私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした

私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした

last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-03
Oleh:  霧内杳Ongoing
Bahasa: Japanese
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「本当に俺でいいのか」 お見合いして結婚に異存はない。 それでも――一度は悪いことがしてみたかった。 そんな私を見合い当日、連れだしてくれたの見ず知らずの男の人でした。 彼は私の願いを叶えてくれ、素敵な恋もさせてくれた。 満足して私は、親が勧めるがままに見合いをしたのだけれど……。 まさか、相手が彼だと誰が思う?

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Bab 1

第一章 初めてのワルイコト 1

脳腫瘍と診断された後、白石紗季(しらいし さき)は二つの事実を知ることになった。

一つは黒川隼人(くろかわ はやと)との婚姻届が偽物だったこと。もう一つは実の息子――黒川陽向(くろかわ ひなた)もその事実を知っており、他人を母親として望んでいたこと。

この時紗季は自分の家族を捨て、全てを彼らに捧げた七年間が、まるで茶番だったことを悟った。

そこで紗季は三つのことを実行し、この薄情な父子の前から完全に姿を消すことにした。

一つ目は、一ヶ月前に予約していた結婚七周年記念のキャンドルディナーをキャンセルし、陽向の幼稚園のクラスLINEグループと、父子の健康のために入っていた数十の健康関連のグループから退会すること。

二つ目は、医師からストレステストを受け、特効薬を処方してもらい、海外まで移動できる体調を確保すること。

三つ目は、七年間連絡を絶っていた兄の白石隆之(しらいし たかゆき)に電話をかけ、遠くへ嫁いだことを後悔して、帰りたいと告げること。

――

「紗季さん、がん細胞が脳神経を圧迫しています。早急な決断が必要です」

消毒液の匂いが漂う病院の廊下で、医師の言葉が今も紗季の耳に響いていた。

全身を震わせながら、しわくちゃになった検査結果の用紙を握りしめた。

最近頭痛や嘔吐に悩まされ、時々鼻血も出ていた。

寝不足による単なる体調不良だと思っていたのに、検査結果は恐ろしい事実を突きつけてきた。

医師は治療方針を選択する必要があると言った。

手術をして五十パーセントの生存確率に賭けるか。

それとも保守的な治療を選び、投薬と化学療法で髪の毛は抜け落ちるが、あと数年の命を繋ぐか。

紗季はその五十パーセントという確率に賭けることが怖かった。

幼い頃から注射さえ怖がっていた彼女にとって、冷たい手術台の上で生死を分ける選択をすることは想像もできないほど怖かった。

しかし手術をしなければ、脳の腫瘍は大きくなり、苦しみながら死んでいくという残酷な現実が待っている。

紗季は目を閉じ、隼人のことを考えた。

彼女は隼人と結婚してもう七年になる。彼女は彼を愛していて、まだ長い間一緒に生活したいと思っている。

そして何より、二人は頭がよく、優秀な息子――陽向を一緒に育てている。

人生で最も大切な二人のことを考えると、勇気が湧いてきた。

彼女は立ち上がり、医師の診察室のドアを開けた。

「先生、決心しました。開頭手術の予約をお願いします」

医師は厳かな表情で言った。

「五十パーセントの確率です。怖くないのですか?」

紗季は微笑んだ。「怖くありません。夫と子供が私の側にいてくれると信じています。二人がいれば、何も怖くありません」

医師はゆっくり頷いた。

「分かりました。一ヶ月後の手術を予約しておきます」

紗季は病院を出て、急いで帰宅した。夫と子供の慰めと支えが欲しかった。

家政婦は隼人が会社に行ったと告げた。

紗季は急いで黒川グループへ向かい、社長室の前まで来た。

中に入る前に、男性の声が聞こえてきた。

「隼人、紗季にお前が美琴を秘書にしたことを知られたら、怒るんじゃないか?」

紗季は凍りつき、ドアの隙間から隼人の親友――青山翔太(あおやま しょうた)の姿をはっきりと見た。

美琴?

美琴!

この名前は彼女にとってあまりにも馴染みがあった。隼人が十年もの間、心の奥底に秘めていた初恋の人だった。

机に向かって座る隼人は目を伏せ、袖をまくり上げた。黒いシャツの襟元は少し開いていて、どこか冷たい既婚者の雰囲気を醸し出していた。

彼はいらだって言った。

「会社のことに口を出すな」

翔太は首をすくめ、苦い顔をした。

「まあね、俺はこの何年もお前の面子を立てて、紗季のことを奥さんって呼んできたけど、周りの人はみんな、お前たちが偽装結婚だって知ってるよ。それに婚姻届は俺が偽造したんだ。ハハハハ!」

これを聞いた紗季は、顔が真っ白になり、その場で凍りついた。

彼女は......何を聞いたのだろう?

隼人との結婚は......偽装だったの?

隼人はオフィスのドアに背を向けて座り、ドアの外に人が立っていることに全く気付いていなかった。

翔太は好奇心に駆られて尋ねた。

「隼人、なんで黙ってるの?今美琴が戻ってきたんだから、早く紗季と別れればいいじゃん?当時紗季がしつこく迫って、お前が酔っ払ってた時に誘惑して妊娠したから、子供の戸籍のために仕方なく偽装結婚したんだろ。その結果、美琴が傷ついて出て行って、今やっと戻ってきたわけだし」

紗季は息を飲んだ。

激しい頭痛が襲ってきて、紗季は口を押さえ、必死に吐き気をこらえた。

あの夜、バーに翔太も確かにいたはずなのに!

自分は隼人にお酒を勧めてなどいなかったのに、隼人はビジネスライバルに薬を盛られていた。翔太はそれを分かっていたはずだ。

自ら「解毒剤」になろうとして、隼人とホテルへ行ったのだ。

なぜすべての責任を自分一人に押し付けるのか?

翔太は軽く笑い、からかうような口調で言った。

「お前はいつ美琴と結婚するつもりだ?当時彼女は重い心臓病にかかって、お前の足手纏いになるのを恐れて去った。紗季にその隙を突かれたんだろう?美琴はもともとお前の妻になるはずだったのに!」

隼人は鋭い視線で翔太を見つめた。

その目は氷のように冷たく、警告が伝わってくる。

「俺と紗季には陽向がいるんだ......」

紗季は全身を激しく震わせ、立っているのがやっとだった。

彼女は彼らの会話に吐き気を催した。聞き続けられなくなり、そのままトイレに駆け込んだ。

そのため隼人が言いかけていた言葉を聞き逃してしまった。

紗季は洗面所で激しく嘔吐した。

残酷な真実に吐き気を催したのか、脳腫瘍による生理反応なのか分からなかった。

女性社員が入ってきて驚き、急いでティッシュを差し出した。

紗季は目を赤くしてティッシュを受け取り、泣くよりも醜い笑顔を作って言った。

「ありがとうございます......隼人には私が来たことを言わないでください」

彼女は振り返り、よろめく足取りで会社を出て、まるで生ける屍のように街をさまよった。頭の中では、隼人との初めての出会いが思い返されていた。

7年前、彼女は海外でも有名なデザイナーで、兄――隆之のジュエリー会社で重要なポジションを担っていた。その頃、隼人とは何の接点もなかった。

ある出張の際、紗季がホテルを出たところで突然スカートが裂けてしまったのだ。

彼女が露出してしまいそうになり、ひどく恥ずかしく慌てていた時、隼人が高級車から降りてきて、彼女の前に歩み寄り、スーツの上着を差し出した。

「腰に巻いてください」

適切な援助が、見知らぬ環境での彼女の窮地と不安を一瞬で解消した。

彼女は顔を上げると、かっこいい顔に一目惚れした。

それ以来紗季は彼のことが忘れられず、隆之を通じてコネを作り、あらゆる手段を尽くして隼人との仕事上の接点を作り、積極的に追いかけた。

隼人の心の中に忘れられない初恋相手がいることを知りながらも、彼女は決して諦めなかった。

その後、酒の席で偶然会ったことがきっかけとなって二人は親しくなった。紗季が妊娠したことで、自然な流れで結婚することになったのだ。

紗季は新婚初夜のことを覚えていた。彼女は隼人に尋ねた。

「私は責任を取れとは言わなかったのに、なぜ私と結婚してくれたの?」

いつも冷淡な隼人が、初めてあんなに真剣に彼女を見つめ、ゆっくりと答えた。

「お前に、そして俺たちの子供に、家族を与えたいんだ」

この一言のために、紗季はこの結婚に全てを捧げた。彼女は隆之の強い反対を押し切って自身のキャリアを捨て、国内に留まり、妻として母として全力を尽くした。

しかし今、彼女が全てを捧げた結婚は最初から最後まで偽りだったのだ!

隼人は最初から彼女を本当の妻とは見ていなかった!この7年間、彼の心には別の女性がいて、彼女とは夫婦のふりをしていただけだった!

紗季の心はまるで血を流すように痛んだ。最初から最後まで完全な笑い物だったことを痛感した。

彼女は決心した。

一ヶ月後、もし手術が成功して生き延びたら陽向を連れて出て行こう。

隼人は陽向のことを遠慮する必要はない。好きな人と結婚すればいい!

子供のことを考えると、紗季に少し力が戻ってきたような気がした。

彼女は家に駆け戻り、階段の入り口まで来たところで、陽向が執事――森下玲(もりした れい)と話しているのが聞こえた。

「パパとママの婚姻届が授与されてないって、ママが知ったらどうなると思う?」

陽向の幼い声が聞こえてきた。

紗季は目を見開き、その場に立ち尽くした。

玲は優しく笑って答えた。

「仕方がないですよ、坊ちゃま。ご主人様は奥様のことをお好きではないですからね、それはご存知でしょう」

陽向は子供らしく鼻を鳴らした。

「実は僕もママのこと、あんまり好きじゃないんだ。僕は美琴さんの方が好き!すっごく優しいんだよ。ママが僕をパパの会社に連れて行くたびに、美琴さんはいっぱいおいしいものとか、面白いものをくれるんだ。ママみたいに、お菓子を食べ過ぎちゃダメだとか、勉強しなさいとか言わないし。うるさくないんだよ!美琴さんがパパと結婚できたらいいのにな!」

紗季は掌を強く握りしめたが、気を失いそうになった。

育てた実の子供までもが、隼人と同じように、彼女にこれほど冷たく無情だとは予想していなかった。

紗季は過去の「母子の愛」「夫婦の睦まじさ」という温かな情景を思い出したが、今となってはそれが全て夢だったと感じた。

これは甘美に見えて、実は恐ろしい悪夢だった。

当時、隆之が結婚のことに強く反対したのは、彼女が苦労することを心配してのことだった。彼女は隆之の言葉に耳を傾けるべきだったのだ。

もし隆之が隼人のしたことと陽向の態度を知ったら、きっと怒り狂って刃物を持って殺しに来るだろう。

紗季は胸の痛みで目を瞬かせ、黙って階段を降りた。

彼女は夫と子供のために死を恐れずに、手術台に横たわることを決意したが、今ではその支えとなっていた希望も完全に粉々に砕けてしまった。

彼女はリビングに来て、電話をかけた。

「お兄ちゃん、隼人と離婚したい。家に帰ってもいいかな?」
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第一章 初めてのワルイコト 1
私に〝ワルイコト〟を教えたのは、初対面の知らない男性でした。「……はぁっ」池の鯉を見ながら憂鬱なため息をついてしまい、苦笑いする。今日は私のお見合いで、老舗ホテルに来ていた。「うん。まあ、わかってたし」私の独り言を知らず、鯉はのんきに泳いでいて羨ましくなった。私の父は石油取り引きを生業にしている、『アッシュ』という大企業を経営している。私はいわゆる、ご令嬢というヤツだ。そしてお見合いの相手は旧財閥『三ツ星』のご令息。大財閥だったが故に戦後に解体されてしまったが、それでも現当主は各企業だった『三ツ星造船』の社長をしている。御曹司もグループの海運業会社で社長をしているという話だ。といってもここまでは伝え聞いて知っている情報で、私自身は彼についてなにも知らない。その名前すら、だ。お見合いが決まり、釣書や写真を両親は見せようとしたが、すべて拒否した。だってそうでしょう?要するにこれは政略結婚で、お見合いをする以前にもう結婚は決まっているのだ。もし好みから激しく違う男性だったらお見合いなんて逃げ出したくなっちゃうかもしれないし、だったら相手の顔なんて知らないほうがいい。もっとも、気が重くて時間になるまで、外で空気を吸わせてもらっている状態だが。「おい。その池に飛び込んでも、死ねないと思うぞ」「……は?」唐突に男の声が聞こえ、そちらを見る。そこには上部が太いメタルハーフリム眼鏡の下で眉を寄せた、スーツ姿の若い男性が立っていた。「えっと……。さすがに、この池に飛び込もうなんて思いませんが」戸惑いながら彼に答える。しかし、そう心配されるほど自分が思い悩んだ顔をしていた自覚があった。「そうか。なら、いいが」彼の手がゆっくりと上がり、その行方を追う。それは私の頭を、軽くぽんぽんと叩いた。「あの……」「ああ、すまん」私の声で自分の行為に気づいたのか、彼は確かめるように軽くその手を見たあと、引っ込めた。「俺にはちょうど、君くらいの妹がいてな。それで、つい」「はぁ……」照れくさそうに彼は人差し指でぽりぽりと頬を掻いている。それはよき兄なんだろうなと想像させた。「それで。なにをそんなに、思い詰めてるんだ?俺でよかったら話を聞いてやるぞ」真っ直ぐに彼が私を見下ろす。レンズ
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第一章 初めてのワルイコト 3
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第一章 初めてのワルイコト 5
「次はー、ゲーセンか?」「そうですね」彼と並んで歩き、街中を移動する。それすらも私には新鮮で、つい周りを見渡していた。少し移動し、ゲームセンターに到着する。「で、なにする?」「なに……?」漠然と来てみたいという憧れはあったが、ここでなにをするのか私はよく知らない。なので尋ねられて、戸惑った。「あー、そんな感じ?わかった」ひとりで納得し、彼は私の手を引いて店内を歩いていく。「なんか欲しいのないか」「欲しいの……?」言われて、周囲の大きなボックスの中には、ぬいぐるみやお菓子が詰んであるのに気づいた。欲しいのとはこれらのことだろう。「あっ。じゃあ、あれが欲しいです」私が指した先のボックスには、ポテトチップスの巨大な袋が並んでいた。ポテトチップスなんて憧れの食べ物、しかもあの大きさならかなり食べ甲斐があるだろう。「わかった」短く頷き、彼はその前に立って機械に小銭を投入した。手元のボタンを操作するにつれて、上部に取り付けられたクレーンが移動する。それはポテチの袋へと下りてきて、それを掴んだ。上がっていく袋を、なぜか息を詰めて見つめる。しかしそれは少し移動したものの、落ちてしまった。「ああっ」つい、落胆の声を漏らしてしまう。「まあ、見てろって」再び彼がボタン操作を始め、クレーンの行方をじっと見送った。今回は取り出し口の上まで到達し、落ちてくる。「ほら」出てきたポテチを渡してくれた彼は、自信満面だった。「凄い!凄いです!」大興奮でそれを受け取る。「他に欲しいのはないか?」「えっと……」きょろきょろと周囲を見渡し、小さい頃にお気に入りだった絵本の、ウサギのキャラのぬいぐるみを見つけた。「あれが欲しいです!」コマキさんの手を引っ張り、ぐいぐいとそちらへ連れていく。「今度は私がやってもいいですか!?」「いいよ」苦笑いで彼が、私に硬化を握らせてくれる。きっと私も、数度で取れると思っていたものの……。「ぜんっ、ぜん、取れない……」もうチャレンジは十度目を超えたが、ぬいぐるみは最初の場所からほとんど動いていない。持ち上がればいいほう、酷いとクレーンが上がり始めた時点でするりと爪が外れる。「もう諦めるか?」「絶対、諦めません!」ぬいぐるみを見つめたままお金を寄越せと手を出すと、すぐに彼が硬貨を
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第一章 初めてのワルイコト 6
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第一章 初めてのワルイコト 8
体勢を整え、すっかり開ききった花弁のあいだに彼が剛直を当てる。ぬるぬると蜜を纏わせるように動かされるそれは、思ったよりも大きくてごくりと喉が鳴った。「心配するな、大丈夫だから。……たぶん」彼は安心させるようににっこりと笑ったが、……最後の一言は余計です!さらに心配になっちゃいます……。「じゃあ」ゆっくりと彼が私の胎内に入ってきて、みしりと音がした気がした。まだ彼の指しか迎え入れたことのない隧道を、彼は進んでいく。「んっ、んんっ、んっ」「力、抜け」そう言われても緊張からか、身体に入った力は抜けない。「茜。目を開けろ」声をかけられて、きつく閉じていた瞼を開けた。そこには、心配そうなコマキさんの顔が見える。「もう、挿入りましたか……?」「まだ、先っちょだけだ」困ったように笑い、コマキさんは軽く口付けしてきた。「ううっ……」これでまだ先端だけなんて、先はまだまだ長くて挫けそうだ。「ゆっくり、深呼吸しろ」促すように彼が私の頭を撫でる。頷いて言われるように深呼吸しようと努力した。それにあわせて、徐々に彼が胎内へと侵入してくる。「痛いっ……!」さらに少し進められたところで、激しい痛みが私を襲ってきた。「いたっ、痛い……」「やめるか?」私が痛がり、コマキさんはきつく眉根を寄せて聞いてくれた。それに涙目で首を振る。「大丈夫、だから。続けてください」正直に言えば、我慢するのがやっとなくらい、痛い。でも、これは私が、何者にも支配されず私としてやった行為の証し。だから、最後までやりとおしたかった。「わかった」さらに気遣うように、彼が慎重に腰を進める。「茜」軽く頬を叩かれ、知らず知らずまた、きつく閉じていた目を開けた。「全部、挿入った」安心させるかのように、コマキさんが私に微笑みかける。「……はい」なんだか私も嬉しくて、自然と笑顔になっていた。私を気遣いながら、ゆっくりと彼が身体を動かす。私の蜜道はいまだじくじくと痛んでいたが、先ほどまでの激しい痛みはなかった。あとは終わるまで、耐えればいい。そう、思っていた、が。「ああっ」痛みが治まるにつれて、甘美な疼きが私を襲ってくる。「気持ちいい、か」その問いには答えられず、枕をきつく握りしめた。「あっ、はっ、ああっ」彼が奥を
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第二章 楽しいワルイコト 1
目が覚めたら、知らない男の顔が見えた。……え、誰?目を開いたまま固まり、その顔を凝視しながらだらだらと冷たい汗を掻く。それでも次第に目が覚めてくるにつれて、昨日の自分の行動を思い出した。……そうだった。お見合いすっぽかして、悪いことしに街に出たんだった。昨日は楽しかったな。最後は素敵な想い出まで。まだ昨日の余韻に浸っていたくて、目を閉じる。しかしすぐにまた、勢いよく目を開けた。……というか、今何時?遅くなってもいいから日付を超える前には帰らねばならなかったのだ。けれどこれはもう、そういう次元の時間じゃない気がする。時計を探したいが、私側の周囲には見当たらない。ベッドを出るためには脱ぎ散らかした服を拾わねばならないが、それはコマキさん側に落ちているようだった。「うっ」「目が覚めたのか」どうしようかジタバタしていたら、コマキさんが目を覚ました。私が起こしたんだろうし、大変申し訳ない。「その。何時ですか」「んー」まだ眠そうに彼が、手探りで置いてあった腕時計を手に取る。「七時だな」よく見えないのか時計に顔面をくっつけるようにして彼は時間を確認した。「七時!?」マズい、もうとっくに朝だ。のんきに気持ちよく、ぐーぐー寝ていたのを後悔した。しかしそんな時間だというのに、こんなに静かなのは不思議だが。「帰ります!」「待て」緊急事態なので恥ずかしいなんて考えないでベッドから飛び降りようとしたが、コマキさんから腕を掴んで止められた。「止めないでください!早くしないとコマキさん、殺されちゃうかも!」0時を超えるとブレスレットのGPSが作動し、警備会社に私の居場所を教える。あれにはそういう役割があるのだ。だから日付が変わる前に帰りたかったのに、ぐっすり眠ってしまっていた自分が恨めしい。とにかく、そんなわけでもう父に私の居場所は知られている。なのにこんな時間になっても踏み込んできていないのは、不気味としかいいようがない。「殺される、か」自分の命の危機なのに、コマキさんはおかしそうに笑っている。「冗談じゃないんですって!本当に、本当に、ほんとーに、殺されるかもしれないんですよ!」過去、私に危害を加えようとした人間は、私設ボディーガードによって瀕死の目に遭わされた。父から見れば私を誘拐し、犯した男なんて生か
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第二章 楽しいワルイコト 2
「なら、いいが」ようやく私がおとなしくなったからか、彼が軽く唇を重ねてくる。それはまるで好きな人と過ごす翌朝のようで、ますます顔が熱くなっていった。「とりあえず、大丈夫だからシャワー浴びてこい?小汚い姿で帰ったら、ますますご両親が心配するだろ?」「いたっ」私の額をその長い指で軽く弾き、彼が意地悪く右の口端を持ち上げる。コマキさんの言うことは確かに、一理あった。しかし、大丈夫だと言い切る自信がどこから出てくるのかわからない。「そうですね……」「だから、ほら」これを着ていけとでもいうのか、昨日彼が来ていたシャツを渡してくれる。「服はあとで持っていってやる」「わかりました」渋々ではあるけれど、シャツを羽織って浴室へ向かった。「服、おいとくなー」「あ、ありがとうございます」頭と身体を洗っていたら、ドアの外から声をかけられた。終わって出ると、昨日着ていた服……ではなく、上品な桜色のワンピースが置いてある。それしかないのでとりあえず、それを着て出た。「あの……」「昨日のあの服で帰ったら、親御さんの怒りレベルが上がるだろ?少しでも下げてやろうと思って、寝てるあいだに準備しといた」「ありがとうございます」なんでもないように彼が言う。そういう気遣いが嬉しくて、自然と頭を下げていた。「じゃあ、送っていくな。それで俺が勝手に連れ出したんだ、茜は悪くないって説明してやるから心配しなくていい」その気なのか、彼は会ったときのスーツ姿になっていた。この人はどこまで素敵な人なんだろう。ああ、こんな一時の仮初めの恋じゃなく、本当にこの人と恋がしたかったな。しかしそれは、私には許されないのだ。「あの。送ってくださらなくて大丈夫ですので。ひとりで、帰れます」もう、十分に迷惑をかけている。なのにさらに、父に罵倒され、もしかしたら暴力も振るわれるような目には遭わせられない。「本当に大丈夫か?」眼鏡の下で、彼の眉間に深い皺が刻まれる。そこまで私を心配してくれるのが嬉しくて、胸が詰まっていった。「はい、大丈夫です。これは私の意思で、私がやったことです。だから、コマキさんには責任がありません。お気遣いありがとうございます」彼を安心させようと、できるだけの顔で微笑む。それを見て彼は、小さく息を吐き出した。「わかった。じゃ
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