「あの家に帰るって?」食後のお茶を飲みながら怜士に問われ、頷いた。「そうよ。何か問題ある?」尚は腹を立てていたので、例え怜士相手でも遠慮なくツンと顎を上げて言い返した。彼の隣に座る美月は困ったように眉を寄せていたけれど、今回ばかりは彼女も譲る気はなかった。「何が気にいらない?」バサリと読みかけの新聞を脇に置いて、じっと見据えられた。尚はその眼差しに一瞬怯みはしたものの、今朝見た芽衣の消沈した様子を思い出してグッとお腹に力を入れた。「何もかもよ。なぜ准くんはあの子に会いに来ないの?前はあれだけしつこく連絡とかしてきてたのに、今はそれすらないわ。それなのに昨日はこっそり来てて、芽衣を助けてくれたのは有り難いけど、なぜ黙って帰っちゃうの?前だったら、ずっと側についてあの子の目が覚めるのを待ってたはずだわっ」尚の中にある不満を一気に吐き出すと、それを黙って聞いていた怜士が言った。「前がそうだったからといって、今もそうじゃないといけないのか?」「はぁ?」「尚……」思わず喧嘩腰になった親友に、美月が心配そうに声をかける。だが、尚は我慢しなかった。「それはつまり、准くんの芽衣への気持ちが変わったってことなの?」「……そうかもな」「……」それを聞いて、尚の気持ちは氷点下まで下がった。彼女は手にしていたカップをカチャンッと音を立てて置くと、「あ、そう」と独り言のように呟いた。そしてサッと立ち上がると、怜士を睨みつけて言い放った。「わかったわ。そういうことなら、婚約は解消ねっ」「芽衣の同意は?」「私から話すわ。ご心配なくっ」あくまでも冷静な男に苛立って、尚はさっさと背を向けた。彼女が怒りも顕にダイニングから出ていくのを見送り、美月は堪らず問いかけた。「准くんが心変わりするなんて…そんなことあるの?」それには怜士も可笑しそうに目を細めた。「絶
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