慎也は鼻で冷たく笑った。「強がらないほうがいい」彼は全身を探り、最後に一つの箱を詩乃へ差し出した。「君の誕生日だから、ほら」詩乃は眉をひそめた。「いらない」ここまで来ると、慎也が渡してくる物はすべて吐き気がするほど嫌悪感しかなかった。「これ以上俺を不機嫌にさせるなよ。一般病室に戻りたくないだろ?」仕方なく、詩乃は箱を受け取った。慎也が部屋を出ていく瞬間、彼女は迷うことなくその箱をゴミ箱へ放り投げた。病院には詩乃が信用できる人がいなかったため、彼女は澪に連絡してスーツケースを買って来てもらい、廊下に置いた。詩乃は毎日少しずつ荷物をまとめ、スーツケースに入れ、時が来たらそのまま引きずって出ていくつもりだった。ついに、彼女はある昼を選んだ。眠ったふりをすると、栞も自分側の灯りを消した。栞の規則正しい呼吸が聞こえると、詩乃はそっと病室を抜け出した。患者服を脱ぐと、その下には外出用の服を着ていた。しかし、スーツケースを引いて出ようとしたそのとき、背後から栞の声が響いた。「同じ病室なんだよ。あなたが細工しても気づかないわけないでしょ?出ていくつもりだったの?じゃあ、手伝ってあげるわ」詩乃はまったく警戒していなかった。栞に階段から蹴り落とされ、スーツケースと一緒に転げ落ちた。詩乃の背中は激しく壁にぶつかり、彼女は床に倒れ込み腹を押さえ、苦痛の声を漏らした。「栞、階段で何してる?」慎也の声がした。栞が反応する前に、慎也は扉を開け、階段下に倒れている詩乃を見つけた。「慎也、詩乃がまた出ていこうとしてた。でも自分で足を踏み外したの」慎也を見ると、詩乃は痛む腹を押さえながら救いを求めた。「慎也、私、栞に蹴られたの。今すごくお腹が痛いの。看護師さん呼んできてくれない?お願い、助けて」言いながら、詩乃は自分の呼吸がだんだん重くなるのを感じていた。「熱もあるみたい。慎也、病室に戻って体温計ってほしい……お願い!」慎也はただ黙ってその光景を見ていて、彼は栞の肩を抱き寄せた。「まだ病み上がりなんだ。長く立っちゃだめだ」詩乃はなんとか頭を上げたが、慎也たちが振り返りもせず廊下を去っていく姿しか見えなかった。詩乃が看護師に発見されたとき、すでに息があるかないかの状態だった。医
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