遥にははっきりと見えていた。ここ最近の彼女への嫌がらせや罠は、彼女や真理が九条家の人間だと見なされているからに他ならない。特に真理だ。彼女がジュエリーの業界で成功を収めることを面白く思わない連中が、手段を選ばず「àl'aube」のブランドを潰しにかかっているのだ。遥は真剣に言った。「私には真理ちゃんが必要だし、真理ちゃんも『àl'aube』を必要としてる。私が彼女と協力するのは当然のことよ。たとえ私たちが結婚していなかったとしても、私は真理ちゃんをパートナーに選んでいたはずだわ。こういうトラブルは、どうしたって避けられないのよ。湊、わかるでしょ?」湊は小さくため息をついた。目を閉じ、遥を強く抱きしめる。「俺はただ、お前が大学時代と少し変わってしまったなと思っただけだ」遥はハッとした。確かに、学生時代の自分とは違う。あの頃は、何一つ持っていない代わりに、これほど多くの煩わしい悩みも抱えていなかった。今は違う。自分の事業があり、妻であり、母である。朝目覚めれば子供の世話から始まり、夜眠る前には頭の中で会社のことばかり考えている。そして常に、湊のことを考えている。「あなただって、昔とは違うじゃない」「どこが違う?ベッドの上でのことか?」「……」冷静になって考えてみよう。湊が学生時代とどこが違うかと言えば、色々と挙げられるかもしれないが、唯一「その方面」に関してだけは、全く変わっていないどころか、むしろ以前にも増して貪欲になっている。湊は彼女を逃がそうとせず、どうしても彼女自身の口から「どこが変わったか」を言わせようと食い下がった。 遥は手を伸ばし、湊の頬をペチッと軽く叩いた。「さっさとサインして、家に帰るわよ!」そう言って立ち上がり、休憩室へ入って彼が何か忘れ物をしていないか確認しに行った。社長室で、自分の頬に触れ、しばらくして低く笑い声を漏らした。だが、その笑みが半分ほどこぼれたところで、彼の脳裏に、前回潤を見舞いに行った時の言葉が不意にフラッシュバックした。あの日、湊は昼間に病院を訪れていた。そして潤を問い詰めた。どうして遥の工場にいたのか、と。ベッドに横たわる潤は、冷たく自嘲的な笑みを浮かべていた。「義姉さんを助けるために決まってるじゃない
閱讀更多