帯だった。浴衣が焦げ茶なら、帯は黒かな……?それに。「黒がいいです。帯が同じ色って、ちょっとだけペアルックっぽくないですか?」自分で
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第七章 許されないワルイコト 3

その日はようやく、ドレス選びに来ていた。炯さんが選んだのは一日一組限定のサロンで、ゆっくり見られる。それにネイルからヘアメイクまでトータルコーディネートしてくれて、当日もお任せなのらしい。「凛音が気になると言っていたドレスは準備してもらっているから、とりあえず着てきたらいい」「わかりました」担当の方に誘われてフィッティングルームへ入る。当日のメイクなどもするとあって、簡単にだが髪も結ってくれた。「……どう、ですか……?」着替えて、おそるおそる炯さんの前に出る。オフショルダーのシンプルなところが気に入ったんだけれど、どうだろう?「……綺麗だ」瞬間移動でもしたんじゃないかという速さで炯さんが私の前に立つ。彼の手が私の顎にかかり、レンズ越しに無理矢理、視線をあわせさせる。「美しすぎて何度でも求婚したくなる……」艶やかに光るオニキスが私を見ている。徐々に傾きながら顔が近づいてきて目を閉じた……ものの。「お外でキスは禁止です」ここは家ではないのだと思い出し、彼の顔を手で押さえた。「誰も見てなければいいんだろ?」右の口端を持ち上げ、にやりと意地悪く炯さんが笑う。そろりと見渡したあたりには彼が人払いしたのか、スタッフはひとりもいなかった。なら、いいのか?いやいや……。しかし私が逡巡しているうちに炯さんは唇を重ねてきた。……軽いキスくらいなら、まあ。なんて考えた私が甘かった。「んん……っ」強引に唇を割って彼がぬるりと入ってくる。さすがに離れようとしたが、ぐいっと腰を抱き寄せられる。ダメだとわかっているのに熱を移され、彼を求めていた。それでも太ももを撫でられて我に返る。「……それは、ダメです」「残念」私に手を掴まれ、彼が離れる。「じゃあこれは、帰ってからたっぷりと、……な」彼の手がそっと私の頬に触れる。じっとレンズ越しに私の目を見つめたまま、自身が濡らした唇を炯さんが親指で拭う。含みを持たせて言い、彼は薄く笑みを唇にのせた。その妖艶な顔を見た途端、頭がボン!と爆発した……気がした。「おっと!」くったりと崩れ落ちそうになった私を、炯さんが慌てて支えてくれる。顔が燃えるように熱い。あれは絶対、反則だ。「それともこのまま帰るか?」にやりと彼が意地悪く笑う。それにはさすがに、カチンときた。「けっこう
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第七章 許されないワルイコト 4

彼は真剣だが、思わず変な声が出た。そういえば、式を二回挙げようとかも言っていたような……。どうも私よりも炯さんのほうが、ドレス選びを楽しんでいる気がする。「本当は全部のドレスを着せたいけどな」「はぁ……」そんなの、私の身体がいくつあっても足りないよ……。ドレスは候補を絞ったところでいったん保留にして、和装の衣装を選ぶ。お色直しは二回で、最後は和装だ。「白無垢は絶対だが、色打ち掛けもいいよな」真剣に炯さんは選んでいるけれど。「えっと……。お式は披露宴会場近くの教会ですよね?だったらドレスなので白無垢は着られないと思うんですけど」お式の場所は先日、両親の勧めもあって下見に行って決めた。もう変更はないはずだ。「前撮りで着ればいいだろ?凛音が気にしていた黒引き振り袖もそれで着ればいい」そう言ってくれるのは嬉しいが、前撮りが一日で終わりそうにない気がするのはなんでだろう?……結局。「古典的な赤もいいけど、モダンなグリーンや水色も悩むよな……。白に金刺繍のやつも凛音の顔を引き立ててよかったけど、白は白無垢とかぶるしな……。黒もよかったが、あれは振り袖で着るから除外するか?でもなー」炯さんの悩みは尽きなくて、笑ってしまう。もし、全部着て写真を撮ろうと言われても、今度は諦めて受け入れようと思う。だって私にいろいろ着せてみたいって、炯さんは楽しそうなんだもの。最終的にドレスも和装も候補だけ絞って決定はせずに店を出た。あとで見たらまた違う印象になるかもしれないし、母や炯さんの妹さんも来たがっていたしね。でも、着る予定の枚数を聞いたら引かれるかもしれないが。「あー、もー、悩むー。レンタルもいいが、オーダーって手もあるんだよな……」車を運転しながら、炯さんはまだブツブツ言っている。「オーダー、オーダー、な……。それなら凛音に好みのドレスを着せられるんだよな。今度、オーダーのサロンの予約を取るか」あまりにも彼が真剣に悩んでいて、ついくすくすと笑ってしまう。「そんなに私の花嫁姿が楽しみですか?」「当たり前だろ。俺の可愛い凛音が、一生で一番輝く日なんだぞ?最高に綺麗にしてやりたいに決まってるじゃないか」さも普通なように言われ、頬がほのかに熱を持っていく。「……ありがとうございます」「俺はお礼を言われるようなこと
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