ホテルの奥深く、複雑に入り組んだ従業員専用通路を抜けた先で、一行は客室階へと繋がる業務用エレベーターに乗り込んだ。 到着したのは、高層階にあるデラックスツインの客室だ。 分厚く立派なドアが開け放たれている。 中からアイロンの熱でプレスされたばかりのリネンの匂い、それに微かなアルコール消毒液の香りが漂ってくる。「みんな、いらっしゃい。ここからはウチらの仕事場だよ」 部屋の中央に立ち、腰に手を当てて出迎えたのは実加だった。 見学に同行していた彼女だが、少し前に列を離れて準備していたのだ。 彼女の周りには、ハウスキーピングの制服を着た若い男性スタッフと、ベテランらしき女性スタッフが控えている。 廊下には彼らが押してきた巨大な清掃用ワゴンが停まっていた。 ワゴンの棚には、真っ白なバスタオル、シャンプーや石鹸などのアメニティ類、ガラス用や水回り用の数種類の洗剤ボトルが、パズルの一片のように無駄なく整然と詰め込まれている。「客室の掃除はね、ただゴミを捨てるだけじゃないんだ。次のお客さんが、自分の部屋みたいにリラックスして眠れるように、部屋を丸ごと新品にする仕事なのさ。……さ、始めよう」 実加の合図とともに、3人のスタッフが同時に動いた。「私たちはバスルームの掃除をします」 ベテランの女性スタッフは洗面所とバスルームへ向かい、鏡の曇りや水滴を特殊なクロスで瞬く間に拭き上げていく。 実に手際よくきれいになっていく様子に、園児たちから「すごいなあ」と感嘆の声が上がった。「僕たちは客室の清掃を」 若い男性スタッフは掃除機を手に取る。部屋の隅から緻密な計算に基づいたルートで、毛足の長い絨毯のホコリを吸い込み始めた。 こちらも効率よく無駄のない動きで、園児たちも同行している親たちも感心している。「さすがプロの仕事」「ほんとだ」 実加は、部屋の大部分を占めるキングサイズのベッドの前に立った。「よく見てな」 実加は山積みになった真新しいシー
Última actualización : 2026-08-20 Leer más