夜の中央広場は、ルキシアナ製巡回機械が放つ光がその平和を示すように揺らめいていた。 上層に繋がる新たな道が完成し、セリュオスは魔王と戦うために前を向かなければいけないにも関わらず、その心は迷っていた。 昇降機を修理した後、ルキシアナが暴れ出してしまったので、ゼルフとエレージアが何とか押さえつけて、一度彼女の研究室に戻ることになったのだ。 どこからその知らせを聞きつけたのか、途中すれ違ったオリヴァンもそのまま研究室にやって来ていた。 暗い雰囲気が漂う中、ルキシアナが俯くセリュオスの前に立ちはだかる。「今さらウチを連れて行くのは危険だぁ!? アンタもゼルフ3号の凄さを思い知ったんじゃないの! この子がいれば、ウチらは魔王討伐の切り札になるって言ってんでしょうがぁっ!」 「……魔王は、君が知っているほど甘くない」 それはセリュオスの本心だった。 遠い未来でフィオラたちと共に挑んだエレージアとの戦闘は想像を絶するものだったのだ。 この地底世界の魔王オルデリウスの実力を知っているわけではないが、おそらくエレージアと同様に他を寄せ付けない強大な力を持っているに違いない。「それなら、なおのことウチを連れて行くべきでしょ! アンタ一人でどうするって言うのよ!」 「俺には、エレージアがいる」 「セリュオスさん……」 セリュオスは頑なに同行を認めず、オリヴァンは不安そうに見つめるだけ。 エレージアはその輪を離れて知らん顔をしている。 そうは言いつつも、彼女は何かを試しているような、待っているような様子にも見えた。「ねえ、セリュオス! ウチはアンタと一緒に上層に行きたい! どんな危険が待ち受けているとしても、魔王を倒せるのはウチと勇者だけよ!」 強情なセリュオスを説得するために、ルキシアナはとにかく必死だった。 顔を真っ赤にしながらセリュオスに迫る。「ゼルフ3号も、魔王オルデリウスを打倒するために造られたのであります。その役目を果たさずに、どうしろと言うのでありますか!」 ルキシアナを援護するように、ゼルフ3号も言葉を重ねる。 「……」 だが、セリュオスは言葉を失っていた。 上層はネクロラドを統べる魔王オルデリウスの居城がある場所であり、これまで経験してきたどんな場所
Last Updated : 2025-11-23 Read more