一花が西園寺家の令嬢だという事実を知ってから、京子の心は逆に落ち着いていた。彼ら黒崎家は今回、予期せぬままに火の中に飛び込んでしまっていた。そして災いから逃れることはできない。柏木綾芽がその元凶であり、一花はさらに彼らにとっての脅威であった。久子はもう倒れてしまった。彼女はもう年だから、もう二度と黒崎家を支える力は残っていない。則孝にはまだ世話する家族が必要だ。だから、京子は慶には立ち上がってもらいだかった。「……」慶は京子の話を聞き終わると、何も言わずに久子のほうへ跪いた。彼は黙ったまま、額を床につけた。その後は、京子がいくら彼を起こそうと名前を呼んでも、慶は一言も発せず、その格好のまま動かなかった。そして夜中、久子の心臓は止まった。黒崎家は全員その周りにいて、医者が死亡時刻を確認したあと、死亡手続きや葬儀の手配にとりかかった。そして慌ただしくしていると、いつの間にか朝になっていた。久子は生前、葬儀は盛大ではなく質素に行ってほしいと遺言を残していた。そしてただ、夫と一緒に埋葬してほしいと望んでいた。だから、遺体は火葬後、遺骨を久子の夫と同じ墓に、そして一部は慶が家に持ち帰り、仏壇に供養することで決定した。京子はもう疲れ果てていて、柚葉と泰司と一緒に少しだけ慶に付き添い、そのまま休憩しにいった。柚葉と泰司も長居することはなかった。則孝のほうも気になっているからだ。しかし、久子が亡くなったことは、暫く則孝には伏せておくことにした。黒崎家を離れる時、泰司が何か言おうとして口には出さなかった。そして道の途中、彼はすぐに柚葉に訴えた。「一花さんはあの西園寺家の令嬢だった。黒崎家はもう終わりだ!一体どうするんだ。一花さんは慶君に復讐してきた、それなら……君とお兄さんは縁を切ったほうがいいだろ!」「泰司、あんた人としてどうかしてるわよ。今は、おばあ様が亡くなったばかりだというのに、なんでそんなことを言い出すわけ?」柚葉は極力その話題を避けたかった。実は彼女自身も心が落ち着かなかったのだ。一花が西園寺家の令嬢だという知らせを受けると、柚葉も全身に冷や汗をかいてしまった。黒崎家だけでなく、泰司自身も身のこなしを上手くしておかないと、路頭に迷うことになってしまう。この時、柚葉は一花が言っていた言葉
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