九条家の次男一家から三男一家に至るまで、これまでにも女性絡みのスキャンダルは絶えたことがなかった。さらに麗子の葬儀の後、埃を被っていた過去の因縁が次々と掘り起こされた。行健の生前のスキャンダルまでが、メディアの格好のネタとして面白おかしく報じられていた。真理は、そんなスキャンダルを毎日のおかずにして楽しんでいるようなものだった。だが、自分自身がそんなスキャンダルの的になるのだけは絶対に御免だった。凛も即座に首を横に振った。「私も無理。相沢グループの役員として名前を出してるからね。私が表に出たら、後々色々とややこしいことになるわ」あれこれ理由をつけたが、要するに遥自身が前に出るしかないということだ。職人探しについては、遥はやはり一度蒼海市へ赴き、神崎先生の意向を伺ってみようと考えていた。しかし、神崎先生が高齢であり、病み上がりであることを思うと、どうしても無理をお願いする気にはなれなかった。真理がふと思いついたように言った。「そういえば、鷹司家のおじさんが金細工職人をやってるの。ちょっと連絡してみるわ」スマホを取り出して検索してみると、真理の叔父である鷹司元太(たかつかさ げんた)は、なんと名を知られるマスタークラスのデザイナーであることが分かった。その金細工の技術は、まさに神業と呼ぶにふさわしい。スマホの画面越しに作品を見ただけでも、真理は思わず感嘆のため息を漏らした。凛も覗き込んで言った。「この作品、知ってるわ。前にオークションでとんでもない高値がついたのよ。うちの親が私の嫁入り道具にって買おうとしたんだけど、あまりに高くて手が出なかったのよね。まさか、真理さんの叔父さんがデザインしたものだったなんて」遥も感慨深げに頷いた。「真理ちゃんがこの道で才能を発揮してるのも、やっぱりそういう血筋なのかもしれないわね」たとえ真理が長年、母方の実家と音信不通だったとしても、血の繋がりが持つ力というものは、時に不思議なものだ。真理はすぐに元太と連絡を取った。自分のデザイン画を送ると、元太は電話口で何度も「素晴らしい」と感嘆の声を上げた。真理のデザインセンスは、間違いなく本物だった。厳しい目を持つ元太でさえ、心の底から感心していたのだ。話はすぐにまとまり、直接会う日時と今後の詳
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