All Chapters of 転生してないのって私だけ?!- 無転生令嬢のヒミツ、バレたら人生終了!? -: Chapter 21 - Chapter 30

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第6章4節 「偽りの光、真実の影」

レオンの手が、私の指先をそっと包み込んだ。まるで壊れ物に触れるような慎重さで、それなのに逃がさない確かな温度を帯びていた。あの場では毅然として私を庇った彼が、今はどこか怯えるように震えている。その震えが、胸の奥に刺さるように優しくて痛い。「ヒスイ……君が傷ついたと思った。あの瞬間、私は……正気でいられなかった。」囁くような声。それは静かなのに、熱を孕んでいる。私の視線が自然と彼へ吸い寄せられた。レオンの金の瞳が、夜明け前の燭台の光を映して揺れる。「レオン、私は平気。だって……あなたが守ってくれたから。」そう口にした瞬間、レオンの呼吸が浅くなる。まるで私の言葉が彼の内側の何かを解き放ったように。彼は一歩だけ距離を詰め、私の手を胸に当てた。脈が速い。「平気でいられたのは……君のために戦えたからだ。私の本心は、もっとずっと――」言葉が途切れ、代わりに私の名前だけが熱を帯びて落ちる。「ヒスイ。」その声音が胸を震わせる。逃げ場がなくなるような甘い緊迫感。彼の視線は、私の唇に一瞬だけ触れ、そしてまた目を見た。「君を守るのは義務ではなく……私が望んでいることだ。誰に何を言われようと、私は君を手放さない。」その言葉は告白にも似ていた。けれど“まだ言ってはいけない何か”を彼は必死に抑えている。だからこそ、切ないほど余韻が胸に広がっていく。「……手放さない、なんて」思わず小さく笑ってしまう。怖さごと抱きしめようとしてくれる人なんて、人生で初めてだ。「じゃあ、ちゃんと隣にいて。これからも。」私がそう言うと、レオンは少し驚いたように目を見開き、すぐに息を震わせて微笑む。どこか諦めにも似た深い安心を含んだ
last updateLast Updated : 2025-12-05
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