バンッ「桔梗っ!」.……びっくり、した。ううん、まだ、びっくりしてる……。とりあえず……。「……ごめんなさい、眠ってしまっていました」「そんなことは気にしないでいい……家に着いたら、起こすつもりだったしな」「家……」ルームミラーの向こう。見えるのは、桐谷邸のガレージ。だけど……シャッターが、開いてる。明けっ放しなんて不用心。強盗でも入られたら……っ!「誠司っ!」もしかして、強盗とか泥棒とかに入られたの? .「桔梗っ!」車から出ようと扉のノブに手を伸ばそうとした。でも、できない。蓮司さんの腕に力が籠っていて、手を伸ばすことができなかった。それどころか、逆に蓮司さんのほうに引き寄せられてしまう。「どうした?」「蓮司さん、誠司が……」何か、あったのかもしれない。そんなこと、想像するのもつらくて、先の言葉を続けられない。「桔梗、どうした? 誠司って……嫌な夢を見たのか?」「……夢?」蓮司さんの顔と、開いたままのガレージを交互に見る。「ガレージが……開いているから」「ガレージ……ああ……」蓮司さんが首を巡らせて、開いたガレージを見る。「ガレージはさっき俺が開けた。だから、安心していい」蓮司さんが……開けた……。体から、力が抜けた。「……大丈夫か?」「ごめんなさい。ガレージが開いていたから、てっきり強盗とか……想像を、してしまって……」大切な家族を害される想像に震える。私の体を、蓮司さんが宥めるように擦ってくれた。良かった……でも、それなら……。「さきほどの大きな音は……?」窓ガラスに鳥がぶつかったような、あの、大きな音は……。.「桔梗」周りを確認しようとしただけ。でも、蓮司さんの手が頬に触れて、その動きを止められた。「桔梗、アイツが来ている」来た?誰が?「会いたくないなら、会う必要はない。このまま、見なかったことにする」明らかに、蓮司さんは、私に見せないようにしている。その蓮司さんは、怖い顔で私が見ようとしていた方向を見ている。蓮司さんにとっては『私に会わせたく人』。蓮司さんが怖い顔を向ける、私に会いにくる人。思い当たるのは、一人。「父、ですか?」蓮司さんは頷く。「……どうする?」蓮司さんは暫く悩む様な素振りをみせたあと、選択肢を私にくれた。どうする……。
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