誠司は、まるで「これが正解だよ」と教えてくれるみたいに、蓮司さんへ勢いよくぎゅうっと抱き着いた。小さな腕を精いっぱい伸ばして、大きな体にしがみつく姿があまりにも可愛らしくて、思わず頬が緩む。蓮司さんも自然に腕を回し、誠司の背中を軽く叩いて受け止めていた。その仕草があまりにも慣れていて、二人が普段からこうして触れ合っているのだと分かる。誠司は得意げに顔を上げると、「ほら、こう!」と胸を張った。でも、「こう」と言われても、どう反応していいのか分からない。そもそも、誠司みたいに素直に飛び込んでいけるほど、私は子どもではないのだ。戸惑っている私を見て、誠司はじれったそうに唇を尖らせた。「マーマー」甘えるような声を出しながら、私の腕を引っ張る。小さな手なのに意外と力強くて、私はそのまま蓮司さんのほうへ引き寄せられた。……蓮司さん、ここは「ママを動かしちゃだめだぞ」じゃないのですか? この数日、私が少しでも立ち上がろうとするたび、「安静に」「無理をするな」と、あれほど真剣な顔で言っていたではありませんか。熱が下がりきっていないからと、水を取るだけでも付き添おうとした人が、どうして今は止めないのだろう。そんなことを思っていると、「……誠司」と、蓮司さんが低い声で名前を呼んだ。その声に、誠司はぴたりと動きを止め、きょとんと首を傾げる。「ママはまだ体調が悪い」「うん」素直に返事をする誠司に、蓮司さんは静かに続けた。「だから、俺が抱っこするから、ちょっと退きなさい」……え? 一瞬、何を言われたのか理解できなかった。「はーい」けれど誠司はあっさり頷いて、ぱっと私から手を離す。ちょっと、誠司?そんな簡単に引き渡すの?内心で慌てる間もなく、蓮司さんの腕が私の体を包み込んだ。後ろからそっと抱きかかえられるようにして、そのまま膝の上へ乗せられる。熱の残る体に、大きな体温がじんわり伝わってきた。背中越しに感じる胸の厚みも、肩に添えられた手の重みも、全部がやけに意識されてしまう。逃げようと思えば逃げられるくらいの力加減なのに、逃がすつもりはないのだと分かる抱き方だった。「誠司、おいで」蓮司さんが片手で誠司を手招きする。誠司は嬉しそうに駆け寄り、今度は蓮司さんの左足の上にちょこんと乗せられた。結果として、私は後ろから抱え込まれ、誠司は前に座る形になっ
Read more