私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした

私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした

last updateآخر تحديث : 2025-11-03
بواسطة:  霧内杳مستمر
لغة: Japanese
goodnovel18goodnovel
لا يكفي التصنيفات
80فصول
8.4Kوجهات النظر
قراءة
أضف إلى المكتبة

مشاركة:  

تقرير
ملخص
كتالوج
امسح الكود للقراءة على التطبيق

「本当に俺でいいのか」 お見合いして結婚に異存はない。 それでも――一度は悪いことがしてみたかった。 そんな私を見合い当日、連れだしてくれたの見ず知らずの男の人でした。 彼は私の願いを叶えてくれ、素敵な恋もさせてくれた。 満足して私は、親が勧めるがままに見合いをしたのだけれど……。 まさか、相手が彼だと誰が思う?

عرض المزيد

الفصل الأول

第一章 初めてのワルイコト 1

私に〝ワルイコト〟を教えたのは、初対面の知らない男性でした。

……はぁっ」

池の鯉を見ながら憂鬱なため息をついてしまい、苦笑いする。

今日は私のお見合いで、老舗ホテルに来ていた。

「うん。

まあ、わかってたし」

私の独り言を知らず、鯉はのんきに泳いでいて羨ましくなった。

私の父は石油取り引きを生業にしている、『アッシュ』という大企業を経営している。

私はいわゆる、ご令嬢というヤツだ。

そしてお見合いの相手は旧財閥『三ツ星みつぼし』のご令息。

大財閥だったが故に戦後に解体されてしまったが、それでも現当主は各企業だった『三ツ星造船みつぼしぞうせん』の社長をしている。

御曹司もグループの海運業会社で社長をしているという話だ。

といってもここまでは伝え聞いて知っている情報で、私自身は彼についてなにも知らない。

その名前すら、だ。

お見合いが決まり、釣書や写真を両親は見せようとしたが、すべて拒否した。

だってそうでしょう?

要するにこれは政略結婚で、お見合いをする以前にもう結婚は決まっているのだ。

もし好みから激しく違う男性だったらお見合いなんて逃げ出したくなっちゃうかもしれないし、だったら相手の顔なんて知らないほうがいい。

もっとも、気が重くて時間になるまで、外で空気を吸わせてもらっている状態だが。

「おい。

その池に飛び込んでも、死ねないと思うぞ」

……は?」

唐突に男の声が聞こえ、そちらを見る。

そこには上部が太いメタルハーフリム眼鏡の下で眉を寄せた、スーツ姿の若い男性が立っていた。

「えっと……。

さすがに、この池に飛び込もうなんて思いませんが」

戸惑いながら彼に答える。

しかし、そう心配されるほど自分が思い悩んだ顔をしていた自覚があった。

「そうか。

なら、いいが」

彼の手がゆっくりと上がり、その行方を追う。

それは私の頭を、軽くぽんぽんと叩いた。

「あの……」

「ああ、すまん」

私の声で自分の行為に気づいたのか、彼は確かめるように軽くその手を見たあと、引っ込めた。

「俺にはちょうど、君くらいの妹がいてな。

それで、つい」

「はぁ……」

照れくさそうに彼は人差し指でぽりぽりと頬を掻いている。

それはよき兄なんだろうなと想像させた。

「それで。

なにをそんなに、思い詰めてるんだ?

俺でよかったら話を聞いてやるぞ」

真っ直ぐに彼が私を見下ろす。

レンズの奥の目はとても誠実そうに見えた。

それで少し、口が緩んだんだと思う。

「今日、これからお見合い、で」

「なんだ、見合いが嫌なのか」

彼の問いにううんと首を振った。

「別にお見合いに不満なんてありません。

お見合いして、相手の方と結婚するのが私の使命ですし」

この言葉に嘘偽りはない。

裕福な家の娘として生まれ、なに不自由なく育ててもらった。

その代わり、親の命じる相手と結婚しなければならないのは当たり前だ。

それに同じように結婚した両親は、燃えるような恋ではないが信頼を築きあげ、互いに愛しあっている。

私もきっとそうなるのだろうと、漠然と思っていた。

だから今日、初めて会う相手との結婚に不満はない。

「じゃあ、なにが不満なんだ?」

「その。

笑わないで聞いてもらえますか?」

不安で、彼を上目でうかがう。

「ああ」

しかし真面目に彼が頷き、少し安心して口を開いた。

「悪いことをしてみたかったな、って」

じっと彼を見上げ、なにが返ってくるか待つ。

「悪いことって、どんな?」

「その。

ゲームセンターとかカラオケとかに行ったりだとか。

ファストフードのお店でハンバーガーを食べたり、露天でクレープを買ったりだとか」

幼稚園からこの春に卒業した大学院まで、常に運転手付きの車で送り迎えだった。

当然、帰りに買い食いとかしたことがない。

それに良家の子女として恥ずかしい行動は禁止されていたので、今時の若い子のするような遊びの経験もなかった。

要するに今まで、籠の中という限られた世界の中で、なに不自由なく生活してきたのだ。

結婚しても、今までの家族の籠から新しい嫁ぎ先の籠へと移動するだけで、結局籠の中なのは変わらない。

それはそれで仕方ないと諦めがついていたが、それでも一度でいいから両親から眉をひそめられるような行為を、外の世界を体験してみたかった。

「あとは、素敵な殿方と恋をしてみたかった、……です」

言い切ったあと、恥ずかしくて頬が熱くなり俯いた。

彼からの返事はない。

こんなことがしたいだなんて、呆れているかバカにしているかなのかと思ったものの。

「それ。

俺が叶えてやろうか」

私の顔をのぞき込み、にかっと人なつっこく彼が笑う。

「えっと。

カラオケにゲーセンに、ハンバーガーとクレープだっけ?早速行かないと今日中じゃ終わらないな」

「えっ、あの」

もうその気なのか、彼は私の手を引っ張ってきた。

「でも、今からお見合いですし……」

さっきからバッグの中で携帯が震えている。

きっとそろそろ、父に命じられて誰か私を探しに来るだろう。

「見合いをサボるって、これ以上、悪いことはないと思うが?」

右の口端をつり上げて彼がにやりと笑う。

実に悪いその顔を見て、急に世界が切り替わった気がした。

「そう、ですね。

お見合いをサボるとか、悪い子のすることです」

差し出される手に、自分の手をのせる。

どうして今まで私は外の世界に出たいと願うばかりで、その一歩を踏み出さなかったのだろう。

別に本当に、籠に閉じ込められているわけでもないのに。

「じゃあ、行くぞ」

「はい」

ぐいっと彼が手を引っ張り、私は外の世界へと一歩、踏み出した。

توسيع
الفصل التالي
تحميل

أحدث فصل

فصول أخرى
لا توجد تعليقات
80 فصول
第一章 初めてのワルイコト 1
私に〝ワルイコト〟を教えたのは、初対面の知らない男性でした。「……はぁっ」池の鯉を見ながら憂鬱なため息をついてしまい、苦笑いする。今日は私のお見合いで、老舗ホテルに来ていた。「うん。まあ、わかってたし」私の独り言を知らず、鯉はのんきに泳いでいて羨ましくなった。私の父は石油取り引きを生業にしている、『アッシュ』という大企業を経営している。私はいわゆる、ご令嬢というヤツだ。そしてお見合いの相手は旧財閥『三ツ星』のご令息。大財閥だったが故に戦後に解体されてしまったが、それでも現当主は各企業だった『三ツ星造船』の社長をしている。御曹司もグループの海運業会社で社長をしているという話だ。といってもここまでは伝え聞いて知っている情報で、私自身は彼についてなにも知らない。その名前すら、だ。お見合いが決まり、釣書や写真を両親は見せようとしたが、すべて拒否した。だってそうでしょう?要するにこれは政略結婚で、お見合いをする以前にもう結婚は決まっているのだ。もし好みから激しく違う男性だったらお見合いなんて逃げ出したくなっちゃうかもしれないし、だったら相手の顔なんて知らないほうがいい。もっとも、気が重くて時間になるまで、外で空気を吸わせてもらっている状態だが。「おい。その池に飛び込んでも、死ねないと思うぞ」「……は?」唐突に男の声が聞こえ、そちらを見る。そこには上部が太いメタルハーフリム眼鏡の下で眉を寄せた、スーツ姿の若い男性が立っていた。「えっと……。さすがに、この池に飛び込もうなんて思いませんが」戸惑いながら彼に答える。しかし、そう心配されるほど自分が思い悩んだ顔をしていた自覚があった。「そうか。なら、いいが」彼の手がゆっくりと上がり、その行方を追う。それは私の頭を、軽くぽんぽんと叩いた。「あの……」「ああ、すまん」私の声で自分の行為に気づいたのか、彼は確かめるように軽くその手を見たあと、引っ込めた。「俺にはちょうど、君くらいの妹がいてな。それで、つい」「はぁ……」照れくさそうに彼は人差し指でぽりぽりと頬を掻いている。それはよき兄なんだろうなと想像させた。「それで。なにをそんなに、思い詰めてるんだ?俺でよかったら話を聞いてやるぞ」真っ直ぐに彼が私を見下ろす。レンズ
اقرأ المزيد
第一章 初めてのワルイコト 2
男は駐車場に停めてあった車に私を乗せ、追っ手を振り払うように急発進した。「とりあえず、自己紹介な。俺は……コマキフミタカ。ちんけな会社を経営している」名乗る前に僅かに、逡巡するような間があったが、もしかして偽名なんだろうか。だったら。「東城茜、です。この春に大学院を卒業したばかりです」私の名前は東城茜ではない。これは昨晩読んでいた、小説のヒロインの名前だ。彼も本当の名前を名乗る気はないみたいだし、私も知られると身に危険がおよぶ可能性がある。これでも誘拐されそうになった経験は一度や二度ではない。すべて未遂に終わったけれど。追跡されないために携帯はホテルの庭に落としてきたが、最終手段の警備会社へ通報が行くブレスレットはバッグに忍ばせてある。「大学院を卒業したばかりって、じゃあ……二十四?」「はい」「年まで妹と一緒とはね」なにがおかしいのか、彼――コマキさんは笑っている。しかし、私と同じ年の妹がいるということは、少なくとも二、三歳は上なのだろう。「まずは服だな。その格好じゃ悪いことはできない」ちらりと眼鏡の奥から、彼の視線が私へと向かう。「……そう、ですね」つい、自分の身体を見下ろしていた。お見合い、なので当然ながら、今日は仰々しい振り袖姿だ。これでは確かに、悪いことどころか街を歩くだけでも不自由しそうだ。「よし、決まりだ」楽しそうにコマキさんは、ハンドルを切った。コマキさんが私を連れてきてくれたのは、ファストファッションのお店だった。「初めて来た」同じデザインの、サイズ違いの服がたくさん並べてあるところから新鮮だ。「なんでも好きなの選べよー」「あっ、はい」ぽやっと見ていたところに声をかけられ、我に返る。普段、着ないような洋服が並んでいる店内は、見ているだけで楽しい。が、私はこれから悪いことをするための服を買いに来たのだ。選ばなければ。無難にいつも着ているものに近いスカートを手に取りかけて、止まる。今日は悪い子になるために来たのだ。だったら服も、それなりにするべきでは?「悪い子の服……」もうなんだかそれだけでわくわくしてしまう。さすがに振り袖だと試着ができないので、一発勝負だ。「けっこう、似合ってる?」鏡の中の自分に笑いかけると、大きな垂れた目が、嬉しそう
اقرأ المزيد
第一章 初めてのワルイコト 3
「さて。腹ごしらえも済んだし、次はカラオケに行くか」「はい」片付けをして店を出る。楽しそうにゴミを捨てる私をコマキさんは笑って見ていて、性格悪いと思う。でもそういう、普段私がやらない、普通なら当たり前のことが面白くて堪らないのだ。少し歩いてビルに入る、カラオケ店に彼は私を連れてきてくれた。「なんでも好きなモノを入れろ」「はい……」端末を前にしてふと気づく。カラオケには来てみたかったが、私ははやりの歌などなにひとつ知らないのだ!「えっと……。コマキさんが、入れてください」彼の前にもあるというのに、なんとなく目の前に置かれた端末を避けるようにそちらへと押す。「せっかくカラオケに来たのに、自分で歌わないと意味ないだろうが」彼は呆れているが、そのとおりだとは思う。「別に歌が酷く下手だったとしても笑わないぞ。それにきっと、二度と会わない相手だ。旅の恥はかき捨てじゃないが、気にしなくていい」その気遣いはとても嬉しくて、彼に対する好感度が上がった。しかしながら問題はそこではないのだ。歌は別に下手ではない。けれど歌える曲があるのかどうかというのが問題なわけで。「その……。童謡、……とかもあるんでしょうか……?」「は?」一音発し、眼鏡の向こうで彼の目が真円を描くほど見開かれる。「まさか、最近の歌を知らない?」恥ずかしながらそれに頷いた。「テレビとか……は俺もあまり観ないが、動画配信とか観ないのか?」「テレビは教育放送とニュースくらいしか見ないですし、携帯も父が入れたアプリ以外、使用禁止だったので……」「マジか」さらに彼の目が大きく見開かれ、目玉が落ちてしまわないか心配になるほどだ。でも、その驚きは当然だと思う。観るもの、聴くもの、読むもの、すべて親に制限されてきた。おかげで私は、戦前のご令嬢のように育っていた。「んー。じゃあ、これはどうだ?」少し悩んで操作したあと、彼が端末を見せてくる。そこにはモモエという歌手の曲が表示されていた。「あっ、これなら知ってます!」「だろ?最近の音楽の教科書には、J-POPがけっこう載ってるからな。じゃ、入れるぞ」少しして音楽が流れだし、マイクを握る。そうか、学生時代に習った曲を入れればいいのか。そう気づき、急に気が楽になった。その後、二時間ほどカラオケを堪能さ
اقرأ المزيد
第一章 初めてのワルイコト 4
カラオケのあとは、クレープを食べにいく。「いろいろ種類があって迷っちゃう……」イチゴは王道だが、チョコバナナも悩む。さらにツナとかハムとか、お食事系も気になった。「食べたいのをふたつ選べ。俺とシェアすればいいだろ」「いいんですか!?」「ああ」眼鏡の奥で眩しそうに目を細め、喜ぶ私をコマキさんは見ている。その顔に、胸がとくんと甘く鼓動した。「あっ、……じゃあ。イチゴのクレープと、チョコバナナ、で」「わかった」小さく呟くように言った声を拾い、コマキさんが注文してくれる。どきどき、どきどき。心臓の鼓動が、速い。「ほら」「あ、ありがとう、……ございます」熱を持つ顔を見られたくなくて、俯いた。近くにあったベンチにふたり並んで座り、俯いたままちまちまとクレープを囓る。「クレープの味はどうだ?」「お、美味しいです」嘘。ときめきが止まらなくて、味なんてわからない。これは私が、男慣れしていないからなんだろうか。「食べるだろ?」「えっ、あっ」少ししたところで、コマキさんがクレープを差し出してきた。慌てて受け取ろうとしたものの。「ほら」彼は渡さずに、それを私の口もとへと近づけてくる。もしかして、このまま食べろと!?そんなの、ハードルが高すぎる!「なに固まってんだ?ほら、遠慮するな」しかし彼にとってこれは当たり前みたいで、引いてくれそうにない。「じゃ、じゃあ」諦めて、ゆっくりと口を開けて彼の持つクレープをひとくち食べた。さっきから、自分の鼓動ばかりが耳につく。「そっちも食べさせてくれ」今度はあーんと口を開け、コマキさんが私を待っている。どうしてこう、彼は私に難しい行為ばかりさせたがるのだろう。しかし私が食べさせるまでそのままでいそうなので、覚悟を決めてその口に近づけた。「やっぱ、イチゴもいいな」「そ、そうですね」残りのクレープを食べながら気づいた。もしかしてこれは、ものすごく恋人同士っぽい行動なのでは?私はこんなに恥ずかしくて大変だったけれど、世の恋人たちはこれを平気でやっているなんて尊敬する。それとも、慣れれば平気になるんだろうか。しかし、私にはそんな時間はないので、一生理解できそうにない。「クレープもたまに食べるとうまいな」クレープも食べ終わり、ベンチを立つ。「たまに……?」彼の口ぶ
اقرأ المزيد
第一章 初めてのワルイコト 5
「次はー、ゲーセンか?」「そうですね」彼と並んで歩き、街中を移動する。それすらも私には新鮮で、つい周りを見渡していた。少し移動し、ゲームセンターに到着する。「で、なにする?」「なに……?」漠然と来てみたいという憧れはあったが、ここでなにをするのか私はよく知らない。なので尋ねられて、戸惑った。「あー、そんな感じ?わかった」ひとりで納得し、彼は私の手を引いて店内を歩いていく。「なんか欲しいのないか」「欲しいの……?」言われて、周囲の大きなボックスの中には、ぬいぐるみやお菓子が詰んであるのに気づいた。欲しいのとはこれらのことだろう。「あっ。じゃあ、あれが欲しいです」私が指した先のボックスには、ポテトチップスの巨大な袋が並んでいた。ポテトチップスなんて憧れの食べ物、しかもあの大きさならかなり食べ甲斐があるだろう。「わかった」短く頷き、彼はその前に立って機械に小銭を投入した。手元のボタンを操作するにつれて、上部に取り付けられたクレーンが移動する。それはポテチの袋へと下りてきて、それを掴んだ。上がっていく袋を、なぜか息を詰めて見つめる。しかしそれは少し移動したものの、落ちてしまった。「ああっ」つい、落胆の声を漏らしてしまう。「まあ、見てろって」再び彼がボタン操作を始め、クレーンの行方をじっと見送った。今回は取り出し口の上まで到達し、落ちてくる。「ほら」出てきたポテチを渡してくれた彼は、自信満面だった。「凄い!凄いです!」大興奮でそれを受け取る。「他に欲しいのはないか?」「えっと……」きょろきょろと周囲を見渡し、小さい頃にお気に入りだった絵本の、ウサギのキャラのぬいぐるみを見つけた。「あれが欲しいです!」コマキさんの手を引っ張り、ぐいぐいとそちらへ連れていく。「今度は私がやってもいいですか!?」「いいよ」苦笑いで彼が、私に硬化を握らせてくれる。きっと私も、数度で取れると思っていたものの……。「ぜんっ、ぜん、取れない……」もうチャレンジは十度目を超えたが、ぬいぐるみは最初の場所からほとんど動いていない。持ち上がればいいほう、酷いとクレーンが上がり始めた時点でするりと爪が外れる。「もう諦めるか?」「絶対、諦めません!」ぬいぐるみを見つめたままお金を寄越せと手を出すと、すぐに彼が硬貨を
اقرأ المزيد
第一章 初めてのワルイコト 6
移動中の車の中、コマキさんはずっと無言だった。私もなにも言えずに、ぎゅっとぬいぐるみを抱き締める。彼は外資の、高級ホテルのスイートで私を押し倒した。「本当にいいんだな」艶やかに光る目が、私を見ている。その瞳に、心臓がどくん、どくんと大きく鼓動した。「はい。私はコマキさんが好き、なので」キスを誘うように目を閉じる。この気持ちは偽りではない。彼が、好きだ。ただし、まだほのかに好意を抱いている、くらいだが。このまま付き合っていたら、好きになっていたかもしれない。その時間がないのが、酷く惜しかった。「……茜」甘い重低音が私の鼓膜を震わせる。すぐに熱い唇が重なった。何度か啄んだあと、親指が顎を押し、唇を開かせる。その隙間からすぐに、肉厚なそれがぬるりと入ってきた。どうしていいのか戸惑っていたら、彼が舌を絡めてくる。……なに、これ。気分がふわふわとし、頭がじんじんと痺れる。私の知らない、感覚。……コマキさんの熱、移される。頭がぼーっとして、なにも考えられない。自然と私からも、彼を求めていた。最後に私の舌を唾液ごと吸い上げ、彼が離れる。「とろんとした顔して、可愛いな」軽く唇を触れさせた彼の手が、私の服にかかる。そのままされるがままに服を脱がされた。「綺麗だな」ふっと薄く笑い、眼鏡を置いた彼が覆い被さってくる。「なにも心配しなくていい、ただ俺に身を任せてろ」「んっ」彼の唇が首筋に触れ、甘い吐息が鼻から抜けていった。唇は次第に足下へと下りていき、すぐに胸もとに到達する。「あっ」大きな手が胸の膨らみを掴む。「けっこう胸、大きいよな」「言わないで……」確認するかのように、やわやわとそこを揉まれた。着物のときに苦しいくらい潰さねばならないそれは、私のコンプレックスだった。「綺麗だって言ってるんだ。そんな悲しそうな顔をするな」あやすように口付けが落とされる。それで気持ちが楽になっているのは、なんでだろう?コマキさんの手が背中に回り、助けるように私も軽く浮かす。下着の金具を探り当てられ、外されるとともにたわわな果実が解放された。「うまそうだ」「ああっ」その言葉どおり、彼がそこにむしゃぶりつく。舌先で種を転がされ、ぞわぞわと背筋が粟立った。「あっ、はっ」すぐ視線の先、コマキさんは私の胸に顔
اقرأ المزيد
第一章 初めてのワルイコト 7
コマキさんが最後の砦を取り去り、生まれたままの姿にされる。「恥ずかしい……」小さく身体を丸めようとしたが、彼はそれを拒んできた。「こんなに綺麗なんだから、恥ずかしがる必要はないだろ。……ああ。俺も脱ぐか」テキパキと彼が服を脱いでいく。その下からは厚い胸板の、引き締まった身体が出てきた。「凄い……」「ん?昔、ラグビーやっててこうなってた。嫌か?」心配そうに彼が眉を寄せる。それにううんと首を振った。「なんか、安心感があります」「そうか」嬉しそうに笑い、彼が口付けを落としてくる。そのまま彼の手が膝裏にかかり、自分自身でも見たことのない秘部を露わにされた。「初めてなのにしっかり、雌の匂いがしてる」「いやぁ……。嗅がないで……」彼が鼻を近づけ、そこをすん、と嗅ぐ。それだけで一気に身体の熱が上がった。「なんでだ?甘くてこれ以上ないほどいい匂いなのに」肉厚な舌が、れろりと花びらをこじ開けてくる。そのままそれはまだ堅い花芽に達し、ねっとりと舐めあげた。「ああーっ」全身をビリビリと電流が走り、勝手に身体がびくびくと軽く震える。「可愛い反応だな」弄ぶようにそこを舐めあげ続けられるだけで、気が狂いそうなほどの快感が襲ってくる。なのに。「ん、あっ、ああっ!」彼は未開の隘路へと指を侵入させてきた。「痛いか?」その問いに黙って首を振る。異物感はある、が不快感というよりも不思議な気分だ。「そうか」「あっ、ああっ、あっ」私の返事を確認し、ゆるゆると彼が指を動かし始める。さらに同時に、花芽を舐めあげられた。「んっ、あっ、あっ」「我慢しないで、イきたくなったらイっていいからな」暴れ回る快楽が苦しくて、彼の声は私の耳には届かない。身体はどんどん高みへと昇っていき、超えてはならない一線を越えそうだ。そのとき……どうなるのか、怖い。怖くて堪らないのに、身体はそこを目指して走り出している。「コマキ、さん……!」「ん?ああ」縋るように出した手を、彼が指を絡めて握ってくれる。それで少し、安心した。「俺が見ててやるから、安心して……イけ」「あっ、ああーっ!」彼が耳もとで囁いた途端。目の前がショートした。一度途切れた意識は、甘美なけだるさとともに次第に戻ってくる。「可愛かった」褒めるようにコマキさんが
اقرأ المزيد
第一章 初めてのワルイコト 8
体勢を整え、すっかり開ききった花弁のあいだに彼が剛直を当てる。ぬるぬると蜜を纏わせるように動かされるそれは、思ったよりも大きくてごくりと喉が鳴った。「心配するな、大丈夫だから。……たぶん」彼は安心させるようににっこりと笑ったが、……最後の一言は余計です!さらに心配になっちゃいます……。「じゃあ」ゆっくりと彼が私の胎内に入ってきて、みしりと音がした気がした。まだ彼の指しか迎え入れたことのない隧道を、彼は進んでいく。「んっ、んんっ、んっ」「力、抜け」そう言われても緊張からか、身体に入った力は抜けない。「茜。目を開けろ」声をかけられて、きつく閉じていた瞼を開けた。そこには、心配そうなコマキさんの顔が見える。「もう、挿入りましたか……?」「まだ、先っちょだけだ」困ったように笑い、コマキさんは軽く口付けしてきた。「ううっ……」これでまだ先端だけなんて、先はまだまだ長くて挫けそうだ。「ゆっくり、深呼吸しろ」促すように彼が私の頭を撫でる。頷いて言われるように深呼吸しようと努力した。それにあわせて、徐々に彼が胎内へと侵入してくる。「痛いっ……!」さらに少し進められたところで、激しい痛みが私を襲ってきた。「いたっ、痛い……」「やめるか?」私が痛がり、コマキさんはきつく眉根を寄せて聞いてくれた。それに涙目で首を振る。「大丈夫、だから。続けてください」正直に言えば、我慢するのがやっとなくらい、痛い。でも、これは私が、何者にも支配されず私としてやった行為の証し。だから、最後までやりとおしたかった。「わかった」さらに気遣うように、彼が慎重に腰を進める。「茜」軽く頬を叩かれ、知らず知らずまた、きつく閉じていた目を開けた。「全部、挿入った」安心させるかのように、コマキさんが私に微笑みかける。「……はい」なんだか私も嬉しくて、自然と笑顔になっていた。私を気遣いながら、ゆっくりと彼が身体を動かす。私の蜜道はいまだじくじくと痛んでいたが、先ほどまでの激しい痛みはなかった。あとは終わるまで、耐えればいい。そう、思っていた、が。「ああっ」痛みが治まるにつれて、甘美な疼きが私を襲ってくる。「気持ちいい、か」その問いには答えられず、枕をきつく握りしめた。「あっ、はっ、ああっ」彼が奥を
اقرأ المزيد
第二章 楽しいワルイコト 1
目が覚めたら、知らない男の顔が見えた。……え、誰?目を開いたまま固まり、その顔を凝視しながらだらだらと冷たい汗を掻く。それでも次第に目が覚めてくるにつれて、昨日の自分の行動を思い出した。……そうだった。お見合いすっぽかして、悪いことしに街に出たんだった。昨日は楽しかったな。最後は素敵な想い出まで。まだ昨日の余韻に浸っていたくて、目を閉じる。しかしすぐにまた、勢いよく目を開けた。……というか、今何時?遅くなってもいいから日付を超える前には帰らねばならなかったのだ。けれどこれはもう、そういう次元の時間じゃない気がする。時計を探したいが、私側の周囲には見当たらない。ベッドを出るためには脱ぎ散らかした服を拾わねばならないが、それはコマキさん側に落ちているようだった。「うっ」「目が覚めたのか」どうしようかジタバタしていたら、コマキさんが目を覚ました。私が起こしたんだろうし、大変申し訳ない。「その。何時ですか」「んー」まだ眠そうに彼が、手探りで置いてあった腕時計を手に取る。「七時だな」よく見えないのか時計に顔面をくっつけるようにして彼は時間を確認した。「七時!?」マズい、もうとっくに朝だ。のんきに気持ちよく、ぐーぐー寝ていたのを後悔した。しかしそんな時間だというのに、こんなに静かなのは不思議だが。「帰ります!」「待て」緊急事態なので恥ずかしいなんて考えないでベッドから飛び降りようとしたが、コマキさんから腕を掴んで止められた。「止めないでください!早くしないとコマキさん、殺されちゃうかも!」0時を超えるとブレスレットのGPSが作動し、警備会社に私の居場所を教える。あれにはそういう役割があるのだ。だから日付が変わる前に帰りたかったのに、ぐっすり眠ってしまっていた自分が恨めしい。とにかく、そんなわけでもう父に私の居場所は知られている。なのにこんな時間になっても踏み込んできていないのは、不気味としかいいようがない。「殺される、か」自分の命の危機なのに、コマキさんはおかしそうに笑っている。「冗談じゃないんですって!本当に、本当に、ほんとーに、殺されるかもしれないんですよ!」過去、私に危害を加えようとした人間は、私設ボディーガードによって瀕死の目に遭わされた。父から見れば私を誘拐し、犯した男なんて生か
اقرأ المزيد
第二章 楽しいワルイコト 2
「なら、いいが」ようやく私がおとなしくなったからか、彼が軽く唇を重ねてくる。それはまるで好きな人と過ごす翌朝のようで、ますます顔が熱くなっていった。「とりあえず、大丈夫だからシャワー浴びてこい?小汚い姿で帰ったら、ますますご両親が心配するだろ?」「いたっ」私の額をその長い指で軽く弾き、彼が意地悪く右の口端を持ち上げる。コマキさんの言うことは確かに、一理あった。しかし、大丈夫だと言い切る自信がどこから出てくるのかわからない。「そうですね……」「だから、ほら」これを着ていけとでもいうのか、昨日彼が来ていたシャツを渡してくれる。「服はあとで持っていってやる」「わかりました」渋々ではあるけれど、シャツを羽織って浴室へ向かった。「服、おいとくなー」「あ、ありがとうございます」頭と身体を洗っていたら、ドアの外から声をかけられた。終わって出ると、昨日着ていた服……ではなく、上品な桜色のワンピースが置いてある。それしかないのでとりあえず、それを着て出た。「あの……」「昨日のあの服で帰ったら、親御さんの怒りレベルが上がるだろ?少しでも下げてやろうと思って、寝てるあいだに準備しといた」「ありがとうございます」なんでもないように彼が言う。そういう気遣いが嬉しくて、自然と頭を下げていた。「じゃあ、送っていくな。それで俺が勝手に連れ出したんだ、茜は悪くないって説明してやるから心配しなくていい」その気なのか、彼は会ったときのスーツ姿になっていた。この人はどこまで素敵な人なんだろう。ああ、こんな一時の仮初めの恋じゃなく、本当にこの人と恋がしたかったな。しかしそれは、私には許されないのだ。「あの。送ってくださらなくて大丈夫ですので。ひとりで、帰れます」もう、十分に迷惑をかけている。なのにさらに、父に罵倒され、もしかしたら暴力も振るわれるような目には遭わせられない。「本当に大丈夫か?」眼鏡の下で、彼の眉間に深い皺が刻まれる。そこまで私を心配してくれるのが嬉しくて、胸が詰まっていった。「はい、大丈夫です。これは私の意思で、私がやったことです。だから、コマキさんには責任がありません。お気遣いありがとうございます」彼を安心させようと、できるだけの顔で微笑む。それを見て彼は、小さく息を吐き出した。「わかった。じゃ
اقرأ المزيد
استكشاف وقراءة روايات جيدة مجانية
الوصول المجاني إلى عدد كبير من الروايات الجيدة على تطبيق GoodNovel. تنزيل الكتب التي تحبها وقراءتها كلما وأينما أردت
اقرأ الكتب مجانا في التطبيق
امسح الكود للقراءة على التطبيق
DMCA.com Protection Status