本当に……、そうか……? ソリスは胸の奥からあふれてくる違和感に頭を抱える。 仲間二人が亡くなったというのに自分は豪遊? 本当に? ソリスはギリッと奥歯を鳴らし、流されそうになってしまう自分を、ギリギリのところで食い止める。 |華年絆姫《プリムローズ》の名を歴史に刻む、それが喪われた仲間に対する|贖罪《しょくざい》であり、責任なのだ。 ソリスは自分の頬をパンパンと張る。「|退《ひ》かない! 何度だって死んでやるわ! フィリア……イヴィット……見ててよ!」 ソリスは全身に気迫を漲らせ、ボス部屋の巨大な扉を押し開けた。 ◇ ここのボスは、過去の踏破者の話によると物理攻撃が効かず、光魔法を湯水のように乱射して力押ししたという話だった。大剣しか攻撃方法のないソリスには極めて相性の悪い敵である。生き返るとしても、どんなにレベルを上げても倒せないのだとしたら、二度とボス部屋からは出られない。無限に殺され続けるだけになってしまうのだ。 ソリスはブルっと身体を震わせて、その嫌なイメージを振り払う。 ポケットからトパーズの魔晶石を取り出すと、パチッと大剣のツバの穴にはめた。 ヴゥン……。 大剣はかすかに震え、黄金色の輝きがツバのところから徐々に刀身に広がっていく。やがて大剣全体が激しく黄金色に輝いた。大剣に神聖力を付与したのだ。これで斬りつければ光魔法と同じ効果が付与される。もちろん、僧侶の放つ光魔法には遠く及ばない攻撃力ではあるが、わずかでも攻撃力が通るのであれば活路は開けるとソリスは考えていた。 ソリスは目の前に大剣を立て、目をつぶり、大きく深呼吸を繰り返す。このボスを超えれば実質過去の最高到達深度に並ぶ。|華年絆姫《プリムローズ》の名が街に轟くのだ。喪われてしまった二人の名誉のためにも絶対に勝たねばならない。 ソリスは大剣を風のように振り回し、一連の流れるような動
Last Updated : 2025-10-31 Read more