しばらくして、その時が来た。 王宮の侍女に呼ばれて俺たちは控室を出て廊下を行く。 緊張でなんか足が重い。 それはマリアも同じなようで、彼女はぴたっと俺の横に張り付いて、手袋をした手を握りしめガチガチで歩いていた。 横ですっごい緊張している人がいると、ちょっと落ち着いてくる現象をなんて言うんだろう。 「うぅ……どうしよう……」 そう呟くマリアは下を俯いてしまう。 「だ、大丈夫だって。挨拶終わればあとはパーティーを楽しめばいいんだから」 そう俺が言うと、マリアはロボットみたいにガクガクっと顔を上げてこっちをみて、 「そ、そ、そうなんだけど」 震えた声で言った。 まじで緊張しまくってるんだな、マリア。 そんなことを言っている間に大きな大きな白い扉が現れる。 人々のざわめきと、ヴァイオリンぽい楽器の音。 それにこの男の人の声は国王陛下のものだろう。 「――我が妹が遺した大切な宝物を皆様にご紹介いたします」 なんかすっげーハードルあがってない? そんな大それたものじゃないのに。 扉が開いて、中の明るさに思わず俺は目を細める。 鳴り響く拍手と、国王陛下の声。 何言ってるのかわかんない。 だけど俺たちは拍手と群衆の中を歩き、国王陛下の横に立たされた。 やばい頭真っ白だ。 たくさんの目が俺を見てる。おかげで何を言われたのか、何を言ったのか思い出せない。 気が付くと俺は、たくさんの人たちの挨拶を受けていた。 「ルカ様、……公爵家のエリーゼと申します」 「ルカ様、こちらが……」 次から次へとあいさつに訪れる貴族や商人の娘たち。 なにがなんだかわけがわかんねえんだけど? 学校じゃあ腫れ物扱いで全然話しかけられたりしなかったのに。なんで今、こんなに人が寄ってくるんだよ。 「ル、ルカです。よろしくお願いいたします」 って愛想笑いを浮かべて対応していた。 次々とやってくる貴族たちにへきえきとしていた時だった。 見覚えのある白金の髪の青年が俺の前に立った。 珍しい、薄い紫色の瞳。色白の綺麗な人だ。たぶん俺より少し年上、二十代半ばって感じだろうか。 彼は俺の前に立つと、ニコッと笑い、優雅に頭を下げて言った。 「初めまして、僕はフェルディナント=カルファーニャと申します
Last Updated : 2025-12-05 Read more