Semua Bab 大好きな幼馴染が手の届かない大人気アイドルになってしまった…: Bab 51 - Bab 60

90 Bab

51話

軽快な音楽が、奏斗の部屋に響く。奏斗は、小さく舌打ちをして、私から離れた。すぐ傍にあった奏斗の気配が遠ざかり、私は瞑っていた目を開ける。顔が暑くなっている気がして、私は自分の頬をぱたぱたと手のひらで仰いだ。その間、着信を確認しに行った奏斗は、表示された番号を見て、僅かに眉を顰めた。「──RikO、だ。何の用だ……?」「RikO……?」「ああ。待ってて、電話に出てみる。スピーカーにするから、香月は喋らないように気をつけて」奏斗が自分の唇に人差し指を当てて、私にそう話す。私はこくこく、と何度も頷いて奏斗に了解の意思を伝えた。私の返答を見た奏斗も、頷き返してくれながら未だに鳴り続ける着信を取った。「──もしもし?」「こんなに朝早い時間から何だよ……」「は?怖い?何が……?」奏斗が面倒くさそうに答える。奏斗の態度も、目も、声も。全部が冷たい。私には、1度だって見せた事のない奏斗の態度に、私は今までの奏斗と今の奏斗が同一人物だなんて、とても信じられない。でも、RikOはこの奏斗に慣れているのだろう。気にした風もなく、聞いているこちらが可哀想になるくらい声が震えていて、涙声だ。だけど奏斗は冷たい声で、RikOに続きを促した。RikOは、震える声で続ける。「は?何でRikOが家に帰ってるんだ?まだ事務所で寝泊まりするんじゃなかったのか?」RikOの声は、涙に震えていて。本当に恐ろしい目に遭っているんだろう、と言うのが分かる。こんなに怖がっているんだ。もしかしたら、奏斗はRikOを助けに行くかもしれない。でも、RikOを助けに行って、反対に奏斗がストーカーに襲われちゃったらどうしよう、と私が不安がっていると、私の不安に気づいたのだろう。奏斗がスマホを持って私がいるベッドに近付いてくる。「悪いが……ストーカーに家に来られてるなら尚更俺は行けないよ、RikO。事務所にも固く禁じら
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-30
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52話

RikOは、本当に大丈夫なのだろうか──。 RikOは、奏斗に来て欲しい、助けて欲しい、としきりに訴えているけど、もし奏斗を見たストーカーが逆上したら? nuageのファンだったとしても、この間の歌番組で発言した奏斗の言葉を聞いて、ストーカーが怒っていたら……? 奏斗にまで危険が及ぶ可能性があるから、やっぱり奏斗はRikOを助けに行くのは危険だと思う。 だけど、私は──? ふと、そんな考えが私の頭に浮かぶ。 私だったら、芸能人でもない。 ただの一般人だ。 通りすがりを装って、RikOを助ける事が……もしかしたら、可能なんじゃない? 私がおかしな事を考えている、と目敏く察知した奏斗の視線が私に向く。 奏斗の目は、すうっと細められて、何だか叱られているような気分になってしまう。 奏斗が口を結んだまま、しっかりと首を横に振る。 まるで奏斗には、私が考えている事が筒抜けのようで。 厳しい表情のまま、奏斗はそっと私の肩を抱き寄せた。 「悪いがRikO、俺は助けに行けない。この後社長に連絡するから、その場を離れるんだ。いいな?」 RikOがまだ何かを言っていたけど、奏斗はぷつり、と通話を切ってしまった。 そして、すぐに今度は事務所の社長に電話をかけ、RikOから電話があった事。 そして、どうやらRikOの家にストーカーが来ている事。 そして、RikOが取り乱して助けを求めてきた事を順を追って落ち着いて説明している。 その間も、奏斗は私が離れないように強く抱き寄せていて。 あまりの近さに、私は場違いにもどきどきと胸が高鳴ってしまっている。 奏斗は社長へ報告したあと、いくつか会話を続けると、電話を切った。 そして、疲れたようにふうと溜息を零し、私をぎゅうっと引き寄せた。 「せっかくの休みだってのに……香月との時間を邪魔された……最悪だ」 「で、でも奏斗。RikOは大丈夫なのかな……?」 RikOが大変な目に遭っている時に、こんな風に奏斗に抱きしめられていていいのだろうか、と私は考えてしまう。 RikOが怖い目に遭っているのに、私は奏斗と一緒にいて、幸せを感じていていいのだろうか。 「香月が気に病む必要は無い。ストーカーを相手にするのは警察だ。俺が出て行っても、何も出来ない。逆にストーカーを逆上さ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-31
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53話

◇ 奏斗が長期のお休みをもぎ取った。 最初は奏斗に「一緒に旅行に行こう」と言われたけど、それは流石にまだ私たちには早い。 それに、お母さんにもお父さんにもまだ奏斗とお付き合いをしている事を話していない。 だから、奏斗がお休みの間。 私が奏斗のお家にお邪魔して、お家デートを満喫しよう。 そう、話し合って決めたんだけど──。 「香月、香月!こっちから見る景色、凄い!」 はしゃぐ奏斗に手招きされて、私は苦笑いを浮かべつつ、奏斗の下に向かう。 「奏斗、そんなに大きな声で呼ばなくても大丈夫だよ」 「だって香月と一緒にこの景色見たくって」 屈託なく笑う奏斗に手を取られ、2人並んで展望台から景色を眺める。 ──そう。今、私たちは少し遠出して外でのデートを満喫していた。 人の多い、有名な観光地は無理。 都内も無理。 それじゃあどこがいいか、と奏斗は色々と調べてくれたらしくて。 関東にある、ローカル線に乗って田舎まで向かい、そこで春には芝桜。秋には彼岸花が見所の場所があるらしくて、冬の今は観光客も少ないだろうし、近場に大きな公園もあるから散歩をしよう、と提案してくれたのだ。 ここだったら、電車で向かう事が出来るし、日帰りで帰って来れる距離。 奏斗にはしっかりと対策をしてもらって、万が一にもKanatoだとバレないように。 奏斗が言ってた通り、冬の今は彼岸花の季節でもないし、見物人は少ない。 公園は大きいから、ぱらぱらと人の姿はあるけど、地元の老夫婦や年配の方が散歩をしたり、お子さんを連れてる家族だったり。 混んでいる訳ではないから、適度に他の人とも距離があって。 これなら、奏斗がバレる事はなさそう、と私もやっと安心したのだ。 そして、奏斗に手を引かれながら公園にある展望台に向かった私と奏斗。 奏斗が本当に嬉しそうに笑っていて。 私は繋がれた手に視線を向ける。 最初は、出かけようと誘う奏斗にいい返事をする事は出来なかった。 やっぱり、奏斗だとバレてしまうリスクを考えると、家でゆっくりする方が安心だし。 だけど、奏斗がこんなに嬉しそうに、楽しそうにしているのを見ると私まで嬉しくなってしまう。 多少、バレてしまわないかな、という心配はあるけど。 人がこんなに少ないならその心配も杞憂に終わりそう。 私たちは手を繋いで、展望台か
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-01
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54話

展望台で暫く景色を楽しんだ私と奏斗は、下に降りて公園内を散策する。 冬で寒いからか、散歩をする人も少ないし、花も咲いてない。 人通りも少なくて、凄く快適だ。 「香月」 「ん?なあに奏斗」 繋いだ手をくぃっと奏斗に引っ張られる。 人通りの少ない公園の一角で立ち止まった私たちは、少し隅に避けて奏斗に向き直った。 人の姿も疎らだし、通行の邪魔にもなっていない。 この場所は、近くに東屋もあるけどそこで休憩している人もいない。 奏斗はちら、と東屋に視線を向けると、そちらに向かって歩き出した。 「ちょっとあそこの東屋で話そう」 「うん?分かった」 何か話したい事があるんだろうか。 東屋に歩いて行く奏斗に手を引かれつつ、私はそう考えた。 東屋に場所を移した私たち。 ベンチに座り、公園内を散策する人達を眺めていると、手を繋いでいた奏斗が話し出した。 「RikOとの事なんだけど……」 「うん」 今、奏斗はKanatoとしてRikOと付き合っている事になっている。 その説明はちゃんとしてもらったし、理由に納得もした。 だけど、あの記事を見た時はショックだったし、もう奏斗を諦めようとまで思った。 そんな私の不安を、奏斗は敏感に感じ取ってくれているんだろう。 私を、安心させようとしてくれているのが伝わってくる。 「RikOとの付き合っているって言う話は、近い内に撤回するつもりなんだ」 「──撤回?」 破局報道を出すんじゃなくて、撤回の報道を出すの!? それって、どうなんだろうか──。 1度、事務所も、奏斗本人も認めた事を撤回って本当に出来るんだろうか、と考える。 「あの時、RikOとの付き合いを認めなきゃならない、どうしようもない事情があった、って俺は公式に発表するつもり。それで、大切な人に誤解はされたくないからって、発言は撤回する」 「ちょ、ちょっと待って奏斗、でも、そうしたら──」 生放送の歌番組で奏斗が意味深な発言をしただけで、大騒ぎになったのだ。 今度奏斗がそんな発言をしてしまったら──。 もっと大変な事になってしまうんじゃ……。 「うん。きっと、俺に大切な人がいるって言うのはニュースになると思う。彼女とか、勘繰られると思う」 「暫く黙っていた方が
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-01
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55話

「かっ、奏斗……!そんな事を社長やメンバーに話したら……っ!」 幼馴染とは距離を置いた方がいいって言われるに決まってる! 男性アイドルグループに、異性が近い距離にいるのはご法度だ。 例え、それが私生活で関わりのある人であっても。 ファンにとっては、男性アイドルは推しで。大好きな男の人で。 恋人になりたいって考えている人だっているんだから。 今回のRikOの件は例外だったとしても。 RikOとKanatoが付き合っているって発表されただけで、SNSは大騒ぎで、大炎上したのだから。 私生活で、親しい異性がいるなんて事をメンバーや社長に伝えるのは不味いんじゃないのだろうか。 だから、私は奏斗が考えている事を駄目だ、と伝えようとして──。 その時──。 「あっ!見つけた!Kanatoっ!!」 「──は」 明るくて、可愛らしい女性の声。 その声が聞こえた瞬間、私たち2人はぎくり、と体を強ばらせた。 私が硬直していると、私の隣をたたたっと駆け抜ける人影。 ふわり、と甘い香水の香りが漂ってきて。 奏斗に、華奢な影ががばりっ!と抱きついた。 「Kanatoーっ!会いたかったよぉっ、本当に怖くて怖くてっ!!」 「は、は?RikO……!?どうして、RikOがここに!?」 ぎょっとした、奏斗の声。 奏斗は、抱きついてきたRikOに驚き、身動ぎできていない。 そんな奏斗に正面からぎゅうーっと抱きついているRikOは、幸せそうに笑っていて、私の存在なんて目に入っていない。 奏斗がずっと好きだったからこそ、分かる。 RikOが奏斗を見つめる目は、恋する女の子の目だ。 とろっと甘く細められていて、奏斗に会えた嬉しさから、頬は赤らんでいて。 同じ女の私から見ても、奏斗に恋しているRikOは凄く可愛く見えた。 ずきり、と私の胸が痛んだ瞬間、奏斗は勢いよく抱きつくRikOをべりっと自分から剥がした。 「──どうしてっ、ここにRikOがいるんだ!?今日、俺がここにいるのは誰にも……っ」 「ええ?nuageのメンバーが言ってたよ?Kanato、今日は遠出するって聞いてるって。それで、どこに行ったの?って聞いたら、こっち方面って聞いたから。観光名所は無理でしょ?ゆっくり景色を見て回れるのは、どこだろうなって考えて、ここかなぁって思って来たの!」
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-03
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56話

だけど、RikOはすぐににこっと人懐っこい笑みを浮かべると、奏斗の後ろから奏斗の腕をぎゅっと抱き込んで首を傾げた。 「ねぇねぇKanato。この女の子、誰?一般人の子?」 「RikOっ、この子は──」 「ねえ、もしかしてあなた、Kanatoのファンの子なのかな?駄目だよ?芸能人にだってプライベートはあるんだから、迷惑をかけちゃ駄目!」 RikOは、ぐっと奏斗の腕を引っ張ったまま、奏斗を引き寄せようとした。 だけど、奏斗は怒りを浮かべ、RikOの腕を振り払う。 「香月はファンなんかじゃない!俺の幼馴染で、俺の恋び──」 「えっ!Kanato、幼馴染の女の子なんていたの?知らなかった〜!じゃあ、Kanatoのちっちゃい時の事とか知ってるんじゃん!ねっ、ねっ!幼馴染ちゃん!私Kanatoと付き合ってるんだけど、Kanatoのちっちゃい時の話教えて〜!」 きゃっきゃっと楽しそうにはしゃぐRikO。 えっ、RikOってこんな落ち着きのない女の子だったの、と私は驚く。 奏斗の話を遮るし、聞かないし……。 それに、奏斗が嫌がってるのに、スキンシップも激しい。 でも、何だか違和感──。 RikOはもしかして、あえて奏斗の言葉を遮ってるんじゃないか、と勘繰ってしまう。 奏斗の口から「恋人」と私を紹介されたくなくて。 わざとはしゃいで、話を逸らそうとしているような──。 そんな気が、する。 いや、絶対にそうだ。 奏斗を好きだからこそ、RikOは奏斗の傍にいる他の女性を排除したいんだ、と何となくそう理解した。 でも、私だってずっと奏斗の事が好きだったから。 奏斗がまだ芸能人になる前から、私は奏斗の事が好きだったんだから。 それに、何度も奏斗に告白を流されて……。本気にしてもらえなくって、いっぱい悲しい思いをした。 だけど、RikOは今奏斗と付き合ってる事を公式に発表してもらってるじゃない。 奏斗と、堂々と一緒にいても大丈夫な理由がRikOにはあるのに。 それなのに、こうやってこそこそとしか奏斗と一緒に外を歩けない私の邪魔をしないで、と辛くなってしまう。 せっかく、奏斗と一緒に過ごせると思ってたのに──。 私が辛くて、俯いた瞬間──。 「……えっ!ねえねえ、あれってnuageのKanatoと、RikOじゃない!?嘘!本物!?」 と
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-04
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57話

私の頭の中には「炎上」の2文字しかない。 SNSでの炎上は、奏斗みたいなアイドルに取って致命的だ。 奏斗は今、RikOと付き合っていると発表したのに、時間も経たずに一般人と2人でデートをしているような写真を撮られたら、好感度がダダ下がってしまう。 奏斗の事が好きなのは勿論の事、私はnuageのKanatoの事だって大好きなんだから、奏斗の芸能活動の邪魔はしたくない──。 それに、nuageのメンバーにだって迷惑をかけたくない。 それになにより、私はSNSで身元を特定されてしまうのが1番怖い……! 特定班は、本当に恐ろしいのだ。 ほんの小さな手がかりを追って、調べて、遂には本人に辿り着く。 そんな恐ろしい特定班に、私は追われたくない。 だから、申し訳ないと思ったけど、私はさっきの女の子の声が聞こえた瞬間、奏斗とRikOをその場に残して逃げ出してしまった。 暫く走って、奏斗とRikOから大分離れただろう、と思った頃。 私はそこでようやく足を止めた。 「はあっ、はあ……っ」 全速力で走って来てしまい、ここが公園内のどこら辺なのか、最早分からなくなってきてしまった。 私はきょろ、と周囲を確認して、どこか一休みできそうな場所を探す。 「後で、奏斗に連絡をしなくっちゃ……」 独り言を呟いた私の言葉に、まさか言葉が返ってくるなんて、思わなかった。 「連絡はいらない、香月を掴まえたから」 「──えっ、奏」 奏斗、と私が最後まで言い切る前に、奏斗は私の腕を掴み、近くの茂みに隠れるように身を屈めた。 「ちょっと、奏斗──」 「しっ!RikOが追って来てるんだ。巻ききれてないから、暫く黙ってて」 「──分かった」 私の手を奏斗の大きな手のひらが覆う。 私はもごもごと呟きつつ、こくりと頷いた。 奏斗が言った通り、RikOが奏斗を追ってきたのだろう。 小走りで、近づいて来るヒールの音が聞こえてきて、私は体を強ばらせた。 奏斗が安心させるように私の肩を抱き寄せてくれたけど、このままじゃあ見つかってしまうんじゃ……そんな不安に苛まれる。 「まさか、こんな所までRikOが追いかけてくるなんて……本当にごめん、香月」 RikOに聞こえないように、奏斗が私の耳元で囁くように言葉を紡ぐ。 奏斗の声が直接耳に吹き込まれるような感覚に、私はぞわ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-04
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58話

「ごめん、香月。せっかくのデートだったのにRikOの乱入でめちゃくちゃだな……」 奏斗は、私を抱き寄せた体勢のまま、そう呟いた。 奏斗が悪いわけじゃないのに。 私は、奏斗の言葉にすぐに首を横に振った。 「奏斗のせいじゃないから、大丈夫」 「だが、本当に反省してる……。これから香月と出かける時は、メンバーにも、マネージャーにも何も伝えない」 奏斗が微かに怒りながらそう零す。 メンバーならまだしも、マネージャーにも伝えないって言うのは、流石に不味いんじゃあ……。 そんな事を考えていると、いつの間にかRikOの足音も聞こえなくなって、気配も無くなっている。 奏斗は、私を抱きしめていた体勢から一旦腕を解くと、その場にゆっくりと慎重に立ち上がって、周囲を確認した。 「……よし、周囲には誰もいなさそうだ」 「良かったぁ。RikOに見つかっていない今のうちに、帰る?」 また、RikOに見つかってしまったら。 帰宅までRikOも一緒になってしまいそうで、不安だ。 それなら、今から電車に乗って、家に帰ってしまえば。 そうしたら、もう邪魔されない。 せっかくのデートがこんな風に終わってしまうのは残念だけど、RikOに見つかったり。 さっきみたいに、Kanatoが一般の人にバレてしまう可能性がある。 ここで、KanatoとRikOが見つかったら本当に大変だ。 だから、そう提案した私だったんだけど、奏斗は不服そうに首を横に振った。 「……RikOに邪魔をされて、俺と香月のデートがここで終わりになるのは嫌だ。……場所を移動しよう、香月」 「──えっ?ちょ、どこに行くつもりなの、奏斗!?」 奏斗は、私の手を握ったまま歩き出す。 RikOに見つからないよう、慎重に歩いて公園を出た私たち。 奏斗は、スマホで何かを探しているようで。 「──あった!香月、一旦駅前に戻ろう」 「駅に……?」 帰るんじゃないのに、どうして駅に──。 私がそう考えていると、奏斗は上機嫌で私を引っ張ったまま歩いて行った。 駅前──。 先程奏斗が探していたのは、どうやらカラオケ店のようだった。 「なるほど……カラオケなら、個室だし、部屋の中も薄暗くできるから、見つかりにくいね」 「ああ。しかも、ローカルな場所だから、利用者が殺到して途中で追い出されるって心配も
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-05
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59話

カラオケの利用者は、そんなに多くないみたい。 私は、奏斗の分のドリンクも持って、部屋に戻る。 部屋に戻る時、少し遠回りしてカラオケ店の中を歩いてみたけど、埋まっている部屋は半分程。 もしかしたら、夜にかけてこれから部屋も埋まってくるのかもしれないけど、これくらいなら人とすれ違う事も少ないし、奏斗がトイレに立ったとしても大丈夫そう。 「──あっ、でも……持ち歌は歌わないように言わなくちゃ」 さすがに、nuageの曲を奏斗が歌ったら不味い。 歌声とかでバレてしまうかも。 それに、歌手だからきっと肺活量も一般の人よりあるからマイクの音量を下げなくちゃ。 私はそう考えると、急いで部屋に戻った。 私が部屋の前に行くと、奏斗がすぐに扉を開けてくれた。 「随分遅かったな。ドリンクバー並んでたの?」 「ううん、人は居なかったよ。少し店内の様子を見て来たの。部屋は半分くらいしかまだ埋まってないから、人は少なさそう」 「えっ、わざわざ回ってきたのか!?」 驚いた表情を浮かべる奏斗に、私はきょとんとしてしまう。 「えっ、そんな驚く事?どうしたの、奏斗」 「どうしたもこうしたもない!香月は可愛いんだから、あまり一人でうろうろしないでくれ!男同士でカラオケ店に来る人達だっているだろう?ナンパでもされたらどうする!?」 「か、可愛いって……!」 奏斗に肩を掴まれ、がくがくと揺さぶられる。 可愛いって言われた事が嬉しかったけど、奏斗に肩を揺さぶられて、脳が揺れそう──! 「ちょ、ちょっと待って、落ち着いて奏斗……っ」 「──っ、ご、ごめん香月!大丈夫か」 はっと表情を変えた奏斗が、慌てて私から手を離すと、ごめんと謝る。 奏斗は、心配し過ぎだ。 私程度の女の子ならそこら辺にいるし、友達とカラオケとかに行って、ナンパされた事なんて一度も無い。 「だ、大丈夫だよ奏斗。今までそんな事一度も無かったんだから」 「今までなかったからと言って、今後もないとは言いきれないだろ?やっぱりドリンクバーには俺が……」 「そ、それは駄目!奏斗がバレちゃったら、大変だよ!ここは個室だからすぐに外にだって逃げられないし……!」 「──う。……確かに、香月がネットに晒されるなんて事になる方が嫌だ……」 「ねっ、そうでしょ?ほらほら、奏斗はとりあえず座って!何の曲入れ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-05
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60話

まさか、私が断るとは思わなかったんだろう。 確かにそうだ。 私は、奏斗がKanatoとして活動している時。 nuageが歌番組に出ると知れば必ず録画していたし、見終わったら必ず奏斗に連絡してた。 nuageのファンクラブにだって入ってるし、ライブがある時は死に物狂いでチケット争奪戦に挑んでる。 ライブで推しのKanatoにファンサされた日には死んじゃいそうになるほど興奮だってしてる。 だけど、今はKanatoじゃなくて、奏斗と一緒にいるから。 「オフの日くらい、奏斗も自分の好きな歌を歌いなよ。あ、でも奏斗が歌う時はマイクの音量凄く下げるからね!」 私がそう言うと、奏斗は怪訝な顔をしながら私を惑わす言葉を発した。 「香月、本当にいいの?Kanatoのファンサ……独り占めできるのに?」 「…………いいの」 「ほんとに?香月のためにKanatoが歌うのに……?今日の観客は、香月一人だよ?nuageのKanatoを独り占め出来るのに?」 「………………いいのーっ!」 もう!どうして奏斗は私を惑わすの! 私がそう叫ぶと、奏斗は楽しそうに大声で笑った。 その顔が本当に楽しそうで、嬉しそうで。 奏斗の笑顔は沢山見てきたのに。何度も笑顔を向けられてきたのに。 毎回毎回、奏斗が私に笑ってくれる度にきゅんとしてしまうのを止めたい。 「ふっ、ふふっ、分かったよ。それじゃあ、香月が聞きたいっ!って言ってくれるように俺も戦略を練ろうっと」 くすくすと笑いながら、奏斗はタブレットを操作し出す。 一先ず、奏斗は諦めてくれてほっとした。 それから。 私たちは今流行っているアーティストの曲や、歌うのに疲れてきたらお喋りをして。 時々、ドリンクを取りに行ったりして。 楽しい時間を過ごしていた。 だけど、奏斗が選ぶ曲が、微妙にnuageの曲とタイトルが似てたり。 メロディが似てたり。 そんな曲ばかり奏斗が選曲するので、うずうずとしてきてしまう。 ああ、nuageの代表曲を聞きたい……。 Kanatoのソロが多いあの曲が聞きたい。 そう思ってしまうのを、奏斗は見越していたように、曲が終わって、マイクを置いた奏斗が不意に私を覗き込む。 「香月、うずうずしちゃってどうしたの?」 にまにまと笑っている奏斗に、私はじとりとした目を向ける。 さっ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-06
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