جميع فصول : الفصل -الفصل 60

68 فصول

51. アウェイな子ネコ

 シアンはキョロキョロと辺りを警戒しながら一歩一歩慎重に進んでいく。 遠隔操作を一切受け付けないのだから、少なくともテロリストはここを訪れたはずである。今も潜んでいるかどうかは分からないが、その可能性は十分にあった。 その時、カンカンと何かが動く音が向こうの方で響く――――。 ひっ! テロリストらしき動きに、子ネコのソリスはビクッとして耳を立てた。「静かに……」 シアンは険しい目つきで音の方向をにらみながら、ソリスの頭をなでる。 ここには機械的に動くものはない。動きがあるとすればそれはテロリスト以外ないのだ。 ソリスをそっと通路に下ろすシアン。「ちょっと待ってて」 シアンのいつになく真剣な表情にソリスはゴクリと息を飲み、そっとうなずいた。 シアンはポケットから鈍く光る金属の手甲を取り出すと右手にはめ、フンと力を込めた。 ヴゥン……。 手甲は虹色に煌めくと、前方に三本の光の刃を吹き出した。数十センチはあろうかという刃は、ジジジジと蛍光管のように揺らめきながら細かなスパークを放つ。 シアンはセイヤッ! とサーバーの鋼鉄製のカバーを光の刃で引っ掻いてみる。 ジッ! 溶接のような音と共にカバーは切り裂かれ、焦げたような臭いが漂ってくる。 ヨシッ……。 シアンはうなずき、前方をにらむとチョコチョコとサーバーの陰に隠れつつ、慎重に前に進んで行った。 一人残されたソリスは心ぼそくなる。極寒の海王星の内部、ひたすらサーバーしかないこの空間に子ネコとなってただ一人、まさにアウェーである。 ウニャァ……。 金属の網となっている床を、テコテコと力なく脇のサーバーまで行ったソリスは、下の隙間へと潜った。 女神も認めるシアンのことだから間違いはないとは思うものの、テロリストだって馬鹿じゃない。命がけで抵抗してくるのだから何が起こる
last updateآخر تحديث : 2025-12-13
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52. 生命の煌めき

 シアンはソリスを抱いてしばらく奥へと進んでいく。 どこまで行っても通路の両側には、びっしりと並んだサーバーが果てしなく続いていた。上下左右、視界の限りに広がるその光景に、ソリスは改めて圧倒され、ため息をついた。 自分たちの暮らしが機械の中にあった、というのは少し釈然としないものがあったが、この途方もないサーバー群を見てしまうとむしろ創った存在に対する深い敬意を感じてしまう。これほどの技術と努力を注いで自分たちを生み出してくれた、その行為はまるで神聖な奇跡のように思えた。「おーう! コレコレ!」 赤い幾何学模様のカバーに覆われた、ひと回り大きなサーバーを見つけたシアンは、楽しそうに指差した。「何ですか……? コレ?」 ソリスはその一際特別な作りのサーバーに小首を傾げた。「コレがジグラートの心臓部、エクソディア・ハート。コレを直せばミッションコンプリートだゾ!」 シアンはソリスをそっとフロアに下ろし、エクソディア・ハートを調べ始める。「直せば……元通りになるんですか?」「おーう、そりゃもう。前よりピッチピチに元気になるよ。きゃははは!」 楽しそうに笑いながら、シアンは一枚のサーバーを選び出し、手をかけた。畳サイズのクリスタルのサーバーは内部の微細構造から繊細な輝きを放っており、まるで美術品のようにすら見えた。 うわぁ……。 自分の暮らしてきた星の心臓部がこのクリスタルの構造体だという。ソリスはその美しくも神秘的な話に圧倒されながら、ただじっとシアンの作業を見守っていた。 よっこいしょー! 掛け声と共に力任せにクリスタルを引っこ抜くシアン。 引っこ抜いた途端、クリスタルから輝きは喪われ、ただのガラス板みたいになってしまった。「どれどれ……」 シアンは空中に青い画面を浮かべるとパシパシと何かを操作し、しばらく画面を食い入るように見つめていた。 ソリスは祈るよ
last updateآخر تحديث : 2025-12-14
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53. 今日は恵比寿

 えっ!? ソリスは気がつくと朝もやのけぶる石畳の道に立っていた。慌てて自分の顔をなでてみればやや張りのない懐かしい手触り……。アラフォーの人間に逆戻りしている――――。「ソリス殿〜! どうしたでゴザルか?」 黒髪ショートカットの丸眼鏡をかけたフィリアは、杖を持ち替え、けげんそうな顔でソリスをのぞきこむ。「あっ! フィ、フィリア……。本物……なの?」 ソリスは恐る恐るフィリアの丸眼鏡の向こうの、ブラウンの瞳に見入った。「ほ、本物? 拙者に偽物がいるってことでゴザルか!? ちょっとー! イヴィット聞いたー?」 フィリアは面白いネタを見つけたとばかりにイヴィットに振る。「フィリアの偽物……。会ってみたい……」 イヴィットはキョトンとした様子で小首をかしげた。「あ、会ってみたいってどういうことでゴザルか! もぉ~」 フィリアは杖でイヴィットのお尻を軽くパシッとたたく。 ソリスは二人の漫才のような生き生きとしたやり取りに、懐かしさがグッとこみあげる。「良かった……」 二人に駆け寄ると、両手で優しく抱きしめ、ポロポロと涙をこぼすソリス。 二人が死んで、自分も何度も死んで、絶望の旅を超えてようやく巡り合えたかけがえのない友達――――。 ソリスはその数奇な旅路を思い出しながら、次々と溢れてくる涙でほほを濡らした。 突然泣き出したソリスを見て、二人は戸惑いの表情を浮かべる。それでも、二十数年来の親友の尋常じゃない様子に、そっとソリスの背をやさしくなで、ソリスの想いに寄り添った。        ◇「落ち着いたでゴザルか?」「ゴメンね……」 ソリスはハンカチで涙をぬぐいながら、フィリアの手をギュッと握った。「で&hel
last updateآخر تحديث : 2025-12-15
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54. 次元の狭間

「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!」 |幻精姫遊《フェアリーフレンズ》のリーダーが顔を真っ赤にして金髪を振り乱しながら駆けてくる。ゴールドのビキニアーマーがキラキラと輝いた。「あんた達何なのよ? どういうこと?」 この街で特別扱いされるとしたらアラフォーパーティなどではなく、自分たちだろうとでも思っているのだろう。 相変わらず|傲慢《ごうまん》な彼女の若さを少し羨ましく思いながら、ソリスは答えた。「あなた、殺された事……ある?」「はぁ……? ある訳ないでしょ!」「私は何度も殺されたの……。身体を破壊される激痛が脳髄をも破壊していくの……。それはもう二度と味わいたくない最悪な体験よ? でもおかげでこの世界の真実に目覚めたのよ」 ソリスは青空に手を伸ばし、晴れやかな顔で伝えた。「はぁっ!? 何が真実よ! ショボいおばさんのくせに!」 ソリスの脳内でカチッという何かのスイッチが入った――――。 直後、レベル135のソリスはひらりと風にように宙を舞い、大剣を朝日にギラリと光らせながらリーダーに迫る。 ひぃっ! そのすさまじい殺気に気おされ、リーダーは剣を抜くこともできなかった。 刀身を首に当てながら、ソリスは鋭い目を光らせ、リーダーの瞳をのぞきこむ。「なんて……言ったの? もう一回言ってくれる?」 ひっ! ひぃぃぃぃぃ! ごべんなさいぃぃぃ!! ソリスの瞳に浮かぶ殺意に、リーダーは言葉を失い、ジョロジョロと失禁してしまう。「あちゃー……。そうだ、コイツはそうだったんだよ……」 ソリスは慌てて飛沫を避けながら眉をひそめた。      ◇「一回殺してやれば良かったんだよ。きゃははは!」 乗船してきたソリスに、シア
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55. 誇れる人生

 やがて紫色の微粒子は渦を巻いて集まり始め、徐々に形を持ち始める。「一体何の用?」 ソリスはふわふわと身体が浮いてしまう中、ゆっくりと大剣を引き出し、険しい顔で構えた。「そろそろ呪いが欲しくなった頃だろ? くふふふ……」 まるでホログラムのように、空中にゴスロリ少女の白い顔が浮かび上がる。その不気味な濃い化粧にソリスは何度も殺されたことを思い出し、ジワリと冷や汗が浮かんだ。「また若返りの呪いをかけようっていうの?」「そうさ、若さは誰しも求める甘美な果実……。お前も硬く弾力を失ったその身体では辛かろう……。くっくっく……」 ソリスはギリっと奥歯を鳴らす。確かにあの少女のしなやかで|瑞々《みずみず》しい身体はエネルギーに満ち、夢のような体験を与えてくれた。 しかし――――。「要らないわ」 ソリスは大きく息をつくと静かに首を振った。「あら? 何を意地張ってるの? 素直になりなよ」 ゴスロリ少女は意外そうに首をひねる。「確かに若さは魅力よ。でも、私はこのくたびれた身体に愛着があるの」「フンッ! そのシワだらけの身体でどうするんだい?」「あらシワだって悪くないわよ。このシワの一つ一つが四十年生き続けた勲章なんだから」 ソリスは微笑みを浮かべながらそう言うと、チャキっと大剣を構え直した。「チッ! 度し難いバカだよ!」 ゴスロリ少女は吐き捨てるように叫ぶと両手をバッと上へ伸ばす。刹那、空間に無数の漆黒の短剣が浮かび薄紫色の輝きをまとった。「バカはお前だ!」 ソリスは大剣にレベル135の青く輝く剣気を纏わせると、そのままゴスロリ少女へ向けて放った。 ソイヤー!! |眩《まぶ》しく輝きながら闇を舞う剣気――――。 ひっ! 避けようと思ったゴスロリ少女だったが、そのすさまじい剣気の素早さに間に
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56. 関西勢

 マンションを降りて行くと下はショッピングモールになっていた。吹き抜けを上から見下ろしてみると、名だたるブランドが煌びやかに勢揃いで圧倒される。「はぁぁぁ、すごい場違いって感じよね……」 ソリスはオシャレなファッションで|闊歩《かっぽ》するレディーたちを上から見下ろし、気おされてため息をついた。「ソリス殿は……東京……出身でござったか?」 フィリアが恐る恐る切り出してくる。「そ、そうだったのよ。こないだ初めて思い出したの」 ソリスは焦って早口で答える。今までずっと隠してたように思われるのは避けたかったのだ「あんなぁ……、うち……大阪出身やってん」 フィリアはうつむき、ボソッと聞きなれない言葉を使う。 へ……? ソリスはフィリアのいきなりの大阪弁に焦る。 すると隣で聞いていたイヴィットも口を開いた。「うちは……京都どす……」 はぁ!? へっ!? 三人はお互いの顔を見合わせ……。「なんやのんそれ!?」「勘弁しとぉくれやす」「何なのー?」 三人は楽しそうにゲラゲラと笑った。 異世界で出会った余り者三人はみんな日本からの転生者だったのだ。三人はお互いの肩を抱き合い、その数奇な運命を心の底から笑いあった。「日本の風景見とって思い出したわ〜」「うちもどす」 どうもみんな転生の際の記憶の引き継ぎが上手くいっていないようだった。どういうことか後で女神に聞いてみるしかない。 しばらく三人はそのおかしな状況に笑いが止まらず、周りの客のけげんそうな視線を集めながらゲラゲラ笑っていた。 二十数年、お互いそんなことも気づかずにただ異世界での暮らしを一緒に頑張っていた三人。考えてみれば、この三人が余り者となって
last updateآخر تحديث : 2025-12-18
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57. 世界劇場

 案内された二階の個室にはすでにメンバーが揃っており、不機嫌そうな女神とすでに酔っ払って楽しそうなシアンがバチバチと火花を散らしていた。「遅いよ! 子ネコちゃん! きゃははは!」 水を打ったような会場の緊張感などどこ吹く風、マイペースに笑うシアンにソリスはドン引きである。「じ、時間通りなんですケド……」 ピリピリとした雰囲気に気まずさを感じながら、ソリス達は案内された席に着く。「それじゃあ、うちの弟子二号がぶっ壊した星の再生にカンパーイ!」 勝手に乾杯の音頭を取るシアン。 みんな渋い顔でお互いの顔を見合いながらジョッキを掲げた。「かんぱーい」「かんぱーい」「かんぱーい」 ソリスは一口ビールを飲むと、後ろの席で渋い顔をしているアラフォーの男性に小声で聞いてみる。「あのぉ、何があったんですか?」 真面目そうな男性はひそひそと|顛末《てんまつ》を教えてくれる。「シアン様がね、ホルモン二十人前頼んで、女神様が怒ったんですよ。彼女ホルモン嫌いなので」 はぁ……。「そしたら『好き嫌いすると大きくならないよ』ってシアン様が挑発して大ゲンカですよ」 肩をすくめる男性。「『大きく』って、何が大きくならないんですか?」「さぁ? あの二人を止められる者なんてこの世にいないから大変ですよ。下手したら地球ごと消し去りかねないし……。毎度ビクビクですよ。今回は窓直すくらいで済んで良かった……」 男性はガックリと肩を落としため息をついた。「えっ!? あなたが直したんですか? すごいですね!」「大したことじゃないですよ。毎度のことなんでだいぶ慣れちゃいました」 苦笑して首を振る男性。 ソリスはホルモンの注文数で怒る創造神の短気さはどうかと思うものの、それを分かっていて挑発する師匠の|豪胆《ごうたん》さに改めて不安を抱いた。
last updateآخر تحديث : 2025-12-19
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58. マトリョーシカ

 ガラッとドアが開く。「ハーイ! リブロース十人前! お待ち~!!」 店員がノリノリで大皿を持ってくる。「ウッヒョウ! 待ってましたー!」 シアンは有無を言わさず大皿をひったくると、そのままロースターに全部ぶちまけた。 それーー!!「あんたねぇ! いつもそれ止めなさいって言ってるでしょ!」 女神は目を三角にして怒る。 しかし、シアンは悪びれることもなく、|箸《はし》を持った。「いっただーきマース!」 まだ全然火の通ってない生肉をゴソッと箸で取り、一気食いするシアン。「ウッヒョウ! ンまーい!!」 シアンは|瞼《まぶた》を閉じ、舌の上で踊る最高級和牛の旨味に身を委ねた。 おほぉ……。 小さな満足のため息が漏れる。舌の上で織りなされる和牛の甘美で芳醇な交響曲に、彼女の心は陶酔していく……。「やはり松坂牛に限るねぇ……」 うっとりと夢見心地のシアン。「あ、あのう……」 ソリスは肉どころではなくなっていて、シアンの手を叩いた。「ん? 何?」「世界を創ったり捨てたりするのは本来女神様の仕事……なのでは?」「え? 何だっけ?」 キョトンとしながらジョッキを傾けるシアン。「世界が捨てられるかも……って……」 ソリスは和牛に全て持っていかれてしまってるシアンに、渋い顔で答えた。「あぁ、その話ね。そうだよ、女神様が創ったり捨てたりするよ!」「じゃあなんで、『中間管理職』なんですか?」「それはね、この世界がまだ六十万年しか経ってない若い世界だからなんだよ。くふふふ……」 シアンはニヤッと笑うと、次の生肉に手を伸ばした。
last updateآخر تحديث : 2025-12-20
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59. 上位神?

「どう? ここの肉は美味しいでしょ?」 女神は優しい顔でニコッと笑う。「こんな美味しいお肉は前世でも食べたことないです!」 ソリスはその極上の牛肉との|邂逅《かいこう》にうっとりとしながら言った。「もはや芸術品よねぇ。あの子が見つけたお店なのよ」 女神は隣のテーブルで盛り上がって、ピッチャーを一気飲みしているシアンをチラッと見た。 シアンは強いだけでなく、食文化についてもうるさいということらしい。しかし、生肉をそのまま食べるのはどうなのだろうか? ソリスは破天荒なシアンの振る舞いに苦笑する。「シアンさんはなんだか特別な方……ですよね」「そうなのよ。お気楽で好きな事しかやらなくて困っちゃうわ」 女神は肩をすくめてふぅとため息をつく。「あのぉ……」「何?」「世界を面白くさせるために、私たちをあの星に送ったってことですよね?」「そうよ? あそこは絶対王政でガチガチでね、つまんない星なのよ」 女神は口をとがらせ、美しい顔をゆがめた。「王様がいるとダメですか?」「みんなが勝手に楽しいことにチャレンジして、切磋琢磨するから文化文明って成長するのよ。王様のためのことだけしろって世界じゃ何も進歩しないわ」 大きく息をつくと肩をすくめる女神。「で、私たちに新たな価値観を持ち込んで欲しかった……と?」「そうなんだけど、日本のコピー作ってもまたダメなのよ。だから、記憶はボカしてマインドだけ残しておいたのよ。ゴメンね」 女神は少し申し訳なさそうにソリスの顔をのぞきこむ。「あ、いや、そんな謝られなくても大丈夫です。転生していただいただけでうれしいので」「でもまぁ、なかなか上手くいかないのよねぇ。まぁ……上手くいっているかどうかすらわかりようがないんだし」 女神はため息をつくと、指先で宙をくるっと回した。指から放たれた黄金の微粒子がふわりと舞い、赤ワインの入ったグラスがポンッと現われる。「こういう時にはワインよね」 女神はグラスをクルクルっと回してそっと|馥郁《ふくいく》たる香りを楽しみ……ニコッと微笑んだ。「あのぉ……」「何……?」 女神は物憂げに赤ワインのグラスを傾け、一口含む。「女神様が日本に来ているように、上位の方もどこかその辺に居たりはしませんか?」「うーん、まぁ、いるかもしれないわね」「その方を探して聞いてみる……とか
last updateآخر تحديث : 2025-12-21
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60. 奪われた焼き鳥

 翌日からソリスはシアンによる鬼の特訓を受けた。最初は見ているだけだったフィリアとイヴィットもなぜか俄然やる気となって、弟子候補生として同じメニューをこなすようになる。「ソリス殿には負けられまへんわ~」「うちもせいだしますぇ」 二人の目には『東京もんには負けられない』という執念の輝きを放っていた。 だが、午前中は情報理論の座学、午後はコーディング、夕方は対テロリストを想定した実践演習と、みっちりとカリキュラムは詰まっている。朝から晩まで厳しくしごかれつづけて一週間もたつと、さすがにみんな疲労が見えてくる。「ソリス殿~、なんやのんこれ? こんなのなんか意味あるんか~?」 特訓後に行った新橋の居酒屋で管を巻くフィリア。 確かにアラフォーにとってシャノンの情報理論もコーディングもキツい。だが、この世界がこの理論やコードを基礎として構築されている以上、学ぶ以外ないのだ。「無理にとは言わないわよ?」 ソリスは突き放すようにジョッキをあおる。正直言えばソリス自身限界を感じていた。でも、ここで諦めるようなことがあればきっと一生後悔する、そんな根拠もない確信がソリスを突き動かしていたのだ。「ソリス殿は相変わらずストイックやな~」 すっかり出来上がったフィリアがバンバンとソリスの背中を叩き、テーブルに突っ伏した。「焼き鳥の串、刺さりますえ?」 イヴィットが、淡々とテーブルを整理していく。 ソリスはふぅとため息をつくと、フィリアの肩を叩いた。「あと数週間耐えればある意味【神様】になれるんだからがんばろ?」「神さんなぁ……。神さんなったらなんかエエことあるん? なんやかんや、めんどくさそうなことばっかりちゃうん?」 すっかり出来上がったフィリアが丸眼鏡をはずし、ソリスをジロリと見上げた。 その時だった――――。 パリパリ……。 静電気がスパークするような音と共に、テーブルの上の空間に亀裂が走る。 ひっ! うわぁ!
last updateآخر تحديث : 2025-12-22
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