「それでお兄が嫁自慢するために、そのお弁当を毎週SNSに載せ始めたの」「初耳なのだけど? SNSの使い方を知りたかったのに、蓮司さんは知っていたんじゃない」「……それはさておき。そしたらうちの両親の対抗心がさく裂して、自分たちもSNSで嫁自慢を始めたの。そうなったら周りも『私も』ってなって、気づけばちょっとした流行みたいになっちゃって」「……みんなSNSをやっているの?」「え、まあ、うん……それはさておき、ね」一人納得した朋美さんによると、この音楽記号のような変なマークがついた【桔梗さんの手作り】って文字に触ると、同じ【桔梗さんの手作り】ってタイトル……みたいのがついた投稿が見られるらしい。この青い文字ってそういう意味だったのね。「どうしてみんな【桔梗さんの手作り】ってつけているの?」「作ってもらいたい料理があったとき、リクエストしやすいから」あっさりとした答えが返ってきた。言われてみれば、最近は「あれ、あれ」と曖昧に頼まれることが減り、「これこれ」ってスマホを見せられることが多かったかも。送られてきた写真を見ていたんだと思ったんだけど……SNS。「私、何も知らなかったのだけど」と呟くと、朋美さんは少しだけ申し訳なさそうに笑う。「裏でこそこそ結託してるって思われたくなかったし、何よりも、すっごく食い意地が張っているみたいじゃない、私たち」その言葉に、思わず小さく息をつく―――SNSがなくても、十分にそう思っていた。胸の内でそう呟きながら、改めて目の前の三人を見る。期待に満ちた視線と、少しの緊張、そしてどこか楽しそうな空気。どうやら私の知らないところで、私の作る料理は誰かにとって自慢したいものになっていたらしい。中の人という言葉の意味はまだ完全には理解しきれていないけれど。 .「私たち、動画の編集とか配信はできるんです。でも、肝心の“中身”が足りなくて……。撮影内容に困っていたら、朋美さんが『うちの義姉さんの料理すっごく美味しいから、本人も超美人で絶対に人気出るから』と言ってくださって。それで、もしよければ一緒に動画作っていただけませんか?」そう言って頭を下げた二人の様子は真剣そのもので、軽い気持ちで頼んでいるわけではないのが伝わってくる。私は思わず視線を朋美さんへと向けた。「だって、桔梗さん、料理はすっごく上手なのに、写真は
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