ぐっと感情をこらえていたが、柊馬の目は少し潤んでいた。そして、彼は一言「うん」と言った。イートンは傍に座り、二人を見つめた。体も思わず後ろに倒し、完全にリラックスしていた。本来、敬子が彼に柊馬の話をした時、イートンは少し困っていた。心に負った傷を少し癒やすことは別に難しくないが、ただ完全に癒やすのは難しい。誰もがその傷は永遠に傷となって残る。その傷は何もないところから勝手にできるものでもないし、永遠に消えるものでもない。心の傷の治療で、まずできることは、その傷を正面から受け止めること。もし、否定的になってしまえば、その苦痛は悪循環となる。柊馬が感情を刺激されて情緒不安定になってしまうという病気は完治できない。ただ、彼が自分の気持ちに正面から向き合えば、緩和される。傷は元通りにはならないが、痛みから抜け出すことができないわけではない。心理テストのはずが、夫婦のラブラブな日常の様子へと変わってしまった。イートンは暫く待って、テストを終えるとやっと本題に入った。柊馬に初めて心的外傷後ストレス障害になった時の事を尋ねた。しかし、今回、柊馬は明らかに積極的な姿勢を見せていた。彼が初めて意識を失い傷つけた相手は美穂だ。ある家族パーティーで、美穂は実家側の親戚たちと衝突してしまった。美穂は子供を妊娠してはいけない体だったし、修治と結婚して柊馬のように扱いにくい子供の継母となった。だから何か言い争いになると、彼女は相手から「継母のくせに」とか「子供が産めない」などの侮辱的な言葉をぶつけられる。これは美穂にとって触れてはいけない逆鱗のようなもので、常に穏やかな性格の彼女もこの時ばかりは喧嘩をしてしまった。柊馬は普段淡泊な性格をしていて、美穂にもただ礼儀をもって接するくらいだ。しかし、美穂とはもう長年家族をやっていて、すでに彼女を母親として見るようになっていた。誰かがそんな彼女を侮辱したのであれば、もちろん我慢することなどできない。彼はその場で相手に酒を頭からかけてしまった。その相手は年配者であり、これをきっかけに手まで出してしまった。その時、美穂は柊馬を守ろうとして、腕に傷を負ってしまったのだ。……その後、柊馬が気づいた時には相手を危うく殺してしまうところまで叩きのめしていた。あの時、相手は彼を母親殺
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