怒りに声を高くし、否定しようとした綾芽は後ろに控えていた警備員に強く肩を押さえられ、強制的に則孝の前に座らされた。則孝は肘をデスクの上につき、変わらず冷たい口調で話した。「もちろん、サインが嫌ならしなくてもいい。こちらは他に手があるのだからね。お前が黒崎家からも慶からも離れられないというなら、全ての苦しみを受け止める心の準備をしておくことだな。その点、柏木君も五年前すでにはっきりと分かっていたことだろう」「会長、私は何も間違ったことなんてしていないと思っています!今は黒崎社長が私を必要としているから会社に入れたんです。今会社で発生している問題は全部あの水瀬一花のせいなんですよ!会長は理屈の通った方で、何が正しいのか見極めることができる方のはずです。今のような重要な時期に、過去の小さな事だけにこだわるつもりですか?黒崎グループを第一に考えるべきでは?」綾芽はこの時も体を押さえつけられていたが、それに負けじと鋭い言葉を吐き、全く妥協する気はなかった。則孝は微かに鼻で笑った。「私は黒崎グループのためを思っているから、お前には消えてもらいたいのだよ。会社で発生した問題は一花さんのせいだと言ったな。しかし、最も重要なプロジェクトを台無しにしてしまったのは、お前だ。一花さんのチームが全員辞めたのは、聞くところによると、お前が対応を誤ったせいだそうじゃないか。柏木君の評価はする気はない。しかし、社内には無数の目があり、一体誰が最も必要とされているのか、それは私の口から告げる必要もないと思うのだがな」則孝が言い終わると、綾芽は手を乱暴に掴まれて、無理やり書類にサインをさせられた。「黒崎会長、あなたにはこのような権利はないはず……」「もちろんあるさ。それに、私はすでに慶に譲った会社の権限を全て返させてもらった。今後、あいつの予定や決定には、私の許可が必要になる」則孝はやる事は全て終わったらしく、その書類を取り、警備員に綾芽を離すよう合図を送った。綾芽はぎろりと則孝を睨みつけ、立ち上がり社長室を出て行こうとした。慶不在の今、いくら彼女が怒りを見せても、彼女は無力なのだ。「柏木君、さっき私がした話を肝に銘じておくように。慶のために、最後に一度だけチャンスをやって大目に見てやるだけだ。次は今日のように簡単では済まないぞ」則孝は明ら
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