軽快な音楽が、奏斗の部屋に響く。奏斗は、小さく舌打ちをして、私から離れた。すぐ傍にあった奏斗の気配が遠ざかり、私は瞑っていた目を開ける。顔が暑くなっている気がして、私は自分の頬をぱたぱたと手のひらで仰いだ。その間、着信を確認しに行った奏斗は、表示された番号を見て、僅かに眉を顰めた。「──RikO、だ。何の用だ……?」「RikO……?」「ああ。待ってて、電話に出てみる。スピーカーにするから、香月は喋らないように気をつけて」奏斗が自分の唇に人差し指を当てて、私にそう話す。私はこくこく、と何度も頷いて奏斗に了解の意思を伝えた。私の返答を見た奏斗も、頷き返してくれながら未だに鳴り続ける着信を取った。「──もしもし?」「こんなに朝早い時間から何だよ……」「は?怖い?何が……?」奏斗が面倒くさそうに答える。奏斗の態度も、目も、声も。全部が冷たい。私には、1度だって見せた事のない奏斗の態度に、私は今までの奏斗と今の奏斗が同一人物だなんて、とても信じられない。でも、RikOはこの奏斗に慣れているのだろう。気にした風もなく、聞いているこちらが可哀想になるくらい声が震えていて、涙声だ。だけど奏斗は冷たい声で、RikOに続きを促した。RikOは、震える声で続ける。「は?何でRikOが家に帰ってるんだ?まだ事務所で寝泊まりするんじゃなかったのか?」RikOの声は、涙に震えていて。本当に恐ろしい目に遭っているんだろう、と言うのが分かる。こんなに怖がっているんだ。もしかしたら、奏斗はRikOを助けに行くかもしれない。でも、RikOを助けに行って、反対に奏斗がストーカーに襲われちゃったらどうしよう、と私が不安がっていると、私の不安に気づいたのだろう。奏斗がスマホを持って私がいるベッドに近付いてくる。「悪いが……ストーカーに家に来られてるなら尚更俺は行けないよ、RikO。事務所にも固く禁じら
Terakhir Diperbarui : 2025-12-30 Baca selengkapnya