セリオンはウキウキとしながら、物置から釣竿を二本取り出してくると肩に担いだ。「じゃぁ、しゅっぱーつ!」 セリオンは輝く笑顔でソリスの手を取り、お花畑の中を歩き出す。ナチュラルに手をつながれて一瞬焦ったソリスだったが、「しゅっぱーつ!」 と、ソリスも嬉しそうに真似をして、つないだ手を振り、歩き出した。 二人はお互いの顔を見つめあい、ニッコリと笑って同じ歩幅で歩いていく。「お日さま ぽっかぽか~♪ 手つなぐ ぼくときみ~♪」 上機嫌にセリオンが歌い出す。ちょっと調子っぱずれだが、のびやかな歌声にはワクワクとした楽しさがたくさん詰まっていた。「え? 何の歌なの?」「今、思いついたまま歌ってるんだよ。一緒に歌お?」 セリオンは小首をかしげてソリスの顔をのぞきこむ。その可愛らしさにソリスはクラクラしてしまう。「いいよ! お日さま ぽっかぽか~♪ 手つなぐ ぼくときみ~♪」「ぼくときみ~♪」「お花畑 乗り越えて~♪ 湖まで ぴょんぴょんぴょん~♪」「ぴょんぴょんぴょん~♪ きゃははは!」 温かい春の日差がさんさんと降り注ぐ花畑を、二人は即興の歌を歌いながら楽しく進んでいく。 孤児院を出てから不本意に冒険者をやり、命のやり取りをしながらギリギリの暮らしをしてきたソリスにとって、こんな楽しい時間は生まれて初めてだった。もちろん、フィリアやイヴィットとの時間も楽しかったが、それは大人の楽しさなのだ。こんな童心に帰って伸び伸びとした楽しさに触れるなんてことは全く記憶になかった。『あぁ、人生ってこんなに楽しいものだったのね!』 ソリスは心の底から湧き上がる喜びに身を任せ、セリオンとの笑顔が交わされるその瞬間を心から楽しんだ。 辛く厳しい時間の連続で凍り付き、ささくれだったソリスの心はこうしてゆっくりと溶かされていくのだった。 ◇ しばらく森を歩いた時だった。いきなりパアッと視界が開け、息を呑むほどの美しい湖が目の前に広がった――――。
ปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-10 อ่านเพิ่มเติม