どこ吹く風といった様子の、冷淡な一言だった。蒼介の眉がいっそうきつく寄った。念を押すように言葉を継いだ。「二度と、お前のもとへは近づかせない」「そう」また同じ、変わらない返事が返ってきた。ただ聞き流すように、完全な無関心で。蒼介が必死に取り戻そうとして、言い訳しようとして、いっそ懺悔しようとした言葉は、そのたびに、「そう」という短い一言に容赦なく押し戻された。七年間に及ぶ無関心と傷が、愛情も期待も、すっかりすり減らしてしまっていた。そしてそれはまた、自分が杏奈のことをいかに何も知らなかったかを、蒼介に突きつけていた。何が一番好きな料理か。どんな花が好きか。それすら、言葉にできなかった。絶望的な隔絶と無力感が蒼介を包み込んだ。自分が築き上げてきた冷たいビジネスの帝国の外で、こんなにも途方に暮れる惨めな自分を、彼は初めて知った。道中、言葉はなかった。重い沈黙が分厚いガラスの壁となって、二人を完全に別々の世界へと隔てていた。吉川家の別邸へ車が入り、杏奈はようやく口を開いた。車に乗ってから、最初の言葉だった。静かで、明確だった。「ゲストルームを用意してください」相談ではなく、有無を言わさぬ決定だった。蒼介の唇が、きつく引き結ばれた。杏奈の、静かで、しかし一切の妥協を許さない眼差しの前で、二人の寝室へ戻らせようとする考えが音を立てて砕け散った。「……わかった。安達に頼む」それだけ答えた。声が微かに掠れていた。「小春も一緒にゲストルームで寝る!」大人の静かな攻防など何も知らない小春が、本能のままに叫んだ。やっと掴めた温もりを、一秒たりとも手放したくないという子供の切実な声だった。蒼介は視線を落として、娘の期待に輝く顔を見た。そして、さりげなく杏奈の方へ目を流した。彼女の表情は穏やかで、苛立ちや拒絶の気配もなかった。その様子を見て、彼はどういうわけか胸のつかえがふっと下りるのを感じた。その瞬間、声のトーンには自分でも気づかないほど、顔色をうかがうような必死さが混じる。彼は小春に向かって、言い聞かせるように語りかけた。「わかった、いい子にするんだよ。ママのことをしっかり頼んだよ」小春はぐっと小さな拳を握り、大役を任されたように、真剣な顔で胸を張った。「任せて!絶対ちゃんとするから!」そして自
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