◇◆◇ 「瀬見さん、お待たせしました、どうぞ」 「──はい」 俺が香月との通話を終えて待合に戻ると、ちょうど名前を呼ばれた。 スライドドアを開けて診察室に入ると、40代くらいの眼鏡をかけた男性医師が、検査結果が記載されている紙を手に、俺に顔を向ける。 「検査結果が出ました、瀬見さん」 「……どうしでしたか?」 「瀬見さんが予想した通りです。成分からベンゾジアゼピンが出ました。これは、睡眠導入剤に使われている薬の一種で、この成分が多量に……」 「多量って事は……」 「ええ、過剰摂取一歩手前です。……通常の使用量より多くの薬を服用させられたようですね」 「だからあんなに頭痛が」 俺は医者の話を聞きながら、怒りで拳を握りしめる。 もし、あと少し服用する量が多ければ──。 もっと重大な後遺症や、もしかしたら命の危険だって伴っていた可能性だってある。 「……どうしますか、瀬見さん。警察を呼びますか?」 医者の言葉に、俺は強く頷いた。 「ええ、お願いします。俺にこの薬を盛った犯人は分かっていますから。被害届を提出します」 「分かりました。その方がいいでしょう」 俺の言葉に、医者も頷き返してくれる。 どこか同情するような視線を向ける医者からそっと視線を逸らし、俺は医者に礼を告げてから診察室を出た。 どれくらい、待合で待っていただろうか。 夜間に受付ている病院だからか、俺の後からも救急でやって来る人は多い。 俺は帽子を目深に被った状態でソファに座っていた。 すると、病院の外に一台のパトカーがやって来たのが見えた。 「瀬見さん、こちらへどうぞ」 すると、看護師が俺に声をかけてくれる。 俺は頷いて、看護師が案内してくれた別室に場所を移動した。 警察の事情聴取は、とても長かった。 数時間にも及び、全てが終わった頃には俺は疲れ果てていた。 「では、瀬見さん。捜査が進み、容疑者を逮捕しましたら、ご一報します」 「ええ、お願いします」 「では、我々はここで失礼しますね」 ぺこり、と頭を下げて帰って行く警察を見送った俺は、スマホでタクシーを手配する。 香月に電話をしてから、もう3時間は経っていると思う。 ここからタクシーで自宅に帰ると、更に小一時間だ。 流石に香月ももうぐっすり寝ている時間だろう。 だけど、どうしても香月
Terakhir Diperbarui : 2026-01-17 Baca selengkapnya