All Chapters of カンタレラ〜毒公爵の甘い愛に溺れる〜: Chapter 31 - Chapter 40

47 Chapters

31 散歩道

 歩いていくうちに徐々に人の姿が増えてくる。 そうなったらさすがにエドは離れるかなって思ったけど、そんなことはなくって。 俺の腕を掴んだまま歩いていた。 俺は人の目、気になるんだけど、でもすれ違う人たちがわざわざこちらを見てくることもなくって。 若い男女が腕を組んで寄り添う姿も見かけて、こういうもんなのか? とひとり納得していた。 ゆっくりと走っていく馬車に、ぽつぽつと走る車たち。 何にもない、っていったら悪いけど、綺麗な景色がひたすら続くだけで皆何して過ごしてるのか不思議だった。「エド、子供の頃って、ここで何してたんだ?」 「池の近くにアスレチック施設があって、そこで遊んだりしていたかな」 と言い、彼は徐々に姿を現した池へと目を向けた。 アスレチックなんてあるんだ。それは楽しそうな気がする。「ルカは?」「え? えーと」 思い出そうとして出てきたのは、野山で妹のマリアと走る光景だった。 木で細工物作ったり、川で遊んだり。そんな思い出が頭の中に浮かぶ。「俺が育ったのはほら、山の中の田舎、だったから……川遊びとかしてたよ」 そう言いながら、俺は戸惑いを感じていた。 だってこれ、俺は知らないはずの記憶だから。 日本での記憶を思い出そうとすると、なんかぼやけてしまう。 小学校の運動会や、修学旅行。そういう思い出あるはずなのに……そのことがちょっと怖かった。 思わず口を押えて下を俯くと、エドの心配げな声がした。「ルカ、どうかしたの?」「え? あ……いや、なんでもない」 顔を上げて無理やりな笑顔を作る。するとエドは小さく首を傾げて言った。「そうは見えないけど」「だ、大丈夫だって。それよりさ、カフェ、あるんだよな。それどの辺?」 誤魔化すように俺は辺りを見回した。 ぽつぽつと建っている家。 庭先で水撒きをしているご婦人の姿が見えて、子供たちが走り回ってる。「もう少しだよ。このまま進んで、池沿いの道を歩いて行けばすぐかな」 そう答えて、彼はぎゅっと俺の腕を掴んだ。「ルカ、何か心配なこと、あるの?」 俺の様子を伺うように、エドが俺の顔を見つめて言う。 その問いかけに俺はドキってした。「え? あ、い、いや。そんなのないって」  しどろもどろになりながら答えるけど、これって何かあるって言ってるようなもんだ
last updateLast Updated : 2025-12-18
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32 カフェへ

 こんなに歩いたのはたぶん久しぶりで、カフェが見えたときはなんかすっげー安心した。 白い外壁に、青い三角屋根。看板には、店の名前と一緒に犬の絵も描いてある。 犬、いるのかな。 そう思って中に入ると、女性の声が響いた。「らっしゃいませ。何名様ですか?」「ふたりです」 エドが答えると、店員の女性はお盆を手にして言った。「お好きな席におかけください。今日は天気がいいですから、お外の席もおすすめですよ」 外の席? 言われて俺は、店内を見回す。 十くらいのテーブル席に、カウンター席。奥を見ると、扉があってテラス席に出られるようになっていた。 テラス席には犬の姿がちらほら見える。「外の席に行こうか」 エドにそう提案されて、俺たちはテラス席に座ることにした。 大きな屋根に、木の床。四つほどの席の内、ふたつに客がいて、どちらも犬を連れている。それに、茶色の大きい犬に黒い犬が二匹、テラスで寝そべっていた。 何だろうこの犬。ラブラドールっぽい。 犬たちは俺たちを見ても吠えることなく、大きな欠伸をして池の方を眺めていた。 椅子に腰かけながら、俺は言った。「犬だ」「ここ、犬連れの人がたくさん来るんだよね。あの子たちがいるのもあるし、ほら、ドッグランもあるから」 と、エドが教えてくれる。 カフェの横、池沿いに木の柵で囲まれた場所があって、そこで犬を遊ばせている人たちがいるのが見える。 なるほど。だからお店の看板に、犬の絵が描いてあったのか。「つうかドッグランなんてあるんだ……」「珍しいかな。王都でもあんまり見かけないね」「犬とか飼ってる人、こんないるの?」 ドッグランを走る犬を見ながら俺は言った。 猫は、エドが飼ってるから知ってたけど、犬見た記憶、ないような気がする。いや、俺が気にしてなかっただけか? そこに、店員さんがやってきて水が入ったグラスとメニューをおいていく。「おすすめはパンケーキでございます。お決まりになりましたら手を上げてお呼びください」 と告げて、去っていった。 パンケーキって言われると心惹かれるなぁ。 メニューには、二枚重ねのパンケーキに、シロップがたっぷりかかったカラーイラストが描かれていて、すっげーおいしそうに見える。 そのイラスト見ただけで、俺、お腹がぐう、と鳴りだす。 やば、ちゃんと朝飯喰ったのに
last updateLast Updated : 2025-12-19
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33 デートの後に

 運ばれてきたパンケーキはイラストの通り厚くって二枚重なっていて、すっげーおいしそうだった。 上には四角いバターがのっていて、その上からシロップをかけると甘い匂いが漂ってくる。 それを見て俺は、声を弾ませて言った。「やばっ、超美味しそう」 そして俺は、フォークとナイフを手に持って、それを切る。すると、とろり、としたシロップが滴って、切り口からパンケーキに沁み込んでいく。 切れ端にフォークを刺して、俺はそれを口に運んだ。すると口の中にバニラの香りとバターの匂い、シロップの甘さがひろがっていく。 おいしいー。 思わず笑みがこぼれてしまう俺に、エドがくすっと笑う。「すごく幸せそうに食べるよね、ルカって」「ん……あぁ、だって幸せだし」 そう答えて俺はカフェオレのグラスを手に持つ。 水出しコーヒーって書いてあったけど、なんか味、違う気がする。こっちもおいしい。 「おいしい物食べると幸せじゃん?」 そんな俺を、エドは笑って見てる。「エドも超笑顔じゃん」 そう俺が言うと、彼は頷きパンケーキにナイフをいれる。「そりゃあね、ルカが幸せそうな顔で食べてるのを見ると俺も嬉しいから」 そう告げて、彼もパンケーキの切れ端にフォークをそっとさした。 こういう所作は俺と全然違うんだよな。エドは子供の頃からしつけられているんだろうな、なんか優雅なんだよ。 「そっかー。なあ、エドは何してる時が幸せ?」 俺が問うと、エドはぴたり、と止まって俺の方を見つめる。 なんか驚いたような顔に見えるけど、なんか俺、変なこと言ってるかな。 不思議に思っていると、彼はふっと笑い、「ここでは言えないよ」 なんて言う。「え、どういうこと?」 わけわかんない俺は、ひとり首を傾げた。 するとエドは、パンケーキを一切れ食べた後、ナイフなどを置いてグラスを手にする。 「そうだな。昨日の夜とか、俺はすごく幸せ感じたよ」 そう告げて、エドは涼しい顔でグラスを口につけた。 昨日の夜……それが何を意味するのか気が付いて、俺は顔中が熱くなるのを感じた。 だから言わなかったのかよ? わかるかそんなこと! 自分から言い出しておいて恥ずかしくなりながら俺は、カフェオレをぐいっと飲んだ。 パンケーキもカフェオレもすっげえ甘い。 なんか話題変えよう。そうしないと俺、恥ずかし
last updateLast Updated : 2025-12-21
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34 媚薬★

 きょどる俺を見て、エドはくすくす笑う。「試す相手いなかったから俺も使ったことないんだよねー。ちょっと待ってて」「え? ちょ……」 エドは俺が止める間もなく奥へと消えてしまった。 まじかよ……媚薬って本当にあるの? 試したい気持ちはあるけど、怖い気持ちもある。どうなるんだろ……想像できねえ。 落ち着かない気持ちを抑えようと俺はお茶を飲んだ。ハーブティー飲めばちょっとは落ち着くかなと思ったけど、そんなわけはなく。 そわそわして無駄に辺りを見回していると、がちゃっと扉が開く音がして、俺は大げさに震えた。「持ってきたよ」 そう告げた彼の手には、小さなビンが握られている。 見た目は白い粉だ。 俺は、ビクビクしながら隣に座るエドが持つビンを見つめて言った。「ま、まじでそれが……?」「うん。そう言われたけど、試したことはないんだよねー」 楽しげに言い、エドはそのビンの蓋を開けた。 キュッ……って音がして、エドはその蓋をテーブルに置く。そしてその粉をお茶が入ったカップに入れる。 ざーっと全部がお茶の中に入って、エドは一緒に持ってきたらしいスプーンでそれをかき混ぜた。 見た目は何も変わらない。 本当に媚薬なのか? やべえ、なんか変に緊張してきた。 エドはカップを手に持ちそれをぐい、と飲む。「あっ……」 結構冷めていたからだろう。喉を鳴らして、それを飲み込んでいく。 ってまじかよ……エド、飲んじゃった? かと思うと、彼はカップをテーブルに置き、俺の顎をとる。 そして彼は口づけてきて、口に含んだお茶を俺の口の中に流し込んできた。「ん……」 お茶と共に舌が俺の口の中に入り、舌が絡め取られてしまう。 ゴクゴク……と、お茶を飲み込むとゆっくりと唇が離れてエドが言った。「すぐきくってことはないから、先にお風呂入って寝る準備、しようか?」「あ、う、うん」 変に緊張しながら俺は頷いた。 今日も風呂で、当たり前のようにあの準備をした。 慣れるわけなくって、腹の中、変な感じがする。 風呂を出て歯を磨き、寝間着姿でベッドに寝転がる。 媚薬を飲んで一時間ほど経ったかな。 身体に変化は感じなかった。 薬がすぐ効くわけねえしな。そんなのあったら怖いし。 エドは今寝室にいない。 お茶を貰ってくると言って出ていってまだ戻ってきていなか
last updateLast Updated : 2025-12-22
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35 キモチイイこと★

 俺は、エドに言われてうつ伏せになって尻を高く上げる。そして尻たぶを手で掴み、穴を開いて見せた。 すっげー恥ずかしい格好なのに俺、超興奮してる。 ハアハア……っていう俺の吐息が、静かな部屋に妙に大きく響いていた。 エドは、その穴に液体を垂らして、そこにゆっくりと指を挿れていく。「ひっ……冷たっ……」「さっきの媚薬だよ。ここに塗り込んだらどうなるのかなって」 楽しそうに言い、エドは内壁を指で撫でた。「う、あ……」 やばい、中が熱い。そこがヒクついているのが俺にもわかる。 エドは俺の中に媚薬をしみこませるように指を動かしながら言った。「ねえ、ルカ、中がうねってるよ。そんなに気持ちいいの?」 その問いに、俺は吐息を漏らしながら答える。「う、あ……あぁ……気持ちいっ……ナカ、あっついのぉ」 と、鼻にかかる声で言う。 エドが指を動かすたびにそこがグチュグチュ……と、音を立てる。「はぁっ……あ、あ」 エドが媚薬を足しながら俺のナカをかき混ぜて、前立腺を指先で押しつぶす。 俺は腰を揺らして大きく声を上げた。「あぁ!」 腰から頭まで快楽が走り、奥がきゅうっと疼く。「エドぉ、奥ほしいよぉ」「あぁ、そうみたいだね。俺の指、すごく締め付けてる。わかる? ルカのここ、俺の指を二本食べてるのにまだ足りなさそうだよ」 笑いながら言い、彼はゆっくりと指を動かし始めた。 そこからイヤラシイ音が聞こえて、俺、耳まで犯されているような気がした。 すごい気持ちいい。 もう、指じゃ足りないよ。もっと太くて……熱いもので中を満たしてほしい。中、抉ってほしいよぉ。 そう思って俺は腰を振ってエドにねだった。「エド、欲しい。中、エドの挿れて欲しいよぉ」「俺の、何が欲しいの?」 意地悪い声で言い、エドは指をぐい、と奥まで挿れる。「ひ、あ……ゆ、指じゃなくってぇ……あぁ!」 尻を揺らしながら俺は喘ぎ声を漏らす。 もっと欲しいよぉ。指じゃ足んないのに、エド、絶対わかってて言ってるよな。 そう思いながら俺は、ぜえはあ、と息を切らせて言った。「エドの……ペニス、中、ほしいよぉ。奥ついて、ぐちゅぐちゅにして?」 するとエドがぐちゅり……と指を引き抜く。「あっ……」 名残惜しそうな声が思わず漏れてしまう。 衣擦れの音が聞こえた後、エドは俺の腰を掴み先
last updateLast Updated : 2025-12-23
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36 帰宅して

 エドに身体を揺らされるたびに、俺は喘いでビクビクと震える。「う、あ、あ、あ。エド、奥すごいぃ」 パンパンと肉がぶつかり合う音と、俺の中を抉る水音が混ざり合って俺の耳も犯されているような気分だった。 出したい。 でも、出さないでイくのすっげー気持ち良すぎる。 媚薬のせいか俺もエドもひたすら快楽をむさぼり続けてる。「ルカの中、なじんできたね。俺のペニス、全部飲みこんでるのわかる?」「う、あぁ! あ、あ、あ、奥イイ」「うん、奥つくとすっごい締め付けてくるの、わかる?」「え? あ、あ」 そんなのわかんない。 でもエドのペニスに奥を突かれると、頭の中真っ白になっちゃう。「気持ちいいね、ルカ」「イイ、エド……好き、すき」 うわ言みたいに繰り返して俺が言うと、エドは嬉しそうに俺に口づけ、口の中をびちゃびちゃ、と舐め回した。 もう何にも考えらんない。 精液でぐちゃぐちゃになって、一緒に風呂に入ってそこでも求めあって。んなことしたら翌日起きられるわけなんてなかった。 朝。目が覚めると身体がすっげーだるかった。 室内はすでに明るくって、何事もなかったかのように着替えたエドが、ベッドに座っていた。 彼は俺が起きたことに気が付くと、そっと頭に手を置いて言った。「おはよう、ルカ」「う……うん、おは、よう」 と言い、俺はエドを見つめる。 俺はすっげー怠いのに、エドはそんな様子、全然ない。 俺の視線に気がついたらしいエドは、小さく首を傾げて言った。「どうかしたの?」「どうしたもなにも……俺、すっげー怠い」 そう答えながら俺は大きく息を吐いた。 特に腰。 中、ちゃんと綺麗にしたけどなんかすっげー違和感あるし、なんていうか入ってる感じがするんだよ。 エドは俺の頭を撫でながら言った。「今日は一日寝てる? 食事、運ばせるけど」「う……うん。その方がいいかも」「わかった。じゃあそう伝えてくるよ」 そう言って、エドは俺の頭に口づけた後、立ち上がって寝室を出ていった。 結局一週間、俺はエドの別荘で過ごした。 その間、毎日エドと求めあって、俺の身体は少しずつ変わっていた。 ペニスを触らなくてもイけるようになったし、乳首だけでも超感じるようになったし。 俺が俺でなくなっていくような怖さがあるけど、それ以上にエドに求められるのが嬉しかっ
last updateLast Updated : 2025-12-24
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37 妹とお出かけ

 その日の夜、俺は疼く身体を持て余した。 一週間、毎日毎晩愛された身体は快楽を欲している。 俺は下着を脱ぎ、硬くなったそれに触れる。「う、あ……」 ペニスを扱くけど、全然足りない。後ろの穴を埋めてほしい。でもそんなのできるわけがない。「エド……」 名前を呼んで、俺はエドの手つきを思い出す。 欲しい。欲しい。 頭の中、エドのことでいっぱいになっていく。 でも会えるわけがない。会う約束をしているのはしばらく先だから。 日曜日が遠い。こんなんで俺、大丈夫かよ?「んン……はぁ……エド」  彼の名前を呼んで、俺は腰を振って自分を慰めた。 その翌日もその次の日も大して眠れなくって、昼間、俺は欠伸をしてばかりだった。 そんなだから、マリアが心配そうに俺に声をかけてくる。「大丈夫、お兄様?」「え? あ……うん、大丈夫」 って答えながら俺はまた欠伸をする。 やばい。眠い。 あー、エドに会いたい。なんで電話とかねえんだよ? そう思ってもどうにもならず、俺は何度目かの欠伸をした。「とっても眠そうで心配なんだけど……ねえお兄様、今日はお兄様とお出かけしたかったんだけど、ダメ、かしらね?」 と、マリアが苦笑する。 あれ、珍しいな。マリアがそんな事言い出すなんて。 お兄ちゃん、ちょっと張り切っちゃうぞ。「大丈夫だよ。でも出かけるってどこに行くんだ?」「あのね、博物館に行きたくて。学校の課題で」 と、マリアが答える。 あぁ、そうか。 マリアは高校生だから宿題、あるのか。 俺は欠伸をかみしめて、笑って頷いた。「いいよ、付き合うよ」 するとマリアは手を叩いて、嬉しそうに笑う。「ほんと? ありがとう! ひとりで行くのはちょっと寂しいなって思って。じゃあお願いね!」 俺の妹は可愛いな。 そう思いながら俺は頷いた。 そんな朝食の後、十時前に家を出るというので準備を進める。 博物館で宿題かぁ。なんかそんなのあったよなぁ。と、俺は日本での生活を思い出す。 恐竜の骨格標本みたり、いつの時代にどんな生物がいたとか調べたような気がする。 日本でのこと、思い出そうとするたびにその時の記憶がどんどん薄れていることに気が付いて怖くなる。 俺はもう戻れねえのかな。 このままここで生きていくのかな…… その想いを打ち消そうと俺は首を大きく
last updateLast Updated : 2025-12-25
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38 博物館へ

 車で二十分くらい走ったところに、その博物館はあった。 茶色い外観の、宮殿みたいな三階建の建物だ。 車を降り、マリアと護衛の騎士や従者と一緒に中に入る。 ここはいわゆる歴史博物館で、入り口には人類の誕生について、絵画を使って説明している。 ここはファンタジー世界だから神様が人間をつくってどうのこうの、っていうのが真面目に描かれていて、ちょっと面白い。 「へえ、面白い」 女神様とか神様とか、天使の絵画とかを使って説明されてるのすげえ。 説明に見入っていると、マリアが不思議そうな声を上げた。「なに感心してるの? 子供の頃から絵本とかで読んでるじゃないの」 そう言われてみればそう……なのかな。 思い出そうとすると、確かにそんな記憶が俺の中にある。 この手の神話のお話は、子供の頃に読む絵本の定番らしい。 俺は苦笑して、頷いて言った。「そうだけど、ほら、こういう風に見ると面白いなーって思って」「んー……」 俺の言葉を聞いて、マリアが隣に立って展示物を見つめる。 そして、顎に人差し指を当てて言った。 「言われてみればそうね。子供の頃読んだ絵本だとここまで詳しくなかったし、なんていうか子供向けだったし」「だろ? だから面白いなーって」 その神話によると、人間は神様の形をモデルに土から作られたらしい。じゃあ神様ってどこから生まれたんだろうって思ったら、闇の中から生まれたとか書いてある。 土人形が命を与えられて人間になって、他にエルフとかドワーフとかも生まれたらしい。 エルフとかいるんだ。この国にはいねえよな? 会った事ないし。見てみたいなぁ。他の国とかどういう人がいるんだろう。 神話の時代の話からだんだん現実っぽい展示になっていく。 この国にも考古学とかあるんかな。 人類の最初は洞窟で暮らしていたとか、そこからどんどん発展していって、道具を使い始めたと書いてある。 そのあとは王国の歴史の説明になっていく。 レポートで歴史、調べたけどその時には見なかった話ばかりですっげー新鮮。 そんな俺の隣で、マリアはどうしようかと呻っている。「うーん……どうしようかな」 夏休みの宿題って大変だよな。 よかった、大学生で。長期休暇中の宿題がないのは超ありがたい。 辺りには、同じように宿題をしに来たと思われる小学生から高校生くらいの子
last updateLast Updated : 2025-12-27
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39 攻略対象?

 妹のマリアが、エスターライヒ先生と楽しそうに話しながら展示を見ている。 なんか流れで先生も一緒に周る羽目になり、俺は複雑な思いでふたりの様子を眺めていた。 って何だこれ。 俺の隣には、あとから先生を追ってやってきた大学院生の、マルコさんがいる。「先生がいなくなったからどうしたのかと思ったら」 と、彼は苦笑を浮かべてふたりの様子を眺めていた。 俺はすっげー嫌だけど、嫌とも言えず。 それはそれとして、このマルコって人もこのゲームのパッケージにいたような気がするんだよな。 そう思いつつ俺は彼の方をちらっと見た。 紺色の長めの髪、濃い青の瞳。優しい感じの人だ。 この人何者だろう。そう思い俺は尋ねた。 「あの、マルコさんはエスターライヒ先生とはどういう?」「あぁ、僕は大学で歴史専攻で。主に呪いとか呪術に関する研究をしているんです」 そう言って、彼は微笑む。 呪い、呪術? ちょっと怖いんですけど? そんな想いが俺の顔に出たのか、マルコさんは笑いながら首を横に振る。「そんな怯えなくても大丈夫ですよ。古代からまじないっていうのは行われています。そういうまじないが生活の中でどんな役割を果たしているのかとかそういう研究をしているんですよ」 と、説明してくれる。 「あー、なるほど。花占いとかありますもんね」 そう俺が言うと、マルコさんは頷く。「そうですそうです。冬の展示会で、そういう呪術についてやるっていうので僕とラルフ先生が呼ばれたんですよ」「へえ。じゃあ、先生もそういうのが専門なんですか?」「エスターライヒ先生は宗教が専門ですね。古代宗教とかって呪術とかまじないと深い関わりがありますから」 なんか面白そうな展示、やるんだな。 呪術って俺にとっては未知なものだ。この世界じゃ魔法って普通だけど、呪術ってどういう扱い何だろ。「呪術と魔法って違うんですか?」「違うんですよー。あ、もしかして興味ありますか?」 マルコさんが嬉しそうに言って俺の顔をじっと見る。 なんかすっげー食いついてきてるけど、興味があるのは事実だから、俺は頷き言った。「はい。なんか面白そうだなと思いま……」「ぜひ! 色々教えますよ!」 食い気味に言い、彼は俺の腕をすっと掴んだ。 すげえ、目が本気だ。ちょっと怖い。 ひきつった笑いを浮かべていると、マルコ
last updateLast Updated : 2025-12-28
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40 変わった攻略対象?

 博物館に併設されたカフェはすっげー広くって、天井が高く、二階にも席がある。 白い、装飾を施された柱が真ん中にあって、ゆったりとした音楽が流れている。 マルコさんに引っ張られるように俺はカフェに入り、注文のためレジに並ぶ。 この店、先に商品を注文して商品を受け取りってから席に座るシステムらしい。 チェーンのコーヒーショップみたいだな。 カウンターの上にメニュー出てるし、レジ横にはドーナッツやケーキが入ったショーウィンドウもあるし。なんか懐かしい感じがする。 メニューを眺めていると、マルコさんがテンション高めに言った。「何飲みますか? 奢りますよ」「え? いやでも俺」 とりあえず王族だし金、持ってるし。と言いたいけどそれは嫌らしいかと言葉を飲み込む。 そんな俺に、マルコさんは微笑んで言った。「大丈夫大丈夫。僕の方が年上なんだから」「あ……す、すみません。ありがとうございます」 断るのも悪いかと思い、俺は礼を言って頭を下げた。 俺たちの番はすぐに来て、マルコさんがモカチョコレートを注文する。「あと、チョコレートケーキもお願いします。ルカ君はどうする?」「え? あー俺は……あのキャラメルマキアートで」「おやつはどうする?」 間髪入れずにそうマルコさんに言われて、俺はショーウィンドウを見る。 ドーナッツ、美味しそうだし、マフィンもある。クッキーでかいな。 悩んで俺は、チョコレートのドーナッツを頼んだ。 移動して、別のカウンターで注文の品を受け取る。 当たり前のようにマルコさんはトレイを持ってくれた。 そして辺りを見回した後、彼は視線を上にあげて言った。「せっかくだから二階に行こうよ」「あ、はい」 言われて俺は、彼のあとを着いていき階段を上る。 マリアたちは一階の席に並んで腰かけて、談笑しているようだった。 何で向かい合わせじゃなくって、隣り合って座ってるんだ。距離、近くねえか? 俺、ずっとマリアたちの様子が気になってしまう。 それがわかったのか、マルコさんが笑って言った。 「ルカ君、妹さんの事、すっごく可愛がっているんですね」「え? あ、えぇ、まあ……俺たち親、いないですし」 恥ずかしくなりながら俺は頬を掻く。 たったひとりの家族だもん。気になるに決まってる。「知ってますよ、この間の王宮のパーティーで
last updateLast Updated : 2025-12-29
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