「治療が最優先よ。家まで焼いてくれちゃって、賠償とかもしっかりやってもらうから!」 ソリスはブレイブハートを鋭い目でにらみつける。「OK! 賠償は前向きに話し合おう。その代わり、準備が整うまで君はそこを一歩も動かないでほしい」「……。どういうこと?」 ソリスはけげんそうに小首をかしげる。いよいよきな臭い。一気に突っ込んでいって斬ってしまおうかとも考えたが、セリオンのことを考えるとうかつには動けない。「君のような凄腕の剣士にチョロチョロされたら、治療する方も怖がってしまうだろ?」「そんなのあんたらの都合でしょ?」「交渉決裂……ですか?」 ブレイブハートはわざとらしく悲しそうに言う。そのムカつく態度にイラっとさせられたソリスだったが、セリオンの治療がすべてに優先される今、こんなことでもめている場合ではない。「分かったわよ! ここにいるわ。その代わりちょっとでも変なことしたらすっ飛んでってぶった切るわよ!」 ソリスはそう言うと花畑の中にポスッと座り込んだ。「ありがとうございます。僧侶の方集まってくださーい!」 ブレイブハートはうやうやしく頭を下げると治療の準備を始めた。 ふんっ……! ソリスは変な事をしないか、じっとブレイドハート達をにらんでいた。いけ好かない若造ではあるが、街の若きホープである。能力はそれなりに高い。玉砕覚悟の討伐隊の面々も揉めることもなくまとめているようで、事態は収束しそうな雰囲気が漂いはじめた。「これから治療魔法を使います。少し光りまーす!」 ブレイブハートはソリスに手をあげて叫ぶ。「ひ、光る……? 何よそれ?」 ソリスは何を言っているのか分からなかった。そんな治療魔法など聞いたこともなかったのだ。 その時、青空が赤く輝いた――――。 へ……? 見上げた瞬間、ソリスの目に飛び込
Last Updated : 2025-12-03 Read more