歩いていくうちに徐々に人の姿が増えてくる。 そうなったらさすがにエドは離れるかなって思ったけど、そんなことはなくって。 俺の腕を掴んだまま歩いていた。 俺は人の目、気になるんだけど、でもすれ違う人たちがわざわざこちらを見てくることもなくって。 若い男女が腕を組んで寄り添う姿も見かけて、こういうもんなのか? とひとり納得していた。 ゆっくりと走っていく馬車に、ぽつぽつと走る車たち。 何にもない、っていったら悪いけど、綺麗な景色がひたすら続くだけで皆何して過ごしてるのか不思議だった。「エド、子供の頃って、ここで何してたんだ?」 「池の近くにアスレチック施設があって、そこで遊んだりしていたかな」 と言い、彼は徐々に姿を現した池へと目を向けた。 アスレチックなんてあるんだ。それは楽しそうな気がする。「ルカは?」「え? えーと」 思い出そうとして出てきたのは、野山で妹のマリアと走る光景だった。 木で細工物作ったり、川で遊んだり。そんな思い出が頭の中に浮かぶ。「俺が育ったのはほら、山の中の田舎、だったから……川遊びとかしてたよ」 そう言いながら、俺は戸惑いを感じていた。 だってこれ、俺は知らないはずの記憶だから。 日本での記憶を思い出そうとすると、なんかぼやけてしまう。 小学校の運動会や、修学旅行。そういう思い出あるはずなのに……そのことがちょっと怖かった。 思わず口を押えて下を俯くと、エドの心配げな声がした。「ルカ、どうかしたの?」「え? あ……いや、なんでもない」 顔を上げて無理やりな笑顔を作る。するとエドは小さく首を傾げて言った。「そうは見えないけど」「だ、大丈夫だって。それよりさ、カフェ、あるんだよな。それどの辺?」 誤魔化すように俺は辺りを見回した。 ぽつぽつと建っている家。 庭先で水撒きをしているご婦人の姿が見えて、子供たちが走り回ってる。「もう少しだよ。このまま進んで、池沿いの道を歩いて行けばすぐかな」 そう答えて、彼はぎゅっと俺の腕を掴んだ。「ルカ、何か心配なこと、あるの?」 俺の様子を伺うように、エドが俺の顔を見つめて言う。 その問いかけに俺はドキってした。「え? あ、い、いや。そんなのないって」 しどろもどろになりながら答えるけど、これって何かあるって言ってるようなもんだ
Last Updated : 2025-12-18 Read more