それから一カ月――――。「え~? こないな所にお花畑なんかあるんかいな?」 フィリアは|怪訝《けげん》そうな顔をして、シャトルから辺りの景色をキョロキョロと見回してみる。しかし、そこには鬱蒼と茂る未開の大樹林が広がるばかりだった。「ふふっ、フィリアはまだまだね。ちゃんと情報理論学んでたのかしら?」 ソリスはシャトルの操縦桿をゆっくりと倒し、青空に大きな飛行機雲の弧を描きながら思い出のお花畑を目指した。 三人は無事シアンの特訓を終え、卒業の免状をもらって里帰りに来ているのだ。緊急事態の呼び出しが来るまでは好きに暮らせるので、まずはセリオンのお花畑へとやってきている。 眼下に広がるのはただの原生林、しかし、ソリスにはこのリバーバンクスの北の山に隠された大切なお花畑が、なんとなくうっすらと見えているのだ。 徐々に高度を落としていくと『ヴゥン』という電子音が響き、刹那、壮大なお花畑が眼下にブワッと広がった。「うわっ! なんやこれ!」「あらまあ、えらい綺麗やわぁ……」「ふふっ、ここが目的地よ。龍の結界で守られているのね」 色とりどりの花が咲き乱れる広大なお花畑。その中に小さく三角屋根が見えてきて、ソリスの胸に熱いものが込み上げてきた。最後の別れの日、瓦礫と煙に包まれていた愛しの我が家。それが今、往年の姿で|佇《たたず》んでいる。ソリスの胸に、安堵と喜びが温かな波となって押し寄せてきた。 セリオン……。 ソリスは指先で涙をぬぐうと画面をパシパシと叩き、着陸態勢に入る。「当機は最終の着陸体制に入ります。どなた様も今一度シートベルトをお確かめくださーい!」 ソリスはシアンの真似をして、計器を見ながら着陸場所の見当をつけた。「着陸するならここよね……、それっ!」 そこは二人で薪割りをした思い出の空き地……。楽しかった思い出の数々がソリスの胸に去来する。 ゴォォォォ! エンジンが盛大に
آخر تحديث : 2025-12-23 اقرأ المزيد