All Chapters of 偽物クズ夫に別れを告げ、スパダリと政略結婚します: Chapter 461 - Chapter 470

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第461話

一花が西園寺家の令嬢だという事実を知ってから、京子の心は逆に落ち着いていた。彼ら黒崎家は今回、予期せぬままに火の中に飛び込んでしまっていた。そして災いから逃れることはできない。柏木綾芽がその元凶であり、一花はさらに彼らにとっての脅威であった。久子はもう倒れてしまった。彼女はもう年だから、もう二度と黒崎家を支える力は残っていない。則孝にはまだ世話する家族が必要だ。だから、京子は慶には立ち上がってもらいだかった。「……」慶は京子の話を聞き終わると、何も言わずに久子のほうへ跪いた。彼は黙ったまま、額を床につけた。その後は、京子がいくら彼を起こそうと名前を呼んでも、慶は一言も発せず、その格好のまま動かなかった。そして夜中、久子の心臓は止まった。黒崎家は全員その周りにいて、医者が死亡時刻を確認したあと、死亡手続きや葬儀の手配にとりかかった。そして慌ただしくしていると、いつの間にか朝になっていた。久子は生前、葬儀は盛大ではなく質素に行ってほしいと遺言を残していた。そしてただ、夫と一緒に埋葬してほしいと望んでいた。だから、遺体は火葬後、遺骨を久子の夫と同じ墓に、そして一部は慶が家に持ち帰り、仏壇に供養することで決定した。京子はもう疲れ果てていて、柚葉と泰司と一緒に少しだけ慶に付き添い、そのまま休憩しにいった。柚葉と泰司も長居することはなかった。則孝のほうも気になっているからだ。しかし、久子が亡くなったことは、暫く則孝には伏せておくことにした。黒崎家を離れる時、泰司が何か言おうとして口には出さなかった。そして道の途中、彼はすぐに柚葉に訴えた。「一花さんはあの西園寺家の令嬢だった。黒崎家はもう終わりだ!一体どうするんだ。一花さんは慶君に復讐してきた、それなら……君とお兄さんは縁を切ったほうがいいだろ!」「泰司、あんた人としてどうかしてるわよ。今は、おばあ様が亡くなったばかりだというのに、なんでそんなことを言い出すわけ?」柚葉は極力その話題を避けたかった。実は彼女自身も心が落ち着かなかったのだ。一花が西園寺家の令嬢だという知らせを受けると、柚葉も全身に冷や汗をかいてしまった。黒崎家だけでなく、泰司自身も身のこなしを上手くしておかないと、路頭に迷うことになってしまう。この時、柚葉は一花が言っていた言葉
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第462話

「だったらどうすればいいのよ。それじゃ、私たち……一花さんに謝罪のメールでも送る?」柚葉は小声で言った。それを思うと彼女は手が震えてきた。実はさっき病室にいる時、柚葉は長い謝罪文を打っていた。しかし、それを一花に送信することができずにいたのだ。もちろん、彼女の携帯からはそのメールなど送ることはできない。……一花がこんな大物だと知っていれば、最初から良好な関係作りをしておけばよかったのに!柚葉は、一花が黒崎家に嫁いできた時、まだとても優しかったことを覚えていた。彼女は実際、心の中では一花のことを嫌っていたわけではなく、ただ……頼れる家族も家柄も大したことのない女がこのようなシンデレラストーリーになって、嫉妬してしまったのだ。しかし、一花からの好意はとても享受していた。柚葉は好き嫌いが激しい。妊娠中のつわりのせいでずっと食欲がなく、一花はそれを見ると、親切にもいろいろな料理を工夫して作ってくれていた。一花の料理は食欲をそそり、とても口に合った。本当に家で雇っているシェフよりも料理の腕が高かった。一花がいれば、柚葉は妊娠中ずっと気持ちよく過ごすことができた。しかし……一花が素晴らしい人間であるほどに、柚葉は彼女を陥れたい衝動に駆られるようになった。一花の完璧さをどうにかして下げたいと思った。柚葉自身もよく分からなかったが、一花に対する態度はどんどん悪くなっていった。一花が反抗的な態度を見せると、全て一花のせいにした。「こうなると分かってたら初めからしてなかった。後悔したところで意味なんかない!」泰司は白目をむいた。「できるもんなら今謝ってみろよ?自分がどれほど嫌なことをやったのか、今から相手に思い出させる気か?」「……」柚葉は下を向いて後悔していた。泰司は柚葉が本当に恐れているのが分かり、それ以上は何も言わず、イライラしてタバコに火をつけた。黒崎家はもう終わっている。一花がこれ以上何かしてくることがあるだろうか。しかし泰司は、仕事をこのまま続けられるのだろうか。黒崎家と絶縁したところで、今さら遅いかもしれない。「そうだ、それから柏木綾芽とかいう奴がいるだろ?」泰司は何かを思いついたかのように、すぐに柚葉のほうを見た。柚葉はその言葉に瞳を一瞬輝かせたが、すぐにまた暗転した
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第463話

「柚葉ちゃん、おばあ様が亡くなったって……本当なの?」綾芽の電話が繋がると、柚葉の泣き声が聞こえてきた。黒崎久子が亡くなったと聞き、綾芽はかなり驚いた。しかし、それが本当だと分かると、口角をにやりと上にあげた。危うく笑い声を漏らしてしまうところだった。あの死にぞこないのクソババアが、慶との離婚を望んだものだから、今天罰が下ったのだ!綾芽は興奮する気持ちを抑え、柚葉の詳しい状況を尋ねた。柚葉は泰司に言われたとおり、久子が突然心臓発作を起こしたと伝えた。一花の事は一切触れなかった。一花の事は、綾芽が帰ってきてから、直接話したほうがいい。綾芽はまた家の状況を尋ねた。柚葉はその質問に一つ一つ丁寧に答えていった。電話を切った後、綾芽はどうもおかしいと感じた。普段の柚葉であれば、綾芽に対してまるで仇のように反抗的な態度をとってくるのに、今日はどういうわけか、かなり態度が良い。しかも、早く帰って慶の様子を見てあげてほしいとまで言われてしまった。兄の傍には今綾芽の存在が必要だと言われたのだ。久子という黒崎家の支えがなくなってしまったから、現実がはっきり見えてきたのだろうか。しかしなんといっても、柚葉のその知らせはちょうど良いタイミングだった。綾芽と慶は今まさに離婚協議の最中で、急いで彼とは関係を修復させる必要がある。そして今、久子という邪魔者がいなくなったので、絶好の機会だ。綾芽はすぐに行動を開始した。飛行機のチケットを買い、颯太を小さなマンションの部屋から両親のもとへと送った。今彼女は仕事が忙しく出張にもよく行くので、両親が怪しむこともなかった。ただ、颯太が綾芽と離れるのが寂しくなり、泣いて一緒に行くと喚いた。まるで父と子の間で何か感じ取るものがあったのか、颯太は突然父親に会いたいと泣き叫んだ。その姿に綾芽は心を締め付けられる思いだった。ただ彼をなだめる言葉をかけて、すぐに父親が会いに帰ってきてくれると伝えた。息子のためにも、彼女はなにがなんでも、慶との仲を戻さねばならない。家のことを済ませると、最後に会社に休みの申請をした。綾芽は帰る途中で、浩之に電話をかけた。浩之はこの時ちょうど外で商談中だった。綾芽が運転しているのが分かると、迎えに来てほしいと伝えられ、綾芽はそのついでに休みをも
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第464話

一花のことは一言も言わなかった。綾芽は頷いた。「ええ、おばあ様が亡くなったんです。まだ手続きもしていないので、帰らないと」「それはもちろんだよ」浩之は頷いて、携帯を取り出して休暇をとるという綾芽のために許可をした。「出張ということで処理しておくから、その通りに申請を出しておいて」「どうもありがとうございます!」浩之が融通の利く人なので、綾芽は少し驚いた。すると彼女はまた付け加えた。「できるだけ早く終わらせて、会社に戻ってきますので」「会社はそもそも君を南関に行かせる予定だったんだ。君は少し早いけど、南関に行ってそのプロジェクトを考察してしまってもいいだろう」浩之の声は淡々としていた。綾芽は京原にはあまり長く滞在する予定ではないし、どのみちいつかは南関に戻ることになるのだ。だから、少し早くあっちに行ったところで別に問題はない。はずなのに……「柏木さん」「はい?」浩之は暫くじっと考えてからようやく口を開いた。「固執する必要のないことで人生を無駄にしないほうがいい。君がもう離婚を決意したのなら、早めに目を覚ましたほうがいいと思うよ」その言葉に綾芽は言葉を詰まらせた。紬は彼に慶が浮気して綾芽を傷つけたから、二人は今離婚協議中なのだと言ったのだ。しかし、綾芽が実は離婚したくないということを、浩之は知らない。それなのに彼は綾芽が家に戻って夫にしつこくまとわりつかれるのではないかと心配しているらしい。「心配しないでください」綾芽はうまく説明することはできないので、ただ彼に頷くしかなかった。「男性だって女性と同じですよ。何かにこだわってしまうのは、ね。私は感情に振り回されるようなことはありませんから」綾芽の言葉は少し悲しく冷たかった。浩之は酒のせいで体が少し熱く感じ、心の中も燃えるように熱く感じた。横目で、綾芽の美しい顔に残る傷ついた表情を見て、彼は突然勇気を出し、彼女の手を握った。「実際、世の中の男がみんな同じってわけじゃない。ずっと一途な奴だっているんだよ」浩之のこの行動に、綾芽は驚き急ブレーキをかけた。「副社長……」浩之も彼女の手を握ったのはあまりよろしくないと気づき、すぐに手を引っ込めた。彼は少し気まずそうに綾芽がくれたお茶を一口飲んで、目線を向こう側に移した。この時、綾芽の心臓はバ
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第465話

……久子が他界した。そのメッセージが、ある知らない番号からショートメールで送られてきた。しかし、その言葉の言い回しから、一花は誰が送ってきたものなのかがはっきりと分かった。久子は心臓が悪かった。だから、医者も前から普段気持ちを穏やかに、怒ったりして興奮しないようにと注意していた。彼女の死は確かに、昨日自分と会った事に関係していると一花は思った。一花がその知らせを受けて呆然としていた時、柊馬も目を覚ました。一花がぼうっと携帯を眺めているのを見て、柊馬は自分の懐へ引き寄せてしっかりと抱きしめ距離を縮めた。「何を見ているの」一花が眉間に皺を寄せているのを敏感に捉え、柊馬は体をずらして彼女の携帯をとろうとした。「黒崎慶の祖母が亡くなったって」一花の声が柊馬の耳に届いた。 彼女は淡々とした口調で感情は読み取れなかったが、柊馬はそんな彼女の態度から少し動揺しているのを感じ取った。「……」柊馬はすぐには話をせず、ただ彼女をしっかりと懐に抱きしめ、体温で彼女の少し冷たい肌を温めた。一花は表面上はとても意思が強く断固とした態度を見せるが、実際はとても優しい人だと彼はよく分かっている。彼女が義理堅い人だ。たとえ誰かが深く彼女を傷つけたとしても、自分のせいでその相手が亡くなったと聞けば、心が沈んでしまう。そんな一花を見ていると、柊馬も心が苦しくなった。彼はあの黒崎家の人間が死のうがどうでもいい話だが、一花が苦しむのは見ていられない。「一花、あまり考えすぎないで、それは君のせいじゃないんだから」柊馬は優しく一花に呼びかけると、彼女の携帯を置いた。手を伸ばして彼女の耳に触れた後、少し眉をひそめて彼女の額にキスをした。「本当に、私はこんなことになるなんて……」一花は昨日少し心配だったが、かすかな期待を抱いた。まさか自分に会ってから久子に何か起こることはないだろうと思っていた。彼女と黒崎家の怨念はすでに過ぎ去ったことだ。また久子のせいで気分を害すことになっても、この世から消えてほしいと望んでいたわけではない。一花自身も今の自分の感覚がよく分かっていなかった。久子の訃報を受けると、どうしても自分の責任のように罪悪感を抱いてしまう。実際、久子が他の黒崎家の人間同様、憐れんでやる必要のない人間だ。しかし、同じく
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第466話

「昨日、あの老人のほうから君に難癖をつけに来たんだ。しかも口の汚い言葉で君を攻撃し、俺を侮辱した。俺たちがしたことは、当然の反撃だろう。まさかあの女の意向におとなしく従わなかったから、その結果に責任を持てというのか?この世にそんな理屈はないだろう。向こうのほうが悪いのに、相手がか弱い年寄りだからって、言うことを聞かなければならないっていう道理はないはずだ」一花は柊馬を見上げ、その瞬間瞳に光が宿り、顔を少し赤くさせた。柊馬は自分が間違ったことを言ってしまったのかと思い、少し気まずそうにしていた。「間違ったことを言ったかな?」「いいえ、あなたの言ったことは正しいわ……その言葉で、もやもやしていたものが消えちゃった」一花は希望を取り戻したかのように瞳を輝かせ、口角を上げた。その美しさに柊馬は心が動かされた。彼の耳も彼女に気づかれないくらいに瞬時に赤くなった。柊馬はそのまま一花の頬を手で包み込み、眼差しを落ち着かせ真面目な様子で言った。「今から、君がやること全ては正しい。間違っていることだって同じく正しいんだ。誰かのせいで悩んでほしくないし、何かがあったせいで落ち込んだりもしてほしくない……それが俺であっても、君をそのようにさせるのは許せない」彼がそう話す声は重苦しくなく、さらっとしていたが、心に響いた。一花もこの時の彼から、自分をどこかに閉じ込めて守りたいという気持ちを感じ取った。彼女はただ慰めがほしかっただけだが、彼のほうは泣いてしまいそうだった。一花は素直にこくこくと頷いた。柊馬の話の途中で、その唇にキスで返事をした。彼女は愛のこもったキスをしてから、少し距離をはなした。その時一筋の朝日が枕元に降り注ぎ、二人の顔をキラキラと輝かせた。柊馬は瞼を下げると、一花の初々しくて相手を誘うような姿に、彼は何も身につけていない上半身を少し動かした。彼は一花の手を自分のよく鍛えられた腹筋の上にあてて、彼女をベッドヘッドのほうへとずらして押さえつけ、気持ちを抑えられなくなった。一花は気持ちが高ぶって声を漏らした。柊馬が一番好きなのは彼女の鎖骨と首のあたりだ。毎回そこから始まり、上、もしくは下へと移動していく。まるで彼の欲は満たされることを知らないかのように、骨まで痺れて意識が朦朧としてしまうまで、彼はしつこく体を貪ってく
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第467話

「一花、君が好きならペアで君の分も作ってもらおうか」柊馬は下を向き、一花と一緒に鏡の中をのぞいた。一花は透き通るような白い肌で、典型的なはっきりとした顔の美人だ。素顔の時は清潔感のある美女で、メイクをすると華やかになる。この時、彼女はルームウェアだった。かなり容姿の整った柊馬と並んでも、それに見劣りすることはまったくなく、逆にとてもお似合いのカップルという感じだった。それに、一花のその顔は、柊馬が持つ高貴な威厳さを完全に消し去ってしまう。まるで名家のお嬢様に懐いている大きなワンコのようだ。一花はそう思うと、こっそり笑いをもらした。彼女が笑うと、柊馬はリラックスし、優しい声で尋ねた。「だめかな?」「いいわよ。じゃ、お店に頼んでもらってもいい?あなたとペアルックにしたいわ」一花はそう言うと、指で普段から真面目な顔をしている彼の頬をつねった。彼の顔には余計な肉はついておらず、柔らかさはないが、手触りはひときわ良かった。それに、キスをするとすべすべした肌をしている。柊馬は相変わらず愛しそうに一花を見つめ、彼女の好きなようにさせておいた。「お腹が空いただろう。身支度を整えたら食べに行こうか」柊馬は少しの間一花を抱きしめてから、そう言った。この時、柊馬が今日はさっさと荷物をまとめて外出する予定でもあるかのようだと気づいた。「どこかへ行くの?遠くには行っちゃダメよ。今日、お医者さんが診察しに来るって」柊馬が診察する時間を彼女はしっかりと把握していた。ここ数日、柊馬は決められた時間に薬を飲んでいた。長い間立っているのはまだ難しいくらいで、他はほとんど回復している。傷のかさぶたはすでに落ちて、そこには真っ赤な傷跡が残っていた。体の内部はとくに調子の悪いところはない。医者は高熱が出なくなれば問題ないと言っていた。「京原市だよ」柊馬が淡々とした口調でそう言うと、一花は驚いた。「どうしてまた突然京原に?」「あるプロジェクトがあって、ちょっと確認したいんだ」柊馬はサラリとそう言ったが、この時、一花は細かいところには気づかず、勝手に彼が急いで仕事に戻りたいのだと思った。「そんなのダメよ。あなたの体はまだ完全に良くなっていないのよ。仕事だとしても……やっぱり他の誰かに頼んで」一花は急いで出てく
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第468話

柊馬の正直な言葉を聞いて、一花は頭から湯気でも出そうなくらい恥ずかしくなった。そのランジェリーは一体誰が彼女に買ったのか分からない。柊馬が使用人に頼んでクローゼットを整理してもらってから、一花の下着を入れている引き出しの中にいつのまにか出現したのだ。その大胆なデザインときたら、もはや形容するのも恥ずかしい。彼女は敬子か、もしくは美穂の仕業ではないかとさえ思っていた。だが、普段の敬子と美穂のあの真面目な様子を見ていると、どうも彼女と柊馬にそのような趣向を植え付けるために仕掛けようとするわけはないようにも思えた……今思えば、まさか……柊馬は本当にこのような趣味があったというのか?それで毎度風呂に入る時、柊馬が下着を持って来てくれる時には、いつもこのようなデザインばかりだったのか。そしていつも一花は自分で他のデザインの下着に取り替えていた。その大胆なデザインは、彼女が家で着るにはどうも気恥ずかしい。この時、柊馬の期待に満ちた懇願するような眼差しに、一花は折れそうになってしまった。そして最後に二人が出した結論は、その柊馬の趣味の下着は一セットだけにすることに決まった。一花は横を向いて真っ赤な顔で呟いた。「柊馬、あなた本当に……本物のスケベね」「そうかな」一花にそのように評価されても、柊馬は痛くも痒くもない様子だった。彼はやっと下着をスーツケースにおさめるのを見ながら、小さな声で言った。「男の本能だろう」一花はその言葉に黙ってしまった。はめられた!結婚前と後では変わるとよく聞くが、この男には、まんまとはめられてしまった!……柊馬が二日前にした検査の結果はすでに出ていて、彼の内臓の損傷はほとんどなくなっていた。骨も筋肉も問題なかった。しかし、胃の辺りに影が出来ていて、はっきりしない部分がある、この医者はすでに柊馬に説明済みで、血腫のように見えるが、安心するためにも、やはりもっと全面的な検査をすることを勧めていた。柊馬はそれを知った後、一花には教えておらず、もちろん、医者にも口止めをしていた。彼は一花に検査結果を見せて、体は回復しているから、彼女にはもう心配しなくていいと言った。それでも一花は安心できず、何度も医者に確認した。複数の医者が柊馬の検査結果を確認し、彼はもうだいぶ回復しているから、引き
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第469話

湊には大胆さが足りず、口下手だ。飛行機は二時間ほどして、京原市に到着した時には、太陽が沈みかけていた。一花は飛行機で柊馬と甘いひと時を過ごし、降りる時には明るい顔をして、気分もとても良さそうだった。彼女は柊馬の腕に手を絡めて、空港から出た時、突然小さな声で柊馬に尋ねた。「なんだかあなたと新婚旅行に来たみたいに感じるわね」「君と一緒なら、俺は毎日新婚旅行気分だよ」柊馬は一花の手をとり、指と指を絡め合った。二人が前を歩き、その後ろに湊ともう一人アシスタントがスーツケースを引いてついてきた。この時すでに食事の時間だったが、二人はもうお腹いっぱいだった。車の中で、今回のスケジュールは結婚式の会場の下見だということを一花は知らされた。南関市は確かに経済の中心都市だが、主にビジネスのための街といった感じで、京原市のほうが文化や歴史の町という感じだ。柊馬は一花に盛大な結婚式を挙げると約束した。だから、もちろん国内で最も華やかな都市である京原に来たのだ。京原は歴史的に古い町で、今は博物館や歴史的な遺跡も多いことで有名だ。それで、南関とは違った雰囲気を持つこの都市で、結婚式をしようと考えたのだ。一花はまさか柊馬が京原で結婚式を挙げようと考えていたとは思いもよらなかった。「君は京原の雰囲気が好きだって言っていたよね」「まさか覚えて……」一花もこの時思い出した。二人が一緒に携帯で動画を見ていた時、ちょうどこの都市の四季折々の変化を紹介した動画に行き当たったのだ。春から冬にかけて、とても美しい所だ。歴史的にも古い街並みが残る京原は、最も趣深く、ロマンチックだ。愛する人と一緒にこの町で、それぞれ違う表情を持つ四季を過ごし、毎日一緒にいるのを想像するだけで、一花は心が温かさに満たされた。「いつまでもここの景色を一緒に見ることはできないけど、でもここで一度一緒に過ごした時間が、きっと一番美しい記憶になって、永遠に頭の中に残っているよ。この町で君と一年通して四季の美しさを感じることはできない。でも、ここでとてもロマンチックな結婚式なら挙げられる」柊馬は一花が驚き感動している表情を見て、話す時に力が入った。彼は全ての手配を終えてから、一花に教えたのだ。彼は家で休養をとり始めてから、京原市にある京原大聖
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第470話

柊馬の口から出た言葉に一花は言葉を失った。この時の一花は感動のあまり言葉にできず、柊馬を見つめて瞳に涙を浮かべていた。彼女は小さい頃からずっと波乱万丈な人生を送ってきた。周りからひどい扱いを受けることも、助けられることもあった。しかし、柊馬のようにここまで自分にしてくれる人には一度も会ったことがない。どんな約束もとても重要な事のように叶えようと努力し、誰かを愛したら……どんな犠牲を払ってでも自分を捧げる。世界中に本当にこのような人がいるだろうか。それは、子供が転んで必ずしも泣くことがないと同じだ。自分を助けてくれて、関心を寄せて来る人がいないから、泣くことをやめる。そして一花は小さい頃から両親はなく、誰からも大切にされたことはない。慶に騙され、恨みを持ち、どれだけつらい思いをしても、泣きたいとは思わなかった。しかし、柊馬があまりにも自分に良くしてくれるので、彼女はとても切ない気持ちになった。そして泣きたくなった。「どうして泣くんだ……今になってやっと教えたから、不機嫌になった?」「……」一花は首を横に振った。この時もまだ言葉にできず、暫く時間をかけて自分の中で気持ちを整理し、彼が慌てふためきだしたところで、頭をボスッと彼の胸に埋めた。「柊馬、あなたがここまでしてくれて、私今夢でも見てるんじゃないかって思っちゃうのよ。あなたと初めて出会ってから、全てが夢なんじゃないかって……」明らかな鼻声で、一花は必死に気持ちを抑えて声を出した。柊馬はほっとして、彼女の髪を撫でた。「じゃ、俺を叩いてみてよ。痛かったら夢じゃないってすぐに分かるから」柊馬はそう言うと、彼女の手をとり自分のほうへ振り下ろそうとしたが、それを一花がすぐに止めた。彼女は少しつらそうな目で、恨めしそうに彼を見つめた。「……そんなことする?叩くにしても私でしょ」「それはダメだ」柊馬は急いで彼女の両手を掴んだ。「どうしたんだ?嬉しいはずなのに、泣いたり自分を叩こうとするのか?」柊馬のからかう一言に、一花はすぐ笑いだした。「そうよ、私は理不尽な女なの。後悔しちゃった?」「そんなわけないよ」柊馬はほとんど考えるまでもなく口を開いた。自分の誠実な気持ちを表すために、彼は一言一句はっきりと伝えた。「俺は一花と結婚して、永遠に後悔
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