夜の大阪。 蓮、隼人、そして利衣子は、路地裏を抜け、人目のない廃倉庫へと滑り込んだ。「ここまで来れば、一旦は安全だ」 隼人が息を整えながら周囲を確認する。 倉庫の外では、わずかに気配が動いた。 龍一の部下だ――蓮はそう直感した。 姿は見えない。だが確実に“影”がついてきている。 利衣子は震える体を抱え、壁に背を預けた。「はぁ、はぁ……蓮……本当に、ありがとう……」「まだ礼は早い。黒澤はいずれここも嗅ぎつける。利衣子、お前の知っていることを全部話してくれ。黒澤の動き、鷲尾の失踪、玲のこと……」 利衣子は、唇を噛みながら、震える声で口を開く。「……鷲尾さん、バリ島に行ったの……“成瀬 玲がいる”って情報が流れて…… 黒澤さんは飛びついた。でもね……そのあと、急に連絡が途切れたの」 蓮の眉がわずかに動く。「“情報が流れた”って誰から?」「わからない。黒澤さんも“親切な誰か”って笑ってた……でも、その直後から黒澤さんの周り……完全にざわつき出したの。あれは……“嵌められた”って顔だった」(……桐嶋龍一か) 蓮は確信した。 龍一は、蓮には一言も言わなかったが、裏で鷲尾を“処理”したのは間違いない。 だがそれを知るはずのない利衣子は続ける。「鷲尾さんが帰ってこない。天城会長が“成瀬 玲を差し出せ”って怒鳴り込んでくる。桐嶋龍一が“大阪で会う”って連絡してきた。黒澤さん……完全に追い詰められてるのよ……私が玲ちゃんの居場所を知ってると思われて……殺されかけた……!」 利衣子は涙をこぼし、蓮の腕にしがみついた。「お願い……守って……蓮……」 蓮は迷うことなく彼女の手を外し、静かに言った。「守る。ただし条件がある。――俺の質問に全部、正直に答えること。命を賭けてもらうことになる。」 利衣子は震えながらもうなずいた。「わかった……なんでも話す……」 一方その頃――大阪市内、神威会本部。 黒澤は机の上の酒瓶を乱暴にひっくり返した。「なんでや!! なんで利衣子まで消えんねん!!どないなっとんねん、うちの組はァ!!」「す、すみません……! 今、街中に人を散らして――」「散らすやと!? アホか!アイツはなぁ……“鍵”や!!桐嶋龍一と天城壮真、両方に対して使える、唯一のカードやったんや!!それが消えたら――終わりやんけッ!!」
Terakhir Diperbarui : 2025-12-15 Baca selengkapnya