司の眉間の皺は消えたが、顔色は土気色になり、冷ややかさを増した。まるで体内で怒りの炎を燻らせているかのように、大股で中へと入っていく。「源蔵さんはどちら?」清華は司の後を追いながら、葉月に尋ねた。「旦那様なら、厨房におられます」「えっ?」二人がダイニングに行くと、源蔵が鶏肉の入った大きな鍋を抱えて出てくるところだった。彼は歩きながらブツブツと呟いている。「ミョウミョウ、どうして俺を置いて逝っちまったんだ」そう呟いたところで、司たち二人に気づいた。彼はすぐに目を赤くした。「俺のミョウミョウが、死んじまった」司は冷たく鼻を鳴らした。「それで、煮込んだのか?」「言っとくがな、この放し飼いの地鶏が一番美味いんだよ。お前らが普段外で食ってる鶏肉よりずっと美味い。それに、俺の腕が加われば、もう絶品だ。いいか、たくさん食わないと絶対に後悔するぞ」源蔵はそう言いながら、今にもよだれを垂らしそうだ。司はいよいよ腹を立て、踵を返して帰ろうとした。清華は彼を引き止めた。「私、車がないの。送ってくれるまで待っててよ」「なら、今すぐ出るぞ」「私、まだ鶏肉食べてないもの。帰らないわ!」清華はそう言うと駆け寄り、源蔵の手から鍋を受け取って、鼻を近づけて匂いを嗅いだ。「わあ、いい香り。本当に美味しそうです!」「そうだろう。俺は昔、唐揚げ屋をやってたんだ」「きっと、繁盛なさってたんですね」「当たり前だ。もしこいつの祖父に見初められて、無理やり婿養子になんぞ入らされてなければ、俺は一生唐揚げを売って、『唐揚げ王』になってたはずだ」唐揚げに王なんてあるのか?「でも、不思議です。司のお祖父さんは、おじさんのどこを気に入られたんですか?」背は低いし、顔も良くない。唐揚げ屋という出自も決して良くはない。正大グループのトップが、どうして彼を見初め、一人娘を嫁がせたのだろう?「その言い方、どうも引っかかるな」「だっておじさんは、お年を召してもこれだけダンディなのですから、お若い頃はさぞハンサムでいらしたんでしょう。司のお母さんがあなたに惚れ込んで、あなたじゃなきゃ嫌だと言ったのなら理解できます。ですが、お祖父さんがあなたでなきゃだめだと言ったというのは、少し理解が追いつきません」「ダンディ」という言葉に、源蔵はヘラ
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