「トーマに触るなぁっ!」 不意に圧迫感から解放され、ビックリして目を開ける。「迅ッ?!」 そこにいる筈のない人物が突然現れたことで、冬馬はますます驚いてしまった。「トーマ、大丈夫ッ?」 杖で男をバシバシと叩いてから、迅は慌てた様子で冬馬の側に寄る。「怪我はない? 犯されなかった?」「なんでそーいう質問になるんだよっ!」 両手の拘束を解きながら、迅は不安気な顔を崩さなかった。「だって、……俺にとってはそれってスゴク大事なコトなんだけど?」「だからオマエは、バカだっつーんだよ……」 思わず呆れ果てたような声になってしまったが、この状況ではそういう心配をされても仕方がないかと、自分で自分がかなり情けなかった。「でも、なんだってオマエがここに?」「ここしばらくの雨の所為で、土砂崩れがあってさ。道が閉鎖されちゃって、戻らざるをえなかったんだよ。連絡しようにも、カミナリで電波切れてるし……」「カミナリ?」「うん、こっちはそうでも無さそうだけど、県境のあたりはひどい降りなんだよ」 迅は、冬馬の戒めを外そうとした。「なんだよコレ、スッゲェ固く結んである……」「痛ッてェよ、ナイフかなんかで切った方が早くないか?」 冬馬の提案に、迅は側にあった果物ナイフを取ると戒め部分にあてがった。「……モジュール線だよ、コレ……。切れるのかなぁ……」「迅、後ろッ!」「えっ?」 振り返った迅は、顔面を杖で殴り飛ばされる。「迅ッ!」 散々叩きのめされた男は怒りを露わにして、倒れ込んだ迅の体を復讐するように松葉杖で殴り続けた。「オマエなんかが触れていい人じゃねェんだぞ、コラァ!」 迅が声も上げずに身を守るように縮こ
Last Updated : 2025-11-24 Read more