All Chapters of 死に戻る君に救いの手を: Chapter 51 - Chapter 54

54 Chapters

【最終話】願い・後編(南風アルカナ・談)

 遥か彼方に存在するという『地球』を模した巨大な生命体『惑星・ハコブネ』を『管理』している超越者にも近き我々だって、元はただの『人間』だ。千年近くの刻をたった一人で管理し続けるのはどうしたって無理がある。孤独、疲弊、重圧、憐憫、葛藤、寂しさなどといった様々な感情に潰されて、歴代の管理者達は皆、自分の『魂』の消滅を願い、『後継者』の『最後の願い』を叶える代償にソレを使ってきた。私の前の管理者も、その前もその前もその前も。『地球』に焦がれ続けてコピーキャットと化した『ノア』の分身であった初代の管理者でさえも、その重積と激務に耐えきれず、結局は覚めない眠りの中に身を投じたらしい。 超越者の分身であろうがコレなんだ。 『私』だって耐えられるはずがなく、歴代と同じように『永遠の消滅』を渇望した。 その為に『後継者』となり得る人材であった叶糸を助け、彼が次代の『管理者』になった後に少しでも『孤独』に耐えられるようにと『幸せな記憶』を積み重ねていく手助けをしたのに——(……何で私は、今また、此処に居るんだ?) 理解が追いつかず、抱え切れない絶望が胸の中を苛む。またあの歳月を『此処』で過ごすのか?と考えただけで吐いてしまいそうだ。 この状況を受け止められなくて床のようなものに手をついたまま伏せっていると、すっと大きな手を目の前に差し出された。「やっと『再構築』されたんだな」 聞き覚えのある声を耳にして慌てて顔を上げる。するとそこには、出逢ったばかりの頃の姿に戻った叶糸が立っていた。「……っ」 声が出ず、無駄に空気を喰んだ。彼に抱くのは『懐かしさ』よりも『どうしてこんな事を……』という気持ちの方が大きい。「アルカナが『再構築』されるまでにちょっと時間があったから、この空間を色々といじっておいたぞ。此処の現状を確認したけど、アルカナはほぼ全て手動で『惑星』を管理していたんだな。あれじゃあまりに非効率だったから、適正な環境になるよう自動的に調整するシステムを組んで、不測の事態が起きそうな時にだけ警告音を鳴らして知らせるようにしたよ。だからもうこの先は仕事仕事と追われ続ける事は無いはずだ」と言い、叶糸が私の手を
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【エピローグ】死にたかった君に救いの手を(叶糸・談)

 魔術で鍵をかけ、今はオレ達しか居られなくしたこの空間で二人。可愛い可愛いアルカナをこちらに背を向けさせた状態で膝に座らせ、彼女の両方の膝下を掴んで激しく上下に揺さぶる。すると愛らしくも情けない声をあげてアルカナがビクッと大きく体を震わせた。手首に枷を嵌めさせ上方向にぐっと引っ張った状態なので頽れずに済んだが、意識は一瞬飛んだみたいだった。「またイッたのか?久しぶりだからって、イキ過ぎだろ」 ぐだぐだに濡れる肉芽を指先で押すように擦ると、また「んおっ!」と声をあげて体を震わせる。同時にビシャッと床に向かって潮まで吹いて、可愛いったらありゃしない。(潮吹きなんて初めてしてくれたな。晩年近くは流石にココまでちゃんとは抱けていなかったし、長い事前戯くらいだったから、アルカナも多少は欲求不満だったのか?) 彼女の脚を支える為に新たな枷を魔力で編み、双方の太腿に嵌めて吊り下げる。それにより自由になった両方の手で、すっかりツンッと硬く唆り勃った肉芽や、オレのモノをギチッと呑み込んで離そうとしない蜜口を優しく撫でてやると、アルカナがまた変な声をあげてギュギュッとナカを食い締めた。「ん、ぐっ」 何とか耐えたが……今のはヤバかった。今まで何度も抱き倒してきたけど、此処に来てからの方がアルカナの感度が格段に上がっている感じがするのはオレの気のせいなんだろうか。「はぁ、はぁ、はぁ——」 何度も肩で呼吸を繰り返し、イキ過ぎて虚な眼差しになっているのに、動いて欲しいと強請るみたいにナカをキュンキュンとさせるとか。『こんなもので終わるのか?』と煽っているとしか思えない。「この体位だと奥までは挿入らないっていうのに、こんなに欲しがってくれるとか、夫冥利に尽きるなぁ」 アルカナを背後から抱き締める。元は『人間』だったのか、今のアルカナには『龍』の獣人だった時のような角や特徴的な長い尻尾は生えていない。抱き易いが、その事が少しだけ寂しい。しかも体格もかなり変わり、小さくてまるで子供みたいだ。白銀の髪色や金色の瞳は健在だが、これは魔力の保有量が影響してのものだろうから、きっと彼女が生まれ持った『色』なのだ
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【こぼれ話】出産にまつわる疑問(南風叶糸・談)

 アルカナとの結婚後。 俺達は子宝に恵まれ、十人もの子供を授かった。黒竜タイプの『西洋ドラゴン』の獣人である長男を筆頭に、二度目の出産では四つ子の『四聖獣』の獣人達を、三度目の出産では『神獣・バステト』の獣人が産まれるなど、他の子達も例に漏れず豪華絢爛な顔ぶればかりだ。 南風アルカナが『龍』の獣人である事から一応は納得してもらえているが、通例通りならば、『希少種』に分類される獣人は一代限りの出生のはずだ。しかも『龍』以外の誕生は初めてのもので、この点でも、うちの子供達は全員異例中の異例揃いなのである。(そのうえ、ほぼ毎年の様に出産とか。アルカナは妊娠しやすい体質なのか?) 毎度毎度必ず中出しだし、避妊は一度もしていない。最低五回、しかもほぼ毎夜。アルカナの体は変幻自在な霊体に近い構造なので、生理という現象がそもそもこないおかげで、出張の時以外はたっぷり閨事に付き合ってもらっている。そう考えると、まぁわからなくもないペースだが、それにしたってだ。 貴族の家庭はそもそも子育てを自分ではしないし、南風家の協力もあって何人産まれようが問題は無いし、全員ちゃんと可愛いとは思うが——(どうしたって、アルカナの興味が分散されるのがなぁ……) アルカナにも、南風の当主夫婦にも、もちろん子供達にも絶対に言えないが(言わないが!)、本心としてはちょっと面白くない。なので思い切ってアルカナに直球で訊いてみた。「……アルカナは、妊娠しやすい体だったりするのか?」 「君が、毎度『孕め』と言うからだろう?」 お前のせいだろと言わんばかりの顔で返されてしまった。 あぁ、思い当たる事しかないなぁ。 確かに、本能が暴走して毎度毎度言っている気がする。アルカナはオレの『認知』の影響をかなり受け易い体だから、全部オレのせいかー。 額に手を当て、天井を仰ぎ見る。(あーうん。訊いてみて良かった) 子供達は可愛いが、あまりにも多過ぎると要らぬ摩擦も生まれる。 この先はもうずっと『孕め』は禁句指定にしようと決めた途端、アルカナの出産ラッシュはぴたりと止まり、俺
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【こぼれ話】エピローグの更に後(アルカナ・談)

「——アルカナッ!」 バンッと木製の扉を開けて、叶糸が“応接室”と定義されている空間に入って来た。何か急ぎの用事があるのか随分と慌てた様子だ。「……どうかしたのか?」 手をかざし、近くにあるローテーブルの上に並ぶ食器類を消し去る。一人で『此処』に居た時には用意した事もなかった物ばかりなので、この一連の行為自体がちょっと新鮮だった。 ソファーに座る私の傍までドスドスと足音をたてながら叶糸が来たかと思うと、今度は両腕をガシッと掴まれ「『ノア』が来ていたって、本当か⁉︎」と大きな声で訊かれた。 「あ、あぁ。でももう深淵に沈むレベルの『睡眠モード』に戻ったぞ?」 「……ん?オレに用があって来た訳じゃなかったのか?」 「そうみたいだな。まぁ、奴は新規就任者に『ご挨拶』ってタイプでもないし。次に目を覚ましたらきっと、今度は叶糸に『無理難題』を押し付けてくるんじゃないかな」 「……じゃあ、今回は何をしに起きて来たんだ?」と言い、首を傾げる仕草が可愛い。今の私は前以上に小柄に退化したせいで、前よりももっと叶糸が大きく感じているのに、最近また彼を『可愛い』と思えるのは何でなんだ?と、今度は自分が首を傾げたくなった。「あ、えっと、第一声が『まだ居たんだな。もう消えているかと思ってたぞ』だったから、一応は、私の顔を見に来たの、かも?」「失礼な奴だな」と溢し、眉間に皺を寄せる。ビキッと音を鳴らしながらこめかみに血管が浮き出る様子を生まれて初めて見た。 「あ、えっと、今の『此処』の状況を褒めてもいたぞ?」 気を逸らそうと慌てて別の話題を口にする。『ハコブネ』を管理している者が『ノア』に敵対心を抱くのは得策じゃないからだ。「……『此処』の状況を?」 興味を引くことに成功したみたいだ。よし、このまま話を続けよう。「あぁ」と頷き、「『“此処”を改装した者は今までいなかったけど、面白いね!』と喜んでいたぞ」と叶糸に教えた。 今は『ノア』と名乗っている意識体が憧れの『地球』を真似て、その体を『ハコブネ』として惑星化して以降、ずっと無個性だったこの空間が今ではまるで
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